時野谷滋
出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』
時野谷 滋（ときのや しげる、1924年（大正13年）4月19日 - 2006年（平成18年）5月3日）は、日本の歴史学者。関東短期大学学長。東京都出身。
専門は日本制度史。昭和54年（1979年）に東京大学から「律令封禄制度史の研究」（主査土田直鎮）に対して文学博士の学位を授与されたのをはじめ、律令財政史が中心であるが、論文は古代・上代に限らず、中世・近世そして近代に亘っている。また、文部省時代、いわゆる家永教科書裁判の第三次訴訟の時の主任調査官。
[編集] 経歴
大正13年、東京に生れる。本籍は茨城県真壁郡河間村（現在の筑西市）。 叔祖父は京都帝国大学教授の常三郎、父は下館高等女学校（現在の茨城県立下館第二高等学校）教諭の貞。
昭和17年（1942年）、山形高等学校文科甲類に進学、夏目漱石門下で英語の島村盛助助教授に俳句や短歌を習い、また国史の佐藤三郎教授などが指導する「歴史研究会」でも活躍した。
昭和19年（1944年）、東京帝国大学文学部国史学科に進み、平泉澄に師事し、朱光会や青々塾にも入った。しかし、3ヶ月後に応召、陸軍野戦砲兵学校にて終戦を迎え、東大に復学して昭和23年（1948年）9月に学部を卒業、その2年後に大学院修士課程を修了する。
昭和25年（1950年）、弘前大学に専任講師として赴くが、母の死にあい帰省を決意し、昭和28年（1953年）から茨城県立下妻第一高等学校に勤務する。その間、井上光貞から金沢大学へという話もあったが断っており、小山工業高等専門学校に転任、8年務めた後、村尾次郎の求めによって文部省教科書調査官に就任（昭和60年定年退職）。その後、関東学園大学教授を経て、関東短期大学学長。
[編集] 著書
- 『大化改新』 日本教文社〈日本人のための国史〉、1966年
- （徳富蘇峰原著）『要約近世日本国民史9』 時事通信社、1967年
- 『律令封禄制度史の研究』 吉川弘文館、1977年
- 『家永教科書裁判と南京事件』 日本教文社、1989年
- 『飛鳥奈良時代の基礎的研究』 国書刊行会、1990年
- 『芭蕉・鴎外・漱石 蓁園子古稀記念論集』 近代文芸社、1993年
- 『大欅集』 窓映社、2000年
- 『日本制度史論集』 国書刊行会、2001年
- 『大関の里集』 窓英社、2003年
[編集] 参考文献
- 所功「時野谷滋博士の事蹟と学徳」 『日本』56巻7号 2006年7月
