新党護憲リベラル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』

新党護憲リベラルは、かつて存在した日本の護憲政党。

[編集] 概要

1994年、細川内閣が進める小選挙区比例代表並立制に反対し、社会党内でも造反や離党が相次いだ。その中で、旧「MPD・平和と民主運動」呼びかけ人であった田英夫が、MPDメンバー（日本学生戦線除名組）による「大衆党」（のち、「市民の党」）を取り込み、翫正敏（いとう・まさとし）、國弘正雄ら一部旧日本社会党メンバーを巻き込んで結成した政治団体。直接の母体は田を代表として結成された院内会派「護憲リベラルの会」。他のメンバーに旭堂小南陵（西野康雄）、三石久江ら。後に中尾則幸、金田誠一らが加入。

社会党右派出身の議員が中心であり、社会主義協会など社会党左派との関連は薄かったが、小選挙区制反対など、左派的政策を取った。財政基盤は弱く、活動資金は政党交付金に頼っていた。なお、助成金を受け取ってはいたものの、政党への公費助成制度には反対していた。但し、「思想信条の自由に反する｣という憲法的視点ではなく「不公平｣という理由での反対であった。

自社さ政権（村山富市内閣）が成立すると政権寄りの姿勢を取った。1995年4月の統一地方選挙北海道知事選挙では自由民主党・自由連合の推薦と新党さきがけの支持で立候補した伊東秀子を支援し、前知事横路孝弘の後継で新進党・公明・民社協会などが推薦した堀達也らと争った（堀が当選、伊東は次点）。更に東京都東村山市議会議員選挙に田の関係者矢野穂積を公認候補として擁立するも次点で落選した（その後繰り上げ当選するも新党護憲リベラルには属さず無所属となる。矢野は1997年10月、いわゆる「議席譲渡事件」に関する最高裁判所判決により失職）。同年7月の第17回参議院議員通常選挙が近づくにつれ、自社さ政権と新進党の対決ムードが広まる中、反新進党を志向し自民党へ接近する田・国弘らと、反自民反新進の革新路線を堅持する翫らとの路線対立が表面化。参院選直前に田、金田、中尾らの「平和：市民」と翫らの憲法みどり農の連帯に分裂。「平和：市民」は確認団体となり、東京選挙区で田が当選し1議席獲得したが、他の候補は落選した。その後平和・市民は解散し、田は椎名素夫（後の無所属の会代表）ら他の無所属議員と新会派「参議院フォーラム」結成後、社民党に復党している。「連帯」は得票が全く伸びず、全員落選。以後選挙への候補者擁立はなく、現在は護憲と環境保護を訴える市民団体として存続している。また翫は新社会党でも活動している。なお、この分裂の際、ジャーナリストの庄幸司郎が週刊金曜日誌上で「連帯」側を「選挙直前にエゴで市民派を分裂させるとは何事か」と痛烈に批判したが、翫は「政策を転換させ自民党に擦り寄った『平和：市民』側にこそ分裂の原因」と強く反論した。