院内会派
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院内会派(いんないかいは)とは、国会の各議院において、活動を共にする国会議員2人以上で結成する団体。院内団体とも呼ばれる。国会法等の法律では単に「会派」と呼ばれる。
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[編集] 概要
衆議院・参議院の各院内では、理念や政策を共有する議員が集まって院内会派を作り、議会活動を共に行う。会派の所属議員数によって、委員会の議席数や、発言・質問の時間配分、法案提出権などが左右されるため、政党とは違ったメンバーで構成されることもある。院内の構成単位はあくまでも会派であり、政党ではない。無所属で当選した人が政党会派に参加したり、無所属同士で便宜的に会派を結成することもある。衆参両院とも、慣例により議長と副議長は会派を離脱することになっている。
なお、所属議員が1人だけの会派(俗に一人会派-いちにんかいは、ひとりかいは-という)は制度上認められず無所属(参議院にあっては「各派に属しない議員」)扱いとなる。ただし、当該無所属議員の所属する政党等が政治資金規正法上の政治団体に該当する場合は、国会における各会派に対する立法事務費の交付に関する法律(昭和28年法律第52号)の適用に限り会派と同等とみなされ、一人会派に対しても立法事務費が支給される。
[編集] 2008年現在存在する院内会派
[編集] 衆議院
2008年4月28日現在
- 自由民主党 304
- 民主党・無所属クラブ 114(うち無所属クラブ部分1)
- 公明党 31
- 日本共産党 9
- 社会民主党・市民連合 7(無党籍議員なし)
- 国民新党・そうぞう・無所属の会 6(うちそうぞう1、無所属の会部分1)
- 無所属 9(うち議長・副議長各1、新党大地1、元自民系3、元民主系1、元新党日本系1、中道系無所属1)
[編集] 参議院
2008年1月18日現在
- 民主党・新緑風会・国民新・日本 120(うち新緑風会部分6、国民新党4、新党日本1)
- 自由民主党・無所属の会 84(うち無所属の会部分1)
- 公明党 21
- 日本共産党 7
- 社会民主党・護憲連合 5
- 各派に属しない議員 5(うち議長・副議長各1、沖縄社会大衆党1、保守系無所属1、革新系無所属1)
[編集] 備考
- 参議院の無所属議員については、同院での慣例にしたがい「各派に属しない議員」と表記する。ただし、この備考では以下「無所属(議員)」にとりまとめて説明。
- 所属議員数の多い順に記載するが、無所属についてはその多寡にかかわらず末尾とする(欠員がある場合は欠員を末尾としその前)。
- 人数表記(欠員を含む。)については、数字のみとする(「人」をつけない)。
- いわゆる統一会派については、これを構成する政党・政治団体・無党籍議員などの人数の内訳をその多寡順に付記する(ただし、最多数のものは原則として省略し、無党籍者数は多寡にかかわらず末尾とする)。
- 政党・政治団体など固有の活動実体のあるものについては、その名称を用いて表記する(例:「新党○○3」)。当該政党等の名称が会派名に含まれない又は省略形である場合も、本来の名称を用いる。
- 無党籍議員については、会派名の無党籍者該当部分の名称に「部分」の文字を付記して表記する(例:「○○の会部分5」)。ただし、無党籍部分に団体としての独立・主体的活動様態がある場合は「部分」はつけない。なお、無党籍者該当部分の名称に相当するものがない場合は、無党籍として付記する(例:「無党籍1」)。
- この「部分」という表記は「個別固有の政治的団体」(部分をつけない)か「無党籍議員の集合体の便宜的呼称」(部分をつける)かを分けることで、「独自の団体として正式に存在している(していない)」との誤解を避けるための本記事における便宜上の付記であり、院内外で一般的に「部分」をつけて呼称しているわけではない。
- 無所属議員についても、人数の内訳を付記する。
- 内訳の筆頭は議長・副議長とし、これに続けて政党・政治団体所属者、無党籍者の順(それぞれの中では多寡順)で記載する。
- 政党・政治団体に所属している(いわゆる一人会派などの)議員の場合はその政党等の名称を用い、無所属かつ無党籍の議員の場合は、直近に所属していた政党名があればそれを借用する(例:「元○○系」)、複数政党の統一推薦当選であればそれらを連記する(例:「○○・△△系」)、あるいはその他適切と思われる表現を用いるものとする。分類が困難である、又は分類することが適切でない場合は単に「無所属」などとすることも妨げない。
- 統一会派の無党籍議員又は無所属議員の内訳の記載に当たり、各議員の個人名を記載することはしない(一覧表において、少数派のみ個人名を掲載するのは公平性の観点で問題なしとしないため)。ただし、政党等の名称中に個人名の全部又は一部が含まれる場合はこの限りでない。
- 内訳羅列の区切りには全角読点「、」を用いる。中黒「・」は会派の名称中に用いられる例があるため区切りには使用しない。
- 会派の人数については会派名の後に半角空白を置くが、内訳の人数については原則として空白を置かずそのまま付記する。ただし「○○フォーラム21」のように名称が数字で終わる場合はこの限りでない。
- いわゆる「派閥」について、その内訳を記載することはしない(院に直接関係がない、変動が激しい、複数の派閥に横断的に参加する議員もあるなどの理由による)。
- 会派名は各院に提出され議事録・公式ウェブサイト等で公表される公的な表記であるが、内訳における表示は本記事独自の表記であり、公的な証明力をもつものではない。
[編集] 統一会派
少しでも院内の発言力を高めるため、複数政党による統一会派がしばしば組まれる。近年では、衆議院の「国民新党・そうぞう・無所属の会」、参議院の「民主党・新緑風会・国民新・日本」が該当する。ちなみに、「無所属の会」は多くの場合、無所属議員同士が便宜上会派を組んだ時に使われる名称だが、1998年から2004年の間はこの名称の政党が存在した。
また、無所属議員が政党に入党しないまま、その政党の属する会派に加わる場合も多い。
会派名については、平成会のように政党名を用いず統合・単一・象徴的な名称とする場合と、「○○党・△△・無所属の会」のように政党名(あるいは無所属議員のくくりを示す名称)を連記する例がある。連記の場合は、その区切りには中黒「・」が用いられる慣例となっている。
- 現在または過去に存在した各党会派別無所属議員の呼称
- 自由国民会議(自由民主党・自由国民会議。無所属及び青年自由党関係者による)
- 自由連合(自由民主党・自由連合。政党自由連合との統一会派)
- 新自由国民連合(自由民主党・新自由国民連合。新自由クラブと自由国民会議による)
- 無所属クラブ(民主党・無所属クラブ。衆議院。過去には無所属議員同士の会派としても存在)
- 新緑風会(民主党・新緑風会。参議院。民主党籍を持たない議員により構成)
- 国民会議(公明党・国民会議。公明党籍を持たない議員により構成)
- 革新共同(日本共産党・革新共同。共産党籍を持たない議員により構成)
- 市民連合(社会民主党・市民連合。衆議院(1996年総選挙後))
- 護憲連合(社会民主党・護憲連合。参議院・衆議院(1996年総選挙前))
- 護憲共同(日本社会党・護憲共同)
- 護憲民主連合(日本社会党・護憲民主連合。社会民主連合と護憲共同による)
- 国民連合(民社党・国民連合。参議院。民社党籍を持たない議員により構成)
- スポーツ・国民連合(民社党・スポーツ・国民連合。参議院。スポーツ平和党と国民連合による)
- 革新共闘(二院クラブ・革新共闘。参議院。第二院クラブの党籍を持たない議員及び沖縄社会大衆党所属議員により構成)
- 民主改革連合(日本新党・民主改革連合。参議院)
- 新生・改革連合(日本新党・新生・改革連合。参議院。新生党と民主改革連合による)
- 改革連合(新生党・改革連合。衆議院)
- 改革クラブ(公明党・改革クラブ。衆議院)
- 民主会議(新進党、衆議院)
- 平成会(参議院。新進党と公明の統一会派)
- 新自由クラブ民主連合(新自由クラブと社会民主連合による統一会派)
- 進歩民主連合(衆議院。進歩党と社会民主連合による統一会派)
- 改革、改新(細川政権・羽田政権連立与党で、社会党以外の各党による統一会派)
- 国会改革連絡会(参議院。自由党と第二院クラブと無所属の会と沖縄社会大衆党による統一会派)
- さきがけ環境会議(国民会議の中村敦夫とさきがけで繰り上げ当選となった黒岩秩子による)
- 一の会(革新自由連合など、参議院)
- 参議院フォーラム(平和:市民など、参議院)
- 護憲リベラルの会(社会党離党組、後に新党護憲リベラルを経て平和:市民と憲法みどり農の連帯に分裂。参議院)
- 21世紀クラブ(自民党非公認組、衆議院)
- グループ青雲(日本新党離党組)
- グループ改革(自民党非公認組、衆議院)
- リベラルの会(山口敏夫ら)
[編集] 貴族院の院内会派
貴族院 (日本)#院内会派も参照のこと
大日本帝国憲法下に存在した貴族院は、華族や勅撰議員を中心として政党色を排除する形で形成されていった。そのため、貴族院議員は政党には属さずに貴族院内にあった院内会派に属する事になった。院内会派は当初は爵位などの身分別に形成されるものが多かったが、次第に最大会派の研究会とこれに対抗する複数の中小会派によって構成されるようになっていった。政党政治に否定的な研究会は次第に院外にも発言力を強め、清浦内閣では国民の選挙の洗礼を受けた政党に代わって事実上の単独与党化(政友本党が閣外協力)したたために第2次護憲運動が起きるきっかけとなった。なお、日本国憲法制定による貴族院廃止時には研究会・火曜会・交友倶楽部・同和会・同成会・無所属倶楽部の6会派が存在した。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- 衆議院 会派構成
- 参議院 会派構成
- 江田五月公式ウェブサイトのリンク集ページ(統一会派内の無党籍議員の区別がなされている)
- 戦後の政党・院内会派の推移