在郷軍人会
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在郷軍人会(ざいごうぐんじんかい)は、現役を離れた軍人によって構成される組織のこと。一般的な用語としては、「退役軍人会」という言葉と混用して用いられるが、実は予備役にある人によって構成される。
日本では、大日本帝国下において軍の現役を離れた軍人の入会する団体を指し、これには全国統一的組織として帝国在郷軍人会(ていこくざいごうぐんじんかい)があった。
[編集] 帝国在郷軍人会
1910年(明治43年)、予備役・後備役軍人の軍人精神向上、傷痍軍人・軍人遺族の救護等を目的に11月3日伏見宮貞愛親王を総裁として発足した。これは当時の陸軍省軍事課長田中義一がドイツの仕組みを参考に組織を編成したと言われている。当初、陸軍のみの組織であったが、1914年(大正3年)に海軍も対象に加わり、陸海軍共通の組織となる。
会は、会員の訓練を行い在郷軍人の応召に備えるだけではなく、召集事務・徴兵検査・簡閲点呼の協力を行った。また、入営予定者の予習訓練も担当した。
本部は陸軍省に置かれた。また各府県を単位として支部、市町村・会社を単位として分会が設置され、支部・分会の指導は各地の師団・連隊司令部が行った。
在郷軍人は陸軍の五芒星と海軍の錨に、剣と盾とを組み合わせた徽章(正会員、特別会員、役員等、等級や役職により徽章のつくりに差異がある)を軍衣の右胸に付ける事になっていた。
1936年9月25日に勅令によって帝国在郷軍人会令が公布され、陸軍省・海軍省共同の監督下に置かれ、以後天皇機関説撲滅運動など、軍部の政治力強化に協力した。
1945年(昭和20年)8月31日に解散が宣言され、これを受けて同年の11月5日に帝国在郷軍人会令も廃止された。
現在、これに相当する組織は社団法人日本郷友連盟。
[編集] 歴代在郷軍人会会長
- 寺内正毅:予備陸軍大将(明治43年11月3日 - 大正8年11月3日、後に元帥、在任中に死去)
- 川村景明:元帥陸軍大将(大正8年12月1日 - 大正15年4月28日、在任中に死去)
- 一戸兵衛:予備陸軍大将(大正15年5月12日 - 昭和6年8月6日)
- 鈴木荘六:予備陸軍大将(昭和6年8月6日 - 昭和12年2月23日)
- 井上幾太郎:予備陸軍大将(昭和12年2月23日 - 終戦)