在日特権
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在日特権(ざいにちとっけん)とは、在日外国人が生活する上での便宜を図るなどのために整備された諸制度に対し、これを「過度の処置」であると批判する際に、便宜上一まとめに括るための呼称。主に「在日韓国朝鮮人(以下在日コリアンも同義)への過度な優遇措置への批判」として用いられる言葉。
在日米軍将兵にも、占領中とも見紛う特権が日米地位協定に基づき保障されている事が2007年から判明し、問題になっている。
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[編集] 在日特権であると主張される事例
- 日本国公文書への通名使用可(外国人登録を行っている全ての外国人が可能)
- 永住資格(非権利)(国籍にかかわらず永住資格は申請できる)
- 犯罪防止指紋捺印廃止(全ての外国人が指紋押捺廃止)
- 所得税・資産税等税制優遇・相続税(全ての在日外国人に外国納付税額控除制度がある)
- 生活保護優遇
- 永住資格所有者の優先帰化
- 大学入試における外国人学校卒業者への高卒学力認定試験免除
- 外国籍のまま公務員就職
- 公務員就職の一般職制限撤廃
- 大学センター試験で英語・フランス語・ドイツ語・中国語・韓国語を外国語試験科目として選択可能へ
- 外国において、学校教育における十六年の課程を修了した者、朝鮮大学校卒業者の司法試験一次試験免除
- 国民年金の自治体特別給付(全ての国籍の外国人が対象)
[編集] 通名の公的使用
通名とは、本名以外の名前である。芸能人、作家などが用いるペンネームや芸名、既婚者の旧姓使用も通名に含まれる。一方在日特権としての通名は、自治体が発行する外国人登録証には通名を記載することが可能であり、在日外国人は通名の公的使用が容易である。
日本で生まれ、日本語や日本の文化、社会的慣習を身につけた外国人が、日本語の通名を名乗っている場合、外国籍であることがわかりにくい。
[編集] 金融口座などでの通名使用
金融口座を通名で開設できることによって架空口座・仮名口座などが開設され、脱税やマネーロンダリングなどの犯罪行為に使われるなど、犯罪の温床となっているとの批判がある。日本人もやりようによっては可能ではあるが諸情報に不一致が露呈し発覚しやすく、公的に通名使用が可能な在日外国人はより容易であることが問題にされている。
[編集] 犯罪事件の通名報道
犯罪報道においても通名が用いられる場合があるが、その場合は本名が報道されないままとなる。通名報道を行う決定権は報道機関にある。常に本名で報道する報道機関(産経新聞など)も存在しているが、主に通名を名乗っている在日韓国朝鮮人が犯罪者のケースでは通名を用いる報道機関も存在する。例えば朝日新聞などは犯罪者の氏名公表に通名を用いる習慣がある。そのため「朝日新聞が通名を好んで用いるために国民の知る権利を軽視している」といった抗議を受けることもある。
[編集] 特別永住者
詳細は特別永住者参照
特別永住者の国籍には以上のような特徴がある。
- 元々、平和条約国籍離脱者が韓国・朝鮮人、台湾人のみであったため、「平和条約国籍離脱者」及び「平和条約国籍離脱者の子孫」である特別永住者にも、その3つの国籍が非常に多い。両親の国籍が日本以外の別々の国である場合、成人した子供が韓国・朝鮮、台湾以外の方の国籍を選択することがある。そのことにかかわらず、両親の一方が特別永住者であった場合、特別永住許可を申請できる。
- 2004年末現在、特別永住者の国籍のうち、韓国・朝鮮は461460人(99%)、中国は3306人(0.7%)、その他は853人(0.18%)である(カッコ内はは全体に対する比率)。
特別永住者には、以下のような他の在留資格にはない権利がある。
- ここで、一般永住者と特別永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者を「定住外国人」と呼ぶ。
- 在留期限がなく、在留期間を更新する必要がない(一般永住者も同じ)。
- 一部公務員を除き、職業の制限がない(他の定住外国人も同じ)。
- 生活保護の受給資格がある(他の定住外国人も同じ)。
- 「平和条約国籍離脱者の子孫」、すなわち特別永住者の子孫は特別永住許可を申請できる。
- 再入国許可の期限が、3年の場合は4年、4年の場合は5年に延長される。
特別永住者が退去強制されるのは、以下の場合のみである。
- 内乱に関する罪、外患に関する罪、国交に関する罪、外国の元首、外交使節又はその公館に対しての犯罪により禁錮以上の刑に処せられた者。
- 外交使節又はその公館に対する犯罪行為により禁錮以上の刑に処せられた者で、法務大臣においてその犯罪行為により日本国の外交上の重大な利益が害されたと認定したもの。
- それ以外の罪で無期又は7年を超える懲役又は禁錮に処せられた者で、法務大臣においてその犯罪行為により日本国の重大な利益が害されたと認定したもの。
[編集] 外国人参政権
複数の日本の政党、ないし国会議員が外国人参政権を政策に掲げ(多くは地方参政権)、また、在日外国人からも外国人参政権を求める運動が行われている。ほとんどの主張が、一定以上の在留期間の在日外国人か永住者を対象にしており、アイルランドのように全ての外国人を対象にした参政権ではない。このことについて、対象にされていない外国人に対する差別ではないか、という意見がある。
また、韓国は永住権を取得してから3年以上経過した外国人に地方参政権を認めているが、この対象となる100名に満たない在韓永住邦人に比較して、在日永住韓国・朝鮮人が桁違いに多いため、相互主義に基づく利益が、韓国側に偏重している、という意見がある。
[編集] 日本国籍取得
移民制度のない日本においては外国人の帰化は非常に困難である。しかし、永住者は比較的緩やかな条件で帰化が可能である。特に配偶者が日本人の場合、簡易帰化が適応され通常一日程度で手続きが完了する。日本国籍を取得する者は年間1万人程度である。
なお、帰化後の姓・氏名について、申請者側と当局側(法務局)との間で対立が生じることもある(例:辛淑玉など)。現在はこの問題はやや緩和されているが、常用漢字、人名漢字以外の漢字を氏名に使用することはできない。崔という姓の外国人などは、そのままでは帰化することができない。
[編集] 日本の出入国における特権
[編集] 入国時の指紋押捺、顔写真提出の免除
現在16歳以上の外国人を対象として、日本に入国する外国人は一般永住者、日本に生まれ育った人、中国残留日本人、日系南米人も含め全員指紋の押捺と顔写真の提出が義務づけられているが、特別永住者と外国籍生徒に限りこれらの制約を免除されている。
在日米軍将兵は日米地位協定第9条第2項により、外国人登録制度に基づく登録義務を免除されている。
[編集] プロスポーツの在日枠
日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)では、通称在日枠がある。これは日本に生まれ育ったが帰化はしていない選手を外国籍扱いにしない救済制度。具体的には学校教育法一条が定めるところの日本の教育機関で教育を受けた外国人を「外国籍扱いしない選手」とする[1]。
[編集] 教育面での優遇
- センター試験で外国語科目に「韓国語」が無いのは、差別との在日朝鮮人(朝鮮籍、韓国籍)からの訴えから、外国語科目として認められた。ドイツ語・フランス語・中国語・韓国語は英語に比べ平均点が高くなっており、点数の調整もされてはいない。
- 日本の学校法人の認定を受けていない、インターナショナルスクール・民族学校などへの補助金交付
- 日本育ちでも帰国子女枠を利用できる場合がある
[編集] 減免税特権
2007年11月11日には三重県などで、1960年代後半から在日韓国・朝鮮人の住民税を半額程度に減免していたことが判明した。このような措置は在日本大韓民国民団や在日本朝鮮人総連合会との交渉で始まっていたとみられ、2006年度いっぱいで廃止されたが、一般にはまったく公表されていなかった。このような問題は他の自治体でも明らかになる可能性があると指摘されている[2]。
[編集] 朝鮮総連施設
在日本朝鮮人総聯合会(以下「朝鮮総連」)施設および関連施設に対し、固定資産税の全額免除もしくは一部免除などが行われており、問題となっている。一方で、朝鮮総連は在外公館に準ずるとして、税の免除は正当であるという主張もあるが、これに対しては、外国人が日本の税金について意見できるものではないという批判もある。
朝鮮総連を在外公館に準ずる存在としたため、他国の在外公館同様、日本の警察権を行使することが抑制されてきた。これによって北朝鮮による日本人拉致問題や覚醒剤などの密輸に朝鮮総連や在日朝鮮人(朝鮮籍、韓国籍)が関与していたにも関わらず、これを捜査・立件できなかったとする批判がある。
[編集] 民団関連施設
在日本大韓民国民団にも、朝鮮総連施設同様、地方自治体から課税免除などが与えられており問題となっている。
[編集] 在日米軍
在日米軍将兵の私有車に対する自動車税の率は、一般民間車両のそれに比べ著しく低い。
[編集] 脚注
- ^ 日本サッカー協会基本規程第69条に定められている「外国籍扱いしない選手」の枠
- ^ 2007年11月21日Jcastニュース
[編集] 参考文献
- ザ・在日特権(宝島社 2006年) ISBN 978-4796659208
- 正論2004年4月号
- 嫌韓流2
- 社民党OfficialWeb「日米地位協定改定案概要」