名探偵コナン 探偵たちの鎮魂歌
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名探偵コナン映画作品 | ||
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通番 | 題名 | 公開年 |
第1作 | 時計じかけの摩天楼 | 1997年 |
第2作 | 14番目の標的 | 1998年 |
第3作 | 世紀末の魔術師 | 1999年 |
第4作 | 瞳の中の暗殺者 | 2000年 |
第5作 | 天国へのカウントダウン | 2001年 |
第6作 | ベイカー街の亡霊 | 2002年 |
第7作 | 迷宮の十字路 | 2003年 |
第8作 | 銀翼の奇術師 | 2004年 |
第9作 | 水平線上の陰謀 | 2005年 |
第10作 | 探偵たちの鎮魂歌 | 2006年 |
第11作 | 紺碧の棺 | 2007年 |
第12作 | 戦慄の楽譜 | 2008年 |
『名探偵コナン 探偵たちの鎮魂歌』(めいたんていコナン たんていたちのレクイエム)は、劇場版「名探偵コナン」シリーズの第10作目の映画である。2006年4月15日に公開された。上映時間は111分。観客動員数250万人。興行収入は約30億円。英語名は「Detective Conan: The Private Eyes' Requiem」。
注意:以降の記述で物語・作品に関する核心部分が明かされています。
目次 |
[編集] あらすじ
毛利小五郎はある事件の調査を依頼されたため、コナン・蘭・少年探偵団の6人を連れて、テーマパーク「ミラクルランド」の中にある「レッドキャッスルホテル」へと向かっていた。
ホテルでは依頼人が年間契約で借りているらしいスイートルームに案内される。その部屋には、素人でも分かるほどに部屋とのデザインの調和が取れていない椅子が設置され、小五郎らはそれに座らされる。興味深げにそれを調べるコナンは、特に手を置く部分に違和感を抱く。依頼人秘書の高田正雄からサービスとして全員に「ミラクルランド」の腕時計型フリーパスIDが配布される。部屋には小五郎と、なぜかコナンも残される。
子供と思われているはずの自分を部屋に残したことについて訝るコナンだが、その部屋のモニターには顔を隠した依頼主の映像が映し出される。依頼主は「ある事件を調査・推理し、解決してもらいたい…」と語り始め、小五郎がその事件はどのようなものなのか、と聞くと依頼人は「それを探すのも君たちの仕事だ…」と言う。この事件には以前にも数人の探偵が関わっていたらしく、その中には小五郎らがよく知る者も。以前、小五郎と事件で共同捜査を行ったことがある探偵の竜阿茶がモニターに映し出され、さらには彼の腕に付いた例のフリーパスIDのライトが点滅し始める。依頼人はそれに爆弾が仕込まれていると語り、それを必死にはずそうとする姿を見せる竜だが、IDに表示された数字が0になった瞬間、爆発音とともにモニターの画像が消える。苦い表情を見せるコナンと小五郎だが、蘭や探偵団が付けている爆弾付きIDはランド内に入ると起動し、またランド内から出ようとしたり、腕からそれが外れると爆発する仕掛けになっているという。彼女らがランドに入るのを止めようとするコナンだが、人の流れに巻き込まれ、すでに入ってしまった後だった。
依頼人はひとつだけヒントを与え、さらに「今夜10時までに事件の真相をつかめなければ、先ほど配布したフリーパスIDを爆発させる」という。
なぜかコナンを「工藤新一君」と呼ぶ依頼人。怪盗キッドを狙う謎のスナイパーたち。そして、依頼人が調べたがっている西尾雅治という男が射殺された事件の謎。それらを解き明かすべく、探偵たちは捜査を進めてゆく。
[編集] 概要
- テレビアニメシリーズ「名探偵コナン」の10周年記念作品であるため、怪盗キッドなどを始め、全レギュラー陣がほぼ勢揃いした作品である。これは原作者・青山剛昌の要望だという。
- 本編のアフレコ直前、円谷光彦役の大谷育江が体調を崩したため、代役として折笠愛が光彦の声を演じている。大谷はその後順調に回復し、テレビアニメシリーズで完全復帰を果たした。
- この作品は第30回日本アカデミー賞優秀賞を授賞した。プロデューサの諏訪道彦はよみうりテレビのアニメ公式ホームページのスワッチのアニメ日記2007年2月19日付けで「残念ながら最優秀アニメーション作品賞ではなかったが、10周年というタイミングでスタッフみんなが全力で作り上げた作品が、今年から設けられた優秀アニメーション作品賞の5作品の中に選ばれたのは、素敵に晴れがましいし誇らしいことです。会場に来て今回のコトの大きさを実感しました。改めてコナンファンのみなさんにお礼を申し上げます。本当にありがとうございました!というわけでこの映画『名探偵コナン 探偵たちの鎮魂歌』は近い内にTV放送できると思うので、それまで楽しみに待っていて下さい!」とコメントしている(2007年4月2日に日本テレビ系で放送した)。
- ポスターやパンフレットでは、コナンのメイン・サブレギュラー(主要な話に関わった人物など)キャラクターがほぼ全員集合したものが描かれ、既に死んでいるキャラクターの頭上には天使の輪のようなものが描かれていた。また「オールキャラ登場!」と言われているが、この中には本編で登場していないキャラクターも多数いる。しかし、一部のキャラクターは映画中にさりげなく登場している(高木刑事と佐藤刑事がカレーを食べているシーンで、後ろの人ごみの中に祖母を連れて遊びにきている群馬県警の山村刑事がいる等)。
- 途中『ルパン三世』的な部分が幾つか垣間見える(途中のバイクシーンや、ラストで小五郎がトランクス一丁で飛び出そうとしてその衝撃で顎がつっかえてしまうシーン等である)。
- 原作では服部と怪盗キッドの関わりは一切なく、服部と白馬はこの作品で初めて関わったが、原作で二人が初めて対面したためにこの作品は原作とはパラレルワールドとなってしまう。
[編集] その他
- 本作も駄洒落をもじったクイズが出題されたが、今回は阿笠博士ではなく蘭が出題した。
- この作品中の「白馬探」はキッドの変装である。コナンがいつ気付いたかは不明だが、依頼時点で調査中の探偵が1人のみであることは冒頭で依頼人により明言されており、またYOUでのGPS反応はコナンと服部を示す2つしか表示されておらず、「白馬」が付けているIDに仕掛けがされていないことが分かる。彼のフリーパスIDは鈴木園子のものをこっそり拝借(のちに返却)したもの。回収時に鈴木園子のフリーパスIDにはペンキが付着しているが、これはコナンたちが襲撃されたシーンで付着したものである。
[編集] 登場人物
[編集] メインキャラクター
- 江戸川コナン:高山みなみ
- 毛利蘭:山崎和佳奈
- 毛利小五郎:神谷明
- 工藤新一/怪盗キッド:山口勝平
- 服部平次:堀川りょう
- 遠山和葉:宮村優子
- 鈴木園子:松井菜桜子
- 小嶋元太/高木渉:高木渉
- 吉田歩美:岩居由希子
- 円谷光彦:折笠愛(大谷育江の代役)
- 灰原哀:林原めぐみ
- 阿笠博士:緒方賢一
- 妃英理:高島雅羅
- 栗山緑:百々麻子
- 目暮十三:茶風林
- 白鳥任三郎:井上和彦
- 佐藤美和子:湯屋敦子
- 千葉刑事:千葉一伸
- 中森銀三:石塚運昇
- 横溝重悟:大塚明夫
- 服部平蔵:小山武宏
- 遠山刑事部長:小川真司
- 大滝悟郎:若本規夫
- 白馬探:石田彰
※以上の人物については、名探偵コナンの登場人物を参照。前述のポスターに描かれているが、本編に登場しない・または登場しても声のない人物には以下の人物がいる。
- 工藤優作
- 工藤有希子
- 松本清長
- 宮本由美
- 横溝参悟
- 山村ミサオ
- 服部静華
- 京極真
- 松田陣平
- 萩原研二
- 新出智明
- ジョディ・スターリング
- 赤井秀一
- ジェイムズ・ブラック
- ジン
- ウォッカ
- ベルモット
- 仮面ヤイバー
[編集] オリジナルキャラクター
- 依頼人
- 小五郎に依頼をしてきた謎の男。事情があって顔を隠している。何故かコナンを「工藤新一君」と呼ぶ。
[編集] 容疑者
- 深山総一郎:野島昭生
- 深山商事社長。
- 本社ビル最上階にある美術館の宝石を怪盗キッドに狙われている。
- 高田正雄:田原アルノ
- 依頼人の秘書。
- 彼自身も依頼人の顔も居場所も知らないという。
- 西尾正治:声の出演なし
- ファーイースト・オフィス営業部長。
- 何者かにライフルで狙撃され、殺害されている。
- 竜阿茶:小山力也
- 探偵。
- 依頼人が小五郎と同じ事件の調査を依頼した。小五郎とは以前手を組んだことがあるらしい。
- 名前の由来は探偵の「リュウ・アーチャー」から。
- 清水麗子:平野文
- ファーイースト・オフィス秘書室長。
- ある事件の重要参考人だが、取り調べ期間中に自殺。しかし、遺体は見つかっていない。両利き。
- 伊東末彦:古谷徹
- ファーイースト・オフィス社長。
- ある事件の容疑者だが、逃亡しており現在行方不明になっている。
[編集] その他のキャラクター
- カズ:岩田光央
- 潰れたホテルに住んでいたホームレスの男。
- 取り壊されるため引越しを考えていた。コナンと小五郎が潰れたホテルに二人きりできたことから彼等も自分の仲間だと思っていた。
- 占い師:杉山佳寿子
- 数日前に起こったある事件の目撃者。
- ある意味占いは的中した。
- 大野:小野坂昌也
- ひったくり犯。
- ミラクルランド内で、女性にひったくりをした。蘭の空手技、和葉の背負い投げ、佐藤のジャーマン・スープレックスをまともに受けたが捕まってからも平然とした顔で悔やんでいたタフな男。
- 警官:大沢在昌
- コナンと小五郎に道を尋ねられた自転車のお巡りさん。
- 余談だが、演じるのは直木賞作家の大沢在昌。大沢はこの年の5月20日に行われたトークショーの席上でこの件について触れている。「最初(出演していた事は)2ちゃんねるで話題になった」「昔声優を目指していて、それだけに今回の仕事は全精力を傾けた」「絵が未完成だったのでアフレコには苦労した」等の内容を話している。
- 優:半場友恵
- 横浜海洋大学犯罪研究会部員。
- 女性。
- 武:遊佐浩二
- 横浜海洋大学犯罪研究会部員。
[編集] 当映画の舞台のモデル
- ミラクルランド:横浜・八景島シーパラダイス、よこはまコスモワールド(EDに実写で登場)
- 場所:山下埠頭の位置。
- スーパースネーク:八景島シーパラダイス「サーフコースター」
- 観覧車:コスモワールド「コスモクロック21」
- 横浜海洋大学:横浜国立大学(奇しくも主題歌を担当したB'zの稲葉浩志は横浜国立大学出身である。)
- その他、馬車道やみなとみらいなど横浜の実在する場所が数多く登場する。また、ファミリーマートが背景にそのまま登場する。
[編集] キャッチフレーズ
- 「探偵たちよ、安らかに眠れ」
- 「さよなら、コナン」
[編集] スタッフ
- 原作:青山剛昌
- 脚本:柏原寛司
- 企画:諏訪道彦
- 音楽:大野克夫
- 原案協力:奥山豊彦、都築伸一郎、林正人、石川昌彦
- ストーリーエディター:飯岡順一
- 絵コンテ、演出:山本泰一郎
- 絵コンテ協力:奥脇雅晴、西森章、影山楙倫、亀垣一
- キャラクターデザイン、総作画監督:須藤昌朋
- デザインワークス、作画監督:山中純子
- レイアウトチェッカー、作画監督補:牟田清司、清水義治、野口寛明、滝口禎一、かわむらあきお、糸島雅彦
- メカデザイン:牟田清司、清水義治、大浪太
- 原画:牟田清司、本橋秀之、鍋島修、村中博美、友永和秀、とみながまり、藤岡真紀、藤田宗克、児玉健二、青山剛昌ほか
- 動画チェッカー:小森谷佳美、谷口昌彦、西野大、奥谷周子、鶴元慎子、白神弘美
- 動画チェッカー補佐:小野旭
- 美術監督:渋谷幸弘
- 美術監督補佐:長谷川弘行
- 美術設定:菅野博司
- 美術協力:須藤岳
- 背景:Y.A.P.石垣プロダクション
- 特殊効果:林好美
- 色彩設計:西香代子
- 色指定:長尾朱美、袴田純子、上田みず恵
- 仕上検査:伊藤敦子、伊藤良樹、奥井恵美子
- 撮影監修:長谷川肇
- 撮影監督:野村隆
- 撮影所:トムス・フォト
- メインタイトルCGアニメーション:西山仁
- 3DCGIディレクター:後藤優一
- 音響制作:AUDIO PLANNING U
- 音響制作デスク:新沼愛
- 音響監督:井澤基
- チーフミキサー:田中章喜
- ミキサー:田口信孝
- アシスタントミキサー:村越直
- ダイアログエディター:山本寿
- 音響効果制作:サウンド・エフェクト
- 音響効果:横山正和、横山亜紀
- レコーディングスタジオ:APU MEGURO STUDIO
- タイトル:田上淑子
- タイトルロゴデザイン:ベイブリッジ・スタジオ
- リスワーク:マキ・プロ
- 編集:岡田輝満
- HD編集:佐野由里子
- HD編集助手:藤田育代
- 編集所:ジェイフィルム
- HD編集室:トムス・フォト(T.D.B.)
- 担当プロデューサー:西村政行
- 制作担当:石山桂一
- 制作デスク:大塚峰子
- 制作進行:安榮卓也、川田哲也、伊藤元気、金月淳
- プロデューサー補佐:斎藤朋之、北田修一
- 文芸担当:飯沢洋子
- 設定制作:清水英利子
- 広報:田中和美、今村紀彦、藤本美歩
- マーケティングディレクター:有馬孝真、葛西智恵、山田成彦
- 製作担当:奥田誠治
- アソシエントプロデューサー:浅井認
- スペシャルサポーター:上戸彩
- フィルムレコーディング:東京現像所
- ドルビーフィルム・コンサルタント:森幹生、河東努、コンチネンタルファーイースト
- アニメーション制作協力:テレコム・アニメーションフィルム
- アニメーション制作:東京ムービー
- エグゼクティブプロデューサー:小石川伸哉(読売テレビ)、加藤俊三(トムス・エンタテインメント)
- プロデューサー:諏訪道彦(読売テレビ)、吉岡昌仁(トムス・エンタテインメント)
- 監督:山本泰一郎
[編集] 主題歌
- B'z「ゆるぎないものひとつ」(作詞:稲葉浩志、作曲:松本孝弘、編曲:松本孝弘、稲葉浩志、徳永暁人)
[編集] 「名探偵コナン 探偵たちの鎮魂歌」製作委員会
[編集] 関連項目
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主題歌集 | 第1作 - 第2作 - 第3作 |
登場人物 | 江戸川コナン - 毛利蘭 - 毛利小五郎 - 妃英理 - 阿笠博士 - 灰原哀 - 少年探偵団 - 鈴木園子 - 服部平次 - 遠山和葉 - 目暮十三 - 白鳥任三郎 - 佐藤美和子 - 高木渉 - FBI - 怪盗キッド - 黒の組織 |
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