全日本民主医療機関連合会
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全日本民主医療機関連合会(ぜんにほんみんしゅいりょうきかんれんごうかい 英語名Japan Federation of Democratic Medical Institutions)とは、日本の医療機関で構成する社会運動団体である。通称全日本民医連(ぜんにほんみんいれん)、略称民医連(みんいれん MIN-IREN)。
地方組織である都道府県民主医療機関連合会と直接加盟医療機関をもって組織する。
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[編集] 概要
1953年6月7日結成。「働く人々の医療機関である」といわゆる労働者階級の医療機関であることを自称する。
2006年1月20日現在、病院・診療所・歯科診療所・保険薬局・訪問看護ステーション・介護老人保健施設・特別養護老人ホームなど、日本47都道府県1728の事業所が加盟しており、日本有数の医療機関関係組織の一つである。
一部で「民医連系の病院」などと誤解されがちであるが、全日本民医連は医療機関を経営しているのではなく、各医療機関等が加盟する都道府県民医連の連合組織であり、民医連に加盟する各医療機関は、それぞれが個別の法人で経営されており、出資・経営形態も様々で、結成当時の法人の数よりも民医連の理念に共感して新規加盟した法人の数の方が圧倒的に多い。
加盟法人には、生協法人法に基づく医療生活協同組合(医療生協)が多く、他に医療法人(特定医療法人含む)の社団・財団等がある。
理念を共有する医療機関のネットワークとして、各地の加盟機関職員が集まって学習会や交流会、研究会などを開催したり、行政や議員への働きかけなども積極的に行っている。また、社会保障の充実を求める運動や平和運動なども行っていることも特徴としてあげられる。
加盟する診療所・病院などは「事業所」、各都道府県の支部は「~県連」などと呼ばれる。
[編集] 綱領
全日本民医連は下記のように綱領を持っている。
- 「われわれの病院、診療所は働くひとびとの医療機関である。
- われわれは患者の立場に立って親切でよい診療を行ない、力をあわせて働くひとびとの生命と健康を守る
- われわれはつねに学問の自由を尊重し、新しい医学の成果に学び、国際交流をはかり、たゆみなく医療内容の充実と向上につとめる
- われわれは職員の生活と権利を守り、運営を民主化し、地域・職域のひとびとと協力を深め、健康を守る運動をすすめる
- われわれは人類の生命と健康を破壊する戦争政策に反対する
この綱領路線に基づき、民医連加盟各病院では、いわゆる「差額ベッド代」(差額室料)を徴収しない[1]などの共通施策を持っている。ただし「差額ベッド代」については内部で議論があり、希望者には差額室料を受取って個室提供できることを議論の上決定したとする法人もある[2]。
[編集] 団体データ
[編集] 機関紙誌
[編集] いつでも元気
- 月刊の機関誌
- 株式会社保健医療研究所発行
- 一部定価380円(消費税込)
- 購読料年間4560円(消費税込)
- 医療や保健の知識をわかりやすく素人向けに解説している他、医療関係や平和運動などのレポート、日本内外のルポなどが掲載され、ページ数は薄いが内容が充実しているカラーの多いグラビア誌である。最近ではイラク情勢や、ベトナムの枯葉剤被害者グエン・ドクなどが登場している。後半には各地の民医連加盟病院や「共同組織」の取り組みを紹介するコーナーがある。
[編集] その他の機関誌
- 民医連医療
- 月刊
- しんぶん赤旗に広告が掲載されている。
- 民医連資料
- 月刊
- 会議報告や声明などが掲載される。
- Medi-Wing(メディウィング)
- 医学生向け
[編集] 機関紙
- 民医連新聞
- 月2回刊 会員は会費に含まれる
[編集] 略歴
第二次世界大戦前の1930年、東京・大崎に“無産者診療所”が開設されたのが起源となっており、翌1931年に各地の無産者診療所で結成された「日本無産者医療同盟」は運動的前身にあたる。
第二次世界大戦終戦直後の貧困期に、同じような理念によって日本各地に民主診療所、また日本共産党が開設した診療所等が活動し、それらの医療機関が1953年に結成したのが全日本民医連である。なお、現在日本共産党は医療機関を所有していない。
- 1953年6月7日 - 全日本民主医療機関連合会結成(結成大会は東京で開催)
- 1954年 - ビキニ水爆実験被害調査に参加
- 1959年 - 伊勢湾台風被災地へ医療班派遣
- 1963年 - 機関紙『民医連新聞』創刊
- 1965年 - 機関誌『民医連医療』創刊
- 1972年 - 全日本民医連共済組合設立
- 1978年 - 加盟医療機関が47都道府県の全てに広がる
- 1983年 - 山梨勤医協問題発生
- 1991年 - 医療生協組合員など加盟医療機関利用者に向けた機関誌『えがお』創刊
- 1992年2月 - 『えがお』、『いつでも元気』に改題
- 1993年 - 看護活動研究交流集会、民医連学術運動交流集会初開催
- 1995年 - 阪神・淡路大震災の医療救援活動
- 1998年 - 理事の小池晃が参議院議員に初当選
- 2000年 - 耳原総合病院(大阪府)でセラチア菌感染による死亡例発生
- 2002年 - 川崎協同病院(神奈川県)で気管チューブ抜去・薬剤投与による「安楽死」事件発生
- 2002年 - 京都民医連中央病院(京都府)「検査虚偽報告事件」発生
- 2007年10月25日 - 署名呼びかけラジオCM「『入院してわかったこと』編」が日本アドバタイザーズ協会「第47回消費者のためになった広告コンクール」銀賞を受賞
[編集] 加盟地方組織
全日本民医連に加盟する各都道府県民主医療機関連合会を以下に記載する。これら都道府県連合会に、医療機関を開設・所有する医療法人、医療生協や薬局を経営する会社等が加盟している。
- 「○○民医連病院」と称する病院の場合でも、医療法人社団などであり、全日本民医連や都道府県民医連が医療機関を開設・所有しているわけではない。
- また各院所の所在地と加盟地方組織の都道府県が一致しない場合がある。これは医療法人等が複数の都道府県にまたがって診療所等を開設している場合で、その法人の主たる事務所がある都道府県組織に加盟しているためである。例として千葉県にある加盟病院が、法人の事務所のある東京民医連に加盟しているケースなど。
- 北海道民主医療機関連合会
- 青森県民主医療機関連合会
- 岩手県民主医療機関連合会
- 宮城県民主医療機関連合会
- 秋田県民主医療機関連合会
- 山形県民主医療機関連合会
- 福島県民主医療機関連合会
- 茨城県民主医療機関連合会
- 群馬県民主医療機関連合会
- 埼玉県民主医療機関連合会
- 千葉県民主医療機関連合会
- 東京民主医療機関連合会
- 神奈川県民主医療機関連合会
- 新潟県民主医療機関連合会
- 富山県民主医療機関連合会
- 石川県民主医療機関連合会
- 福井県民主医療機関連合会
- 山梨県民主医療機関連合会
- 長野県民主医療機関連合会
- 岐阜県民主医療機関連合会
- 静岡県民主医療機関連合会
- 愛知県民主医療機関連合会
- 三重県民主医療機関連合会
- 滋賀民主医療機関連合会
- 京都民主医療機関連合会
- 大阪民主医療機関連合会
- 兵庫県民主医療機関連合会
- 奈良民主医療機関連合会
- 和歌山県民主医療機関連合会
- 鳥取県民主医療機関連合会
- 島根県民主医療機関連合会
- 岡山県民主医療機関連合会
- 広島県民主医療機関連合会
- 山口県民主医療機関連合会
- 徳島県民主医療機関連合会
- 香川民主医療機関連合会
- 愛媛県民主医療機関連合会
- 高知県民主医療機関連合会
- 福岡県民主医療機関連合会
- 長崎県民主医療機関連合会
- 熊本県民主医療機関連合会
- 大分県民主医療機関連合会
- 宮崎県民主医療機関連合会
- 鹿児島県民主医療機関連合会
- 沖縄県民主医療機関連合会
[編集] 関連組織
- 株式会社保健医療研究所
- 民医連の出版物を取り扱う。
- 所在地:東京都文京区湯島2-4-4 平和と労働センター8階
- 全日本民主医療機関連合会共済組合
- 役員職員向けの共済を行う。
- 所在地:東京都文京区湯島2-4-4 平和と労働センター8階
[編集] 著書
- 『知っておきたい くすりのQ&A』(全日本民主医療機関連合会編/監修廣田憲威、東久保隆、立岡雅子 新日本出版社2005年)ISBN 4-406-03208-8
- 『不眠の震災病棟』(全日本民主医療機関連合会編 新日本出版社1995年)ISBN 4-406-02357-7
[編集] 政党との関係
全日本民医連内、各地方の民医連内には歴史的経緯から日本共産党の党員が多く、加盟医療機関内に同党支部(いわゆる職場支部)や有志後援会が組織されているケースもあり[3]、病院内の売店で同党の「しんぶん赤旗」を販売していることがある。全日本民医連会長肥田泰は、「全日本民医連有志日本共産党後援会」代表世話人を努める[4]他、名誉会長高柳新は、日本共産党から参議院議員選挙に立候補の経験がある[5]。
一方で、民医連として特定政党の支持を職員に強制することはないとしている[6]。
民医連は自身の理念や行動について、「党派性を指摘する人もいるが、医療政策が一致すれば、どの政党とも協力する」[7]としており、実際、民医連が実行委員会を構成する集会[8]に於いては、与野党に関わらず国会議員の出席を要請していたり、民医連が行った看護師を増やすよう求める請願は、民主党・日本共産党・社民党の議員が紹介議員[9]となっている。
[編集] 関連項目
- 全日本民主医療機関連合会に所属する病院一覧
- 小池晃 - 民医連出身参議院議員(日本共産党)
- 革新都政をつくる会
- 東京勤労者医療会
- 全国保険医団体連合会
- 日本平和委員会
- ON THE WAY COMEDY 道草
- 平和・民主・革新の日本をめざす全国の会
[編集] 脚注
- ^ いつでも元気2004年9月号
- ^ いつでも元気2008年5月号の総会記事より。この法人の代議員に対し「再度議論を」との意見が他の代議員から出る。
- ^ 有志後援会
- ^ しんぶん赤旗2006年7月17日
- ^ 日本共産党からの立候補経験者
- ^ 民医連新聞2003年2月21日
- ^ (事務局長。朝日新聞2001年1月31日の記事より)
- ^ 「医師・看護師増やせ!ストップ医療崩壊!10.18中央集会」実行委員会
- ^ しんぶん赤旗2006年12月25日