共済
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共済(きょうさい)とは法律の根拠のある制度共済、又は地方自治体、企業内共済、労働組合内、学校内、地縁団体内、又は1000人以下の者を相手方として行う生命保険・損害保険に類似した保障ないし補償事業である。
なお、共済の場合は、商法第2編第10章保険の規定をうけてこなかったが、2010年施行予定の保険法の適用を受けるようになる。
目次 |
[編集] 概説
共済商品には、生命保険類似の生命保障を行う商品、損害保険類似の火災・自動車事故補償を行う商品等がある。
特別法による共済は、一種の社会保障制度として農業・漁業の収穫・漁獲補償、中小企業の取引先倒産時の緊急信用供与、中小企業経営者・従業員の退職金の保全及び給付を行う。
なお、2006年3月末までに存在したいわゆる無認可共済は、#無認可共済についてを参照。
[編集] 共済の根拠法
[編集] 特別法によらない共済
根拠法 | 所管庁 | 共済団体の例 | 代表的な商品名 |
---|---|---|---|
農業協同組合法 | 農林水産省 | 農業協同組合(全国共済農業協同組合連合会) | JA共済 |
水産業協同組合法 | 農林水産省 | 漁業協同組合、水産加工業協同組合(全国共済水産業協同組合連合会) | JF共済 |
消費生活協同組合法 | 厚生労働省 | 全国労働者共済生活協同組合連合会 日本生活協同組合連合会 全国生活協同組合連合会 |
全労済 COOP共済 県民共済 |
中小企業等協同組合法 | 経済産業省 | 火災共済組合、事業協同組合(中小企業共済協同組合、自動車共済協同組合、交通共済協同組合等)など | |
生活衛生関係営業の運営の適正化及び振興に関する法律 | 厚生労働省 | 理容環境衛生同業組合 | |
中小企業団体の組織に関する法律 | 経済産業省 | 商工組合 | |
所得税法 | 財務省 | 法人会 | 特定退職金共済 |
[編集] 特別法による共済
根拠法 | 所管庁 | 共済団体 | 商品名 |
---|---|---|---|
農業災害補償法 | 農林水産省 | 社団法人全国農業共済協会、農業共済組合 | 農業共済(NOSAI) |
漁業災害補償法 | 農林水産省水産庁 | 全国漁業共済組合連合会、漁業共済組合 | 漁業共済(ぎょさい) |
小規模企業共済法 | 経済産業省中小企業庁 | 独立行政法人中小企業基盤整備機構 | 小規模企業共済 |
中小企業倒産防止共済法 | 経済産業省中小企業庁 | 独立行政法人中小企業基盤整備機構 | 経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済) |
中小企業退職金共済法 | 厚生労働省 | 独立行政法人勤労者退職金共済機構 | 中小企業退職金共済 (中退共) 建設業退職金共済 (建退共) 清酒製造業退職金共済 (清退共) 林業退職金共済 (林退共) |
[編集] 保険業法により保険業の免許等が不要とされる例
種別 | 主な共済団体 | 対象 | 商品名 |
---|---|---|---|
地方自治体が住民を相手方に行うもの | 地方自治体 | 住民登録者・外国人登録者 | 交通災害共済 |
一の企業内 | 企業 | 従業員・役員 | |
一の学校内 | 学校 | 学生・生徒・児童・園児 | |
一の労働組合が組合員を相手方に行うもの | 労働組合 | 労働組合員 | |
一の地縁団体が行うもの | 町内会等 | 町内会員等 |
[編集] 主要な共済
[編集] 系統系
[編集] JA共済
- 目的
- 「仲間づくり(新規契約者の加入促進)」から「絆の強化(生活総合保障の確立)」につながる保障提供活動を目的とする。
- 組織
- JA共済連を頂点とし、JA共済連の各都道府県の支部を通じ各地のJAで構成される。
- 加入方法
- JAの組合員が所属するJAでの加入が基本だが、組合員以外でも加入ができる場合がある。(員外加入)
- 主力商品
- 終身共済、医療共済、建物更生共済、自動車共済、確定拠出年金共済等
[編集] JF共済
- 目的
- 漁業者(組合員および家族)や地域住民の方の浜の暮らしを保障する事を目的とする。
- 組織
- JF共水連を頂点とし、JF共水連の沿海各都道府県の支部を通じ各地のJF等で構成される。
- 加入方法
- JFの組合員が所属するJFでの加入が基本だが、組合員以外でも加入ができる場合がある。(員外加入)
- 主力商品
- 普通厚生共済、乗組員厚生共済、漁業者老齢福祉共済、漁業者国民年金基金共済、生活総合共済等
[編集] 生協系
[編集] 全労済
- 目的
- 労働組合員・勤労者の福利厚生を目的とする。
- 組織
- 都道府県毎の共済生協の他、職域の共済生協、生協連合会等を傘下に構成する連合体である。
- 加入方法
- 所属する労働組合経由の加入が基本だが、各都道府県の共済生協の本支部でも加入可能。
- 主力商品
- 団体生命共済・こくみん共済・火災共済・交通災害共済・慶弔共済・マイカー共済・個人長期生命共済である。
[編集] COOP共済
日本生活協同組合連合会(日本生協連)が元受となっており、取り扱いの生協店舗で申し込み、あるいは生協組合員への加入が必要となる。生命共済、火災共済がある。全労済の商品を組み合わせたものがある。
[編集] 県民共済
全国生活協同組合連合会(全国生協連)が元受となっており、銀行を窓口に加入。生命共済、火災共済がある。居住地あるいは勤務先のある都道府県の共済に加入する形になる。東京都は「都民共済」、京都府と大阪府は「府民共済」、北海道は「道民共済」、神奈川県は「全国共済」(後述の「かながわ県民共済」が存在するため)の名称となっている。なお、2007年11月現在、山梨県、福井県、、鳥取県、徳島県、愛媛県、高知県、佐賀県、沖縄県では県民共済が行われていないが、和歌山県では39番目の県民共済が新たに事業を開始した。ちなみに前述8県に転居した場合、共済が継続できない可能性もある。支払額が安い代わりに保険料も格安、支払いが早い、交渉がもめないなどの長所があり、2006年に行われた保険業界満足度アンケート(日経ビジネス06年6月26日号「アフターサービス満足度ランキング」)では1位にランク付けされている。
[編集] 独立生協系共済
前記県民共済とは別に、神奈川県に、神奈川県民共済生活協同組合による「かながわ県民共済」、愛知県に、愛知県共済生活協同組合による「ライフ共済」「火災共済」がある。
[編集] 地方自治体系
[編集] 交通災害共済
自動車の普及につれて深刻になった交通事故への救済措置として昭和40年代に各自治体により開始された。民間の損害保険の普及によりその役目を終えたとして近年は廃止の動きが多い。
[編集] 無認可共済について
無認可共済とは、2006年3月31日迄の間に存在した、保険業法又は諸般の法令で共済事業の別段規定の無い団体が運営する共済をいう。2005年7月の保険業法改正により無認可共済は保険業 (免許)、少額短期保険業 (登録)、特定保険業 (届出) (2008年3月31日迄の時限措置) のいずれかに移行され、保険業の免許等が不要とされる例を除き制度上消滅した。
[編集] 無認可共済の問題
徳島に本社を置くベルルライフサービスが、「ベルル共済」という共済を無認可共済(2005年7月以降は時限措置としての特定保険業)として運営して、四国各県で営業をしていた。ところが2006年10月、ベルル社は突如35億円を集めて閉鎖されてしまった。後に前社長が別の目的に流用していたことが明るみになった。
また、東京都新宿区に本部を置く全国養護福祉会は、2007年末に業務改善命令を受け業務改善計画の提出を求められたが、期限内に計画を提出しなかった。