訪問看護
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訪問看護(ほうもんかんご、英:Health Visiting, Visiting Nursing)とは、看護師、保健師等が自宅で闘病、療養をしている人の居宅を訪問し、健康状態の観察と助言や日常生活の介助、例えば入浴、食事、排泄の介助や指導、リハビリテーション、ターミナルケアなどの援助などをすることをいう。
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[編集] 概要
日本]では、上述したいわゆる「療養上の世話」だけでなく、病院における患者の在院日数の短縮化の流れを受け、人工呼吸療法や中心静脈栄養法といった医療処置を自宅で行う在宅看護が増えているとされる。これらが安全に行われるよう、訪問看護者が患者や家族への指導や機器の管理を行うことも少なくない。
病院での看護と比べ、利用者の容態は安定している場合が多いが、訪問時間が限定され、かつ断続的であること、医師・薬剤師といった人的資源が分散していること、治療機器・薬剤や看護用品といった物的資源が常備されていないこと、利用者だけでなく家族も生活する場であること、緊急時に病院同様の対応が難しいことなどが特徴としてあげられ、訪問看護師には総合的な知識や技術と予測力や判断力、家族や医師などの他職種との調整能力がより求められる。
[編集] 関連法規と制度
訪問看護は、介護保険法や健康保険法に基づいて訪問看護ステーションや病院・診療所などの医療機関から看護師・保健師など看護職が訪問する形態が一般的であるが、地域保健法に基づく保健所の保健指導や老人保健法に基づく保健センターからの訪問指導を訪問看護に含むという考え方もある。更に、こうした公的な制度に基づかず、患者の全額自己負担により、患者の要望に対して、より柔軟に対応する訪問看護を提供する組織・企業もある。
通常、訪問看護は訪問看護指示書の交付という形で医師の指示を受け開始され、その後も医師や他の職種との連携をとってすすめられる。
こうした看護職の訪問だけではなく、健康保険法では精神科を標榜する保険医療機関からの作業療法士、精神保健福祉士、介護保険法では訪問看護ステーションに勤務する理学療法士、作業療法士の訪問も訪問看護の一形態として位置づけられている。
[編集] 歴史
訪問看護は1900年前後に始まった派出看護(はしゅつかんご)がもとであるといわれている。派出看護とは、訓練を受けた看護婦が患家と契約を結んで病院や患者の自宅において看護を提供することであった。1884年に有志共立東京病院(現在の東京慈恵会医科大学)が上流階級家庭を対象に始めたとされる。その後1891年に鈴木雅が慈善看護婦会(後の東京看護婦会)を創設、困窮者へ無料で派出看護を行った。1894年の日清戦争後、戦争により急性伝染病が蔓延したことや、戦時の活動により看護婦の存在が世間に認知されたことにより、派出看護婦の需要が高まった。高度成長期を迎えると、平均寿命の延長、核家族化の進行、それらに伴う一人暮らしの高齢者の増加、寝たきり高齢者の増加などが社会問題となった。それを受けて在宅患者への継続看護の一環として、1970年ごろから病院・診療所、自治体からの訪問看護が行われるようになった。
1982年に老人保健法が成立し、退院患者への継続看護・指導料が適応されるようになった。1990年に社会福祉8法が改正され、在宅福祉サービスの積極的推進、社会福祉事業法改正による社会福祉事業への追加、在宅福祉サービスを施設福祉サービスの市町村への一元化、市町村及び都道府県老人保健福祉計画の策定の義務化がなされた。1991年に老人保健法が改正され、老人訪問看護制度が創設された。 1994年には健康保険法の改正により、在宅医療の位置づけが明文化され、それまで高齢者が対象であった訪問看護は、在宅で医療・療養を受けるすべての人を対象とするものへと変わった。また2000年からは介護保険法に基づく訪問看護が始まった。