統一戦線
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統一戦線 とは複数の政党、団体、運動などが共通の政治目的をもって結成する連合体のこと。特に左派や社会主義のものが多く、社会民主主義政党や共産主義政党、労働組合、各種団体、知識人、ときにリベラル派や新左翼が加わり幅広い結集を見せた。
戦前のフランスやスペインでの人民戦線にはじまり、戦後も各国で模索がなされた。いっぽうソ連に近い共産主義政党の扱いなどをめぐって齟齬や対立が生じ、瓦解するケースも多かった。また第二次大戦後に共産圏に加わった国では国内の諸勢力と協力関係を築くため共産主義者の主導で統一戦線が構築されることもあり、現在も中華人民共和国には統一戦線組織として中国人民政治協商会議が存在し、また中国共産党には中央統一戦線工作部が置かれている。なお狭い意味では、こうした共産主義主導のもののみを指して「統一戦線」と呼ぶ場合もある。
日本では中道寄りの社会民主主義(のちに右派社会党を経て民社党を結成)からマルクス・レーニン主義までを含んでいた日本社会党は、それ自体が統一戦線としての性格を有していたと考えられる。いっぽう日本共産党との社共共闘も、一種の統一戦線だと考えられるだろう。また昨今は保守系ながら野党の立場にいる政治家などから、自民党・公明党の連立政権(自公連立)に対抗するため「幅広い統一戦線が必要」という発言がされることがある。