中原昌也
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
文学 |
---|
ポータル |
各国の文学 記事総覧 |
出版社・文芸雑誌 文学賞 |
作家 |
詩人・小説家 その他作家 |
中原昌也(なかはら まさや、1970年6月4日- )は、日本のミュージシャン、映画評論家、小説家、エッセイスト。
父はイラストレーターの中原収一(なかはら しゅういち、1936年 - )。
目次 |
[編集] 略歴
1970年、東京都・青山に生まれる。小学生時代から海外の前衛文学を愛好。また映画雑誌『スターログ』を購読していた。中学生時代には、佐藤重臣が主催していたカルト映画上映会「黙壷子フィルムアーカイブ」に参加、大きな影響を受ける。なお文化学院時代の同級生にZEEBRA、牧瀬里穂、中嶋朋子がいる。
映画に興味を持つ一方でノイズミュージックにも興味を示し、1988年頃より、音楽活動を開始。ソニック・ユース、ベック、ジョン・スペンサーのフロントアクトをこなす。小山田圭吾(青山ブックセンターで中原が小山田にボストン・ストラングラーズというバンドを組もうと誘ったのは有名)との交友から音楽誌やカルチャー雑誌を中心に人気を得る。90年代中盤ごろ、メディアからは『デス渋谷系』と呼ばれる事もあった。
自身が主宰するノイズユニット「暴力温泉芸者」の名前は有名だが、小室哲哉の番組に出演した際、SM嬢のマネキンと相撲文字で「暴力温泉芸者」と書かれた書割を見て恥ずかしくなり、「HAIR STYLISTICS」名義に変更、同名義では2004年に1stアルバム「Customer's Cock Confused Death」を発表している。
トラットリアやダブレストラン、東芝EMIなどから多くの音楽作品(ノイズミュージック)を発表。一時期はリミキサーとしても活躍。コーネリアス、布袋寅泰、スチャダラパー、宇宙犬などの作品を手がけた。また、何故かトリビュート盤への楽曲提供も多く、トッド・ラングレン、越路吹雪、スパイダース、シオン、マーク・ボランなどの作品に名を連ねる。
また、1995年から町山智浩が創刊した『映画秘宝』シリーズにも、メイン・ライターとして参加。1996年には初の著書、『ソドムの映画市』も刊行。映画評論家として活動を始める。
1998年、処女短編集『マリ&フィフィの虐殺ソングブック』で小説家デビュー。2001年、初の長編『あらゆる場所に花束が……』で第14回三島賞受賞(青山真治『ユリイカ EUREKA』との同時受賞)。
2006年、中編『点滅……』が第135回芥川賞(2006年上半期)候補作品に選ばれたが、1票も入らずに落選。SPA!誌上で選考委員全員の批判を記し、一部で話題になる。同年、『名もなき孤児たちの墓』で第28回野間文芸新人賞を受賞。群像誌上の選評では、唯一の反対票を投じた江國香織からも「二重の×をつけた」とされ、ほぼすべての選考委員が『名もなき・・・』についてのみ言及し、支持を表明した。結果として、完全無視された芥川龍賞の選考と、好対照をなした。
近年のコラムやインタビューでは、「活字を書いて生活していくことの苦しさ」についての愚痴を表明することが多い。
『文學界』2008年4月号に掲載された、作家11人による大座談会「ニッポンの小説はどこへ行くのか」(参加者:岡田利規、川上未映子、車谷長吉、島田雅彦、諏訪哲史、田中弥生、筒井康隆、中原昌也、古井由吉、山崎ナオコーラ、高橋源一郎(司会))でも、中原は終始「小説は、辛くて辛くて書きたくない。でも、書かないと、その辛さがわかってもらえない」というような発言を繰り返し、司会の高橋源一郎から「中原君はほっときましょう」と言われた。
阿部和重、青山真治と仲が良く、石田衣良、島田雅彦と仲が悪い。カラオケでは奇声を炸裂させるため、友人たちから恐れられている。
[編集] CD
[編集] 自身の作品
- 『TEENAGE PET SOUNDS』暴力温泉芸者名義 1996
- 『HAIR STYLISTICS/1996-1999』Hair Stylistics、FANTASTIC EXPLOSION 2001
- 『custom cock confused death』Hair Stylistics名義 2004
- 『POP BOTTAKURI [Monthly Hair Stylistics Vol.1]』Hair Stylistics名義 2008
- 『GRACIA A LA VIVA [Monthly Hair Stylistics Vol.2]』Hair Stylistics名義 2008
- 『Hard Marchen [Monthly Hair Stylistics Vol.3]』Hair Stylistics名義 2008
[編集] 参加・オムニバス
- 『宇宙犬コテカ』宇宙犬、中原忍、中原昌也 1996
- 『スーパー・モデル(オムニバス)』篠原ともえ、石野卓球、濱田マリ、マドモワゼル朱鷺、中原昌也ほか 1996
- 『SOB-A-MBIENT Music for your favorite soba shop(オムニバス)』蓮実重臣 featuring 矢幅歩、中原昌也と荏開津広 a.k.a. Hairstylistics vs Egaze、小西康陽 starring 石坂浩二と緒川たまき 他 2003
- 『エリ・エリ・レマ・サバクタニ サントラ』長嶌寛幸,中原昌也,浅野忠信 2006
[編集] 監修(サントラ)
- 『GO CINEMANIA REEL 4 スクリーミング ア ゴーゴー』中原昌也(監修)2000
[編集] 著作
[編集] 小説
- 『マリ&フィフィの虐殺ソングブック』(1998年、河出書房新社)
- 2000年文庫化(河出文庫)
- 『子猫が読む乱暴者日記』(2000年、河出書房新社)※イラスト:中原収一
- 2006年文庫化(河出文庫)
- 『あらゆる場所に花束が……』(2001年、新潮社)
- 長編。2005年文庫化(新潮文庫)
- 『キッズの未来派わんぱく日記』(2004年、リトルモア)
- CD付き。
- 『待望の短編集は忘却の彼方に』(2004年、河出書房新社)
- 『名もなき孤児たちの墓』(2006年、新潮社、野間文芸新人賞受賞)
- 『KKKベストセラー』(2006年、朝日新聞社)
- 長編。
- CD付き。
- 『ニートピア2010』(2008年、文藝春秋)
[編集] 映画評論
- 『ソドムの映画市 あるいは、グレートハンティング的(反)批評闘争』(1996年、洋泉社)
- 『エーガ界に捧ぐ』(2003年、扶桑社)
- 『青山真治と阿部和重と中原昌也のシネコン!』(2004年、リトルモア)
- 青山真治・阿部和重との共著。
- 『続・エーガ界に捧ぐ』(2005年、扶桑社)
- 『映画の頭脳破壊』(2008年、文藝春秋)
[編集] 対談・その他
- 『サクセスの秘密 中原昌也対談集』(2001年、河出書房新社)
- 『ボクのブンブン分泌業』(2004年、太田出版)
- 『嫌オタク流』(2006年、太田出版)
- 高橋ヨシキ・海猫沢めろん・更科修一郎との共著。
- 『中原昌也 作業日誌 2004→2007』(2008年、boid)
[編集] 出演
- 『エリ・エリ・レマ・サバクタニ』(2005年、監督・青山真治)