世良公則
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世良 公則(せら まさのり、男性、1955年12月14日 - )は、日本のロックミュージシャン、ボーカリスト、俳優。広島県福山市水呑町生まれ。広島県立福山葦陽高等学校、大阪芸術大学芸術学部放送科卒。
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[編集] 経歴・人物
- 大阪芸大在学中に「ツイスト」を結成する。デビューが決まった後、東京に向かう飛行機の中で「これから起こるすべてのことを酒で忘れてしまうことのないように」と酒を断ったエピソードは有名。
- 1977年、「あんたのバラード」でヤマハポピュラーソングコンテスト(ポプコン)と世界歌謡祭でグランプリ。
- レコードデビュー後は、新メンバーで“世良公則&ツイスト”を結成。出す曲出す曲大ヒット、一世を風靡した。
- 「あんたのバラード」(オリコン最高6位)、「宿無し」(最高3位)、「銃爪 (ひきがね)」(最高1位)、「性 (サガ)」(最高5位)、「燃えろいい女」(最高3位)など。
- ロック系のヒットラッシュが続いた1970年代後半に於いて、商業的に最初に成功し、1980年代の「バンドブーム」を誘発した。
- 当時は『ザ・ベストテン』が始まった時期で、このようなランキング番組や『レッツゴーヤング』などのアイドル系歌番組にも積極的に出演、「銃爪(ひきがね)」で、『ザ・ベストテン』初年度年間1位も獲得した(1978年)。
- 同時期デビューした原田真二、Charと共にロック御三家と言われ、ゴダイゴ、サザンオールスターズも含めて初めて「月刊明星」などのアイドル雑誌やテレビに頻繁に登場・出演したロックミュージシャンであった。
- 彼らの成功は、当時70年代後半の歌謡曲とニューミュージックの全盛時代に新たに「ロック」をオーバーグラウンドにのし上げる事となった。またこの頃、歌番組のスタッフにはロックミュージシャンへの偏見が強く、演出法に対してもめる事が多かったが、これらの改善に世良らが後世に残した功績は大きい。
- 野生的なルックスや演歌ロックと言われた野太い声を利かした唱法、"世良足"ともいわれた、がに股など派手なアクションで魅せる世良独自のステージングは、後の音楽界に多大な影響を与えた。ロックのメジャー化はもちろん、それまでのロックバンドにはなかった女性ファンを開拓した功績は大きく、新たな潮流を生み出すきっかけとなった。サラサラ髪のおかっぱ長髪の髪型も流行、1978年の雑誌の「男性タレント・セクシー度調査」でも西城秀樹、沢田研二を抜いてNo.1に選ばれた。
- 1981年の『世良公則&ツイスト』解散後は、ソロとして活躍中。1998年までは「SERA BAND」という名称のバックバンドを持っていた(1990年以降はこのバンドによるGentle Handsというアコースティックライヴを毎年冬に展開して話題となる)。1999年以降は弾き語り形式のソロ・アコースティックライヴを本格的に始める一方で、GUILD9や音屋吉右衛門などの新バンドや新ユニットを続々と結成している。
- 俳優としての評価も高く、TV『太陽にほえろ!』などの刑事ドラマ、NHK朝ドラ『チョッちゃん』や『Wの悲劇』、『極道の妻たち』シリーズ、『カンゾー先生』などの映画にも多数出演し、日本アカデミー賞の第10回及び第22回助演男優賞を受賞している。
- 『太陽にほえろ!』では、ハンフリー・ボガート(愛称:ボギー)に心酔した、その名も『ボギー』というニックネームの転任刑事として活躍。世良本人の出身地に合わせ、広島出身、大のカープファンというキャラであった。熱血漢・直ぐにカッとなる猪突猛進の性格の反面、人情味に溢れ、小動物を愛し、純情な一面も持ち合わせる。(神田正輝演じる『ドック刑事』に言わせると、「ほ~らまた始まったよ、純愛感動路線が」とからかわれる)
が、その熱血漢が災いしてか、この頃の『太陽に~』では珍しく、転任して約1年半と言う期間で殉職・降板(第597話『戦士よさらば・ボギー最後の日』にて刺殺)となる。2枚目半の『格好良くキメているつもりの、ドジで格好悪い刑事』というボギー刑事が刺殺される場面では、必要最低限の都会の雑踏音・喧騒と、世良本人の希望によりBGMなしの音声のみで左胸をナイフで刺されるシーンを放映。法律では裁けない『悪』へ単身乗り込もうとしようとした所で不意に刺され、一瞬呆然とするボギー。そして、広島の実姉の名を呼び、無様な最期となった自分への言葉。それぞれが上手く演出され、ボギー刑事の無念さをあらわす、悲しい名場面となった。 - 1989年主演した『クライムハンター 怒りの銃弾』(東映Vシネマ)はVシネマ第一号として、その後のVシネマの量産を産んだ。
- 子供の頃から、「男一匹ガキ大将」など、男とタイトルが付いた漫画は全て読んだ。というほど、硬派で独自の男道を追求する。年齢はとっても、歌番組に出れば相変わらずスタッフと揉める。
- 1981年には桑田佳祐、山下達郎、竹内まりや、ダディ竹千代と期間限定ユニット「竹の屋セントラル・ヒーティング☆」を結成、ベースを担当している。そのときの名義は「世良正則」となっている。
- NHK朝ドラ『チョッちゃん』本番において、世良自身がヴァイオリンを演奏・OAしているのを高嶋ちさ子がTVで見抜き、覚えていた。これが、後々に2人がセッションを組むきっかけとなった。
- ソロキャリアを積む中で、ヴォーカリストとしてだけではなくギタリストとしても徐々に注目を集める存在となっていったが、取り分け1990年代に「Gentle Hands」と題したアコースティックライヴを展開するようになって以降、アコースティックパフォーマンスにおいて高い評判を得るようになる。その成果が結実し、2001年と2006年にはアコースティックライヴ映像集、2007年には全編アコースティックのアルバム、2008年にはアコースティックギターの教則DVDを続々リリース。
- 2008年、音屋吉右衛門名義でヤッターマンの主題歌をアコースティックアレンジでカヴァーするが、作曲者山本正之が自身の公式サイト上で制作サイドの内部事情を暴露した際に(現在は削除済)「デモテープだと思った」と酷評され、それが火種となって、往年のコアファンを始めとした新旧ヤッターマン視聴者からの批判がインターネット上で噴出することとなった。一方でそういった話題性が追い風となったのか、CD発売に先かげて開始された着うたやiTunes Storeなどの配信系販売ルートでのダウンロード数は3万曲以上を記録し、オリコンシングルCDランキング週間チャートにも初週で第38位に初登場。配信開始1ヶ月、CD発売10日前後の時点で通算5万枚のセールスを記録するスマッシュヒットシングルとなった(BARKS記事)。なお、このバージョンは当初の予定どおり2008年3月17日放送分(1クール分、第10話)まで使用されたが、世良公則はその2日後に一連の騒動に対する見解を含んだ記事を公式サイト上で発表している。
- 音楽活動への専念を理由に一部映画出演を除いて休止していた俳優業を、2008年以降は本格的に再開することを発表した(NHK『SONGS』2008年1月30日放送分にて)。
[編集] ソロアルバム
(注)ベスト盤は割愛。
- MASANORI SERA(1982年10月21日発売)ポニーキャニオン
- I am(1985年5月21日発売)ポニーキャニオン
- Fine, And You?(1985年11月21日発売)ポニーキャニオン
- BE FINE,LIVE(1986年2月21日発売)ポニーキャニオン
- THIS IS(1986年11月21日発売)ポニーキャニオン
- Tough In The City(1987年12月16日発売)ポニーキャニオン
- 眠れない街(1990年4月10日発売)MMG/ワーナーミュージック
- Fun to Fun(1991年8月25日発売)MMG/ワーナーミュージック
- RETURN(1992年9月25日発売)MMG/ワーナーミュージック
- Do ~動~(1995年4月25日発売)east west japan/ワーナーミュージック
- nobody knows(2001年2月26日発売)Spicule/tokiora
- Born to be Rockin'(2001年12月21日発売)Spicule/tokiora
- 1977(2002年9月13日発売)Spicule/tokiora
- 照 TWIST SONGS(2003年9月25日発売)日本コロムビア
- アンプラグドライブ(2004年12月22日発売)コロムビアミュージックエンタテインメント※GENTLE3 名義
- WE ARE GUILD9(2007年8月15日発売)ROPPONGI WAVE ※GUILD9/世良公則 名義
- JACARANDA(2007年9月26日発売)ドリーミュージック ※世良公則&TWIST INTERNATIONAL 名義
[編集] ソロシングル
- TOKYO指紅/モーニングシャワー(1982年10月21日発売)ポニーキャニオン
- Your Song/Girl ~somebody lovin' you~(1983年6月21日発売)ポニーキャニオン
- 導火線/サスピションマインド(1984年6月5日発売)ポニーキャニオン
- Darlin'/けたたましく朝(1985年4月21日発売)ポニーキャニオン
- Say yeah ~とんだ時代に生まれちまった~/Chiken Step(1985年9月21日発売)ポニーキャニオン
- Against The Wind/導火線Live Version(1986年3月21日発売)ポニーキャニオン
- Knockin' My Heart/目撃者(1986年6月5日発売)ポニーキャニオン
- Heart Is Gold/One More Night(1987年10月21日発売)ポニーキャニオン
- Tough In The City '88version/TOKYO指紅 New Version(1988年4月21日発売)ポニーキャニオン
- 抱きしめてくれ…/雨上がりのブルースウェードシューズ(1988年9月21日発売)ポニーキャニオン
- POWER/Scrap(1989年7月15日発売)Mother&Children/ワーナーミュージック
- 別れの朝/私は風(1994年6月25日発売)east west japan/ワーナーミュージック
- 鼓動/そっと、Kissを…(1995年2月25日発売)east west japan/ワーナーミュージック
- Rambling Dreamer/REAL(1996年2月10日発売)east west japan/ワーナーミュージック
- ヤッターマンの歌/Days(2008年1月30日発売)ドリーミュージック ※音屋吉右衛門 名義(Daysは世良公則&TWIST INTERNATIONAL)
[編集] そのほかの発表音源
- Heartache 303 Live Version(1988年)※ALIVE HIROSHIMA'88に収録
- Prayer(1990年)※『クライムハンター3 皆殺しの銃弾』本編に1番のみ収録
- Prayer Live Version(1990年)※HIROSHIMA'90に収録
- Gentle Hands(1992年)※アコースティックツアー『Gentle Hands』テーマソング/未発売
- for U(1998年)※テレビ朝日系『やじうまワイド』天気予報イメージソング/未発売
- Kokoro(1999~2000年)※当時のアコースティックソロライヴで演奏/未発売
- Pride & Glory(2003年)※阪神タイガース優勝祈念CD VICTORYに収録
- タイトル不明(2003年)※キリンビバレッジ「釜の茶」CM用音楽
[編集] ソロ時代の音楽映像
(注)ファンクラブビデオ会報は除く
- KAIZOKUBAN(1987年 VHS)※1986年 INK STICK 芝浦ファクトリーでのライヴ映像
- HIP HIP HURRAH(1992年 VHS)※1992年 日比谷野外音楽堂でのライヴ映像(2006年にDVD再発)
- O-kiraku Live(2000年 VHS)※2000年 広島サンプラザホールでのライヴ映像
- JUST PLAY ROCK(2003年 DVD)※1999、2001、2002年のライヴ映像オムニバス集
- アンプラグドライブ DISC2(2004年 DVD)※GENTLE3アンプラグドライブの初回仕様DVD。リハなどを収録
- Acoustic Works(2006年 DVD)※2005年 Motion Blue Yokohamaでのライヴ映像
- GUILD9 REC'07(2007年 DVD)※WE ARE GUILD9の初回特典DVD。スタジオライヴを2曲収録
- JACARANDA DISC2(2007年 DVD)※JACARANDAの初回仕様DVD。リハやPVなどを収録
- 直伝ギター魂 ~seraならこうヤルッ!~(2008年 DVD)※ギター教則DVD
[編集] 歴代ユニット及びメンバー
世良公則(ヴォーカル、ギター)
- GUILD9(2001年~)
- 野村義男(ギター)
- 横瀬卓哉(ドラム)
- 櫻井哲夫(ベース)2005年に加入
- 神本宗幸(キーボード)断続的なサポートを経て2005年に加入
- 高砂圭司(ベース)2001年~2004年
- サマンサ(ドラム)2001年のレコーディングにのみ参加
- マーティ・フリードマン(ギター)彼を加えるとSUPER GUILD9名義となる
- 音屋吉右衛門(2006年~)
- 野村義男(ギター、ヴォーカル)
- 櫻井哲夫 with 世良公則&神本宗幸(1999年~)
- 櫻井哲夫(ベース)
- 神本宗幸(ピアノ)
- 世良公則 with エリック・ゴーフェン&神本宗幸(2004年~)
- エリック・ゴーフェン(ヴァイオリン)
- 神本宗幸(ピアノ)
- TWIST INTERNATIONAL(2003年~/ここでは2003年の日本公演のメンバーを記載)
- マーティ・フリードマン(ギター)
- ダグ・アルドリッチ(ギター)
- ロイ・Z(ギター)
- 鮫島秀樹(ベース)
- 櫻井哲夫(ベース)
- 神本宗幸(キーボード)
- クリス・フレイザー(ドラム)
- ハッピーラビッツ(1998年~1999年/ドラムは流動的)
- SERA BAND(1982年~1998年/流動的なので、ここでは主なメンバーを記載)
[編集] プロデュース
(注)第三者のプロデュースのみを記載。
- 渡辺誠二「最近どう?」(1997年6月21日発売)A'Zip Music
- いづみきんぎょ
[編集] テレビドラマ
- 明日の刑事 ※テレビドラマ初出演作 (TBS系)
- 火曜サスペンス劇場 『さよならも言わずに消えた!』 (1981年、日本テレビ系)
- さりげなく憎いやつ (1982年、TBS系)
- ザ・サスペンス 『陽のあたる場所』 (1982年、TBS系)
- 太陽にほえろ! (1982年~1984年まで出演、日本テレビ系) ボギー刑事役
- 25才たち 危うい予感 (1984年、日本テレビ系) 主題歌・世良公則 『導火線』
- 影の軍団IV (1985年、フジテレビ系)
- 火曜サスペンス劇場 『奥能登殺人遊戯』 (1985年、日本テレビ系)
- 影の軍団 幕末編 (1985年、フジテレビ系)
- 金曜日には花を買って (1986年、TBS系)
- NHK連続テレビ小説 『チョッちゃん』 (1986年、NHK)
- ベイシティ刑事 (1987年10月~1988年3月、テレビ朝日系)/星野刑事 役 主題歌・世良公則 『Heart Is Gold』
- 東芝日曜劇場 『鳩のいる風景』 (1988年、TBS系)
- スクラップ (1989年、TBS系) 挿入歌・世良公則 『Scrap』
- 男について (1990年、TBS系)
- 世にも奇妙な物語 『夢』(1991年、フジテレビ系)
- 世にも奇妙な物語 『行列』(1991年、フジテレビ系)
- 外科病棟の陰謀 (1992年、TBS系)
- 松本清張作家活動40周年記念 『迷走地図』 (1992年、TBS系)
- 金曜ドラマシアター 『ザ・スクープ』 (1992年、フジテレビ系)
- TBS大型時代劇スペシャル 『天下を獲った男 豊臣秀吉』 (1993年、TBS系)
- はだかの刑事 (1993年、日本テレビ系)
- そのうち結婚する君へ (1994年、日本テレビ系)
- ふたりの夫を愛した私 (1995年、TBS系)
- 月曜ドラマスペシャル 『霧の大雪山殺人事件』 (1996年、TBS系)
- 月曜ドラマスペシャル 『叫ぶ骨』 (1997年、TBS系)
- 月曜ドラマスペシャル 『萩・津和野湯けむりツアー殺人事件』 (1997年、TBS系)
- 月曜ドラマスペシャル 『遠い雪の記憶』 (1999年、TBS系)
- 土曜ワイド劇場 『殺人披露宴』 (1999年、テレビ朝日系)
[編集] 映画・ビデオ
- Wの悲劇(1984年、角川春樹事務所)森口昭夫役
- 雪の断章 - 情熱 - (1985年、東宝)
- 十手舞 (1986年、松竹)叶屋源四郎役 主題歌・世良公則 『Against The Wind』
- 極道の妻たち(1986年、東映)
- CFガール (1989年、東映)流葉爽太郎役 主題歌・世良公則 『抱きしめてくれ…』
- クライムハンター 怒りの銃弾(1989年、東映Vシネマ)ジョーカー役
- クライムハンター 裏切りの銃弾(1989年、東映Vシネマ)ジョーカー役
- クライムハンター3 皆殺しの銃弾(1990年、東映Vシネマ)ジョーカー役 主題歌・世良公則 『Prayer』
- ありふれた愛に関する調査 (1992年)
- 新・極道の妻たち惚れたら地獄(1994年、東映)
- 斬り込み (1995年、イメージファクトリー)石神新三役
- サンクチュアリ (1995年)
- 鬼平犯科帳 (1995年、松竹)
- 走らなアカン夜明けまで (1996年)
- サンクチュアリ PART3(1996年)
- カンゾー先生 (1998年、東映)鳥海医師役
- 青の瞬間 (2001年)
- 恋するマドリ(2007年、シネカノン)
声の出演
- リーサル・ウェポン2/炎の約束(1989年、ビデオ・DVD)マーティン・リッグス(=メル・ギブソン)
[編集] CM
- カネボウホームプロダクツ・ビッグタイム/CM曲・世良公則 『Tough In The City '88version』
- 三菱・エテルナサヴァ
- ヤマハ・クラビノーバ
- トヨタ・カルディナ(T190G系)/CM曲・世良公則 『Rambling Dreamer』ほか
- キリンビバレッジFIRE(岩城滉一、宇崎竜童と共演。コマーシャルソングも担当。『知らず知らずのうちに』)