ラメール号
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ラメール号(ラメールごう)とは、かつて東京都港区・神奈川県横浜市と愛知県名古屋市を結んでいた夜行高速バスである。
2008年3月15日の運行をもって廃止された。
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[編集] 路線概説
運行開始当初から廃止まで、唯一の横浜~名古屋間を直行する高速バスであった。高速バス路線開業ブームの中で運行開始された路線であり、開業当初は週末2台運行になるときもあったが、近年は満席になることは少なかった。
長らく横浜発着であったが2007年に品川バスターミナルまで延伸された。それまで名古屋への夜行高速バスが利用しにくかった東京城南地域からの利便性に優れた品川に発着することで、東京駅を発着するドリームなごや号、新宿に発着するニュードリーム名古屋号・中央ライナー号、東京湾岸を経由するファンタジアなごや号といったJR東海バスが運行に関与する他系統との間で相互補完を図っていた。しかし品川に発着するようになってからも大半の乗客は横浜で乗降していた。
JR東海バスでは他路線に合わせて下り便を「ラメール1号」、上り便を「ラメール2号」と案内していた(品川延長後は「ラメール横浜・品川号」の名称を用いていた)。京急では特に号数を用いた案内はしていなかった。
[編集] 運行会社
[編集] 運行経路および停留所
品川バスターミナル - (首都高速道路) - 横浜駅東口 - (保土ヶ谷バイパス) - (東名高速道路) - 星ヶ丘 - 本山 - 千種駅前 - 栄 - 名古屋駅(桜通口)
[編集] 途中休憩
- 短距離路線のため、到着時間の調整を行なう目的で、休憩時間は比較的長めに設定されていた。
[編集] 歴史
- 1989年3月20日 - 運行開始
- 当初は京浜急行電鉄(当時)とJR東海バスの共同運行で、4列シート車であった。
- 下り便は星ヶ丘・千種駅・名古屋駅に停車、上り便は名古屋駅→横浜駅間直行であった。
- 2002年10月12日 - 上下とも栄に停車開始。
- 2005年12月1日 - 京浜急行バス担当便が京急観光バスに移管される。
- 2006年12月3日 - 4列シートから独立3列シートに車両変更。
- 2007年2月1日 - 品川バスターミナル発着に延長、本山に停車開始、割引運賃として「早売3」「ネット割」を導入。
- 2007年10月19日 - 上り便が本山・星ヶ丘に停車開始。
- 2008年3月15日 - この日の出発便をもって運行終了・廃止(京急観光バス会社清算による)。
- 2008年6月6日 - 西船橋駅~名古屋線「ファンタジアなごや号」が横浜シティエアターミナル経由となり、当路線廃止を実質的にカバー。
[編集] 車両
独立3列シート29人乗りのWC付スーパーハイデッカーが使用されていた。
開業当初は、「ドリームなごや号」と同様に採算ラインが高いにもかかわらず、運賃は「ドリームなごや号」以下に抑える必要があったため、当初から京急・JR東海とも当路線専用の4列シートスーパーハイデッカー車(三菱エアロクィーンM・P-MS729SA改)での運行となった(前後10列のためシートピッチは3列シート車と変わらなかった)。両者とも専用塗装であったが経年時の車体更新にともないそれぞれの標準塗装に変更された。1998年頃に車両代替された後は最初から各社別カラーとなっていた。開業以来4列シート車両を使用してきたが、2006年12月3日より独立3列シート29人乗りに変更された。
[編集] 京急
この頃の京急は各路線ごとに専用塗装車を導入していたため当路線用にも専用車(社番H5901,02 36人乗り)を用意した。後にキャメル号の専用塗装が京急の夜行用標準塗装となったため当路線用車両も塗り替えられた。後の車両代替時には初めから京急の夜行標準色であった。3列シート化後は横浜・品川 - 仙台線と共通の車両となっており、スカイターン号で使用されていた4列シート車両も3列シートに改造のうえ使用されていた(KK6243号車)。
[編集] JR東海バス
京急と同じく、JR東海バスも専用色のバス(社番744-8979,8980 34人乗り→後に36人乗りに増席改造)を使用していた。JR東海バスの運行する高速バスで、専用色となったのはこのラメール号専用車だけである。JR車は標準塗装化と同時に座席増設を行い、昼行便の名神、北陸道方面でも使用されるようになった。またJR車のうち、744-8979は繁忙期にはオリーブ号(名古屋 - 高松線)の続行便応援によく充当されていた。これは名古屋所属の独立3列シート車の予備車が当時2台しかなく(744-9972,0973)、それらがセレナーデ号(名古屋 - 広島線)、レインボー号(名古屋 - 博多線)の各路線に投入された場合、オリーブ号に投入できる仮眠ベッドを備えた予備車が当時これしかなかったためである(この際、ラメール号の増発には東名高速線用エアロクィーンW、744-7971が主に運用された。またもう一台の744-8980にも仮眠ベッドは備わっていたが、結局使用実績はなかった)。3列シート化後は他の東京 - 名古屋系統と共通運用となっていた。
[編集] 特記事項
- 片道普通運賃では品川 - 名古屋間6,200円であり、同じ東京都区内~名古屋市内を結ぶドリームなごや号・ニュードリーム名古屋号の6,420円、ファンタジアなごや号の6,500円より安かった。同じ都市間で車両グレードも同じであれば運賃が同じ場合(例:東京都区内~大阪市内の3列シート便通常運賃は運行会社問わず8,610円)が多い中で異色の存在であった。
- 横浜を経由するため、上記路線よりも所要時間は長い。発地をドリームなごや号よりも先に出発し、着地にもドリームなごや号より後に着くダイヤとなっていた。ただし、上りのドリームなごや2号はラメール号上り便(2号)よりも早く名古屋を出発していた。
- 近年はツアーバスとの競争が激しく、品川延長は京急の持ち場である品川に乗り入れることで、JR東海各系統との相互補完の他に、ツアーバスに対する攻勢という意味合いもあったと思われる。また割引運賃として、3日前までに購入すると大幅に割引となる「早売3」・ネット上でのクレジットカードを用いた決済を割引する「ネット割」を導入し、価格面でもツアーバスと競争が起こっていた。
[編集] 類似路線
[編集] 関連系統
以下の系統は全てJR東海バスが単独運行または共同運行に参加している。
- ドリームなごや号 東京駅 - 名古屋駅(・一部便は岐阜駅)
- 青春ドリームなごや号-ドリームなごや号の格安便
- ドリームとよた号 東京駅 - (岡崎駅・新豊田駅経由)名古屋駅
- ニュードリーム名古屋号 新宿駅新南口 - 名古屋駅
- ファンタジアなごや号 西船橋駅・TDR・東京テレポート駅 - 名古屋駅
- なおファンタジアなごや号は、2008年6月6日より横浜(横浜シティエアターミナル)に停車する。
[編集] 競合系統
JR東海以外の会社が運行する首都圏~中京圏間路線は次の通り
- 中央高速バス名古屋線/中央道高速バス新宿線 新宿駅西口BT - 名古屋名鉄バスセンター
- パピヨン号 新宿駅西口 - 新岐阜
- 新宿・豊橋エクスプレス ほの国号 新宿駅西口 - 豊川駅・豊橋駅・三河田原駅
- 大宮・所沢-名古屋線 大宮・所沢 - 名古屋名鉄バスセンター