ラファール (航空機)
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ラファール (フランス語:Rafale) は、フランスのダッソー社が開発した軍用機である。フランス空軍・海軍でマルチロール機として運用されている。クロースカップルドデルタ (close coupled canard/delta) と呼ばれる無尾翼デルタ式にカナードを組み合わせた翼を持つ。機体名称は、フランス語で「疾風、突風」の意味。
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[編集] 概要
[編集] 開発の経緯
1980年代初め西ヨーロッパ諸国で戦闘機を共同開発をする計画があがり、当初フランスもその計画に参加していた。この戦闘機はフランス以外の国では陸上発進戦闘機として使用するため機体サイズに制約はなかったが、艦上機としての運用も考えていたフランスは機体サイズに関するフランス案の採用を求めていた。また、エンジンはフランスSNECMA社のM88エンジンの採用を強く主張したものの、フランス以外の国では国際共同開発のエンジンを搭載するということで話がまとまってきており、M88エンジンが採用される可能性はほぼ皆無となっていた。当時SNECMA社は経営が思わしくなく、自社のエンジンをこの戦闘機に乗せられるかどうかに会社の存亡がかかっているといっても過言ではなく、フランスは自国の産業を守る意味でもM88採用可否は死活問題であった。関係各国で粘り強く話し合いが続けられていたが、結局フランスは最後まで妥協を拒み1985年7月に共同開発計画から脱退、8月には自国での戦闘機開発を進める事を決定した。なお、この計画で開発されたのが後のユーロファイター タイフーンである。
こうしてフランスは自国で新戦闘機開発を行うこととなり新戦闘機の就役時期は1990年代後半を想定して開発作業を行っていった。単独での兵器開発は、共同開発に比べ開発費がかさむというデメリットはあるが、逆に国家間での調整がいらないために作業自体はスムーズに進める事ができ、タイフーンの開発がごたついているのを尻目に順調に開発は進んでいった。
後発にも関わらず、技術デモンストレーター機であるラファール Aは1986年7月4日に早くも初飛行を実施した。ラファール Aは量産型とは若干異なり、サイズは量産型より一回り大きく、エンジンも当初はSNECMAのM88ではなくアメリカGE社製のF404を搭載していた(本命のM88は1990年になってから片側のみに装備された)。ラファール Aは各種実験を行い、1994年1月に引退した。
しかし、冷戦の終結による国防予算削減の影響により、計画は次第に遅れが出始めた。また、配備数も当初空軍がミラージュ 2000の後継として250機(C型:225機、B型:25機)、海軍がF-8E(FN)とシュペルエタンダールの後継としてM型86機導入する予定であったが、空軍は234機(C型:95機、B型:139機)、海軍はM型60機に削減された。なお、空軍の配備数内訳で複座型の割合が増えているが、これは複合任務を行うには複座が適しているとのことからである。また、現在海軍では同様の理由から導入する60機のうちの25機を複座型のラファール Nとする計画もある。
現在、ラファールは海軍型であるラファール Mを重点的に生産している。これは空軍が使用しているミラージュ 2000に比べ、海軍が航空母艦で使用していたF-8E(FN)の老朽化が激しく早急に更新を進める必要があるためである。2001年以降、原子力空母「シャルル・ド・ゴール」に搭載されている。
[編集] 機体
カナードを装備したデルタ翼機である。主翼は中翼配置であり、後退角は45度、翼端にはミサイルランチャーがある。静的安定性弱化がなされており、フライ・バイ・ワイヤにより操縦が行われている。縦方向の制御には、カナードと内側のエレボンの双方を用いる。インテイクは、カナード直前の下部にあり、固定式である。インテイク前の機体形状は独特の曲線で構成されている。
[編集] 事故
2007年12月6日にEC 1/7 "Provence" (サンディジエ空軍基地)所属の機体が夜間訓練飛行中に就役以来初の墜落事故を起こしている[1]。
[編集] 輸出
ラファールは輸出にも積極的で各国への売込みを行っており、比較的高い評価を得ているが、政治環境や契約内容により導入が決定した例は少ない。
- 大韓民国
- F-4D/Eの後継となる戦闘機としてF-15K(F-15Eの改良型)、Su-35、ユーロファイター タイフーンとともに提案され、選考の結果タイフーンとSu-35が落とされラファールとF-15Kとの一騎打ちとなった。最終選考ではF-15Kよりラファールの方が総合的な性能は優れているとの評価を得たが、政治的な問題からF-15Kが採用されラファールは採用されなかった。
- シンガポール
- A-4SUの後継としてF-15T(F-15Eの改良型)、タイフーンとともに提案された。選考の結果、能力面と導入時期に不安を抱えるタイフーンが落とされ、F-15T(SG)との一騎打ちとなったが、F-15T(SG)の採用が決定した。
- 日本
-
詳細はF-X_(航空自衛隊)を参照
F-4EJ改の後続の戦闘機として、F-15FX、F/A-18E/F、ユーロファイター タイフーン、F-35、F-22Aと共に候補にあげられているが、ダッソー社は採用の可能性が低いとして提案をしていない。 - モロッコ
- ミラージュ F1やノースロップF-5の後継として提案されている。対抗馬はF-16、提案内容はラファール24機もしくはラファールとミラージュ2000を12機づつと言われている。
- リビア
- 2007年12月上旬に10機 - 14機の導入が確定したとして、フランスのメディアが報道した。
[編集] 派生型
- ラファールA
- 技術デモンストレーター機。
- ラファールB
- 空軍向けの複座型。
- ラファールC
- 空軍向けの単座型。
- ラファールD
- 量産型の俗称(ステルス性能向上型)。
- ラファールM
- 海軍向けの単座型。空母艦載機。
- ラファールN
- 海軍向けの複座型。空母艦載機。予算削減のためキャンセル。
[編集] スペック
- 乗員: 1-2名
- 全長: 15.30m (50ft 2in)
- 翼幅: 10.90m (35ft 9in)
- 全高: 5.34m (17ft 6in)
- 翼面積: 46m² (495ft²)
- 自重: 9,060kg (19,975lb)
- 運用時重量: 14,710kg (32,430lb)
- 最大離陸重量: 21,500kg (47,400lb)
- 動力:SNECMA製 M88-2 ターボファンエンジン ×2
- 推力: 16,870lbf, 75kN(A/B) ×2
- 巡航速度:
- 巡航マッハ数:
- 最大速度: 2,125km/h (1,147kt)
- 最大マッハ数: Mach 2.0
- 戦闘行動半径: 1,850km (1,000nm)
- 上昇限度: 16,750m (55,000ft)
- 上昇率:
- 翼面荷重: 65.5lb/ft² (320kg/m²)
- 推力 / 重量: 1.2
- 固定武装: 30mm機関砲 1門
- アビオニクス:
[編集] 参考
[編集] ラファールの登場する作品
[編集] 映像作品
[編集] ドキュメンタリー
- 21世紀の近未来戦闘機ラファール(PIONEER LDC)【1989年】
- ワールド・エア・クラフト ビデオコレクション(ディアゴスティーニ)【2000年】
- 第9巻「新世紀の戦闘機~ラファール」
- 第28巻「フランス海軍航空隊のすべて」
- 週刊ワールド・ウェポン(ディアゴスティーニ)
- 第14号「大空の最新兵器~スーパーファイターズ」【2003年】
- エア・フロンティア・コマンド(リーガル出版)
- Vol.13「ダッソー社/空の系譜」
[編集] ゲーム
- 『ADVANCED TACTICAL FIGHTERS、ATF GOLD』
- 『スカイターゲット』 - ラファールMがプレイヤー機体として使用可能。
- 『エースコンバットシリーズ』 - プレイヤー機体として使用可能。なお、機体名称は『エースコンバット』では「R-C01(ラファールC01)」、『エースコンバット04』では「R-M01(ラファールM01)」となっている。『エースコンバット5』以降の作品ではダッソー社からライセンスを得た事もあり、「ラファール」の実名でM型、またはB型が登場する。
- 『エアフォースデルタシリーズ』 - プレイヤー機体として使用可能。