ハーフライフ
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『ハーフライフ(Half-Life,HλLF-LIFE)』は1998年11月にValve Softwareが開発しSierraから発売されたFPS(ファーストパーソンシューター)である。日本では通常版がソースネクストから、Game Of The Year Edition以降のバージョンはサイバーフロントから発売されている。
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[編集] 概要
このゲームの大きな特徴は、次々と出てくる敵を撃ち倒すという従来の一般的なFPSのスタイルに、「仲間と協力しながら真相を究明し生き延びる」という"目的"と"謎解きの要素"、"ドラマ性"を加えた事である。また敵・味方のキャラクターが優れたAIを備えていることも、このゲームを際立った存在にした要素のひとつ。例えば、従来型の「ただプレイヤーに向かって攻撃を仕掛けてくる敵」とは違い、HλLF-LIFEの敵は仲間と協力し、役割を分担し、臨機応変に攻撃方法を変え、プレイヤー以外の別勢力とも戦い、場合によっては逃亡さえする。味方も同様、プレイヤーを助ける為に状況に応じて、援護や回復などの適切な行動をとることができる。その他、印象的なオープニングやストーリー進行に表されるように、映画的な表現手法を効果的に使用して、よりリアルな臨場感やストーリーへの没入感を増すことにも成功した。さらには主人公の一般人ぶりをアピールする「あっという間に敵に倒される」という要素もあり、これらの革新的な発想と技術がプレイヤーにすばらしい体験をもたらし、これが評価され50以上もの賞を獲得した。また、柔軟性を持つGoldsourceエンジンのおかげもあり、カウンターストライクなどのハーフライフ用MODが大量にリリースされ、MODによってはそれ目当てにHalf-Lifeを購入するほど通信対戦が盛り上がったものも存在した。その結果、6年以上に及ぶロングセラー製品になった。
2004年11月17日には新規に開発したDirectX 9対応のゲームエンジン"Source"を採用した続編ハーフライフ2が発売され、さらに2006年にその続編としてHλLF-LIFE² Episode one(当初のネーミングは「Aftermath」) が発売され、2007年10月にEpisode Twoが発売された。引き続き、Episode Threeの発売が予定されている。
ハーフライフは英語で半減期という意味があり、このゲームの名前の由来もここからきている。
注意:以降の記述で物語・作品に関する核心部分が明かされています。
[編集] ストーリー
主人公のDr.ゴードン・フリーマンはニューメキシコ州のブラックメサ研究所の研究員に新たに赴任し、最初の仕事である特殊物質の実験に参加。しかし実験が始まると異常が発生。研究所には異次元世界"Xen"からのエイリアンが侵入、壊滅寸前の状態に陥ってしまう。主人公はHEVスーツを着ていたおかげで生き残ることができたが、破壊された研究所の中で侵入したエイリアンと事件の揉み消しのために派遣された大統領直属の海兵隊との三つ巴の戦いをしながら事件の真相解明に挑まなければならなくなった…。
[編集] 登場人物
- ゴードン・フリーマン
- このゲームの主人公。マサチューセッツ工科大学大学院卒業の物理学者である。初仕事である特殊物質実験の事故に遭遇し、それによって崩壊し始めたブラックメサから脱出を試みることとなる。
- G-MAN
- ゲーム中に出てくる謎の人物。常にアタッシュケースを持ったスーツ姿の男。
- 海兵隊
- ブラックメサでの事故の後に研究所に送り込まれた米軍の部隊で、重装備の歩兵およびM1エイブラムスやM2ブラッドリー歩兵戦闘車などの地上兵器、V-22などの航空機で構成されている。事故の証拠隠滅とそれに関与したブラックメサ関係者の抹殺がその目的である。派遣後エイリアンからの攻撃で大きな被害を被り、不完全な撤退をすることとなる。ゲームに関する規制の厳しいドイツでは、海兵隊員ではなくロボットとなっている(海兵隊がダメなのではなく人間を攻撃する事がダメと言う理由。同じ理由で研究員も攻撃できない)。
- サイドストーリーのOpposing Forceでは、海兵隊員であるAdrian Shephard伍長が主人公となる。
- 研究員
- ブラックメサで各種研究をしていたゴードンの同僚たち。災害後は事件の関係者として海兵隊の攻撃対象となってしまう。ゴードンよりも高いアクセス権限を持っているため、ゴードンが開けられない扉も開けることが出来る。また、医学の知識も持ち合わせており、注射器で回復もしてくれる。しかしその殆どが武装をしていないため、敵からの攻撃への対処は出来ず、連れ歩いている時にエイリアンに出くわすと怯えて隠れてしまう。
- 警備員
- ブラックメサで各セクターの警備を担当している。拳銃を所持しているためゴードンの援護をしてくれる他、研究員同様セキュリティの解除も可能。
- 拡張パックBlue Shiftでは警備員であるBarney calhornが主人公となる。
[編集] 登場する武器
- カナテコ
- 攻撃力:10
- 最初に手に入る武器。主に障害物を取り除くときに使う。射程が極めて短い為、敵を倒すのには向かない。
- 振りは大きいが連続ヒット時は一時的に攻撃速度が増加するので、当て続ければそれなりに強い。
- 水中にたくさんいる虫を排除するのには効果的。
- 拳銃(グロック17)
- 攻撃力:8
- ブラックメサで使用されている9mm口径の拳銃。威力こそ頼りないが高い精度を持っている。水中でも使用可能。
- セカンダリアタックで高速連射が出来るが、精度は落ちる。
- 弾はMP5と共用。
- マグナム(コルト・パイソン)
- 攻撃力:40
- .357口径のリボルバー銃。高威力だが弾はとても少ない。
- MP5(H&K MP5 HDパック使用時はM4A1)
- 攻撃力:5(榴弾は100)
- 海兵隊が使用している短機関銃。
- M203を装着しているため、榴弾を発射することも可能。敵や壁、床に当たれば即爆発する為、手榴弾を見ると逃げる海兵隊等にも非常に有効。但し慣れないと自爆しやすい。
- 弾薬は拳銃と共通。
- ショットガン(SPAS12)
- 攻撃力:5 x 6
- 海兵隊やブラックメサの警備員が使用している散弾銃。
- セカンダリアタックで2発同時に発射できるため、接近戦において非常に役立つ。弾も豊富に手に入る。
- 距離が離れると威力が減衰してしまうので、接近してヒットアンドアウェイを心掛けると有効に運用出来る。
- クロスボウ
- 攻撃力:50
- 他のゲームで言うスナイパーライフル的な存在。セカンダリでズームも可能。水中でも使用出来る。
- 発射時に音が出ず、静かに敵を攻撃することが出来るが、着弾までにタイムラグがある。
- 手榴弾
- 攻撃力:100
- 海兵隊が使用している。発射ボタンを押し続けることで爆発までの時間を調整可能。
- トリップマイン
- 攻撃力:150
- 壁や床に設置するとレーザーを発し、何かが触れたり、触れている物が少しでも動くと爆発する爆弾。
- 海兵隊がトラップとして使用している。
- もし罠として設置されているところに出くわしたら、手榴弾を放り込むか、遠くから本体を狙い撃てば排除出来る。
- ビル全体がトリップマインの罠だらけになっている面もあり、作動させてしまうとビルが崩壊してしまってゲームオーバーになってしまうので、しゃがみ歩きやダックジャンプを駆使して通り抜けなければいけない。
- 設置したトリップマインを足がかりにすることが出来るので、それを利用してのショートカットも可能。
- リモコン爆薬
- 攻撃力:150
- 設置後自由なタイミングで爆破できる爆弾。
- 主に待ち伏せ攻撃に使う。セカンダリで2つ以上設置して同時に爆発させることも可能。
- エレベーターやベルトコンベアに流して離れたところの敵や障害物を排除すると言った使い方も出来る。
- ガウスガン
- 攻撃力:20
- ブラックメサで開発されたレーザー銃。
- セカンダリでエネルギーを溜めて発射することが可能。強烈な反動が発生するのでハイジャンプも可能。
- グルーオンガン
- 攻撃力:14
- ブラックメサで開発されたエネルギー銃。
- 前方にとても強力なエネルギーを放射する。その威力は絶大で、殆どの敵を一瞬でバラバラにしてしまう。弾薬はガウスガンと共通。
- ハイブハンド
- 攻撃力:8
- エイリアン・グラントが使用する虫型エイリアンを発射する銃。
- 威力は低いが敵を自動で追尾するので、曲がり角などで役立つ。
- 弾数は自然回復する為、普段から常用すると残弾不足に悩まされにくい。
- セカンダリアタックで追尾機能をOFFにして高速で連射する。エイリアンのステージにある自動機銃はセカンダリの方でないと何故かダメージが入らない。
- RPG
- 攻撃力:100
- 海兵隊の重火器。レーザーで誘導できるロケットを発射する。
- セカンダリで誘導をON/OFF切り替えが可能。
- 威力が大きいのでこれを利用しての移動は出来ない。
- 何故か、水中でも使用可能。
- スナーク
- 攻撃力:10
- エイリアンの幼生のようなものを携帯化した生物兵器。
- スナークは投げつけられたあと、敵味方を問わず一番近い生き物を襲う習性がある。また15秒後に自爆する。
- 威力は低いが敵はスナークへの攻撃に気を取られてしまうため、その間に敵を攻撃したり逃げることが出来る。
[編集] マルチプレイヤー
ハーフライフには時間制限内にできるだけ多くの敵を倒すゲームモード"Half-Life DeathMatch"が搭載されている。本編中に登場するほぼすべての武器が収録されている。トリップマインをスポーンポイントに仕掛ける事で、開始地点で即死させたりすることができる点でほかのデスマッチゲームとは一味違うゲームになっている。ただし、Half-Life DeathMatchでの通信対戦は少なくカウンターストライクやDay of DefeatなどのMODでの対戦が多い。
2007年現在Steamのゲームリストには掲載されていないが、これはHalf-life DeathMatch:SourceやHalf-life2:DeathMatchとは違い、単独作品として作られてるのではなく、Half-lifeのマルチプレーがHL:DMという事である。こういったFPSのマルチプレーと言うと、シングルプレーを多人数でプレーするCOOPモードが主流であったが、Half-life本体では対応しておらず、Sven Co-OpというMODが必要になる(このMOD自体はValve社公認MODとなったためsteamを通してDL可能)。
また、マッチングサービスは2002年にリリースされたバージョン1.1.1.0まではSierra社が運営していたWorld Opponent Networkを使っていたが、2004年7月31日にすべての認証サーバーを停止し、それ以後は2003年10月に正式サービスが始まったValve Softwareのマッチングサービス兼ゲーム配信システムSteamに完全移行した。
[編集] パッケージの種類
ハーフライフには6年もの間にいくつかのバージョンのパッケージがリリースされている。
初期版 | 1998年10月に発売された初期バージョン。バージョン番号は1.0.0.5。日本では英語版日本語マニュアル付きのものがソースネクストから発売されていた。 |
ゲーム・オブ・ザ・イヤー・エディション | 1999年に50以上もの賞を獲得したのを記念して発売された初期版のリプレース。バージョンが1.0.0.9に上がり、チームフォートレス・クラシックが同梱された。2004年11月には廉価版が発売されている。 |
ミレニアムパック | 上記にサイドストーリーのOpposing Forceを加えたパッケージ。海外名はAdrenaline Pack。 |
Generation 3 | 本編はもちろんのこと、サイドストーリー、カウンターストライクとチームフォートレス・クラシックをひとまとめにしたパッケージ。ヨーロッパ向けに発売された。現在日本ではこれが「ハーフライフ・アンソロジー」という名前で発売中。 |
Platinum Collection 2nd | 上記と同様であるが、北米向きでCD-Keyが4つ入っており、紙のマニュアルがついてくるという違いがある。 |
Valve's back catalog | Steam版Half-Life 2 Silver以上についてくるHalf-Life関連作品のセット。ちなみにHalf-Life 2 SilverにはSource Engineに完全移植したHalf-Life Sourceもついてくる。 |
Half-Life 1 | Steamでの単体DL版、9.99$。 |
Half-Life:Blue Shift | Blue ShiftのSteam単体DL版、4.99$。 |
Opposing Force | Opposing ForceのSteam単体DL版、4.99$。 |
Half-Life:Source | Half-LifeをSourceエンジンで再現した物、そのためHalf-Lifeエンジンで動くMODは稼働しない、9.99$。 |
Half-Life 1 Anthology | 本編、Opposing Force、Blue Shift、Team Fortress Classicの4本が入ったDL版、14.99$。 |
Half-Life Complete | アンソロジー+ハーフライフ2+EP1+EP2+HL2DMのDLパック。49.99$ |
Valve Complete Pack | Valve社製のゲームをすべて詰め込んだコンプリート作品集、同内容のHL1とHL:Sが両方入っているという親切心も持ち合わせている(HLエンジンで無いと動かないMODの存在を考慮されている)、99.99$。 |
旧パッケージのWON版では1280×1024の解像度に対応していないが、新パッケージのSteam版では1280×1024に対応しているなど、両方は厳密な意味で共通の物では無い。
[編集] 動作環境
[編集] WON版
HλLF-LIFE generation の記載条項より。
- 最低用件
- OS: Windows 95、98、NT
- CPU: Pentium 133MHz
- メモリ: 24MB
- CD-ROMドライブ: 2倍速以上
- ハードディスクドライブ: 400MB以上の空き領域
- ビデオメモリ: 2MB
- ディスプレイ: 640x480の解像度でHigh-color(16ビットカラー)で表示できるもの(ゲーム自体の解像度は400x300から選択可能、但しソフトウェアレンダリング使用時のみ)(メニュー画面に関してのみ640x480固定)
- DirectX: 6.0以上
- マウス
- キーボード
- 通信環境(チームフォートレスクラシック、カウンターストライクの場合): 28.8Kbps以上の通信速度で通信が可能な環境
- 推奨用件
- CPU: Pentium 166MHz以上
- メモリ: 32MB以上
- ビデオメモリ: OpenGL又はDirect3Dが動作するカード(OpenGLが事実上の推奨。非公式の日本語化パッチはDirectXでは動作しない)(もし3D機能が搭載されていない場合でもソフトウェアレンダリングにより動作は可能)
[編集] Steam版
Steamのゲーム紹介ページより。 ゲーム自体に要求されるスペックはWON版とそれほど変わらないが、Steamを起動しながらでないとゲームが遊べない為、若干ハードルが高くなっている。
- 最低用件
- OS: Windows 2000、XP
- CPU: 500MHz以上
- メモリ: 96MB以上
- ビデオメモリ: 16MB以上
- マウス
- キーボード
- インターネット接続
- 推奨用件
- CPU: 800MHz以上
- メモリ: 128MB以上
- ビデオメモリ: 32MB以上
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- The Official Half-Life Web Site 公式サイト
- Half-Life Fallout - Up-to-the-minute coverage of Half-Life 2 ハーフライフ関連のニュースサイト(英語)
- Planet Half-Life - A Member of the GameSpy Network 同上
- fov120.net 日本のハーフライフ関連のニュースサイト
- FilePlanet - Half Life: Uplink Demo 体験版「Half-Life:Uplink」(DLにはFileplanetへの登録が必要)
- 日本語字幕表示MOD 日本語の字幕を入れてプレイ出来るようになる。Opposing Force、Blue Shiftには対応していない。