ジョニー・デップ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
Johnny Depp ジョニー・デップ |
||||||||||
『パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド』のプレミアにて(2007年) |
||||||||||
本名 | John Christopher Depp II ジョン・クリストファー・デップ二世 |
|||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
生年月日 | 1963年6月9日(45歳) | |||||||||
出生地 | アメリカ合衆国ケンタッキー州 | |||||||||
国籍 | アメリカ合衆国 | |||||||||
職業 | 俳優・歌手・プロデューサー | |||||||||
活動期間 | 1984年- | |||||||||
活動内容 | 1984年:映画デビュー 1997年:監督デビュー |
|||||||||
配偶者 | ロリ・アン・アリソン(1983 - 1985) | |||||||||
家族 | ヴァネッサ・パラディ(パートナー) | |||||||||
主な作品 | ||||||||||
『21ジャンプ・ストリート』 『シザーハンズ』 『ギルバート・グレイプ』 『エド・ウッド』 『スリーピー・ホロウ』 『パイレーツ・オブ・カリビアン』三部作 『ネバーランド』 『チャーリーとチョコレート工場』 |
||||||||||
|
||||||||||
ジョニー・デップ(Johnny Depp、1963年6月9日-)は、アメリカ合衆国の俳優・ミュージシャン。本名はジョン・クリストファー・デップ二世(John Christopher Depp II)。身長175cm、体重70kg。
俗にアウトローと評される出自と、コメディから社会派作品まで果敢に挑戦し幅広く演じ分ける実力、話題の絶えない私生活やファンサービスの良さから常に注目を浴びている。
目次 |
[編集] 生い立ち
ケンタッキー州オーウェンズボロにて、土木技師の父・ジョン・クリストファー・デップとウェイトレスの母・ベティ・スー・パーマーとの間に生まれる。4人兄妹の末っ子で9歳上の兄ダン、7つ違いの姉デビーと2つ違いの姉クリスティーがいる。アイルランド人、ドイツ人、ネイティブ・アメリカン(チェロキー族)の血を引く。
家庭の事情で頻繁に転居を繰り返し幼少時だけでも20以上の土地を渡り歩き、7歳の時ようやくフロリダ州ミラマーに定住。しかし1978年に両親が離婚するとデップは多大なストレスと自信喪失から自傷行為を始め、その時の傷跡が現在でも7、8個残っている。さらにデップは14歳の頃からドラッグに手を染め、貧困も重なって、どん底とも言える青年時代を送った。
12歳の時に母からギターを買ってもらったデップは、どん底の青年時代の中でやがてミュージシャンを志すようになり16歳で高等学校を中退。将来への不安から2週間で復学を試みるも、高等学校の校長が「夢を追いなさい」と激励したため再度ミュージシャンとして生きる決意をし放浪生活を送る。
[編集] キャリア
[編集] 音楽活動
この頃バンド「The Kids」をリードギタリストとして率い、イギー・ポップの前座も務めた。バンドは商業的に成功を収め、さらに活動を本格化させるべくロサンゼルスに活動拠点を移し「Six Gun Method」と改名し様々なバンドとコラボレーションを行った。近年では、オアシスの曲やローリング・ストーンズのアルバムにもギターで参加したほか、1995年にはバットホール・サーファーズのギビー・ヘインズと共に「P」というバンドを結成しCDを発売した。
音楽活動の中で知り合ったロリ・アン・アリソンと1983年に結婚するも1985年に離婚。
[編集] 初期の俳優活動
アリソンと婚姻関係にあった時に、彼女の元恋人であったニコラス・ケイジと知り合う。その才能を見込んだケイジはデップに俳優への転進を勧めた。その後友人の付き添いとして足を運んだオーディションの会場で出演の打診を受け1984年、ホラー映画『エルム街の悪夢』でデビュー。その後『プラトーン』などで経験を積んだ。当初は仕事に対して消極的であったデップだが、尊敬する俳優のフレデリック・フォレストとの共演が転機となり、本格的に俳優への道を歩み出す。
プロデューサーの説得によりフォックス放送のテレビシリーズ『21ジャンプ・ストリート』に主演。デップは元来テレビに出演することを好まなかったため、終始その演技に小細工を利かせていたが一躍ジュニアアイドルとして脚光を浴びる。それでも自分が商品として扱われることやテレビドラマでの役のイメージに縛られることを恐れたため、活動の場を映画のみとすることに決めた。
[編集] 映画俳優として
1990年の『クライ・ベイビー』で映画初主演を果たし、同年公開の『シザーハンズ』は大ヒットする。自らの出自に由来するアウトローな作品選びや徹底した役作り、確かな実力、端麗な容姿などデップを認めるものは少なからず存在したものの、その後の出演作品の興行収入と知名度は付随しなかった。
アウトローな作品選びは私生活にも影響を及ぼし、滞在先のホテルで暴れ出し備品を破壊した末に逮捕されるなど、トラブル続きの日々を送った。しかし、ハリウッド・サンセット大通りに経営していたロッククラブ「バイパールーム」で、俳優仲間のリバー・フェニックスがドラッグの過剰摂取により急死したことを機にデップは自らを長らく蝕んでいたドラッグと縁を断ち、以後は『ギルバート・グレイプ』などのヒューマンドラマや『エド・ウッド』といった伝記映画に立て続けに出演し俳優としての実力を身につけた。
俳優業の傍ら、親族の出自(彼の母方の曾祖母は純血のチェロキー族。父も同じくチェロキー族の血を引く)からインディアンの問題に関心を持っていたデップは1997年、共演にマーロン・ブランドを招聘し映画『ブレイブ』を監督した。その後は興行収入こそ話題に上らないものの、質の高い映画に出演を重ね徐々に知名度を獲得していった。
1999年にこれまでの功績が認められハリウッド・ウォーク・オブ・フェームに名前が刻まれる。
映画『ナインスゲート』で知り合ったヴァネッサ・パラディとの間に長女をもうけたことを機にデップの生活は公私共に急激に変化した(下部詳述)。2003年、子供の勧めにより出演したディズニー/ブエナビスタ共同制作の娯楽超大作『パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち』で興行面での大成功を収めた上に、子供をもうけたことでアウトローなイメージからの脱却に成功し世界的な規模で爆発的な人気を獲得した[1]。同年の「ピープル」誌にて「最もセクシーな男性」に選出された。
2003年公開の『パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち』と翌年公開の『ネバーランド』と、2年連続でアカデミー主演男優賞にノミネートされ実力派俳優としての地位を不動のものとした。
2007年公開の『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』で、初のミュージカル映画に出演。この作品でゴールデングローブ賞 主演男優賞(ミュージカル・コメディ部門)を受賞する。過去7回同賞にノミネートされたが、受賞は今回が初である。またアカデミー主演男優賞にもノミネートされた。
[編集] 私生活
[編集] 関係・家族
先に挙げたアリソンの他、女優のジェニファー・グレイ、シェリリン・フェン、ウィノナ・ライダーや、スーパーモデルのケイト・モスとも交際していた。ちなみにウィノナ・ライダーと交際中、腕に「ウィノナ・フォーエヴァー」と刺青を施したが、破局後「ワィノ・フォーエヴァー(アル中よ永遠に)」に修正。その後は恋人の名を刺青にしていない。
現在、パートナー(入籍はしていないが事実婚)であるヴァネッサ・パラディと、2人の子供リリー=ローズ・メロディ・デップ(1999年5月27日生)とジャック・ジョン・クリストファー・デップ・3世(2002年4月9日生)とともにフランスに住み、アメリカと南フランスの両方で生活をしている。
[編集] 論争
1994年にニューヨーク市内のホテルで暴れ、備品を破壊して逮捕される。また、1999年にはヴァネッサ・パラディとロンドンで食事をしている時に、レストランまで追いかけてきたパパラッチと喧嘩をして逮捕された。
2003年にドイツの「Stern」誌にて、「アメリカは愚かな犬」と発言し、アメリカ国内で非難が出た。
[編集] ファッション
一言で表せれば「個性的」だが、ブランドに頼らない彼独自のアレンジした着こなし方はファンのみならず、男性にも絶大な支持を得ている。 最近は帽子と眼鏡(もしくはサングラス)を合わせることが多い。また、腕に付けているビーズのブレスレットは愛娘からのプレゼントである。
母親の名と、二人の子供の名、数字の3、またアルファベットの刺青を施している。なおアルファベットについては、単純に好きな文字だからと話している。
[編集] ファンとの交流
アメリカのサインコレクター雑誌「オートグラフ・マガジン」が発表した「ファンにサインする際に態度が丁寧なハリウッド・スター」で3年連続1位に輝いている。同誌は「穏やかで気さくながら、サインをしつつファンに話し掛けて親しくなろうとする」「プレミア会場でもレストランでも、映画のロケ中でもほとんど、最高に気前良くサインしてくれるスター」と評価している。
実際にも「一人にサインをしたら、他のファン全員にもサインしなくてはいられない性分」で、空港など混雑・混乱しやすい場所ではサインを一切しないよう、スタッフから逆に釘を刺されてしまう場合も多い。
[編集] 主な出演作品
公開年 | 邦題 原題 |
役名 | 備考 |
---|---|---|---|
1984 | エルム街の悪夢 A Nightmare On Elm Street |
Glen Lantz | デビュー作 |
1985 | マイアミ・ホットリゾート Private Resort |
ジャック | |
1986 | プラトーン Platoon |
ラーナー | |
殺しに熱きテキーラを Slow Burn |
Donnie Fleischer | TV映画 | |
21ジャンプ・ストリート 21 Jump Street |
トム・ハンソン | TVシリーズ(1990年まで放送) | |
1990 | シザーハンズ Edward Scissorhands |
エドワード・シザーハンズ | ゴールデングローブ賞 主演男優賞(ミュージカル・コメディ部門)ノミネート |
クライ・ベイビー Cry-Baby |
ウェイド・ウォーカー | ||
1992 | アリゾナ・ドリーム Arizona Dream |
アクセル | |
1993 | ギルバート・グレイプ What's Eating Gilbert Grape |
ギルバート・グレイプ | |
妹の恋人 Benny & Joon |
サム | ゴールデングローブ賞 主演男優賞(ミュージカル・コメディ部門)ノミネート | |
1994 | エド・ウッド Ed Wood |
エド・ウッド | ゴールデングローブ賞 主演男優賞(ミュージカル・コメディ部門)ノミネート |
1995 | ザ・カンヌ・プレイヤー Cannes Man |
本人役 | |
ニック・オブ・タイム Nick Of Time |
ジーン・ワトソン | ||
デッドマン Dead Man |
ウィリアム・ブレイク | ||
ドンファン Don Juan Demarco |
ドンファン | ||
1997 | ブレイブ The Brave |
ラファエル | 初監督作品 |
フェイク Donnie Brasco |
ジョー・ピストーネ/ドニー・ブラスコ | ||
1998 | ラスベガスをやっつけろ Fear And Loathing In Las Vegas |
ラウル・デューク | |
GO!GO!L.A. L.A. Without A Map |
ウィリアム・ブレイク | クレジットなし | |
1999 | ビートニク The Source |
本人 | 朗読 |
ナインスゲート The Ninth Gate |
ディーン・コルソ | ||
スリーピー・ホロウ Sleepy Hollow |
イカボッド・クレーン | ||
ノイズ The Astronaut's Wife |
スペンサー | ||
2000 | 耳に残るは君の歌声 The Man Who Cried |
チェーザー | |
夜になるまえに Before Night Falls |
ボンボン/ビクター中尉 | ||
ショコラ Chocolate |
ルー | ||
2001 | ロスト・イン・ラ・マンチャ Lost In La Mancha |
本人/トビー | ドキュメンタリー |
ブロウ Blow |
ジョージ・ユング | ||
フロム・ヘル From Hell |
フレッド・アバーライン | ||
2003 | レジェンド・オブ・メキシコ/デスペラード Once Upon A Time In Mexico |
シェルダン・ジェフリー・サンズ | |
パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち Pirates Of The Caribbean: The Curse Of The Black Pearl |
ジャック・スパロウ | アカデミー主演男優賞ノミネート ゴールデングローブ賞 主演男優賞(ミュージカル・コメディ部門)ノミネート |
|
2004 | リバティーン The Libertine |
ロチェスター | |
フレンチなしあわせのみつけ方 Ils Se Marierent Et Eurent Beaucoup D'enfants |
L'inconnu(見知らぬ男) | ||
ネバーランド Finding Neverland |
ジェームス・マシュー・バリ | アカデミー主演男優賞ノミネート ゴールデングローブ賞 主演男優賞(ドラマ部門)ノミネート |
|
シークレット ウインドウ Secret Window |
モート・レイニー | ||
キング・オブ・ザ・ヒル King of the Hill |
ヴィクター | 声のゲスト出演 | |
2005 | チャーリーとチョコレート工場 Charlie And The Chocolate Factory |
ウィリー・ウォンカ | ゴールデングローブ賞 主演男優賞(ミュージカル・コメディ部門)ノミネート |
ティム・バートンのコープスブライド Corpse Bride |
ビクター | 声の出演 | |
2006 | パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト Pirates Of The Caribbean: Dead Man's Chest |
ジャック・スパロウ | ゴールデングローブ賞 主演男優賞(ミュージカル・コメディ部門)ノミネート |
2007 | パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド Pirates Of The Caribbean: At World's End |
ジャック・スパロウ | |
スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師 Sweeney Todd: The Demon Barber of Fleet Street |
スウィーニー・トッド | ゴールデングローブ賞 主演男優賞(ミュージカル・コメディ部門)受賞 アカデミー主演男優賞ノミネート |
|
2009 | パルナッサス博士の想像力 The Imaginarium of Doctor Parnassus |
トニー |
[編集] 脚注
- ^ 「日経エンタテインメント!」(日経BP社)の連載「負け組ハリウッドの肖像」より。
[編集] 外部リンク