コクーン新都心
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コクーン新都心(コクーンしんとしん、COCOON)は、埼玉県さいたま市大宮区吉敷町のさいたま新都心東ブロック南側の14街区・16街区にある大型ショッピングモール。2004年9月17日にグランドオープンした。運営は片倉工業株式会社。コクーンという名称は英語で「繭(まゆ)」を意味し、片倉工業が製糸業として創業したことにちなんでいる。
「紀伊國屋書店」、「ライフ&グルメアリーナ」・「フードバザー」、県内最大級のシネマコンプレックス「MOVIXさいたま」をキーテナントとして、121の専門店とレストランが入居している。
営業時間は10時から21時まで、飲食店は店舗によって異なる(23時閉店が基本だが、材料切れや台風などの天候不順を理由に繰り上げて閉店することがある)。MOVIXさいたまは9時開場-レイトショー上映終了後までが営業時間である。
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[編集] 建物構成
さいたま新都心駅・旧中山道(県道65号線)寄りの西館、大宮カタクラパーク・東口駅前通り側の北館、駐車場棟側の東館(併せて商業棟)と、1000台収容の駐車場棟で構成されている。商業棟はハイブリッドモールで東館・西館は一体化されており、北館は2階デッキ部分で東館・西館と繋がり、駐車場棟は西館と連絡橋で結ばれている。(当初はコクーン新都心が国内初のハイブリッドモールの見込みだったが、LALAガーデンつくばが半年前の2004年3月にオープンした為、おそらく2番目と思われる。)営業面積は約23,500平方メートルで、駐車場棟と近隣の駐車場あわせて約2,300台の車を収容できる。
[編集] 開業までの経緯
[編集] 開発計画発表以前
- 1989年にさいたま新都心の「土地区画整理事業」の計画決定がなされ、1991年より西ブロック(旧国鉄大宮操車場跡地)で都市基盤整備公団や埼玉県による土地区画整理事業が開始された。(→さいたま新都心を参照のこと。)
- 一方、東側では「民間による文化・業務・商業地域」と指定された約20ヘクタールの事業地のうち、およそ15ヘクタールを片倉工業が大宮製作所として所有しており、そのうち所有分の東ブロック北側13街区は1983年にイトーヨーカ堂大宮店と専門店・飲食店・ホームセンターとゴルフ練習場(※ゴルフ練習場のみ1975年開業)、同17街区の住宅展示場を合わせた複合施設「大宮カタクラパーク」として開業していたが、1990年に大宮製作所の事業を加須市の新工場へ移転することを決定し、1992年に大宮製作所は完全閉鎖となった。
- このほか東側の指定事業地の中に、釣り餌メーカーのマルキュー本社・工場と、三菱マテリアル総合研究所敷地の一部も含まれており、このうちマルキューは現在のさいたま新都心駅東口周辺の京浜東北線沿いに在った工場と本社を桶川市に移転したが、同跡地にさいたま新都心初の民間のテナントビル「マルキュービル」が2000年1月に竣工している。
- その後、大宮製作所跡地は土地区画整理事業(首都高速道路埼玉新都心線・東西大通りのさいたま新都心地下道建設などのインフラ整備)のため都市基盤整備公団へ賃貸しすることになる。
- さいたま新都心の土地区画整理事業が開始された1991年頃から幾度と「片倉工業が新しい商業施設を開業する」などと云われてきたが、景気は次第に低迷し、果たして役所以外の民間企業や一般人が新都心へどれほど流れてくるのか不透明であり、慎重に考えなければならないとして、商業施設建設の計画策定が現実に始まったのは2000年夏になってからである。
[編集] 計画発表
- 2000年中に三井物産・富士銀行(当時)・大成建設・東京建物の各社による片倉工業へのバックアップと、パルコのプロパティーマネジメント(PM)事業によるショッピングセンターの開発コンサルティングにより計画策定し、2001年5月に社有地活用の第一期(現在のコクーン新都心)開発計画を発表した。それによれば2003年春に先の都市基盤整備公団へ賃貸しした大宮製作所跡地が返還されることに伴い、そこに敷地面積2ヘクタール(20,000平方メートル)・2階建てのショッピングモールと1200台収容の立体駐車場を建設し、高級志向のスーパーマーケットやレストラン、ファッションブティックなど100以上の店舗とシネマコンプレックスなどを入居させ(未だこの時点では具体的なテナントは決まっていない)、2004年春に開業させるというものである。
- 未確定ではあるが、第二期開発としてコクーン開業10年経過後を目処に13街区(大宮カタクラパークの大部分)を、第三期開発として17街区(住宅展示場)をそれぞれ再開発し、コクーン開業20年経過時にはコクーンと合わせて広域商圏型の商業開発(第四期)をする可能性もあるという。
[編集] 着工へ
- 2002年6月に埼玉県へ大規模小売店舗立地法に基づく届け出を行った。仮称は「さいたま新都心カタクラショッピングモール」である。
- 2003年3月に土地区画整理事業の工事ヤードとして使われてきた大宮製作所跡地が更地にした上で片倉工業へ返還される。(実際には2002年12月の時点で更地となっている。)
- 先の計画では返還後直ぐに着工するという流れであったが2003年春の着工は延期された。理由として商業棟の若干の設計変更と、周辺住民が駐車場棟の規模縮小を求めた為で、当初計画の5階建て1200台収容から3階建て1000台収容となった。
- また、同じ時期の2003年3月から4月にかけて、さいたま市が大宮区吉敷町と隣接する同区天沼町の住宅地の複数の井戸を調べた所、揮発性有機化合物のテトラクロロエチレンという発ガン性物質が井戸水から環境基準値(1リットル辺り0.01ミリリットル)の1.4倍から20倍の量が検出され、市が井戸近くに過去工場を設置していた片倉工業に調査を要請し、1970年までセーター工場が稼働していた17街区(現在の住宅展示場)をボーリング調査した所、5箇所全てに同物質が検出され、その内1箇所で環境基準の1800倍の量が検出された。これはセーターを洗浄するときに使用したドライクリーニング剤が地下へ浸透したためだという。これに伴う地下水汚染の拡大防止壁の設置などの浄化工事の費用で6億5千万円の特別損失を2003年12月期決算に特別損失計上した。(その他街区は土壌汚染は無いという。)
- 計画から半年遅れて2003年9月18日に起工式を行った。総合元請けは三井物産で、施工は大成建設と鉄建建設のジョイントベンチャー、大成建設設計である。
[編集] 開業へ
- 2004年
- 4月 - 名称を「コクーン新都心」と決定し、同月よりCOCOONカード(セゾン)の募集・発行を開始。
- 7月 - 入居テナント・オープン日(9月17日)を正式発表。
- 9月 - 竣工。上戸彩出演のテレビ(スポット)CM・各種広告媒体展開を開始。
- 9月16日15時 - プレオープン
- (本来は招待状持参の周辺住民やCOCOONカード入会者などが対象の筈だったが、さいたま新都心駅から流れて一般人も多数入場し、開場直後に入場制限がかかる。)
- 9月17日 - グランドオープン オープニングイベントが9月中 多数催される。
- 9月19日 - MOVIXさいたまで初の舞台挨拶(公演作品「スクールウォーズ・HERO」)。
- この日のコクーン来館者数が14万6000人と開業1ヶ月間で最高動員となる。
- 2005年8月1日 - 当初見込みより1ヶ月以上早く、来館者数が1000万人突破と発表。
[編集] 広告・宣伝など
2004年9月の開業時より2005年9月まで、イメージキャラクターとして上戸彩を起用。2004年9月のオープンに前後して、テレビ埼玉・東京放送・テレビ朝日・テレビ東京の各局でスポットCMが放映されていた(特に開業日の9月17日前後は朝から昼間にかけて集中的に放映)。
[編集] COCOONカード(セゾン)
クレディセゾンとの提携により2004年4月より募集が開始されたクレジットカード。セゾンカードでは通常、1000円毎のショッピング利用につき永久不滅ポイントが1ポイント(約5円相当)付くが、コクーン新都心では更に、カード発行から1ヶ月間はコクーン新都心内でcocoonカードを利用した場合、利用金額が請求時に5%割引となる(JTBトラベランド等、ごく一部対象外の店舗有り)。さらに通常のセゾンカードでは出来ない、ショッピングでの3回以上の分割払い指定も可能となっている。また、COCOONカード会員へは不定期に催されるキャンペーンのDMなどが郵送される事がある。
[編集] 交通
- 駅前でかつ旧中山道(埼玉県道164号鴻巣桶川さいたま線)と東西大通り(国道17号と産業道路(埼玉県道35号川口上尾線)を横断する道路)に面しているため、遠方からの自動車・駅利用や近隣住民の自転車・徒歩・バス利用にしても交通アクセスは格段に良いが、道路に関して、時間や天候によっては国道17号方面や旧中山道から産業道路方面へ向かう車の多さで、東西大通りを経て接続する道路も長く渋滞する(している)事があるので気をつけたい。
- JR京浜東北線・高崎線・宇都宮線 - さいたま新都心駅東口ペデストリアンデッキ直結 東館まで徒歩約3分
- JR埼京線 - 北与野駅下車 北与野デッキ→けやきひろば→さいたま新都心駅自由通路経由で徒歩約10-15分。
- 敷地内にタクシー乗り場は無し。(近隣のさいたま新都心駅東口交通広場および大宮カタクラパークに有り。)
[編集] 関連項目
[編集] 競合施設など
さいたま新都心より半径10km程度の複合商業施設を掲載。
- 大宮カタクラパーク(イトーヨーカ堂大宮店(GMS店舗)とJTBトラべランド・新星堂・竜文堂書店などの専門店がコクーンと重複するもイトーヨーカ堂と一部の専門店は23時まで営業している。)
- アルーサショッピングモール(クイーンズ伊勢丹・ブックデポ書楽と安楽亭運営の飲食店が4店舗入居)
- イオン与野ショッピングセンター(日本ピストンリング工場跡地。ジャスコ与野店と専門店など約120店舗が入居)
- ステラタウン(富士重工業工場跡地。イトーヨーカ堂大宮宮原店と110の専門店が入居)
- 与野フードセンター本店(与野彩鮮館)など。(高級志向のライフさいたま新都心店開店に備え一部店舗でポイントカード制度を導入)
- 西友与野店(GMS店舗)
- 大宮高島屋(コクーン・ステラタウン開業に伴い午前9時30分開店に。)
- 大宮スカイビル(そごう大宮店とオズ24専門店街)
- 大宮駅コスモスプラン(ecute大宮開業・大宮ルミネ2増床)
- 大宮ステーションビル(OSS)→現在の大宮ルミネ1
- DOM(丸井・ダイエー大宮店と専門店街で構成。2007年3月東急ハンズ、OPAが新たに入居しリニューアル)
- アルシェビル(ソフマップ・NACK5 TOWNなど約60店舗入居)
- 大宮サティ(コクーン開業以前は市内唯一だったシネマコンプレックス(ワーナーマイカルシネマ大宮)が入居。)
- 伊勢丹浦和店と浦和コルソ(約120の専門店と高級スーパー「富士ガーデン」が入居)
- 北浦和サティ(GMS店舗 2004年に食品売り場が24時間営業化・館内を一部リニューアル)
- 浦和駅東口再開発ビル(浦和パルコとシネコンユナイテッド・シネマ2007年秋開業・中央図書館を核に2007年11月開業)
- イオン浦和美園ショッピングセンター
- ららぽーと志木(コクーンやステラタウンの開業の影響は大きくないとされたが、2004年12月に施設の陳腐化に伴う売上減少を理由に2005年3月に閉店する事を発表し、3月末日に閉店した。埼玉県内初のシネマコンプレックス「志木ららぽーとシネマ」(1995年開業)が有った。)