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オウム目 - Wikipedia

オウム目

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

?オウム目(インコ目)

コンゴウインコ Ara macao
分類
動物界 Animalia
脊索動物門 Chordata
亜門 脊椎動物亜門 Vertebrata
鳥綱 Aves
オウム目インコ目
Psittaciformes Wagler, 1830

オウム目(鸚鵡目、Psittaciformes)は約353種を含む鳥類の一つである。インコ目(鸚哥目、音呼目)と呼ばれることもある。

目次

[編集] 概要

オウム目の分類については2つの主要な説が両立している。単一の科 Psittacidae のみからなるという考えと、PsittacidaeCacatuidaeの2つの科に分類されるとする考えである。これらの分類群の日本での呼称については後述の分類和名の節を参照。

訳注:以下オウム目の鳥全般を指してインコと呼ぶ。これにはいわゆるインコとオウムのすべてが含まれる。

この目に属するすべての種は、特徴的な湾曲した形状のを持っている。この嘴の上側はわずかな可動性をもった関節で頭骨と接続されており、通常は頭骨から直立した姿勢になっている。すべてのインコの脚は対趾足で、趾(あしゆび)の二本が前方を、二本が後方を向いている。

インコは熱帯地方を中心に東南アジアインド、西アフリカオーストラリア南アメリカなど広い範囲に分布する。カロライナインコConuropsis carolinensis、Carolina Parakeet)はすでに絶滅しているが、かつて合衆国に生息していた。圧倒的に多数のインコの種がオーストラレーシア南アメリカ中央アメリカに由来する。

[編集] 分類和名

Psittaciformes の和名は一定しておらず、「オウム目」と「インコ目」が使用されている。ただし最近では鳥類学術関連でもペット関連でもオウム目の方を使われる例が多い。インターネット上でも検索するとオウム目がはるかに浸透していることが分かる。また国語辞典でも、例えば広辞苑は第4版まではインコ目だったが第6版ではオウム目を説明記述に使用している。

また、系統学の項で述べる差異を重視して2科に分ける場合は、主に小型の種からなるインコ科(Psittacidae)、大型の種からなるオウム科(Cacatuidae) と2つの科に分ける。複数の科からなるという説では、さらにヒオウム科(ヒインコ科:Loriidae) を立てる。しかし後述する差異を同じ科内での変異として考える説ではPsittacidae 1科とされ、Sibley分類でもその立場を取っている。この場合もPsittacidaeの和名は一定しておらず、「オウム科」と「インコ科」とがある。

このグループを1目1科の Psittaciformes - Psittacidae とする場合も、この分類和名には、「オウム目オウム科」あるいは「インコ目インコ科」と表記される他に「インコ目オウム科」とか「オウム目インコ科」などと交差した用例まである。このようにオウム類の分類和名には現状やや混乱があるが、何れも同じ分類対象をさしていることに注意すること。

[編集] 進化と分類学

[編集] 起源

一般に、特定の科に属するさまざまな種がそれ以外の地域に比べて大規模に集まっている地域は、その科の起源となる先祖の故郷である可能性が高い。南アメリカとオーストラレーシアにおけるインコの多様性はこの目がゴンドワナ大陸起源であることを示唆している。しかしながらインコの化石記録はまばらにしかなく、彼らの起源は事実というよりは情報に基づいた推測にとどまっている。

知られている中でもっとも初期のインコに似た鳥の化石記録は約7000万年前の後期白亜紀にまでさかのぼる。たった一個の下嘴の15mmの破片で、ワイオミングで発見されたものであり、現代のヒインコのそれに似ている。この発見がインコのものと分類できるかどうかは明らかになっていない。

ヨーロッパ始新世(5800万年から3600万年前)からの広範な化石記録が出土する場所である。いくつものインコに似た鳥のほぼ完全な骨格がイングランドドイツで発見されている。幾分の不確かさはあるが、全体的に見ておそらくこれらは現代のインコの真の祖先ではないと思われる。そして、それは北半球で進化した関連しあったグループですでに絶滅してしまったものと思われる。

南半球には、北半球に見られるような興味深い時代の豊富な化石記録に匹敵するものが存在しないし、その化石記録には初期中新世から中期中新世より前(2000万年前ころ)の、既知のインコに似た鳥の遺物も含まれていない。しかしながら、南半球では(インコのようなものの化石ではなく)明らかにインコとわかる現時点で最古の化石が発見されており、その上側の嘴は現代の白色オウムのそれと見分けがつかない。


[編集] 系統学

キガシラボウシインコの雛の羽毛を拡大した画像。緑色の色彩の中に見られる青い部分は光の散乱によるもので、黄色は色素によるもの。
キガシラボウシインコの雛の羽毛を拡大した画像。緑色の色彩の中に見られる青い部分は光の散乱によるもので、黄色は色素によるもの。

オウム目の系統学は研究途上であり、最終結論がえられていない。現時点の分類は、新しい研究知見により変更される可能性がある。よって以下の分類は暫定的なものとして扱うこと。

オウム目の系統は、二つの大きな系統からなる。オウム類(Cacatuidaecockatoo)とインコ類(Psittacidaetrue parrots))である。 オウム類の特徴は、動く冠羽を持っていること、頚動脈の配列が異なっていること、胆嚢を持っていること、頭蓋骨に相違点が見られること、そしてダイクテクスチャー組織の羽根を欠いていることなどである。なお、インコ類ではダイクテクスチャー組織が光を散乱させることで非常に多くのインコの鮮やかな色彩を作り出している。

インコ類の下位分類(例:ヨウムグループとセキセイインコグループの関係)の理解は、ここ数年でかなり確固としてきたし、種相互の関係の理解も向上してきた。しかしインコ類の下位分類を亜科とするか、とするかは、意見の合意は得られていない。

これはインコ類の化石と分子分岐による年代の推定では、その進化において大規模な種の多様化と分岐の起こった時代が正確 にいつであったのか(すなわちさまざまな系統それぞれが本当にどれだけ隔たっているか、あるいは、進化によっていかにすばやくかつ根本的に彼らが変化したのか)厳密に決定するには不十分なデータしか得られないためである。

この問題はヒインコ類の分類学的地位決定に大きく依存している。というのも数多くの専門家がヒインコ類をインコ科というよりは第三の科であるヒインコ科(Loriidae) であるとみなしているからである(e.g. Forshaw & Cooper, 1989)。少なくとも大多数の意見では、ヒインコには亜科をたてることが十分正当化できるだけの差異がある。しかし、このきわめて明白な差異が(たとえば新世界産のインコオーストラリアン・パラキートとの間の差異と、量的には同じようなものであるにせよ)一意的に重大な進化上の分岐の証拠とはならないと考えるものもある。また一方、生物地理学が示唆するところでは、ヒインコは独自の明確な系統であり、オウム目の中でオウムほど隔たった種ではなく、しかし残りのオウム目からは離れた位置にあると考えるのがもっとも適切である。

2005年になってインコの分類学はさらに複雑なものへと成長した。というのは分子生物学によるspindlin遺伝子の分析から、ニュージーランドのインコであるフクロウオウムカカおよびミヤマオウムからなるグループが、それ以外のすべてのオウム目から分岐したのがその適応放散以前であることが明らかになったからである。なおその上で残りのインコが二つのグループに分岐した。そのうち一つのグループはヒインコや、ほとんどのオーストラリア産のクサインコ類セキセイインコのようなインコ、さらにアフリカ産のラブバードを含む。そしてもう一つのグループはすべての新世界産のインコ、オウムヨウムマダガスカル産のクロインコとニューギニア産のアラゲインコを含む[1]

[編集] インコの知能

飼育されている個体に関する研究から、どの種類の鳥がもっとも知能が高いかについての知見がもたらされた。インコにはヒトの言葉を物まねすることができるという特徴があるが、ヨウム(African Grey Parrot)の研究から、中には単語をその意味にしたがって結びつけて簡単なセンテンスを作ることができるものもあることが明らかになった(AlexN'kisiもあわせて参照されたい)。カラスワタリガラスカケスなどのカラス科鳥類と並んでインコはもっとも知能の高い鳥であると考えられる。事実、インコやカラス科の鳥の頭脳と体の大きさの比率は高等霊長類のそれに匹敵する[1] 。鳥類の想定された知的能力に対する反論の一つは、鳥類が相対的に小さな大脳皮質しか持っていないということである。大脳皮質は、ほかの動物においては知能をつかさどると考えられている脳の一部分である。しかしながら、鳥類は脳の異なった部分、すなわち吻側部内側新線条体/上位線条体をその知性の中枢として使っていると見られている。研究によりそれらの種がもっとも大きな上位線条体をもっている傾向があるということが明らかになったが、これは意外なことではない。カリフォルニア州立大学サンディエゴ分校の神経科学者であるDr. Harveyと J. Kartenは、鳥類の生理学の研究により、鳥類の脳の下位部分はわれわれのそれに似通っていることを明らかにした。

Animal Planet'sの番組 "Most Extreme Animals: Smartest"のなかで、インコは世界でもっとも賢い動物の一位にランクされた。インコはその知能を言語を使う能力に関する科学的テストによって示したのみならず、たとえばミヤマオウムなどの一部の種類のインコでは道具を使うことに長けており、これでパズルを解くことができるということを示した[2]


[編集] 分類学

[編集] インコとヒトの関わり

[編集] 絶滅危惧種としてのインコ

ワシントン条約(CITES、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」)により、捕獲された野生のインコすべての種類についての取引、輸入と輸出が違法とされている。きわめて危険な状態にある種は付属書Iに絶滅危惧状態(Endangered)として掲げられ、これ以外のすべての種が付属書IIに生存環境脆弱(vulnerable)として掲げられている。

[編集] ペットとしてのインコ

メスのセキセイインコ
メスのセキセイインコ

インコ、ことにコニュアコンゴウインコアマゾンオウムヨウムラブバードオカメインコセキセイインコオオハナインコパラキートなどが、その色彩の多彩さやヒトの言葉の物まねをする能力からペットとして飼われている。ときにそれらの鳥の羽根はクリップされることもあるが、多くの人たちはインコを飛べる状態のままペットにしている。インコの種類によっては80年に及ぶような長い寿命を持つものもいる(これには白色オウムやアマゾン、ヨウムや大型のコンゴウインコなどが含まれる)。

2004年イギリスの新聞"デイリー・ミラー"紙が、1899年生まれと推定され、後にはペットとして第二次世界大戦中にウィンストン・チャーチルに飼われていたというメスのコンゴウインコに関する記事を掲載した。チャーリーと呼ばれたこの年老いたインコは、ナチスアドルフ・ヒトラーに悪態をつくと有名だったという[2] 。その後の調査ではこのインコはいちどもウィンストン・チャーチルに飼われていたことはないということが強く示唆されたが[3] [4]、それにしてもチャーリーの長命には疑いの余地がない。

ペットのインコが人気を博すことでこの鳥の(しばしば非合法の)売買が盛んになってきており、インコの種類によっては絶滅の危機に瀕している。1969年のトニー・シルヴァ事件によってこの問題のスケールを理解することができる。この事件はテネリフェ島Loro Parque(ヨーロッパ最大のインコ園)のディレクターにして世界的に高名なインコ専門家であったトニー・シルヴァが、スミレコンゴウインコの密輸の廉で合衆国において82ヶ月間投獄され、$100,000の罰金を科されたものである[5]。この事件は環境保護論者や鳥類学者の社会に一石を投じ、より強力な鳥の保護や、取引に対する規制を求める声を呼び起こした。これ以降Loro Parqueはインコの保護活動によってよく知られるようになった。

一部の野生生物保護センターではコンゴウインコのような大型のインコが鳥類の展示によく用いられる。

[編集] 物まねをする能力

多くの種類のインコがヒトの物まねをすることができる。そしてアイリーン・ペッパーバーグの研究結果によればアレックスという名のヨウムは高い学習能力を示すことが示唆される。アレックスは言葉を使って対象を識別し、それらを説明し、その数を数えるように訓練された。さらには「赤い四角はいくつありますか?」といった複雑な質問に80%以上の正確さで答えることすらできた。別の研究者は、アレックスがその意味について何の考えもなしに単に言葉を繰り返しているに過ぎないと主張している。そしてペッパーバーグの研究結果は古典的な条件反射の一形態以上のものではなく、あるいはクレバーハンス(賢馬ハンス)効果の発現かもしれないと指摘している。第二の例はN'kisiという名の別のヨウムである。N'kisiは1,000語近い語彙をもち、それを正しい文脈で使うだけではなく、正しい時制で作文できる能力を示した[3]


[編集] 野生化したインコの群れ

さまざまな種類の逃げ出したインコたちが、その驚くほどたくましい環境適応性をヨーロッパや北アメリカにおいて証明している。ときには彼らは数が増えすぎて厄介者になったり、またちょっとした害鳥になったり、土着の生態系に対して脅威となることすらある。現在こういったことがスペインバルセロナやテネリフェ島で起こりつつある。

相当数の野生化したホンセイインコPsittacula krameriの群れがイングランドオランダベルギードイツ西部、南部の都市周辺に生息している。彼らは逃げ出した、あるいは捨てられたペットのながれを汲むものであると信じられて(あるいは時には記録に残って)いる。彼らの英国で最大のねぐらは、サリーのイーシャーにあり、その数は数千に及ぶと考えられている。

ベルギーやイングランドでは、野生化したホンセイインコPsittacula krameri の群れとオオホンセイインコPsittacula eupatria の小さな群れがしばしば群れを作っている。

またオキナインコMyiopsitta monachus の群れが合衆国とスペインの多くの地域で定着している。

合衆国ではさらにホンセイインコPsittacula krameri や、ミドリインコの仲間(Brotogeris 属、おもにソデジロインコB. versicolurus、あるいはキカタインコB. chiriri )が一部の地域で見られる。アリゾナ州ツーソンではコザクラインコAgapornis roseicollis が帰化して群れを作っている。

キホオボウシインコAmazona autumnalisフジイロボウシインコAmazona finschiキカタインコB. chiriri といった何種類ものインコが南カリフォルニア州の気候によく適応しており、またサンフランシスコテレグラフヒル周辺にはオナガアカボウシインコAratinga erythrogenysベニガオメキシコインコAratinga mitrata、さらにこれらのインコのハイブリッドなどが生息している。

現在、合衆国の多くの州では上記の種のいずれかについて販売、繁殖、ペットとしての保持を禁じる法律を成立させている。

日本では元々この目の鳥はいなかったが、近年はペットが野生化し移入種として東京都などに生息数を増やしている。熱帯の鳥が定着したことについて、地球温暖化ヒートアイランド現象により都市部の冬期の気温が以前よりあがったことが指摘されている。

[編集] 外部リンク

ウィキメディア・コモンズ

[編集] 脚注

  • Forshaw, Joseph M. & Cooper, William T. (1981): Parrots of the World (3rd ed). Press, Willoughby, Australia
執筆の途中です この項目「オウム目」は、鳥類に関連した書きかけ項目です。加筆・訂正などをして下さる協力者を求めていますポータル鳥類 - PJ鳥類


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