はかた号
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はかた号とは、西日本鉄道(西鉄)が運行する、東京(新宿高速バスターミナル)と福岡市(西鉄天神バスセンター・博多駅交通センター)を結ぶ高速バス路線である。所要時間約14時間20分で約1,150Kmを走破する日本最長距離のバス路線である。
前述のことから、北海道テレビ放送制作のバラエティ番組「水曜どうでしょう」で「キング・オブ・深夜バス」(「深夜バス(この場合意味は夜行バス)の王」の意味)と紹介された。
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[編集] 経由する高速道路と発着時刻
太字は客扱いを行う場所。休憩場所は乗客が車外に出られる休憩に限り記載。交通事情などにより到着時刻、経由地や休憩場所は変更される場合がある。
[編集] 福岡行き(9401便)
新宿高速バスターミナル(21:00発)→初台出入口→首都高速道路4号新宿線→高井戸インターチェンジ→中央自動車道(途中、諏訪湖サービスエリアで休憩)→小牧ジャンクション→名神高速道路→吹田ジャンクション→中国自動車道→神戸ジャンクション→山陽自動車道→廿日市ジャンクション→広島岩国道路→大竹ジャンクション→山陽自動車道(途中、下松サービスエリアまたは佐波川サービスエリアで休憩)→山口ジャンクション→中国自動車道→下関インターチェンジ→関門橋→門司インターチェンジ→九州自動車道→福岡インターチェンジ→福岡高速道路4号線→貝塚ジャンクション→福岡高速道路1号線→千鳥橋ジャンクション→福岡高速道路2号線→博多駅東出入口→博多駅交通センター(翌日11:10着)→西鉄天神バスセンター(11:20着)
[編集] 東京行き(9402便)
西鉄天神バスセンター(19:00発)→博多駅交通センター(19:15発)→呉服町出入口→福岡高速道路2号線→千鳥橋ジャンクション→福岡高速道路1号線→貝塚ジャンクション→福岡高速道路4号線→福岡インターチェンジ→九州自動車道→関門橋→中国自動車道→山陽自動車道→広島岩国道路→山陽自動車道(途中、宮島サービスエリアで休憩)→中国自動車道→吹田ジャンクション→名神高速道路→東名高速道路→中央自動車道(途中、諏訪湖サービスエリアまたは双葉サービスエリアで休憩)→高井戸インターチェンジ→首都高速道路4号新宿線→初台ランプ→新宿高速バスターミナル(翌日9:25着)
※福岡インターチェンジ~高井戸インターチェンジ間は福岡行きの逆経路
[編集] 運行会社
[編集] 所要時間・運賃・予約方法
- 所要時間 新宿高速バスターミナル~西鉄天神バスセンター:14時間20分
- 大人運賃 片道 15,000円、往復27,000円
- 子供運賃 片道 7,500円、往復割引なし
- 一カ月前から4日前まで電話で予約を受け付ける。3日前以降は、空席があれば窓口で乗車券の購入が可能。
[編集] 歴史
- 1990年10月12日 西日本鉄道と京王帝都電鉄(現・京王電鉄)の共同運行で路線開設
- 1997年 山陽自動車道の開通により時間短縮
- 1999年1月18日 京王電鉄の撤退により西鉄バスの単独運行に変更。京王は東京側の予約・発券業務のみを行い、実際の運行は行わなくなった。
[編集] 価格競争
航空・鉄道との所要時間の差が大きく、2往復あったダイヤは1往復に減便され、西鉄の単独運行に移行した。航空・鉄道の繁忙期には、はかた号が増車運行されることもある。
[編集] 航空
1998年9月にスカイマークエアラインズ(現スカイマーク)の東京~福岡線が就航した。就航当時、普通運賃は大手3社の半額の13700円に設定された。また、大手3社も特割などでこれに追随した。この結果、航空運賃は「はかた号」の片道普通運賃を下回る。ただし帰省シーズンには航空運賃がピーク運賃となる。
航空運賃は徐々に値上げしたため、通常期運賃などに比べ価格面での優位性が再び高まってはいるものの、後発で参入したスターフライヤーが、新北九州空港発、指定期間のみかつ2か月前購入が必要という条件とはいえ片道1万円弱の航空券を販売しているほか、大手航空会社も期間限定の早期割引でははかた号の運賃と同程度の割引運賃を提供する。
[編集] 鉄道
福岡市には西日本旅客鉄道山陽新幹線の終点である博多駅が存在し、JR各社も航空機や高速バスとの競合を見越しているため、割引きっぷの発売を行っている。1週間以上前購入かつ往復のみの割引運賃で3万2000円である。
[編集] 車両
[編集] 使用車両
独立3列シート便所付のスーパーハイデッカー車が使用される。塗色は白ベースの車両が原則として使用され、塗色名称は「白夜行」と呼ばれている。近年までは「はかた号」専用車として指定された車両には「HAKATA」のロゴが書かれていたが、2006年秋頃に他系統への運用充当を意識して「HAKATA」のロゴが消された。
運行開始当初は西鉄・京王とも正座席23人乗りで後部サロン付きであったが、西鉄は1994年12月に正座席27人乗り・後部談話室付きの車両に変更された。京王は1995年8月に正座席28人乗り・サロンなしの車両に変更された。現在の西鉄車両は単独運行時は、2003年以降に新製された後部談話室なし車両が使用されるケースが多くなっている。また、2006年には従来の西日本車体工業製の車体を持つ車両に代わり、三菱ふそうトラック・バス純正の車体を持つ車両が導入されている。トイレの位置が異なるため、この車両は席の配置が従来と異なっている。
[編集] 車内設備
- 車内に公衆電話が設置されているが、携帯電話が普及したため、現在では電源が切られ使用できない。
- 車内に給湯器が設置されており、セルフサービスでお茶とインスタントコーヒーが提供される。
- 上り線では朝6時ごろ諏訪湖サービスエリアでパンとパック緑茶の配布がある(後述)。
- 全席、カーテンによって通路と遮断され、さらに前後に対してはフェイスカーテンによって仕切ることができるため、就寝時には個室感覚のスペースができる。フェイスカーテンは通路側カーテンにぶらさがっており、反対側の端を天井のエアコン吹き出し口の横にあるボタン(中央列の場合は反対側の通路側カーテンにあるボタン)に留めることで使用できる。
[編集] 使用車両画像一覧
[編集] その他
- 構想当時は2階建車両も検討されていたが走行安定性の観点から採用を見合わせた。
- 運行開始後の1991年、西鉄では営団地下鉄(現・東京メトロ)の駅で配布している路線図の裏に広告を出した。文言は東京側の利用者向けになっていたが、車両設備の写真などはすべて西鉄の車両のものであった。共同運行会社の本拠地側で、独自に広報活動を行ったという点で、希少な例である。
- 年末年始やお盆には予備車や西鉄高速バスの車両を使用して、合計2台~8台で運行することもある。なお、西鉄高速バスの車両の場合は、運転士も西鉄高速バスの運転士が担当する。
- 2003年末の多客期からは「博多の女(はかたのひと)」という愛称の女性専用車両が運行されていた。しかし2006年夏季以降の多客期には女性専用車両の運行はされていない。ちなみに「博多の女(はかたのひと)」とは、福岡の菓子メーカー「二鶴堂」が30年以上前から販売している菓子の名称と同じである。
- 2003年には新車(三菱ふそう KL-MS86MP改、2003年4月以降で西工ネオロイヤルSD-II架装のため、改造扱いとなる)、2006年と2007年にも新車(三菱ふそうエアロクィーンI PJ-MS86JP、このモデルはMFBMの車体となった)が導入されたが、この車両はHAKATAのロゴは入っておらず、他の路線と共通運用できるようにされている。
- 運行開始以来朝食サービスを行ってきたが、コスト面の問題からか徐々に簡素化されている。現在はパネトーネ(コモ社製造)という保存料無添加で常温長期保存可能な菓子パンと紙パックの緑茶が配られる。
- 全行程が1000kmを超える長距離路線のため、必ず途中で給油を行う。主に養老サービスエリアや三木サービスエリアが使われる。上り便については諏訪湖サービスエリアにて休憩後に給油する場合もある。
- 東京側の待機場は、路線開設時の京王バス東・永福町営業所から、京王バス東・中野営業所に変更された。繁忙期は2~3台が永福町営業所に待機することがある。中野営業所施設改良時の一時期、待機場が都営バス杉並支所に変更されたことがある。
- 基本的にビデオのサービスがあり、下りでは中央道に入った辺りでビデオ上映を開始する。諏訪湖S.A到着前頃にビデオが終了し、明朝下松S.A出発後2本目のビデオを放映する。上りでは九州道に入った辺りでビデオを上映する。下松S.A到着前頃にビデオが終了し、明朝諏訪湖S.A出発後2本目のビデオを放映する。また2003年式以前の車両が充当される場合、始発点の改札開始からビデオ上映開始までと、2本目のビデオが終了してから終着地に到着するまでテレビを上映する場合がある。
- 運行開始当初は日本一運行時間の長い夜行高速バスであった。のちに山口県内での停車停留所が多く、横浜も経由するようになったふくふく東京号/ドリームふくふく号に運行時間日本一の座を奪われたが、ふくふく東京号廃止にともない運行時間日本一の座を奪還した。しかし2007年8月10日に萩エクスプレス号が停車停留所増加を伴う経路変更をした際に萩エクスプレス号の運行時間が延び、はかた号を上回ったため、再び運行時間日本一の座を明け渡している。なお、運行距離日本一の座は運行開始以来一度も明け渡していない。なお、1999年、福岡高速道路が九州自動車道に接続したため、運行開始当初より運行時間は短縮されている。