MADムービー
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MADムービー(マッドムービー)とは、既存の音声・ゲーム画像・動画・アニメーションなどを個人が編集・合成し、再構成したもの。ただしパソコンやCGソフトが普及した21世紀初頭には「手書き(描き)MAD」(動画上のイラストを自身で描いた2次創作動画)という用語が出現するなど意味の拡散がみられる。主にファン活動の一環として行われる。「MAD」とは「狂っている、ばかげている」の意。
目次 |
[編集] 分類
- アニメーションを複数合成して作成したアニメMAD(またはMADアニメ)
- ゲームなどの静止画を複数合成し、音楽をつけて動画作品とした静止画MAD
- 実写映像とアニメソング等を合成した実写MAD(製作者自身が撮影した映像を使う物も含まれる)
- ゲーム・ラジオ(特にNHKのニュースが多い)やテレビ番組のセリフや主題歌などの音声のみを合成した音声MAD(「ムービー」ではないが、便宜上併記した)
などに大別される。
[編集] 主題歌を素材としたMAD
MADムービーの中でも多く作成されているのが、テレビアニメ・特撮テレビドラマ・ゲームなどのオープニング(OP、エンディング (ED) の場合もある)映像と、別のアニメなどの主題歌を合わせたものである。凝ったものではオープニングだけでなく本編の映像や、自作ないしネットワーク上で拾ったイラストなども使い、画面分割やテロップの入れ方などを音声ソース側の映像に可能な限り似せた作品もあるが、単純に違う曲に差し替えるだけでも、主人公などの登場人物が見得を切ったり、番組のタイトルが表示されるタイミングなどが合ってしまうことで、手軽な割には面白い作品になるケースが多い。
これは放送枠の関係からほとんどのテレビアニメや特撮テレビドラマのオープニングが90秒間に統一され、主題歌もそれに合わせた同時間のショートバージョンになっているためで、作ろうと思えば手軽に作成できる。これは家庭用ビデオデッキが普及し始めた1980年代にすでにアニメ雑誌などで指摘されており、ビデオデッキを使った遊びの一つとして紹介されている。
アニメなどの主題歌を素材としたMADムービーには、ほかに次のようなものがある。
- 特撮OPクリアバージョン(古い特撮OPにその特撮の主題歌CD(TVサイズ)を合成)
- 忙しい人向けシリーズ(アニメ主題歌やCDなどを分割し、曲自体を短くする手法)
- ピッチ下げシリーズ(本来の曲のピッチを上げ下げして、別の歌手が歌っているように聞こえるようにする手法)
- 逆再生シリーズ(アニメ主題歌などをまるまる逆再生してしまう手法)
- 逆逆再生シリーズ(逆再生シリーズの応用で、逆再生をそのまま歌い、それをさらに逆再生する手法で、それをやることによって元ネタの再現性を検証するもの)
- コラボレーション(アニメやゲームの画面と人気CDを組み合わせたもの。『THE IDOLM@STER』の動画が人気)
[編集] 制作方法
素材となる音声や画像・動画をキャプチャやリッピング、ソフトウェアからの場合はsusieなどのツールを用いて準備し、各種編集機材やアプリケーションソフトで編集する。静止画MADやアニメMADではAdobe PremiereやAfter Effects、近年はWindows ムービーメーカーなどが作成に利用されることが多い。
上記のノンリニア編集はPC性能の発達した1997 - 8年頃から利用されるようになったが、それ以前は複数台の録再機とミキサーを利用したリニア編集が主だった。21世紀初頭でも少数だがリニア編集で作成している者もいる。
[編集] 流通と社会の対応
MADムービーの前身は、1970年代末ごろから大学のサークルなどで制作されていたMADテープ(初期はキチガイテープとも呼ばれていた)である。これらは音声MADをカセットテープに収録し、同人誌と同様の経路で流布していた。有名な作品として、Fatima-Zの『いかがわしいテープ』に収録された『仮面ライダーV3』のOP曲の歌詞を切り貼りし、V3を悪役にしてしまった(仮面ライダー3部作)もの、『ウルトラセブン』のOPイントロ部分を「三三七拍子」にしたものなどがある。
MADテープは人気を呼び急速に全国に広まったが、流通経路の問題から漫研・アニ研・自主上映会などのつながりのない人にはなかなか認知されていなかった。 そんな折『タモリのオールナイトニッポン』において、1980年11月からニュース番組のアナウンサーの声を合成したものを流す「つぎはぎニュース」のコーナーが放送され、ニュース特有の抑揚が少ない(加工しやすい)無機質な口調で脈絡のないことを話し続けるというギャップが生む面白さで話題になった(ニュース番組を使ったMADは後にマッドニュースと呼ばれるようになった)。その後NHKからクレームがついたため2か月ほどでこのコーナーは終了したが、この番組によりコラージュ作品そのものの認知度が上がり、制作者層や流通の幅が広がった。
やがて、同様にビデオテープを用いたMADビデオも作られるようになる。これは1985年7月28日に大阪市中央公会堂で開催された「丑年 コミックマーケット」通称「もうけっと」で上映された『えとけっとびでおもうけっと』が元祖とされている[要出典]。
『静止画MAD』は、90年代末に『るかか』名義で製作された『ONE 〜輝く季節へ〜』を題材とした物が初出とされる[要出典]。以後、乃怒亞女、神月社、捏音たむ、等のMAD作家が現れ、主に葉鍵系と呼ばれるMAD作品を多数発表した。その後は、月姫等、その時々のエロゲーの流行に沿った作品をベースとしたMADが発表されている。
21世紀初頭にはインターネット環境の整備や良質なフリーウェアの普及、パソコンの性能向上によってマルチメディアの処理能力が向上したため、インターネットを通じて流通することが多くなった。一時期はFlashが多かったが、最近はYouTube・ニコニコ動画へのアップロードやFTPやP2Pファイル共有ソフトも積極的に利用されている。インターネットで流通する場合は後述する数々の理由によりファイルの分割・偽装や埋め込み・暗号化が行われることも多々ある。
また製作者や好事家による上映会も行われている。
MADムービーの配布は素材となる作品の関係上、著作権者に無断で行われることがほとんどで、しばしば著作権侵害として問題になる。
しかし、2005年以降は著作権侵害を問題としてMAD作品を排除するコンテンツホルダーは少数派となりつつある。MAD作品自体がプロモーション作品として完成しており、それによる売り上げへの貢献が無視できない規模まで拡大したこと、さらにそれをニコニコ動画がアフィリエイトで具体的に実証したことも大きい。さらにMAD作品の制作におけるガイドラインを明確にしたコンテンツホルダーも現れた。例えば「MOSAIC.WAV」で知られるSham.Studio.の例[1]が挙げられる。また古来からできの良い作品はクレームを付けて公開を取りやめさせたとしても、作品を入手した第三者がまた配布を始めるという性質があることから、「のれんに腕押し」であるという認識が広まったともいえる。
また、『涼宮ハルヒの憂鬱』や『らき☆すた』をリリースした角川グループは、2008年1月25日に同社の著作物を使用した作品に対して公開を許可する含みを持たせたコメント[2]を発表した。同年5月28日同グループの角川デジックスは、一部のMADムービーには正式に許諾を与える企画を計画[3]している。
[編集] MADとAMV
しばしば日本のMADムービー文化は欧米発祥のAMV (Anime Music Video) と比較されるが、発端は完全に別である。
[編集] 関連事項
[編集] 脚注
[編集] 外部リンク
- ぱ.そ.こ.ふ. - 「タクラビジョン」シリーズ作者、小藤卓のウェブサイト