マルチメディア
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マルチメディア(Multimedia)とは、複数の種類の情報をひとまとめにして扱うメディアのことである。一般的には映像やアニメーションなど動的コンテンツを含むイメージで捉えられることが多い。複合媒体と訳す。
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[編集] 概要
1980年代以降、インターネットを実現するための情報スーパーハイウェイ、GUIを基本とするオペレーティングシステムとパーソナルコンピュータにより、様々なメディアから発信されてくる情報データに対し「情報の消費者」であったユーザを、「情報の発信者」にもすることのできる技術が可能になった。「情報収集」と「情報処理」が双方向対話型(Interactive)の「情報伝達方式」と一体となった「技術」がマルチメディアと呼ばれた。その後、マルチメディアを活用した新たなビジネスモデルの構築やベンチャービジネスが活性化し、それら企業に投資するというITバブル時代が到来することになる。
最近は特にコンピュータとインターネットを中心とし、文字、映像、動画、音声など従来別個のものとして扱われてきた様々なメディアを、デジタルデータ化することで同一のレベルで処理、既成の概念とは異なる方法で消費者に提供したり、加工して発信したりすることが可能になった。メディア処理には専用のソフトウェアが必要であり、一般にメディアプレーヤーと呼ばれる。またコンピュータそのものをマルチメディアと言うことがある。
転じて、今までコンピュータで扱うのが難しかった映像メディア、音声メディアなどを(単一のメディアとして扱っていても)マルチメディアと呼ぶこともある。
CG-ARTS協会が1996年から実施している「マルチメディア検定」では多様なコンテンツを作成できる能力、多様なメディアを使いこなすことができる能力の評価に重点が置かれている。
かつて「ネオダマ」(ネットワーク、オープンシステム、ダウンサイジング、マルチメディア)という言葉が、コンピュータビジネスの世界で成功キーワードとされたことがあった。
[編集] 語源
1960年代、光によるショーや、スライド・ショーとロックンロールを一つにしたものをマルチメディアと呼んだ。
[編集] 代表的な例
- グラフィックと双方向性を多用したWWWによるホームページの発信=マスメディアからの脱却
- 音楽ダウンロードサービスと携帯音楽プレイヤーの連携=CDメディアからの脱却
- デジタルカメラで撮影した画像の加工・編集とコンピュータとの連携=紙メディアからの脱却
- ビデオカメラで撮影した動画の加工・編集とコンピュータとの連携=従来メディアからの脱却
- インターネットを活用した仮想商店街(e-コマース)の構築=従来ビジネスからの脱却
これらが相互に連携して新たなビジネスモデルを構築している例も多い。
[編集] その他の意味
1980年代にはパソコンの宣伝文句として、磁気テープ以外にフロッピーディスクやハードディスクが記録メディアとして利用できることをマルチメディアと称していた。
[編集] バズワードだった「マルチメディア」
また、1980年代から1990年代にかけて、テレビ受像機などに規格としての普及が不十分なデジタル映像入力端子が付いていたり、パソコンにテレビ機能やCD-ROMが搭載されているだけでも、「ニューメディア対応テレビ」、「マルチメディアパソコン」という言葉を使って商品を差別化している例が見られた。言葉の意味そのものは2000年代の「マルチメディア」を志向してはいるのだが、技術や規格の成熟度、インフラ、アプリケーションが不十分なままで用いられている為、一種のバズワードになってしまっていた事になる。
1980年代の、結果として空回りに終わった「ニューメディア」の失敗に懲りた人々は、比較的冷静にマルチメディアという新しい言葉を受け止めていた。
1990年代、流行に敏感な情報系あるいはデザイン系の専門学校に、相次いで「マルチメディア科」という名称の学科が設置され、学生数の獲得に成果をあげた。しかしゲーム開発やアニメーション・映像制作には機材整備に多大な費用がかかり、指導カリキュラムも混乱する状態が続き、多くの学校が数年で学科を再編成せざるを得なくなった。その後コンピュータグラフィックス、アニメーション、ゲーム、コンピュータミュージックといった、より具体的なアプリケーション名が学科の名称となり、マルチメディアは過去の言葉となった。
[編集] 関連項目
- ニューメディア
- コンテンツ
- 情報スーパーハイウェイ
- メディアプレーヤー
- テレビパソコン