1986年のワールドシリーズ

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1986年のワールドシリーズはアメリカンリーグがボストン・レッドソックス。ナショナルリーグがニューヨーク・メッツの対戦となった。結果は4勝3敗でニューヨーク・メッツが17年ぶり2回目の優勝、MVPはレイ・ナイト。

目次 1 結果 2 Game1 3 Game2 4 Game3 5 Game4 6 Game5 7 Game6 8 Game7

[編集] 結果

NL ニューヨーク・メッツ (4) vs. AL ボストン・レッドソックス (3)

試合	得点	日付	球場	観客	試合時間
1	レッドソックス 1－0 メッツ	10月18日	シェイスタジアム	57,908	3:18
2	レッドソックス 9－3 メッツ	10月19日	シェイスタジアム	57,911	2:44
3	メッツ 7－1 レッドソックス	10月21日	フェンウェイパーク	51,970	3:11
4	メッツ 6－2 レッドソックス	10月22日	フェンウェイパーク	52,130	2:20
5	メッツ 2－4 レッドソックス	10月23日	フェンウェイパーク	51,901	2:55
6	レッドソックス 5－6 メッツ(10回)	10月25日	シェイスタジアム	57,908	3:18
7	レッドソックス 5－8 メッツ	10月27日	シェイスタジアム	57,911	2:44

[編集] Game1

チーム	1	2	3	4	5	6	7	8	9	合計	安打	失策
レッドソックス	0	0	0	0	0	0	1	0	0	1	3	0
メッツ	0	0	0	0	0	0	0	0	0	0	4	1

• 1986年10月18日 シェイ・スタジアム（ニューヨーク）
• 勝利投手：ブルース・ハースト(1-0)、敗戦投手：ロン・ダーリング(0-1)、セーブ：カルビン・シラルディ(1)

両先発投手の息詰まる投手戦が繰り広げられたが、メッツの二塁手ティム・タフェルのエラーで1点を獲ったレッドソックスが守り切る。 一塁の守備固めで起用されたデーブ・スティプルトンは、9回無死一塁で送りバントを素早く処理して二塁封殺。

[編集] Game2

チーム	1	2	3	4	5	6	7	8	9	合計	安打	失策
レッドソックス	0	0	3	1	2	0	2	0	1	9	18	0
メッツ	0	0	2	0	1	0	0	0	0	3	8	1

• 1986年10月19日 シェイ・スタジアム（ニューヨーク）
• 勝利投手：スティーブ・クロフォード(1-0)、敗戦投手：ドワイト・グッデン(0-1)
• 本塁打：(BOS)デーブ・ヘンダーソン(1)、ドワイト・エバンス(1)

前年のサイ・ヤング賞投手ドワイト・グッデンとその年のサイ・ヤング賞投手ロジャー・クレメンスの対決となったが、グッデンは序盤に失点を繰り返しKO。 クレメンスも5回途中に降板して勝利投手とはなれなかった。

[編集] Game3

チーム	1	2	3	4	5	6	7	8	9	合計	安打	失策
メッツ	4	0	0	0	0	0	2	1	0	7	13	0
レッドソックス	0	0	1	0	0	0	0	0	0	1	5	0

• 1986年10月21日 フェンウェイ・パーク（ボストン）
• 勝利投手：ボブ・オヒーダ(1-0)、敗戦投手：オイル・カン・ボイド(0-1)
• 本塁打：(NYM)レニー・ダイクストラ(1)

• メッツがダイクストラの初回先頭打者本塁打等で初回から4点を奪い、勝負を決する。
  • メッツはそれまでの2度のワールドシリーズ（1969年、1973年）でも、第3戦でそれぞれトミー・エイジー、ウェイン・ギャレットが初回先頭打者本塁打を記録している。
• 前年までレッドソックスに所属していたオヒーダがかつての本拠地で勝利投手。

[編集] Game4

チーム	1	2	3	4	5	6	7	8	9	合計	安打	失策
メッツ	0	0	0	3	0	0	2	1	0	6	12	0
レッドソックス	0	0	0	0	0	0	0	2	0	2	7	1

• 1986年10月22日 フェンウェイ・パーク（ボストン）
• 勝利投手：ロン・ダーリング(1-1)、敗戦投手：アル・ニッパー(0-1)
• 本塁打：(NYM)ゲーリー・カーター(1,2)、レニー・ダイクストラ(2)

レッドソックスはシーズン防御率5.38のニッパーを先発マウンドに送る。 ワールドシリーズの先発投手としては1947年のハル・グレッグ（ブルックリン・ドジャース、防御率5.87）以来の悪い防御率の先発投手。 それでも6回を3失点に抑えたが、7回まで投げたダーリングがこのシリーズ好調で、14イニング失点1、自責点0である。 受ける捕手カーターが2本のグリーン・モンスター越えのホームランで援護した。

• • カーターは史上初（現時点で唯一）の「オールスターとワールドシリーズの両方で1試合2本塁打を打った選手」となった。

[編集] Game5

チーム	1	2	3	4	5	6	7	8	9	合計	安打	失策
メッツ	0	0	0	0	0	0	0	1	1	2	10	1
レッドソックス	0	1	1	0	2	0	0	0	X	4	12	0

• 1986年10月23日 フェンウェイ・パーク（ボストン）
• 勝利投手：ブルース・ハースト(2-0)、敗戦投手：ドワイト・グッデン(0-2)
• 本塁打：(NYM)ティム・ターフェル(1)

ハーストの第1戦に次ぐ好投でレッドソックスが1918年以来68年ぶりのワールドチャンピオンにあと1勝と迫った。 グッデンは第2戦に次いで良いところなく、このシリーズ未勝利。 メッツの唯一の好材料は、このシリーズでリリーフに回っているシド・フェルナンデスが4イニングを無失点に抑えたこと。

[編集] Game6

チーム	1	2	3	4	5	6	7	8	9	10	合計	安打	失策
レッドソックス	1	1	0	0	0	0	1	0	0	2	5	13	3
メッツ	0	0	0	0	2	0	0	1	0	3×	6	8	2

• 1986年10月25日 シェイ・スタジアム（ニューヨーク）
• 勝利投手：リック・アギレラ(1-0)、敗戦投手：カルビン・シラルディ(0-1)
• 本塁打：(BOS)デーブ・ヘンダーソン(2)

レッドソックスの3勝2敗で迎えた第6戦は、メジャーの歴史に残る熱戦となった。

先発投手は、メッツがこの年18勝をあげた左腕のボブ・オヒーダ、レッドソックスがエースのロジャー・クレメンス（現ニューヨーク・ヤンキース）。序盤にレッドソックスが2点のリードを奪うが、メッツは5回に追いつく。7回表レッドソックスが再度1点をリードするが、メッツは8回裏に追いつき、3対3のまま延長戦となる。

レッドソックスは10回表に救援登板したリック・アギレラを攻めて、デーブ・ヘンダーソンの本塁打で3たびリードを奪い、ベンチは狂乱状態となる。さらに1点を加えて2点をリードし、1918年以来68年ぶりのワールドシリーズ制覇まであとアウト3つとした。10回裏の攻撃前、スタジアムを立ち去るメッツファンが多く見られた。敗北を覚悟したのである。この時メッツ番の新聞記者の一人は次のようなコメントを残したという。「汝ら、信仰浅き者達」

レッドソックスはクローザーカルビン・シラルディ(Calvin Schiraldi)をマウンドに送り、あっさり2アウトをとって68年ぶりのワールドチャンピオンまであとアウト1つと迫った。

しかしメッツは粘りを見せ、2アウトからゲーリー・カーターがレフト前にヒットを放ち、代打ケビン・ミッチェルも0-2（0ボール2ストライク）と追い込まれながらもセンター前にヒットを放って続く。さらにレイ・ナイトも0-2に追い込まれながらセンター前にタイムリーヒットを放ち、1点差に追いつめる。ここでレッドソックスは投手をボブ・スタンリー(Bob Stanley)に変える。打者ムーキー・ウィルソンを追い込むが、ウィルソンもファウルで粘り、7球目がワイルドピッチとなってミッチェルが還り5-5の同点。

ウィルソンは10球目を打つがファーストへの高いバウンドのゴロ。しかし、沈むように微妙にバウンドが変わった打球を一塁手ビル・バックナーが痛恨のトンネルエラー。ファウルグラウンドを転々と転がる打球を、バックナーは必死に追うが、やがてあきらめる。二塁からナイトが還り、メッツが劇的なサヨナラ勝ちを収めた。ナイトは、ホームインと同時にベンチを飛び出したメッツナインにもみくちゃにされた。

バックナーは守備は足首に故障を抱えていることもあって、上手くなく、レッドソックスはリードしている場面では、通常守備固めにデーブ・スティプルトン(Dave Stapleton)を起用していた。リーグチャンピオンシップシリーズでも、このシリーズでもリードしている試合の終盤には必ず起用しており、このシリーズでも第1戦では9回裏に送りバントを素早く処理して一塁走者を二塁封殺し、1-0の完封勝利に貢献している。

しかし、この試合に限ってベテランのバックナーに花を持たせるためか、起用しなかったのが裏目に出た。これも「バンビーノの呪い」ではないかと語り草となるほどの痛恨の出来事であった。

レッドソックスの先発クレメンスは走者を置いて打席に立った三度の場面でいずれも送りバントを失敗していたのも、結果的に痛かった。 殊勲（？）の一打を放ったムーキー・ウィルソンは、インタビューに対し、「みな、あの一打（エラーを誘ったファーストゴロ）について聞くが、メッツのこの一年があったからこそ、あの一打があったのだ。」と答えた。

[編集] Game7

チーム	1	2	3	4	5	6	7	8	9	合計	安打	失策
レッドソックス	0	3	0	0	0	0	0	2	0	5	9	0
メッツ	0	0	0	0	0	3	3	2	X	8	10	0

• 1986年10月27日 シェイ・スタジアム（ニューヨーク）
• 勝利投手：ロジャー・マクダウエル(1-0)、敗戦投手：カルビン・シラルディ(0-2)
• 本塁打：(BOS)ドワイト・エバンス(2)、リッチ・ゲドマン(1)、(NYM)レイ・ナイト(1)、ダリル・ストロベリー(1)

10月26日の予定が雨で一日順延となる。メッツは第1戦、第4戦でいずれも好投のダーリングが先発。 一方レッドソックスは第5戦先発のハーストを中3日で起用。

序盤レッドソックスが3点を奪い、ダーリングを早々とノックアウトするが、フェルナンデスの好リリーフに追加点を阻まれる。 メッツは6回にハーストを攻めて同点に追いつく。

7回、レッドソックスはクローザーのシラルディを登板させるが、ナイトが勝ち越しのソロ本塁打を打つ。 さらに2点を奪って6-3とリードを広げる。 レッドソックスは8回にマクダウエルを攻め、追い上げるが、リリーフしたジェシー・オロスコに抑えられて1点差止まり。 8回裏には8番打者敬遠の後、オロスコがダメ押しのタイムリー安打を打ち、リードを8-5に広げた。

オロスコが9回のレッドソックスの反撃を断ち、メッツが17年ぶり2度目のワールドチャンピオンに輝いた。 シェイ・スタジアムを埋めた多くのファンがグラウンドになだれ込んだが、大量配備された警備員のため大きな混乱とはならなかった。 それでも、多くのファンは「アメージング・メッツ」(Amazing Mets)の快挙に酔いしれた。

表・話・編・歴 メジャーリーグ ワールドシリーズ
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