シド・フェルナンデス

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シド・フェルナンデス（Charles Sidney Fernandez , 1962年 10月12日 - ）はアメリカ・メジャーリーグで活躍した投手。左投左打。アメリカ合衆国ハワイ州ホノルル出身。

[編集] 人物・来歴

カイザー高校（ホノルル）を卒業し、1981年ドラフト会議でロサンゼルス・ドジャースから3巡目（全米73位）で指名され入団。この年6月からルーキー級・1Aでプレイし、9イニング平均奪三振は14以上を数えた。翌1982年は3Aアルバカーキで過ごしたが、1983年は2Aサンアントニオに降格。この年2Aで大活躍し、終盤にメジャーに昇格。9月20日にメジャー初登板を果たす。しかしその年のオフに2選手との交換でニューヨーク・メッツに移籍。

1984年はメッツの3Aタイドウォーターで開幕し、この年はメジャーでは6勝6敗に終わるが、翌1985年に9勝。しかも170回1/3投げて180奪三振で、被安打はわずか108であった。9イニング平均の被安打5.71は、ナ・リーグ史上2位（1位は1907年に記録されており、近代野球1位と言っても過言でない。） 1986年には自己最多の16勝（6敗）をあげ、特に前半戦は12勝2敗の成績で、オールスターに出場。ただし、本拠地シェイ・スタジアムでは防御率2.17も、敵地では5.03と内弁慶ぶりを露呈した。この年メッツはボストン・レッドソックスとのワールドシリーズ出場を果たすが、ワールドシリーズではリリーフでの起用に限定され、左投手に不利なフェンウェイ・パークでの第3～第5戦では登板の機会がなかった。第6戦、第7戦ではいずれもリードを許した状態で登板して好投し、チームの逆転勝ちに貢献した。 1987年も前半戦好調で、2年連続のオールスター出場を果たす。この年も本拠地で9勝3敗防御率2.98、敵地で3勝5敗防御率5.05と内弁慶ぶりは変わらなかった。 1988年は逆にシーズン序盤に不調も12勝。1989年にも14勝をあげた。

1990年は9勝14敗に終わる。この年も本拠地では8勝5敗防御率2.41だが敵地で1勝9敗防御率4.94という散々な成績に終わった。1991年はスプリング・トレーニング中の腕の故障で、7月中旬まで欠場し、さらに9月には膝の故障で1勝に終わる。 1992年には14勝をあげて復活するが、チームは地区5位に終わる。1993年は再び故障のため5勝に終わる。チームも地区最下位に沈み、この年限りでフリーエージェントでボルチモア・オリオールズに移籍する。

しかしその後もかつての活躍はできず、1995年途中にはフィラデルフィア・フィリーズに移籍。1997年にヒューストン・アストロズで1試合に先発して勝利投手になったのを最後に現役を引退。引退後は故郷のハワイに戻り、セミプロチームのコーチを務めていたが、2001年にニューヨーク・ヤンキースのスプリング・トレーニングに参加して驚かせた。マイナー契約し、4月7日にマイナーで復帰後初登板したところ、膝を負傷。1週間後に引退を発表した。その後は再びハワイに戻り、コーチ業等を務めている。

[編集] 年度別成績

年度	チーム	勝利	敗戦	防御率	登板	先発	完投	完封	セーブ	投球回	被安打	失点	自責点	被本塁打	与死球	与四球	奪三振	※被安打率	※奪三振率
1983年	LAD	0	1	6.00	2	1	0	0	0	6.0	7	4	4	0	1	7	9	10.50	13.50
1984年	NYM	6	6	3.50	15	15	0	0	0	90.0	74	40	35	8	0	34	62	7.40	6.20
1985年	NYM	9	9	2.80	26	26	3	0	0	170.1	108	56	53	14	2	80	180	5.70	9.51
1986年	NYM	16	6	3.52	32	31	2	1	1	204.1	161	82	80	13	2	91	200	7.09	8.81
1987年	NYM	12	8	3.81	28	27	3	1	0	156.0	130	75	66	16	8	67	134	7.50	7.73
1988年	NYM	12	10	3.03	31	31	1	1	0	187.0	127	69	63	15	6	70	189	6.11	9.10
1989年	NYM	14	5	2.83	35	32	6	2	0	219.1	157	73	69	21	6	75	198	6.44	8.12
1990年	NYM	9	14	3.46	30	30	2	1	0	179.1	130	79	69	18	5	67	181	6.52	9.08
1991年	NYM	1	3	2.86	8	8	0	0	0	44.0	36	18	14	4	0	9	31	7.36	6.34
1992年	NYM	14	11	2.73	32	32	5	2	0	214.2	162	67	65	12	4	67	193	6.79	8.09
1993年	NYM	5	6	2.93	18	18	1	1	0	119.2	82	42	39	17	3	36	81	6.16	6.09
1994年	BAL	6	6	5.15	19	19	2	0	0	115.1	109	66	66	27	2	46	95	8.51	7.41
1995年	BAL/PHI	6	5	4.56	19	18	0	0	0	92.2	84	51	47	20	1	38	110	8.15	10.68
1996年	PHI	3	6	3.43	11	11	0	0	0	63.0	50	25	24	5	1	26	77	7.14	11.00
1997年	HOU	1	0	3.60	1	1	0	0	0	5.0	4	2	2	1	0	2	3	7.20	5.40
通算	15年	114	96	3.36	307	300	25	9	1	1866.1	1421	749	696	191	41	715	1743	6.85	8.40

※奪三振率、被安打率は9イニング平均に換算したもの。太字はリーグ最多（又は最高）。

[編集] エピソード

米国第50番目の州の出身であることを誇り、メジャーのキャリア中背番号は「50」で通した。（現在千葉ロッテマリーンズでプレイするベニーも同様である。）
メッツ時代の本拠地シェイ・スタジアムでは、フェルナンデスが先発登板する試合前にはハワイアンソングが流れた。
左の横手投げで、ストレートの球速は時速85マイル（136キロ）程度とメジャーでは遅い部類に入るが、独特のモーションと効果的なカーブで奪三振も多かった。
ドワイト・グッデンが投げている試合では、グッデンが三振を奪うたびに「K」のボードが掲げられたが、フェルナンデスが三振を奪うと「S」（「Sid」の「S」）のボードが掲げられた。
9イニング平均の被安打（通算）は6.85で、2006年終了時点でノーラン・ライアン、サンディー・コーファックス、ペドロ・マルチネス（現役）に次いで歴代4位である。
1986年のオールスターでは、ハワイ出身の先輩投手チャーリー・ハフ（当時レンジャース）と投げ合った。