鹿児島県第3区 (中選挙区)
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鹿児島県第3区(かごしまけんだい3く)は、かつて存在した衆議院の選挙区。1947年の第23回衆議院議員総選挙から設置された。廃止時の定数は2。1986年の公職選挙法改正に伴い定数は3から1つ削減された。 1994年の公職選挙法改正によって廃止され、旧鹿児島3区地域は現在の衆議院小選挙区で鹿児島県第5区にそのまま相当する。
目次 |
[編集] 概要
[編集] 地勢
鹿児島県東部、概ね旧大隅国に属する地域の選挙区である。大隅半島に加え、南方の種子島・屋久島が含まれる。当初は1926年の第16回総選挙から1942年の第23回総選挙まで使用された区割りに基づいて奄美諸島(大島支庁)も含まれる事になっていたが、1947年の中選挙区制復活に伴う選挙区設定時に同地域はアメリカ軍の軍政下にあり、1953年の返還後には奄美群島選挙区として独立した定数1の選挙区(小選挙区)とされた[1]。 人口流出による有権者の減少が進み、1986年の公職選挙法改正によって定数が1人削減されたため、全国で4選挙区生まれた「2人区」の一つとなった。
[編集] 結果
畜産(肉牛飼育)・葉タバコ栽培などの農業が地域産業の中心で、志布志町(現在の志布志市)での港湾整備を除くと大規模な商工業施設の建設が他地域と比較して少なかったため、農村を地盤とする自由民主党が他党を圧倒する強力な地盤を築いた。特に山中貞則と二階堂進の2人は強力で、山中は17回、二階堂は16回[2]の当選を重ね、共に自民党内で大きな影響力を持った。これに橋口隆を加え、自民党は第28回に続き、第31回からは6回連続で定数の3議席を独占した。さらに遡ると、保守合同前の4度でも全議席を保守系の候補が占めた[3]。
一方、日本社会党は厳しい戦いが続いた。有島輝武が左派社会党から出馬した1955年の第27回総選挙で初の革新系議席を奪い、通算で3回当選したが、その次は1983年の第22回総選挙で上西和郎が当選するまで16年間の空白が生まれた。その上西も定数削減の影響を受け、続く1986年の第38回総選挙では山中と二階堂に敗れた。1990年の第39回総選挙では消費税批判の追い風も受けた有川清次が「消費税の産みの親」とも呼ばれた山中を破って話題となったが、1993年の第40回総選挙で山中に議席を奪回された。
他の野党は更に厚い壁に阻まれた。公明党は候補者擁立自体を一度も行わず、民社党は民主社会党として結党した直後、1960年の第29回総選挙での立候補のみだった。日本共産党は公認候補を立て続けたが全く振るわず、特に第38回総選挙では柴立俊明の得票率が0.92%に終わり、1970年代以降の同党では異例の1%割れまで起こした。
[編集] 廃止時の選挙区域
※自治体の名称は第40回衆議院議員総選挙時点のものである。
- 鹿屋市
- 西之表市
- 垂水市
- 肝属郡
- 曽於郡
- 熊毛郡
[編集] 選挙結果
当落 | 得票 | 候補者 | 年齢 | 政党 | 経歴 |
---|---|---|---|---|---|
当 | 89,515 | 山中貞則 | 自由民主党 | 前 | |
当 | 53,457 | 二階堂進 | 自由民主党 | 前 | |
39,725 | 有川清次 | 日本社会党 | 前 | ||
16,713 | 加藤憲一 | 日本新党 | 新 | ||
2,598 | 柴立俊明 | 日本共産党 | 新 | ||
2,167 | 岩元力 | 無所属 | 新 |
当落 | 得票 | 候補者 | 年齢 | 政党 | 経歴 |
---|---|---|---|---|---|
当 | 86,751 | 二階堂進 | 自由民主党 | 前 | |
当 | 62,488 | 有川清次 | 日本社会党 | 新 | |
62,460 | 山中貞則 | 自由民主党 | 前 | ||
2,719 | 柴立俊明 | 日本共産党 | 新 |
[編集] 備考
- ^ 1992年には同選挙区が鹿児島1区に編入されたため、鹿児島3区の選挙が同地域で行われる事はなかった。
- ^ うち1回は1946年に大選挙区制で行われた第22回総選挙で鹿児島全県区から当選。
- ^ うち、第24回は民主自由党、第25回は自由党、第26回は自由党(吉田茂派)の独占。第25回は自由党候補が5人、第26回は吉田派4人に加え、同党鳩山派3人、改進党2人で計9人の候補が競う超乱立でも保守勢力が議席を独占した。
[編集] 関連項目
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地方の区分は現行の衆議院比例代表のブロックに基づく。 1992年12月の公職選挙法改正で奄美群島選挙区は鹿児島県第1区に編入され廃止。 |