鶏肉
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[編集] 概要
鶏肉はニワトリの肉のことである。もっとも代表的な家禽である鶏は鳥肉の代名詞的存在であり、単に鳥肉といえば鶏肉をさすことが多い。牛肉、豚肉と並んで日本で日常的に食用にされる肉のひとつ。新鮮なニワトリの肉でもカンピロバクターによる食中毒を引き起こすことがあるため生食には向かない。[1]
中部地方の一部、関西地方、九州地方では「かしわ(黄鶏)」とも呼ばれる。「かしわ」とは本来褐色の羽色の日本在来種のニワトリだが、それが鶏肉一般の名称に用いられるようになった。
また岡山県では老鶏(特に排卵を終えた雌鶏など)の肉を「かしわ肉」と呼び、販売され、食されている。
[編集] 産肉用品種
- ブロイラー:食肉用の若鶏。大規模な鶏舎において過密な状態で育成される。
- 銘柄鳥:ブロイラーに、通常の飼育方法(飼料内容、出荷日令等)とは異なる工夫を加えたもの。
- 地鶏:伝統的な放し飼いで育った鶏(一般的に地鶏という表示をするには品種・飼育期間等の条件がある)。
- 烏骨鶏(うこっけい)
[編集] 部位
- 胸肉
- 脂肪が少なく、調理法によってはパサパサした食感になる。もも肉に比べて価格が安い。蒸し物などに向く。
- ささみ
- 胸肉に近接した部位。脂肪が少なく、淡白な風味がある。形が笹の葉に似ていることから付けられた名称。サラダ、和え物に良い。中央に固い筋があり、筋を取り除いて販売されることもある。タンパク質の含有率が高く、ボディビルダー・スポーツ選手やダイエット中の人の食事として代表的。
- もも肉
- 脂肪が多く赤身でこくのある味が楽しめる。これは鶏の主要な筋肉として使われる為である。骨を付けたまま調理されることも多い。骨付き肉のうち中央の関節で切り離した上の部分をドラムスティックとも呼ぶ。
- 手羽
- 翼の部分。以下の3つの部位に分かれる。
以下は、鶏肉の部位としては認められていないが、焼き鳥・焼肉などではこのように呼ばれる。
また、肉・内臓を取り去った残り(大部分は骨)を鶏ガラと呼び、足の部分をその形状からモミジと呼ぶ。どちらも中華料理や西洋料理、ラーメン等の出汁を取るのに使われる。モミジは中華料理では「鳳爪」と称して、皮を食べる食材にもされる。
[編集] 料理
鳥料理とは、肉料理のうち鳥肉(特に鶏)を主体とした料理。地方ごとに、その地の地鶏などがあるところでは、鳥料理も盛ん。また、作家の堀辰雄に『鳥料理』という短編がある。
- 焼き鳥
- 親子丼
- 唐揚げ
- 照り焼き
- 竜田揚げ
- フライドチキン
- チキンバスケット
- チキンライス
- チキンスープ
- サムゲタン
- タットリタン
- ソトアヤム
- 鶏刺し
- 鶏肉ハム
- 鳥はむ
- タンドリーチキン
- バッファローチキンウィング
- 吉野鶏
- 串焼き
- 南蛮焼き
- 水炊き
- 手羽先餃子
- つくね
- 治部煮
- 棒々鶏(バンバンジー)
以下、郷土料理とされている鶏料理。
- かしわめし弁当(福岡県の折尾駅、佐賀県の鳥栖駅などで売られている駅弁。名物駅弁のひとつ)
- 鳥天(大分県中部の名物料理)
- 手羽先唐揚げ(名古屋市を中心とする中京圏の料理)
- チキン南蛮(宮崎県を中心に九州各地に広まる料理)
- がめ煮(福岡県・佐賀県など北部九州地方の料理。「筑前煮」とも)
- 鶏飯(鹿児島県奄美大島の郷土料理)
[編集] 歴史
- 18世紀鶏肉の値段は、一羽が一週間分の給料に匹敵した。大量飼育され始めたのが1950年代で、アメリカにケンタッキーフライドチキンが誕生したのもそれがきっかけだと考えられる。ダイエットブームにてチキンが大人気になった。
- 昔からアメリカとカナダでは、チキンスープを飲むと風邪がよくなるという言い伝えがある。近年、医学の研究により、チキンスープの栄養には風邪の症状を和らげる作用があると発表された。
- チキンオイスターという部分が鶏足のつけ根にあるというが、フランス語でソリレス=愚か者だけが捨てるという名前で呼ばれている。
- 天武天皇5年(675年)4月17日のいわゆる肉食禁止令で、4月1日から9月30日までの間、稚魚の保護と五畜(ウシ・ウマ・イヌ・ニホンザル・ニワトリ)の肉食を禁止された。『日本書紀』
- 現在では牛肉、豚肉と異なり、食のタブーに触れることが比較的少ない食肉のため、世界中で広く利用されている。
[編集] 脚注
- ^ 東京都食品安全情報評価委員会 (2004-07-09). "カンピロバクター食中毒を低減させるために (ja)" 2006年11月29日閲覧. 実験により、調理の際「中心部まで肉の色が変化していることを確認すれば、ほぼカンピロバクターが死滅する温度に達していると推測できる」と結論している。