高森町 (長野県)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
|
高森町(たかもりまち)は、長野県の南部、下伊那郡の北部にある町。
中央アルプスが臨め、天竜川の河岸段丘にある。農業が中心で、特に山付けの標高の高い場所ではりんご、梨などの果樹が、天竜川に近い場所では市田柿が特産である。
目次 |
[編集] 概要
町のキャッチコピーは、「柿とカヌーと祭りの町」。
柿とは、特産品の「市田柿」という干し柿の事を指し、カヌーとは、町の端、豊丘村、喬木村との間を流れる天竜川にカヌーが出来る港を作って毎年大会などを開いていることを指す。祭りは、町の西にある瑠璃寺より、地方に広まったと言われる獅子舞が披露される祭りや、町の中の地区などが主宰する納涼祭などの祭りが盛んに開かれていることを言っている。
また、別のキャッチコピーとして、しばしば「富本銭の町」などと言われていたのは、町内でかつて、現在日本最古の貨幣とされている富本銭が発掘されていたことから取られている。
[編集] 近年の動き
[編集] 高森町ケーブルテレビ
2003年4月、町内で、音声のみの町内の簡単なニュースと、町内のみの話題を取り扱った番組、そして、町内のみで通じる電話という有線放送を行っていた「高森町有線放送農業協同組合」がケーブルテレビに移行した。(高森町ケーブルテレビ)
これは、高森町全体をケーブルテレビのテレビ放送、光同軸ハイブリッド伝送方式を使った高速IP回線と、近隣の有線放送、ケーブルテレビの電話と相互接続が可能なようにNTT加入電話と同じ番号を使うなど、地域情報化を意識した作りになっている。ただし、開設されてから後現在に至るまで、サービスの拡充は行われておらず、さらにケーブルテレビは地元で普通に受信できる地上波およびNHKBSの送信にとどまっており、今後の拡充が待たれている。
[編集] 高森町町民参加条例
長野県内で初となる、「高森町町民参加条例」を2003年4月1日に施行した。これは町民が、自治組織における自らの役割と責務を自覚し、自主的かつ主体的に自治活動に取り組みながら、積極的にまちづくりに参加するようにと定められており、この条例をめぐり、当時、町議会において激しい議論が交わされた。
[編集] 蘭ミュージアム高森
町営の蘭ミュージアム高森が開園。世界中の蘭をあつめた博物館である。
現在は当初の予想を超える来園者数が出ているが、当初開園するまで必要なのかという激しい議論が行われた。
[編集] 合併論議
近隣の市町村、松川町、豊丘村、大鹿村などと市制を目指し、合併に向けて協議がもたれ、特に豊丘村からは強く要請が来ていた。 2004年07月から08月にかけて、町民意向調査が、町内に住む、外国人を含む20歳以上へのアンケートと言うかたちで行われたが、その結果、有効回答数の中からは自立すべきが6割を超え、合併すべきと答えた人は2割弱にとどまった。 高森町は居住区域が比較的まとまっているのに対し、他の3町村は居住区域が比較的分散しており、行政機関を統合すると考えた場合、合併しない方が高森町にとって効率的であると考えられている。
飯田市と合併するにしても、鼎町(現鼎地区)・上郷町(現上郷地区)が飯田市と合併した結果、行政的な中心が飯田市街地に集中しているために、従来あった鼎地区・上郷地区の行政的な主体性が失われてしまった。
このような現状から、町民は市町村合併に対して消極的である。
[編集] 連続殺人事件
2004年8月14日、出原にて一人暮らしの無職の男性(69歳)が殺害され、同年9月8日、またも吉田にて一人暮らしの清掃員の女性(73歳)殺害されるという、同一犯による犯行と見られる連続殺人事件が発生した。 町や警察では、パトカー・白バイ・広報車・消防団・防災行政無線などを利用し警戒を呼びかけるとともに、徹底した防犯指導・防犯対策と捜査が行われ、同18日に住所不定(本籍飯田市)の27歳の男が逮捕される。
逮捕された男は、高森町有線放送農業協同組合が配布している有線電話帳を見て一人暮らしを判断したと供述。この有線電話帳は、昔からの経緯もあり、加入者で掲載を拒否しなかった人すべての家の家族構成が載っていると言うものだった。 今後このことに対し、町や高森町有線放送農業協同組合では掲載についての明確な規定を定めるとともに、有線番号帳を公衆有線など不特定多数が見られる場所に置かないよう対応した。
また、町では現在に至るまで有線放送、防災無線、民生委員による訪問などを通じて防犯活動を展開している。
[編集] 唐沢洞埋め立て論議
2005年春、町より町役場前のほら(小さな沢でけずられた谷)である「唐沢洞(からさわぼら)」にたいして埋め立てを行い、そこに公共施設の駐車場、および洞を横断し町役場へのアクセスをよくする、さらには中学校への通学路の安全を確保する、といった計画が発表される。
それに対して、昭和36年に長野県南部を襲った大災害「三六災害」を経験した者が先頭に立ち、その洞より低い場所に住む者達を中心に、計画に対し異議を唱える陳情が出された。 反対派は、洞は水があつまって出来た場所であるため豪雨が降ると大量の水が集まることによって、崩れる危険性が非常に高いということ、さらには、かつての災害のとき、非常に崩れた箇所であり、近年の豪雨災害では埋め立てた箇所が表面がすべるように崩れている点を指摘している。さらには町が主張することはほぼ代案によってそれよりも安全に安価に地域の風景を破壊することなく実現可能としている。
しかしこの陳情は町議会では否決され受け入れることすらなかった。しかし、反対派は働きかけを続けており、議論が繰り広げられている。
[編集] 大型小売店出店
2005年春、町の山吹地域、現在の大型スーパーアピタ、カインズホームがある地域に大規模な商社の資本によるショッピングセンター計画が発表される。同年秋に本格着工予定であるこれは、地元商工会などが誘致したものである。これは、いくつかの店舗が集まるものとして構想されており、地域で最大規模になるといわれている。
以前近隣の市において、ベイシアグループによる大規模なショッピングセンター計画が、住民の反対によって白紙になるといった出来事がおきているが、今回の場合は地域の協力の元で計画が進んでいるようである。
地域では、有力な商店の商店街からの移転などで商店街が衰退が進んでいる。これに対して、近年は商工会・町が外からのショッピングセンターを誘致しており、この計画はその一環である。
[編集] 町議会議員選挙
2005年7月、高森町町議会議員選挙が行われる。近年は二期に渡って無投票で終わっていたが、今回は定員以上の候補者があつまり選挙となる。しかし地元の新聞などでは「地域選挙の域を出なかった」と評されるなどとても活発に行われたものではなかった。どの候補も「福祉」「町の自立」の二つを掲げたものの主張は具体性を欠き、近年町で起こっている出来事に対しての公約や主張というものがほとんどなかったのである。しかし一部で「このまま無投票が続けば、高森はだめになる」という動きがあり、それによって出馬したものがいたという事に関しては今までにない動きであった。
[編集] 町長選挙
2006年1月16日、5期20年と長い間町長を務めてきた吉川貢町長の任期切れにより町長選が行われる。吉川町長は今期限りで引退を宣言しており、新人三人の争いとなる。結果、熊谷元尋氏が当選。当選時43歳という若い町長の誕生となった。また、議員の町長選出馬に伴う補欠選挙も行われた。 投票率は、前回の町長選に比べて5パーセントあまり落ちた。
[編集] 政治
[編集] 町長
新人3名、投票率72.29%
[編集] 議会
議会定数15
定数1、立候補者2名、投票率72.29%
[編集] 人口
高森町と全国の年齢別人口分布図(比較) | 高森町の年齢・男女別人口分布図 |
■紫色は高森町
■緑色は日本全国 |
■青色は男性
■赤色は女性 |
総務省統計局 / 国勢調査(2005年) |
[編集] 地理
長野県の南信地方のちょうど中心の当たり、下伊那郡では、松川町に続いて北に近い場所にある。 南アルプス中央アルプスの間、天竜川の河岸段丘にある。町の東西でかなりの標高差がある。
[編集] 教育
- 高森町立高森南小学校
- 高森町立高森北小学校
- 高森町立高森中学校
[編集] 交通
[編集] 鉄道路線
[編集] 道路
[編集] 高速道路
- (飯田~松本・長野線、飯田~新宿線、飯田~横浜線、箕輪~大阪線、箕輪~名古屋線)
[編集] 一般国道
[編集] 都道府県道
- 長野県道15号飯島飯田線
- 長野県道226号市ノ沢山吹停車場線
- 長野県道227号市田停車場上市田線
- 長野県道228号市田停車場線
- 長野県道428号山吹停車場線
[編集] 主な町道
- 町道一号線 - 町の南北を貫く。現在は一部広域農道に併合。
- 上段開発道路(ハーモニック道路) 町の一番西、山付けを、町を南北に貫く道。始点に高森カントリークラブ、中間点に蘭ミュージアム高森、終点に湯ヶ洞 御大の館の温泉施設がある。
[編集] その他
高森町が運営する、高齢者を対象にした福祉バスあり。
[編集] 歴史
- 1875年(明治8年)1月23日
- 上平村、山吹村、北駒場村、北駒場新田村、竜口村、古野村、上新井村、名子村が合併し里見村となる。
- 上市田村、下市田村、吉田村、出原村、大島山村、牛牧村が合併して市田村となる。
- 1881年(明治14年)8月2日 - 市田村が上市田村、下市田村、吉田村、出原村、大島山村、牛牧村に分立。
- 同年9月9日 - 里見村が元大島村、大島村、山吹村に分立。(山吹村以外は現松川町の一部)
- 1889年(明治22年)4月1日 - 市町村制施行。上市田村、下市田村、吉田村、出原村、大島山村、牛牧村が再度合併して市田村が発足。山吹村は単独で発足。
- 1957年(昭和32年)7月1日 - 市田村、山吹村が合併して高森町が誕生。その際、町の南西にある高森山から名前を取る。
- 1961年(昭和36年)6月 - 大水害が起きる。年号から36災害(さぶろくさいがい)と呼ばれる。
[編集] 友好都市
[編集] 出身の有名人
[編集] 名所・旧跡・観光スポット・祭事・催事
- 山の寺(隣政寺)
- 哲学の道と呼ばれる道をあがった末にある。山の奥である。
- 瑠璃寺
- 勇壮な獅子舞が有名。獅子舞はこの寺からこの地方に広がったとされる。春には桜も美しい。
- 不動滝
- 瑠璃寺をさらに奥に入った場所にある。千水ノ沢の滝。
- 高森町立高森南小学校の校庭の桜
- 樹齢60年を超える大木のソメイヨシノが校庭を囲むように植えられている。日本一の桜の学校に選ばれたこともある。
- 市田灯篭流し花火大会
- 毎年8月18日。天竜川の水面を流れる灯篭と、美しい花火が見られる。地域では飯田市の「飯田時又灯篭流し」と並ぶ大規模な灯篭流し・花火大会。
- 湯ヶ洞 御大の館
- ラドン湯温泉施設。湯ヶ洞は宿泊施設で、故島岡吉郎にちなんでつけられた御大の館は日帰り温泉施設である。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- 高森町公式ページ
- 高森町ケーブルテレビ(高森町有線放送農業協同組合)
- 信州たかもり温泉 - 湯ヶ洞 御大の館のページ
- 宮ちゃんのフロント日記 - 湯ヶ洞・御大の館のフロント担当者によるWeblog。
- 高森カントリークラブ
[編集] 町内の地域
- 下市田、上市田、吉田、牛牧、出砂原(ださら)、山吹、出原(いづはら)、大島山(おおじまさん)
|
|
---|---|
市部 | 長野市 | 松本市 | 上田市 | 岡谷市 | 飯田市 | 諏訪市 | 須坂市 | 小諸市 | 伊那市 | 駒ヶ根市 | 中野市 | 大町市 | 飯山市 | 茅野市 | 塩尻市 | 佐久市 | 千曲市 | 東御市 | 安曇野市 |
南佐久郡 | 小海町 | 川上村 | 南牧村 | 南相木村 | 北相木村 | 佐久穂町 |
北佐久郡 | 軽井沢町 | 御代田町 | 立科町 |
小県郡 | 青木村 | 長和町 |
諏訪郡 | 下諏訪町 | 富士見町 | 原村 |
上伊那郡 | 辰野町 | 箕輪町 | 飯島町 | 南箕輪村 | 中川村 | 宮田村 |
下伊那郡 | 松川町 | 高森町 | 阿南町 | 清内路村 | 阿智村 | 平谷村 | 根羽村 | 下條村 | 売木村 | 天龍村 | 泰阜村 | 喬木村 | 豊丘村 | 大鹿村 |
木曽郡 | 木曽町 | 上松町 | 南木曽町 | 木祖村 | 王滝村 | 大桑村 |
東筑摩郡 | 麻績村 | 生坂村 | 波田町 | 山形村 | 朝日村 | 筑北村 |
北安曇郡 | 池田町 | 松川村 | 白馬村 | 小谷村 |
埴科郡 | 坂城町 |
上高井郡 | 小布施町 | 高山村 |
下高井郡 | 山ノ内町 | 木島平村 | 野沢温泉村 |
上水内郡 | 信州新町 | 信濃町 | 小川村 | 中条村 | 飯綱町 |
下水内郡 | 栄村 |