金賢姫
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金賢姫 | |
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各種表記 | |
ハングル: | 김현희 |
漢字: | 金賢姬 |
平仮名: (日本語読み仮名) |
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片仮名: (現地語読み仮名) |
キム・ヒョニ |
ラテン文字転写: | Kim Hyeonhee |
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金賢姫(キム・ヒョンヒ、1962年1月27日 - )は、大韓航空機爆破事件(1987年)を実行した朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の元工作員。現在46歳。
目次 |
[編集] 人物
大韓航空機爆破事件を実行する為「李恩恵」と呼ばれる女性1981年7月から1983年3月まで東北里2階3号招待所で日本語教育(日本から拉致された田口八重子とみられている)に教育を受け、「蜂谷 真由美(はちや まゆみ)」という名の日本人になりすました。
事件の折り現地バーレーンの警察に捕まる直前、「蜂谷 真一(はちや しんいち)」と言う名の日本人になりすましていた共犯の金勝一(キム・スンイル)と共に、煙草を吸うふりをして服毒自殺を図るが、金賢姫だけは一命を取りとめた(しかし、一方で金賢姫は全く毒物を服用していないと言う意見もある)。その後、韓国国家安全企画部(国家情報院)に引き渡され尋問される際も中国語や日本語で返答していたが、隠し切れずに自白した。自白後、聖書を通してイエス・キリストを知り、ソウルのヨイドにある中央浸礼教会で受浸、クリスチャンになった。
日本語が堪能。北朝鮮で李恩恵と一緒に暮らし、日本の文化や習慣、料理などを習得した。ちなみに、好きな歌手は山口百恵で、日本の民謡だけでなく山口百恵の曲も多く歌える。
[編集] 家族
- 父 ― 金元錫(キム・ウォンソク)。
- 母 ― 林名植(イム・ミョンシク)。開城出身(朝鮮戦争前は韓国領)のため隠していた。
- 妹 ― 賢玉(ヒョノク)。結婚していたが、夫は心臓麻痺で死亡。
- 弟 ― 賢洙(ヒョンス)。
- 弟 ― 範洙(ポムス)。15歳で皮膚がんで死亡している。
[編集] 来歴
- 1962年 - 外交官キューバ駐在の北朝鮮大使館三等書記官の父と教師の母との長女として生まれる、生後間もなく父の赴任先であるキューバへ。4歳の時に北朝鮮の首都平壌に帰国
- 1989年 - 死刑判決が確定したが、翌1990年 韓国政府によって特赦される。この特赦は政治的配慮からで、北朝鮮当局からの強い要請によるものとされている。[要出典]
- 1997年 - 日本テレビのスペシャル番組、あの人は今!?に出演。市川森一にコロッケなどをご馳走した。
- 1997年 - ボディーガードであった元国家安全企画部員の男性と結婚した。その後名前を変え、男児を出産し、ソウル市内で普通の主婦として暮らしている。
- 2005年 - 国家情報院が事件の再捜査を決定。証人として金賢姫が証言する事になった。
- 2007年 - アメリカに向けて、亡命のために出国したとの情報が流れる。現在、大韓民国政府並びに韓国のアメリカ大使館はこの情報を否定。
その後の動静は不明とされる。後述の通り、後になって、事件は韓国の国家安全企画部(現・国家情報院)が仕組んだ謀略ではないのかという疑惑が浮上し、これについて2005年2月、国家情報院の「過去事件の真実究明をとおした発展委員会」が事件の再捜査を決定。だが、現時点では金賢姫本人の証言の見通しは立っておらず、実現の可能性は皆無と言う見解である。
[編集] 疑惑
事件直後に東ヨーロッパや中東における、金賢姫と金勝一の足跡を丹念に追った日本人ジャーナリスト野田峯雄は、バーレーンの病院で担当医師から「金勝一は瀕死の状態だったが、金賢姫には何の異常もみられなかった」との証言を得るなど、金賢姫は本当に北朝鮮の工作員なのかと問いかけた『破壊工作―大韓航空機爆破事件、葬られたスパイたちの肖像』(JICC出版局)を1990年に発表している。このノンフィクションを参考にして韓国の作家が2003年、事件は韓国の国家安全企画部(現・国家情報院)が仕組んだ謀略ではないのかという疑問を呈した小説『背後』を発表、韓国でベストセラーとなった。これは、大きな事件が起きたときに特徴的な陰謀論であるが(詳しくは大韓航空機爆破事件を参照)、金賢姫が毒物アンプルを噛んだ際にはバーレーンの空港の警官が直ちに吐き出させており、「金賢姫には何の異常もみられなかった」という証言を持って事件全体が韓国の国家安全企画部の謀略とする方こそ、数々の矛盾がある。
[編集] 著書
- 金賢姫・著 池田菊敏・訳 『いま、女として - 金賢姫全告白』 上・下 全2巻 文芸春秋 1991年10月 上巻 ISBN 4-16-345640-6 下巻 ISBN 4-16-345650-3
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- (文春文庫) 文芸春秋 1994年9月 上巻 ISBN 4-16-756501-3 下巻 ISBN 4-16-756502-1
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- 金賢姫・著 池田菊敏・訳 『愛を感じるとき』 文芸春秋 1992年12月 ISBN 4-16-347090-5
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- (文春文庫) 文芸春秋 1995年12月 ISBN 4-16-756503-X
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- 金賢姫・著 池田菊敏・訳 『忘れられない女 - 李恩恵先生との二十ヵ月』(わすれられないひと - ) 文芸春秋 1995年6月 ISBN 4-16-350380-3
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- (文春文庫) 文芸春秋 1997年10月 ISBN 4-16-756504-8
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[編集] 関連文献など
[編集] ビデオソフト
- 『真由美/政治犯・金賢姫 - 犯罪史上衝撃の大韓航空858便爆破事件』 ASIN: B00005H7MM (1990年の韓国映画、日本版ソフトはダイジェスト版?)
- 『金賢姫 私と北朝鮮』 文芸春秋 1994年5月 ISBN 4-16-911313-6
- 『金賢姫 北朝鮮を語る』 文芸春秋 1996年5月 ISBN 4-16-911320-9
[編集] 書籍
- 徐鉉佑・著 金載協・訳 『背後 - 金賢姫の真実』 幻冬舎 2004年6月 ISBN 4-344-00626-7
- 趙甲済・著 池田菊敏・訳「北朝鮮女秘密工作員の告白」徳間文庫1997年11月 ISBN4-19-890788-9
[編集] テレビ
- 土曜プレミアム特別企画『大韓航空機爆破事件から20年 金賢姫を捕らえた男たち 〜封印された3日間〜』フジテレビ 2007年12月15日放送