荒川稔久
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荒川稔久 | |
プロフィール | |
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誕生日 | 1964年3月14日 |
出身地 | 愛知県名古屋市 |
主な作品 | |
アニメ | 『BLUE SEED』 『鋼鉄天使くるみ』 『りぜるまいん』 |
特撮 | 『仮面ライダークウガ』 『爆竜戦隊アバレンジャー』 『特捜戦隊デカレンジャー』 |
荒川 稔久(あらかわ なるひさ、1964年3月14日 - )は、日本の脚本家。愛知県名古屋市出身。主にアニメ、特撮テレビドラマの脚本・シリーズ構成を手掛けている。
愛知県立大学在学中の1986年、小山高生が主宰するシナリオ学校「アニメシナリオハウス」の第1期生となり、同年、『ドテラマン』でデビュー。翌1987年、川崎ヒロユキ、影山由美、らとともに、小山が設立した企画集団「ぶらざあのっぽ」の創立メンバーとなる。同集団にはのちに隅沢克之、あかほりさとるらも加わった。
特撮テレビドラマ作品のデビューは1988年、『仮面ライダーBLACK』第28話「地獄へ誘う黄金虫」にて。
目次 |
[編集] 作風
- 女性キャラクターをストーリーの中心に据えた作品やエピソードには定評があり、「ヒロインものの名手」と言われる。『鋼鉄天使くるみ』『りぜるまいん』など、自分の手がけたヒロインアニメの主題歌作詞を自ら手がけることで有名。また、戦闘シーンで戦場を様々な世界に二転三転させることでも知られる。
- 「鳥人戦隊ジェットマン」からスーパー戦隊シリーズの脚本に参加。「オーレンジャー、ゴーゴーファイブ~ガオレンジャー」を除いた作品のサブライターとしてギャグ路線のエピソードを担当する場合も多い。「スーパー戦隊Vシネマ」にはテレビシリーズのメインライターにかわり執筆することが多い。
- アニメにおいては、もっぱら「美少女アニメ」をシリーズ構成から手がけることが多く、その「美少女もの」としての安定した作風と王道ぶりには定評がある。
- 特撮テレビドラマにおいては、『五星戦隊ダイレンジャー』の将児、『仮面ライダークウガ』の五代雄介、『爆竜戦隊アバレンジャー』の伯亜凌駕など、「たとえ何度裏切られても、それでも人間を信じたい」という強い信念を持つ人物を好んで物語の中心に据える傾向が見られ、スーパー戦隊シリーズではエピソードのテーマを意図的に「戦隊メンバー全員の結束」に集約するなど、人間の連帯を暗に訴える作品が多い。また、「ヒーローでなくなった後」をも視野に入れた「ヒーローである人物の日常」を非常に重視する。
- 熱狂的なアイドルファンであり、アニメや特撮にも脚本中にアイドル芸能ネタを随所に絡めたり、ヒロインにコスプレさせる話やアイドル的なノリを導入したりすることでも有名である。
具体例としては、
- 『BLUE SEED』の8話「何なの!変なの∇ライバル登場?!」
- 『燃えろ!!ロボコン』の6話「アイドルになりたい!! 」
- 『鳥人戦隊ジェットマン』の39話「廻せ命のルーレット 」
- 『恐竜戦隊ジュウレンジャー』の38話「メイ姫七変化!!」
- 『五星戦隊ダイレンジャー』の33話「アイドル初体験」
- 『忍者戦隊カクレンジャー』35話「おしおき三姉妹(シスターズ) 」
- 『激走戦隊カーレンジャー』の25話「ナゾナゾ割り込み娘!」※ちなみにこの回はスーパー戦隊史上最低視聴率を記録した。
- 『星獣戦隊ギンガマン』の14話「二人のサヤ」
- 『忍風戦隊ハリケンジャー』の30話「アイドルと友情」
- 『暴竜戦隊アバレンジャー』の22話「娘たちのアバレ歌」と28話「花嫁はアバレチャン」
- 『特捜戦隊デカレンジャー』の17話「ツインカム・エンジェル」
- 『魔法戦隊マジレンジャー』の22話「京都でデート?~ルーマ・ゴルド~」
- 『轟轟戦隊ボウケンジャー』の37話「憧れの芸能界」と38話「虹の反物」
- 『獣拳戦隊ゲキレンジャー』の23話「グレグレ!スケバンキャプテン」と33話「フレフレガッチリ!カンチー忠臣蔵」
- 『炎神戦隊ゴーオンジャー』の13話「侠(おとこ)気マンタン 」
- 『特捜戦隊デカレンジャーVSアバレンジャー』の女戦士対サキュバスのシーン
- 『魔法戦隊マジレンジャーVSデカレンジャー』の女戦士対ナイ、メアのシーン
- 1990年代後半 - 2000年代の東映特撮作品でメインライターを担当した脚本家の殆どがそうであるように、1990年代前半までの特撮ヒーローが持っていた「完全無欠」「孤高」といったステロタイプには懐疑的。『超光戦士シャンゼリオン』(1996年)で1本だけ書いた脚本(第30話「ヒーローの先生!」)では、ヒーローおたくのダークサイドを通してそれらを戯画化している。そういったことから、「説教臭い」「ヒーローが弱い・ワイルドさがない」「カタルシス不足」などの批判もある。
[編集] エピソード
- 名古屋市出身のせいか、所々に名古屋ネタを絡めることもある。彼が脚本を手がけたドラマCD『コンパイラFX』では、同じ愛知県出身の水谷優子演じるアセンブラが名古屋訛りになったり、当時ののぞみ号の1本が名古屋飛ばしにされていたことに怒り狂うという、完全に原作から外れた話になっていた。また、自身で代表作に挙げている『センチメンタルジャーニー』での"名古屋編"山本るりかのエピソードでは、アニメオリジナルで設定した双子の兄・山本昌宏は演じた石田彰も愛知県出身で「たぁけー(たわけー)」など絶妙な名古屋弁を披露、他にもすがきや、山本屋などの単語が飛び交い待ち合わせはナナちゃん人形の下、と同シリーズの中でも一際御当地色の強い一本となった。
- 『仮面ライダーBLACK』で初めて特撮作品を執筆したが、その頃彼がプロデューサーに提出するプロットは自身が多分に影響を受けた脚本家・上原正三に似た作風のものばかりだという。しまいには東映の吉川進プロデューサーに「上原正三は二人も要らないんだよ」と一喝されそれらはことごとくボツになったという。若い頃の苦い思い出だが、おかげで独自の作風を編み出すことが出来たと当の上原正三本人との対談で本人が語っている。
- プロ野球中日ドラゴンズのファンで、『仮面ライダークウガ』や『爆竜戦隊アバレンジャー』では、登場人物にドラゴンズの選手・監督の姓名を振る趣向を見せ(『クウガ』の「杉田守道」、『アバレンジャー』の「杉下竜之介」など)、『りぜるまいん』でもヒロインのりぜるに、応援歌『燃えよドラゴンズ!』の替え歌で「一番素敵なダンナ様、二番素敵なダンナ様〜」と歌わせている。自身も井上敏樹の代打で『超光戦士シャンゼリオン』の脚本を執筆する際、「木下健」(姓名を倒置し音読するとケン・モッカになる)の筆名を使っている。そのほかにも、『五星戦隊ダイレンジャー』24話の野球対決で、ダイレンジャーに青地に白い「D」の文字の帽子、ゴーマ3ちゃんズに黒地にオレンジの「G」の文字の帽子を被せており、明らかにドラゴンズVSジャイアンツの試合を意識した場面となっていた。
- 『帰ってきたウルトラマン』(1971年)のファンでもあり、『仮面ライダークウガ』のプロデューサーだった高寺成紀の回想によれば、『クウガ』のシナリオの打ち合わせで行き詰まったとき、同作に出演していた藤田進の物真似で「MATは解散だ」と言ったこともあったという。
- スーパー戦隊シリーズでは二度目のメインライターを務めた『特捜戦隊デカレンジャー』は1970年代 - 1980年代の刑事ドラマのテイストを織り込んだことでも知られるが、第37話「ハードボイルド・ライセンス」は、自身が「一番ハマった刑事ドラマ」という『非情のライセンス』にオマージュを捧げたエピソードであり、いい意味で泥臭く、しかし重苦しくやるせない内容は多くの反響を呼んだ。
- 多くの作品で主題歌・挿入歌の作詞を手がけている。特に『鋼鉄天使くるみ』主題歌「KissからはじまるMiracle」、同OVA版エンディングテーマ「すきすきすきすキスして!」、『りぜるまいん』主題歌「はじめて♡しましょ」、『激走戦隊カーレンジャー』挿入歌「暴走戦隊ゾクレンジャー」、同「夢見るらぶらぶラジエッタ」など、いわゆる電波ソングを作詞させると妙に上手い。一方で、前出の『特捜戦隊デカレンジャー』「ハードボイルド・ライセンス」のために書いた「私だけのぬくもり」は、『非情のライセンス』のエンディングテーマ『昭和ブルース』を髣髴とさせる出来になっている。
- 『カーレンジャー』第34話には、同時期に担当していたアニメ『水色時代』のパロディ『夢色時代』が、ゾンネットの愛読書として登場している。
[編集] 脚本作品
[編集] アニメ
[編集] シリーズ構成
- BLUE SEED(1994年)
- センチメンタルジャーニー(1998年)
- 快傑蒸気探偵団 TV ANIMATION SERIES(1998年)
- 課長王子(1999年)
- 鋼鉄天使くるみ(1999年)
- セラフィムコール(1999年)
- スージーちゃんとマービー(1999年 - 2000年)
- りぜるまいん(2002年)
- D・N・ANGEL(2003年)
- 超変身コス∞プレイヤー(2004年)
- ヒットをねらえ!(2004年)
- LOVE♥LOVE?(2004年)
- ジンキ・エクステンド(2005年)
- エレメンタル ジェレイド(2005年)
- ラブゲッCHU 〜ミラクル声優白書〜(2006年)
- サルゲッチュ 〜オンエアー〜(2006年)
- 狼と香辛料(2008年)
[編集] OVA
- I・R・I・A ZEIRAM THE ANIMATION(1994年)
- カナリア 〜この想いを歌に乗せて〜(2002年)
- ないしょのつぼみ(2008年)
[編集] その他
- ハイスクール!奇面組(1985年 - 1987年)
- ドテラマン(1986年 - 1987年)
- ドラゴンボール(1986年 - 1989年)
- ついでにとんちんかん(1987年 - 1988年)
- アップルポップ(1988年 - 1994年 『ひらけ!ポンキッキ』の1コーナー)
- がきデカ(1989年 - 1990年)
- 魔動王グランゾート(1989年 - 1990年)
- キャッ党忍伝てやんでえ(1990年 - 1991年)
- 三つ目がとおる(1990年 - 1991年)
- 魔法のエンジェルスイートミント(1990年 - 1991年 シリーズ構成補)
- ジャンケンマン(1991年 - 1992年)
- 水色時代(1996年)
- 機動戦艦ナデシコ(1996年 - 1997年)
- ケロケロちゃいむ(1997年)
- アキハバラ電脳組(1998年)
- 万能文化猫娘(1998年)
- 時空転抄ナスカ(1998年)
- 機巧奇傳ヒヲウ戦記(2000年 - 2001年)
- だぁ!だぁ!だぁ!(2000年 - 2002年)
- SAMURAI DEEPER KYO(2002年)
- ドラゴンドライブ(2002年 - 2003年)
- ロックマンエグゼ(2002年 - 2006年)
- ペンギンの問題(2008年~)
[編集] ライトノベル
- 超魔神伝説
- 1 旅立ちのアクァス 大陸書房ネオファンタジー文庫
- 2 復活の魔神たち 大陸書房ネオファンタジー文庫
[編集] 特撮
(▲はシリーズ構成、もしくはメインライターを務めた作品)
- ※メインライターとシリーズ構成の違いは八手三郎の項目参照
- 仮面ライダーBLACK(1987年)
- 超光戦士シャンゼリオン(1996年、木下健名義)
- 燃えろ!!ロボコン
- 仮面ライダークウガ(2000年)▲
- 鋼鉄天使くるみpure(2002年)▲
- MAGISTER NEGI MAGI 魔法先生ネギま!(2007年)▲
- スーパー戦隊シリーズ
- 鳥人戦隊ジェットマン(1991年)
- 恐竜戦隊ジュウレンジャー(1992年)
- 五星戦隊ダイレンジャー(1993年)
- 忍者戦隊カクレンジャー(1994年)
- 激走戦隊カーレンジャー(1996年)
- 電磁戦隊メガレンジャー(1997年)
- 星獣戦隊ギンガマン(1998年)
- 忍風戦隊ハリケンジャー(2002年)
- 爆竜戦隊アバレンジャー(2003年)▲
- 特捜戦隊デカレンジャー(2004年)▲
- 魔法戦隊マジレンジャー(2005年)
- 轟轟戦隊ボウケンジャー(2006年)
- 獣拳戦隊ゲキレンジャー(2007年)
- 炎神戦隊ゴーオンジャー(2008年)
[編集] 映画
- 爆竜戦隊アバレンジャー DELUXE アバレサマーはキンキン中!(2003年)
- 特捜戦隊デカレンジャー THE MOVIE フルブラスト・アクション(2004年)
- 電影版 獣拳戦隊ゲキレンジャー ネイネイ!ホウホウ!香港大決戦(2007年)
[編集] オリジナルビデオ
- スーパー戦隊Vシネマ
- 電磁戦隊メガレンジャー VS カーレンジャー(1998年)
- 星獣戦隊ギンガマン VS メガレンジャー(1999年)
- 特捜戦隊デカレンジャー VS アバレンジャー(2005年)
- 魔法戦隊マジレンジャー VS デカレンジャー(2006年)
- 獣拳戦隊ゲキレンジャーVSボウケンジャー(2008年)
- 超忍者隊イナズマ!(2006年)
- 超忍者隊イナズマ!SPARK(2007年)