味噌煮込みうどん
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味噌煮込みうどん(みそにこみうどん)は、愛知県の郷土料理のひとつ。
[編集] 概要
名古屋圏で多く製造され消費される豆味噌は、他地域の麦味噌米味噌にくらべ、煮込んだ際に風味が落ちにくく、そのため味噌をベースにした料理が多い。味噌煮込みうどんもその一つである。
鰹節の出汁を効かせた豆味噌(八丁味噌など)仕立ての濃い汁と、生地に塩をいれず小麦粉と水だけで作られる極めてコシの強い麺が特徴である。太くて固い麺は「生煮え」「芯が残っている」と敬遠されることもあるが、最近では全国的にも名が知れ、その味も認知されて好まれるようになってきている。
一人前用の小さな土鍋でうどんを煮立てて、熱い土鍋をそのままに食卓に出され、すいとんやほうとうなどと同じく、つゆや汁を別に作らずに、うどんを煮た汁はそのままの状態で食べる。
味噌煮込みに用いられる土鍋の蓋は空気孔がなく、煮ている最中には使わない。この蓋は食卓に出される直前に土鍋にかぶせられ、食事が始まるまで保温の役割を果たす。そして、食事が始まると、この蓋を小皿代わりにしてうどんとその汁を蓋によそって冷ましながら食べるのである。このため普通の土鍋の蓋のように空気孔があると汁が漏れ、食べにくくなってしまう。
用いられる具としては鶏肉、月見卵、ネギ、シイタケ、餅などが一般的である。麺にはきしめんの麺を使用する場合もある。白飯と一緒に食べることも珍しくなく、また余った汁を米と一緒に炊き、おじやとする場合もある。
なお、味噌煮込みうどんと白飯を一緒に食べる習慣は、テレビドラマ『名古屋嫁入り物語』で、植木等演ずる主人公が、東京で味噌煮込みうどんを供するうどん屋において、「おおいっ! リャイスがにゃーじゃにゃーきゃ(名古屋弁で「ライスがないじゃないか」)!」と店員に怒鳴るシーンで、一躍全国的に知れ渡ることとなった。
味噌仕立ての煮込みうどんは日本各地にあり、味噌煮込みうどん・田舎煮込みうどん・田舎風味噌煮込みうどん等と呼ばれている。しかし、それらは米味噌である白味噌ベースで作られており、赤みの強い八丁味噌などの豆味噌を使用するのは、概ね名古屋圏のみである。通常、味噌煮込みと言う場合は名古屋周辺の味噌煮込みうどんを指す。愛知県ではインスタント食品として袋に入った味噌煮込みうどんやカップ麺なども販売されている。
また一説によると、戦国時代、武田信玄の陣中食だったほうとうが、武田家滅亡後に徳川家に召し抱えられた武田家遺臣によって徳川家に伝えられたのが名古屋の味噌煮込みうどんの起源であるとも言われている。
名古屋市以外でも、愛知県内の店ならまず販売しており、比較的良好な値段で食すことができる。
また、非常に味が濃く、この味の濃さが「名古屋」である事を物語っている。