書道
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書道(しょどう)または書(しょ)とは、書くことで文字の美を表そうとする東洋の造形芸術である。カリグラフィーの一種。習字、書写とは違い、文字の習得を目的としていない。中国が起源であるが、日本においては漢字から派生した仮名、ベトナムではチュノムなどが発明されると共にそれぞれ独自の書風が作られている。
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[編集] 概説
書道は主に毛筆と墨を使い、その特徴を生かして紙の上に文字を書くことである。その技法には、筆法(筆の持ち方、点画の書き方)、結構法(字形の整え方)、章法(全体のまとめ方)があり、それぞれに様々な方法が編み出され、書体や書風などによって使い分けられている。
日本では昭和時代からの大規模な書道展の開催により、書道が近代芸術としての地位を確立したことから、その芸術作品としての創作方法も書の技法に加わった。これらの技法の習得には、色々な教育機関を通じて書家に師事し、古典を中心に学習し、書道展などに出品しながら技量を高めていくのが一般的である。
日本の代表的な展覧会である日展の第五科(書)では、漢字、かな、篆刻、調和体の4領域が実施されている。
[編集] 用具
毛筆による書道の場合、硯・筆・紙・墨が最低限必要な用具であり、これらは文房四宝と呼ばれる。墨が固形の場合、水も必要となる。このほか、毛氈と呼ばれる下敷きも多用される。
- 硯…絵画におけるパレットと用途は同じである。墨を磨る、或いは墨汁をためておく役割を果たす。通常、石材が用いられるが、中には陶器や漆器などで出来たものもある。
- 筆…馬、羊、狸などの動物の毛をまとめて木や竹の柄の先に取り付けたものが一般的である。ほかに、鶏、鼬、マングース、孔雀、竹などもある。楷書用の大筆は八分目までおろし、行草用は根本までおろして使うのが良いとされる。小筆は半分以上おろさない方がよい。
- 紙…大量生産された書道用紙が多く用いられるが、高級なものでは宣紙、和紙なども使用される。
- 墨…インクである。植物油や石油、松などの煤を膠で固め、保存性を高めたものが市販されている。煤を植物油や石油から採ったものを「油煙墨」、松から採ったものを「松煙墨」という。また、液体として墨汁も多用される。
- 文鎮…紙を固定するための重りである。大きさや重さに特に制限はない。
[編集] 古典
書の古典とは、先人たちの努力と創意の積み重ねにより生まれた美しい筆跡であり、この古典を学ぶことが最も正統な書の学習とされる。書を究めることは容易ではないが、古典を学び先人たちの書とその変遷を知ることにより、学書者に指針を与え、さらに作品の深さや心の高さなど、独りでは到底到達できない境地まで引き上げる効果が期待できる。古典は数多くあるが、最初に学習すべき各書体の基本的な古典は通常以下のものとされる。
[編集] 書道教育と教育機関
[編集] 書道教育
- 中国
- 中国では書法(Shūfǎ しょほう)と呼ばれ、初等教育で指導される。簡体字が視覚的に美しくないということで繁体字での書道教育も模索された時期があるものの、政策としての簡体字推進に矛盾することから現在は簡体字の指導で統一される。硬筆・ボールペンなどの書道教育も試みられている。また、中国各地に書法協会が存在し、公教育から離れた立場で書道の発展に貢献している。
- 日本
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- 日本の義務教育では、国語科の書写として小学3年生以上の授業では毛筆により指導されることが学習指導要領で定められている。高等学校では芸術科に音楽・美術などと並び、書道が選択科目として配置されている。
- 大学では、教育学部や文学部を置く大学では書道に関する講義を設けている。特に各県に設置されている教員養成系の教育学部では書写教育・書道教育の研究室が置かれ、専門教育が施されている。
- 岩手大学、新潟大学、筑波大学、東京学芸大学、静岡大学、福岡教育大学などの国公立大学では、書道に関する学科・専攻・学群・コース・領域が置かれ、大学院も併設し、有為な指導者の育成を目指している。筑波大学と、東京学芸大学、横浜国立大学、千葉大学、埼玉大学の4校からなる東京学芸大学大学院連合学校教育学研究科(連合大学院)には博士課程(教育学博士)も設置されている。
- 私立大学では、大東文化大学では書道学科、四国大学では書道文化学科を開設し、書家や教育者の本格的養成に努めている。なお、両大学は大学院にも書道に関する専攻を設置している。
- 書道学科(専攻・コース等)を設置している日本の国公立大学(ゼミを除く)
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- 岩手大学 教育学部 学校教員養成課程 小学校教育コース(書道サブコース)・中学校教育コース国語科(書道)
- 岩手大学 教育学部 芸術文化課程 造形コース(書道)
- 新潟大学 教育人間科学部 芸術環境創造課程 書表現コース
- 筑波大学 芸術専門学群 美術専攻 書コース
- 東京学芸大学 教育学部 教育系 中等教育教員養成課程(B類) 書道専攻
- 東京学芸大学 教育学部 教養系 芸術文化課程(G類) 書道専攻
- 静岡大学 教育学部 芸術文化課程 書文化専攻
- 京都教育大学 教育学部 美術領域専攻(書道分野)
- 奈良教育大学 教育学部 総合教育課程 文化財・書道芸術コース 書道芸術専修
- 大阪教育大学 教育学部 中学校教員養成課程 美術・書道専攻
- 福岡教育大学 教育学部 中等教育教員養成課程/教科コース 書道専攻
- 福岡教育大学 教育学部 生涯スポーツ芸術課程/芸術コース 書美領域
- 書道学科(専攻・コース等)を設置している日本の私立大学(ゼミを除く)
[編集] 日本の書道団体
芸術系の書道団体と教育系の書道団体があり、芸術系では日展が全国的な公募展を行っている。このほか、地方・都道府県単位で組織する書作家協会や、書家が主宰する様々な会(社中とも呼ばれる)がある。教育系団体は独自の検定試験などを行い、書道の普及活動に努めている。
主な芸術系団体
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主な教育系団体
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[編集] 職業としての書道
日本では昔から「読み書きソロバン」として寺子屋などで習字が指導されてきた。この伝統の下、多くの書道教室・習字教室が存在している。指導者は高齢化の傾向にあったが近年、若手の男性書家がテレビ番組や若者向き雑誌に登場するなど、やや様変わりしてきた。
[編集] 技量の判定
現在客観的な書道の技量判定基準は文部科学省後援の毛筆書写検定があるが、これは4級から1級までであり、段位の認定はない。だが、1級を取得したならば指導者として公的に認められる。これに対して一般に普及している段位・級位や師範の認定は各書道教室や書道会が独自に判定しており、共通した基準に基づくものではない。
[編集] 書道史
詳細は中国の書道史を参照
詳細は日本の書道史を参照
[編集] 筆跡
- 日本
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- 漢委奴国王金印
- 熊本県江田船山古墳出土太刀銘
- 和歌山県隅田八幡画像鏡銘
- 埼玉県稲荷山古墳出土鉄剣金象嵌銘文
- 法隆寺金堂釈迦像銘
[編集] 歴史上の書家
- 日本
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- 聖徳太子(三経義疏)
- 空海、嵯峨天皇、橘逸勢(三筆)
- 小野道風、藤原佐理、藤原行成(三蹟)
- 空海、菅原道真、小野道風(書の三聖)
- 本阿弥光悦、近衛信尹、松花堂昭乗(寛永の三筆)
- 巻菱湖、市河米庵、貫名菘翁(幕末の三筆)
- 江戸時代までの書家
-
詳細は日本の書家一覧を参照
- 明治時代からの書家
-
詳細は日本の漢字書家一覧を参照
-
詳細は日本のかな書家一覧を参照
[編集] 主な流派
[編集] 関連項目
[編集] 参考文献
- 『日本と中国の書史』 - 社団法人 日本書作家協会発行 木村卜堂著
- 書道専門誌 『墨』 - 株式会社 芸術新聞社発行 - 1994年8月臨時増刊 書の技法指南
[編集] 外部リンク
書道用語集
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