暴力
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暴力(ぼうりょく、violence:バイオレンス)とは、一般的に他者に対して物理的・心理的に圧力を加える力をいう。狭義には物理的・肉体的に行使される力をいう。
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[編集] 概説
- 暴力と権力
多くは、不法に用いられる力についていわれる。だが、マックス・ウェーバーはその国家論において、権力を正当化された暴力と捉えた。
不法に行使された力のみを「暴力」と呼ぶ場合、正当性の有無が論争になることがある。行使の当事者が、正当な権利の行使である、あるいは報復や正当な懲罰行為であると主張するが、他方からは正当性が認められないという事態が起こりうる。特に国家間の軍事力の行使では、こうした意見の対立が多く見られる[1]。
- 暴力が現れる場面・暴力をふるう者
歴史的に見て、暴力はいつの時代にも存在していた、と言えよう。
人類の歴史を見ると(一部の例外的な地域・時期はあるにしても)概して、戦争は絶えたことが無い。歴史的に見て、兵士が兵士に対して暴力をふるうだけでなく、一般の住民(非戦闘員)の財産・金品を略奪したり、必然性も無く殺したり(殺人)、婦女暴行・強姦を行っている事例は枚挙にいとまが無い[2]。(→ 戦士、武士、兵士、軍人などが行為主)。
国家の政治権力を掌握している側の者が、国内の人々に対して暴力をふるうことがある。そのような暴力としては、人権蹂躙、抑圧などといったタイプのものから、殺人・大量殺戮(さつりく)といった過激なタイプのものまで様々なバリエーションがある。過激なほうの例としては、粛清が挙げられる[3] (→ 国家元首、権力者、役人、官僚、行政、政府などが行為主 )
また既成権力に属していない側の者、権力による暴力を受けてきたと受け止めている側(体制側から見た場合のいわゆる"反体制勢力")によっても報復的あるいは防御的に暴力が行われることがあり、顕著な例では革命、独立戦争、テロリズム[4]などとなって表れる。(→ごく普通の人々・民衆、一般国民・一般市民、極右、極左、テロリストなど)
他人の財産を奪おうとする者が暴力を振るうことがある、ということは古今東西変わらない(→ 強盗など)。世界的にはマフィア、日本では暴力団のように、様々な形で暴力行為を継続的に行っている組織も存在する(→ マフィア、暴力団員)。
現代の一般家庭の一部においても暴力が行われていることがあり「家庭内暴力(ドメスティックバイオレンス、DV)」と呼ばれている。 その中でも配偶者による暴力は「配偶者による暴力」と呼ばれることがある(→配偶者、夫、妻)。児童を虐待することは「児童虐待」と呼ばれている(→ 親など)。逆に年配の人を虐待することは「高齢者虐待」と呼ばれている(→ 子など)。 また家庭と同様に閉鎖的な共同体である宗教団体(既成、新興に限らず)の一部でも暴力が行われている場合がある[5]。また、企業の内部でも、弱い立場の従業員に対して、陰に陽にさまざまな暴力が行われていることがあり、それらの中には最近では「パワーハラスメント」という用語で捉えられるものもある(→ 雇用主、上司)。学校内で、主として生徒によって行われる暴力は「校内暴力」(スクールバイオレンス)と呼ばれている(→ 生徒)。学校内では、教師などが、生徒に体罰という名の暴力をふるうこともある(→教師、上級生)。
[編集] 暴力に対する評価や対処
歴史的に見れば、他人を暴力によって支配しようという傾向は、正常な状態ではないとされるようになってきている傾向がある、と言えよう。例えば、現在の日本では、身体的・心理的暴力は、傷害罪などの罪に問われる場合がある。(詳細は下記「日本の関連法規」)
また、近年の研究によって、暴力の行使は、行使された側(被害者)に、PTSD等の心理的ダメージを後々まで残すことが多いことは世界的に知られるようになってきた。
[編集] 日本の関連法規
暴力の行使は刑法では、傷害罪、暴行罪、強要罪、強盗罪、恐喝罪、器物損壊罪、決闘罪などとして処罰される可能性がある。刑法以外では、暴力行為等処罰ニ関スル法律、航空機の強取等の処罰に関する法律、迷惑防止条例などがある。
[編集] 暴力の無い状態:平和
暴力的な政治的活動が行使されない状態、争いがなく穏やかな状態等を一般に平和と呼ぶ。
[編集] 脚注
- ^ 近年の国家間によるものではないテロリズムなどに関して、そのような意見対立が多く見られる。また、パレスチナ問題でも同様の問題が見られる。
- ^ 大量虐殺の項も参照可(あくまで一例として)。
- ^ 最大規模のものは、スターリンによる大粛清である。その当時は実態や規模が把握されておらず、現在も正確な数は不明であるが、後の諸研究によると、実は数百万人単位の人間が殺されていたとされている。(把握しやすい数字、すなわち短期間に限定した統計的な記録で、直接的に殺したと判明している人数だけでも約130万人とされており、さらに期間を広げ、かつ社会的抑圧や飢饉(「構造的暴力」も参照)で死亡した人数まで含めれば、その数は数倍に膨れ上がるともされているため)
- ^ テロリズムには、特定の権力者に直接に向けられるもの、体制全体に心理的圧迫を与えて何らかの政策を止めさせるために無差別に人を狙うもの、などのタイプがある。(テロリズム、テロ事件の一覧などが閲覧可)
近年になると国家といったような明確な対象を持たない暴力も目立って来ており、いわゆる"環境テロ"といったものも挙げられる。 - ^ マインドコントロールのために行われている場合もある