年問題
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年問題(ねんもんだい)とは、「○○年問題」や「○○年○月○日問題」のように呼ばれる社会問題のことである。年問題の多くは暦上のある年代や日付が到来すると、社会や日常生活に深刻な影響が起きる。主に年問題には下記の2種類のものがある。
- コンピュータシステムの時刻処理における「桁あふれ」などの想定外の事態
- 人の動きや唐突な社会制度の変化による歪みの発生
特にコンピュータシステムの時刻処理に関する問題は、現代のように生活のあらゆる部分にICが行き渡っている時代には、思わぬところで思わぬ問題を起こしかねない。
日本で初めてコンピュータ内部の「年」に関する問題が起こったのは、1989年に昭和天皇の崩御で元号が「昭和」から「平成」に改元されたときである。特に公文書などで元号が変わることを想定していなかったシステムが多数あったことから問題が顕在化した。
2000年問題では、事前に各企業が大量の経費を投入してシステムのチェックを行った上で、2000年になる瞬間には多数のソフト技術者が何かあったときのためにスタンバイするなどの体制が取られ、世界的な社会現象となった。
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[編集] 主な「年問題」
[編集] コンピュータに関わる問題
- 1999年問題 - 1900年を1年目と内的処理していた場合、年数が2桁から3桁になる。
- 1999年8月21日問題 - GPSの内部時間の桁数があふれて0に戻る。
- 2000年問題 - 年数を下2桁だけで処理してたシステムや、2000年を非閏年と誤解したシステムが困る。Y2K問題。
- 2001年9月9日問題 - コンピュータソフトの時間を格納する変数の桁が9桁から10桁になる。
- 2030年問題 - 1930年~2029年を下2桁で表現しているシステムが困る。同様のものに2050年問題や2070年問題などがある。
- 2036年問題 - NTPの時間が桁あふれする。
- 2038年問題 - 主にUNIX系やLinux系のオペレーティングシステムなどで、時間を32ビットで格納する変数の桁があふれる。
- 2040年問題 - HFSのタイムスタンプは2040年2月6日までしか設定できない。
- 2050年問題 - 1950年~2049年を下2桁で表現しているシステムが困る。同様のものに2030年問題や2070年問題などがある。
- 2070年問題 - 1970年~2069年を下2桁で表現しているシステムが困る。同様のものに2030年問題や2050年問題などがある。
- 2079年問題 - FATのタイムスタンプの起点の1980年1月1日を基点として、年数を下2桁だけで処理するソフトウェアなどは、その起点の99年後(2079年12月31日)までしか正常動作しない。
- 2100年問題 - 2000年以降に作られた年数を2桁で表すシステムや、2100年を閏年と誤解したシステムが困る。
- 2107年問題 - FATのタイムスタンプは2107年12月31日までしか設定できない。
- 西暦10000年問題 - 年数を4桁にしているシステムが困る。Y10K問題。
- 西暦60056年問題 - NTFSのタイムスタンプは60056年5月28日までしか設定できない。
- 292277026596年問題 - コンピュータソフトの時間を64ビットで格納する変数の桁が292277026596年(2922億7702万6596年)にあふれる。
[編集] 世界の社会問題
- 1953年問題 - 1953年に公開された映画の著作権の期限が曖昧。
- 2007年問題 - EUの株式市場に上場する際、2007年以降は域外の企業にも国際財務報告基準(または同等の財務報告基準)に従うことが義務づけられることから生じる、各国企業の対応費用増加をはじめとする問題。
- 2009年問題 - ヨーロッパで国際会計基準の導入に準じた連結財務諸表の開示が義務付けられたことにより日本もこれに基準を変更しなければならない問題。
- 2009年問題 - 日本、アメリカ、ヨーロッパにおいて排気ガス規制が強化される問題。
- 2010年問題 - 世界の製薬業界において、年間売り上げ1000億円クラスの医薬品が2010年前後に一斉に特許切れを迎える。
[編集] 日本の社会問題
- 2007年問題 - 団塊の世代の大量退職に伴う問題。
- 2007年問題 - 2007年に日本の人口が増加から減少に転じるという問題。予測では2007年であったが、実際は2005年から減少している。
- 2007年問題 - 大学全入時代が到来する問題。
- 2007年問題 - 2007年に新築ビルが相次いで完成することにより、オフィスが大量に市場に供給される問題。東京都の外資系高級ホテルの競争(ザ・リッツ・カールトン東京やザ・ペニンシュラ東京の進出など)がピークになる。
- 2008年問題 - 国債の償還期限が大量に到来する。
- 2009年問題 - 大学全入時代が到来する問題。
- 2009年問題 - 製造業において、派遣労働者が3年の雇用期間を超えるため、企業が正規採用しなければならない。
- 2009年問題 - トカラ列島の悪石島に皆既日食を見ようという人が殺到する可能性がある。
- 2011年問題 - テレビ放送が地上デジタル放送に完全移行し、アナログ放送が停波することに伴う問題。
- 大阪2011年問題 - 大阪で百貨店の新設・増床が出揃い、供給過剰が懸念されている。
- 2014年問題 - 北陸新幹線が金沢まで延伸開業されるために、上越新幹線の沿線地域の観光・経済への影響。
- 2031年問題 - 団塊ジュニアの大量定年。
- 旧暦2033年問題 - 旧暦の欠陥により2033年~2034年の月名が決まらない。
[編集] 関係する他の諸問題
- 閏年問題 - 閏年を処理するプログラムのバグにより誤動作する。2008年1月31日以降、日本の約3200台の公衆電話が閏年問題による障害で一時的に使用不能となった。
- 閏秒問題 - 閏年問題の閏秒バージョン。こちらもプログラムのバグにより誤動作する。
- 昭和100年問題 - 2025年は「平成37年」に相当するが、昭和期に製造されたシステムでは「昭和100年」と認識される。そのため、内部的に「昭和」のままで管理されているシステムが困る問題。2025年問題。
- 平成100年問題 - 昭和100年問題と同じく、2088年が「平成100年」と誤認されることにより、内部的に「平成」で管理されているシステムが困ってしまう問題。2088年問題。