昭和100年問題
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昭和100年問題(しょうわひゃくねんもんだい)とは、2000年問題に類似した、日本固有の元号に基づくコンピュータシステムの問題。「2025年問題」とも呼ばれる。
官公庁や金融機関などを中心に、アプリケーションソフトウェア内部で、年を昭和2桁で表現しているシステムが存在しているといわれる(平成以降も、内部的に昭和として扱う)。
日本の公文書において年を記載する際、全てにおいて西暦でなく昭和を用いることにより、同じ2桁でも25年先まで表現できるという利点があったが、「昭和100年(2025年(平成37年))=昭和0年」として認識されることで正しく扱うことができず、2000年問題と類似した誤動作を起こす恐れがあるのである。
昭和時代に製造された電子手帳など、年号表記を昭和で表示する組み込み製品で問題が発生する可能性がある。
なお、コンピュータの内蔵時計やオペレーティングシステムが年を昭和で表現していることは、ほとんど考えられないので、この問題が起きるのはアプリケーションソフトウェアに限られる。
昭和期のコンピュータシステムがどれだけ稼動しているのかを疑問視する意見もあるが、
- 顕在化した2000年問題にも同様の疑問が持たれていた。
- 平成期に開発されたシステムであっても、他の古いシステムとの連携のために年を昭和で表現する設計になっている場合がある。
- システムの中核を担う汎用機を中心として、ハードウェアを更新してもソフトウェアは更新せずそのまま使う例もある。
- ソフトウェアを更新しないことで開発コストや作業者への教育コスト、システム障害のリスクを低減し、短い試験運用期間で迅速に処理能力を向上できるため、汎用機においては古いソフトウェアをそのまま動作させられることが採用条件となる場合がある。
…などを考えれば、決して無視できる問題ではない。
対策としては、「桁数を増やす」、「西暦に改める」などが考えられるが、日本の公文書において年を記載する際は西暦の使用が事実上禁止され、元号で記載することが義務づけられているため、「昭和」に代わって「平成」を用いることも考えられる。