寺田透
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
寺田 透(てらだ とおる 1915年3月16日 - 1995年12月21日)は日本の文芸評論家・フランス文学者。
[編集] 来歴・人物
神奈川県横浜市出身。神奈川一中から第一高等学校をへて東京帝国大学文学部仏文学科卒業、大学時代に、立原道造・杉浦明平とともに同人雑誌をやっていたが、立原が日本浪曼派に接近したことで絶交し、同人雑誌も終わりとなった。戦後、東京大学教授を務めるも1969年、大学紛争のときに事態の収拾法に不満をもち、辞職した。ただし当時の文章や対談では、以前から新制大学に「文人」は適合できないと感じていたと言っている。
1970年に『芸術の理路 法楽帳1968』で毎日出版文化賞受賞。1977年、『義堂周信・絶海中津』で毎日芸術賞受賞。
多数の著書・編著があり、主要著作は思潮社より『寺田透・評論』(第一期・全7巻、第二期・全8巻)に収められている。
[編集] 著作
- 作家私論 改造社 1949
- 寺田透文学論集 東京大学出版部 1951
- バロック芸術の精神 東京大学出版会 1953
- バルザック 人間喜劇の研究 筑摩書房 1953
- 現代日本作家研究 未来社 1954
- 同時代の文学者 大日本雄弁会講談社 1956
- 文学その内面と外界 弘文堂 1959
- 絵画とその周辺 弘文堂 1959
- 詩的なるもの 現代思潮社 1959
- をりふしの批評 弘文堂 1960
- 理智と情念 作家論集 上下 晶文社 1961
- 表現の思想 現代思潮社 1963
- 近代日本のことばと詩 思潮社 1965
- わが中世 現代思潮社 1967
- バルザック 人間喜劇の平土間から 現代思潮社 1967
- 詩のありか 思潮社 1968
- ドラクロワ 1847~1852 東京大学出版会 1968
- 思想と造型 筑摩書房 1969
- 寺田透・評論 1-7 思潮社 1969-75
- 芸術の理路 法楽帖1968 河出書房新社 1969
- ランボー着色版画集私解 現代思潮社 1970
- 日本詩人選 和泉式部 筑摩書房 1971
- 北窓の眺め 筑摩書房 1972
- 考える眼 絵画への愛と省察 平凡社 1972
- 戦後の文学 河出書房新社 1973
- 源氏物語一面 平安文学覚書 東京大学出版会 1973
- 道元の言語宇宙 岩波書店 1974
- ことばと文体 河出書房新社 1975
- 入谷雑談 筑摩書房 1975
- 万葉の女流歌人 岩波新書 1975
- 無名の内面 河出書房新社 1976
- 日本詩人選 義堂周信・絶海中津 筑摩書房 1977
- 寺田透・評論 第2期 1-8 思潮社 1977-81
- ドストエフスキーを読む 筑摩書房 1978
- わが横浜 河出書房新社 1978
- 道の思想 創文社 1978
- 文学の運命 構想社 1980
- 絵と文 河出書房新社 1981
- 正法眼蔵を読む 法藏館 1981
- 語らぬ筈の自分の事 筑摩書房 1983
- 覚書き日本の思想 岩波書店 1983
- 古典を読む 枕草子 岩波書店 1984
- 人間喜劇の老嬢たち バルザック一面 岩波新書 1984
- 足跡展望 筑摩書房 1985
- 海山かけて みすず書房 1986
- 私本ヴァレリー 筑摩書房・叢書 1987
- 正法眼蔵を読む 続 法藏館 1988
- 不可測の振幅 筑摩書房 1990
- 平安時代の物語 福武書店 1990
- 泉鏡花 筑摩書房 1991
- 平安時代の日記文学 ベネッセコーポレーション 1995
- 遷易不尽 遺稿集 講談社 1996
[編集] 翻訳
- ヴァリエテ第2 ポール・ヴァレリー 安土正夫共訳 白水社 1939
- 浮かれ女盛衰記 バルザック 改造社 1948-49
- 平役人 バルザック 改造社 1950
- モデスト・ミニヨン バルザック 改造社 1950
- ドストエフスキー アンドレ・ジイド 新潮文庫 1955
- 私の見るところ ポール・ヴァレリー 佐藤正彰共訳 筑摩書房・叢書 1966
- 原典日本仏教の思想 道元 正法眼蔵 水野弥穂子共同校注 岩波書店 1990
- 道元和尚広録 筑摩書房 1995