半藤一利
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半藤一利(はんどう かずとし 1930年5月21日 - )は日本の作家・随筆家である。近現代史、特に昭和史に関する歴史小説を数多く発表している。
目次 |
[編集] 来歴・人物
東京府東京市向島区(現在の東京都墨田区)に生まれる。東京都立第七中学校に入学、戦時中に疎開し新潟県立長岡高等学校を経て東京大学文学部卒業。文藝春秋新社に入社。当時『連合艦隊の最後』などで人気を博していたジャーナリスト・軍事評論家伊藤正徳のアシスタントとして資料集めに奔走、これが後に昭和の軍部を描いた作品を書く素地となる。『週刊文春』誌の編集長や『文藝春秋』誌の編集長、同社専務取締役などを経て、作家となった。「歴史探偵」を自称。
文藝春秋社に所属していたこともあり、保守派の論客として有名であるが、太平洋戦争当時の日本軍部(特に日本陸軍)及び靖国神社におけるA級戦犯の合祀には極めて批判的である。昭和天皇については、当時の軍部による暴走を押し留めようとしたことを肯定的に評価している。また近年は護憲派としての活動を積極的に行っている。こうした半藤の立場に対しては自由主義史観を支持する人々などからは、「自虐史観の持ち主である」「反日プロパガンディスト」「歴史歪曲屋」などといった批判もある[要出典]。
NHKの歴史番組「その時歴史が動いた」によく出演している。 1992年、『漱石先生ぞな、もし』で新田次郎文学賞、1998年、『ノモンハンの夏』で山本七平賞、2004年、『昭和史』で毎日出版文化賞特別賞をそれぞれ受賞。
妻の半藤末利子は、松岡譲(作家)・筆子(夏目漱石の長女)夫妻の四女で随筆家。
2006年7月20日に日本経済新聞が「昭和天皇が靖国神社A級戦犯合祀に不快感」報じた際には、元資料となった富田朝彦元宮内庁長官の日記メモ(富田メモ)を記事化前に秦郁彦らとともに鑑定し、これを本物と断定した。
[編集] 著作
[編集] 単著
- 『日本のいちばん長い日――運命の八月十五日』(当初は大宅壮一名義で発表, 文藝春秋新社, 1965年/決定版, 1995年/文春文庫, 2006年)
- 『人物・太平洋海戦』(オリオン出版社, 1969年)
- 『魚雷戦第二水雷戦隊』(R出版, 1970年/「ルンガ沖魚雷戦」に改題、朝日ソノラマ[航空戦史文庫], 1984年/「ルンガ沖夜戦」に改題, PHP研究所[PHP文庫], 2000年)
- 『日本海軍を動かした人びと――勝海舟から山本五十六まで』(力富書房, 1983年)
- 『聖断――天皇と鈴木貫太郎』(文藝春秋, 1985年/文春文庫, 1988年/PHP文庫, 2003年)
- 『山本五十六の無念』(恒文社, 1986年)
- 『昭和史の転回点』(図書出版社, 1987年/「ドキュメント太平洋戦争への道」に改題, PHP文庫, 1999年)
- 『コンビの研究――昭和史のなかの指揮官と参謀』(文藝春秋, 1988年/「指揮官と参謀」に改題, 文春文庫, 1992年)
- 『日本参謀論』(図書出版社, 1989年)
- 『幕末・維新の群像(9)山縣有朋』(PHP研究所, 1990年/PHP文庫, 1996年)
- 『大相撲こてんごてん』(ベースボールマガジン社, 1991年/文春文庫, 1994年)
- 『歴史探偵昭和史をゆく』(PHP研究所, 1992年/PHP文庫, 1995年)
- 『漱石先生ぞな、もし』(文藝春秋, 1992年/文春文庫, 1996年)
- 『漱石先生ぞな、もし. 続』(文藝春秋, 1993年/文春文庫, 1996年)
- 『日本海軍の栄光と挫折――列伝で読む組織の盛衰』(PHP研究所, 1994年/「日本海軍の興亡」に改題, PHP文庫, 1999年)
- 『戦士の遺書――太平洋戦争に散った勇者たちの叫び』(ネスコ, 1995年/文春文庫, 1997年)
- 『列伝・太平洋戦争(上・下)』(PHP研究所[PHP文庫], 1995年)
- 『戦う石橋湛山――昭和史に異彩を放つ屈伏なき言論』(東洋経済新報社, 1995年/中央公論新社[中公文庫], 1999年)
- 『荷風さんと「昭和」を歩く』(プレジデント社, 1995年/「永井荷風の昭和」に改題, 文春文庫, 2000年)
- 『歴史探偵の愉しみ』(PHP研究所, 1996年)
- 『歴史探偵かんじん帳』(毎日新聞社, 1996年)
- 『漱石先生大いに笑う』(講談社, 1996年/筑摩書房[ちくま文庫], 2000年)
- 『漱石先生がやって来た』(日本放送出版協会, 1996年/学陽書房[人物文庫], 2000年)
- 『漱石俳句を愉しむ』(PHP研究所[PHP新書], 1997年)
- 『幕末辰五郎伝』(日本放送出版協会, 1997年/筑摩書房[ちくま文庫], 2001年)
- 『ノモンハンの夏』(文藝春秋, 1998年/文春文庫, 2001年)
- 『漱石俳句探偵帖』(角川書店[角川選書], 1999年)
- 『レイテ沖海戦』(文藝春秋, 1999年/文春文庫, 2001年)
- 『ソ連が満洲に侵攻した夏』(文藝春秋, 1999年/文春文庫, 2002年)
- 『一茶俳句と遊ぶ』(PHP研究所[PHP新書], 1999年)
- 『徹底分析川中島合戦』(PHP研究所, 2000年/PHP文庫, 2002年)
- 『手紙のなかの日本人』(文藝春秋[文春新書], 2000年)
- 『完本・列伝太平洋戦争――戦場を駆けた男たちのドラマ』(PHP研究所, 2000年)
- 『21世紀への伝言――名言にみる「日本と世界」の100年』(文藝春秋, 2000年)
- 『歴史をあるく、文学をゆく』(平凡社, 2001年/文春文庫, 2004年)
- 『「真珠湾」の日』(文藝春秋, 2001年/文春文庫, 2003年)
- 『清張さんと司馬さん――昭和の巨人を語る』』(日本放送出版協会, 2001年/文春文庫, 2005年)
- 『風の名前風の四季』(平凡社[平凡社新書], 2001年)
- 『この国のことば』(平凡社, 2002年)
- 『遠い島ガダルカナル』(PHP研究所, 2003年/PHP文庫, 2005年)
- 『漱石先生お久しぶりです』(平凡社, 2003年/文春文庫, 2007年)
- 『日本国憲法の二〇〇日』(プレジデント社, 2003年)
- 『それからの海舟』(筑摩書房, 2003年)
- 『昭和史 1926-1945』(平凡社, 2004年)
- 『日本軍艦戦記』(文藝春秋[文春文庫plus], 2005年)
- 『恋の手紙愛の手紙』(文藝春秋[文春新書], 2006年)
- 『昭和天皇ご自身による「天皇論」』(五月書房, 2006年)
- 『昭和史 戦後篇(1945-1989)』(平凡社, 2006年)
- 『荷風さんの戦後』(筑摩書房, 2006年)
- 『其角俳句と江戸の春』(平凡社, 2006年)
- 『昭和史探索 1926-46(全6巻)』(筑摩書房[ちくま文庫], 2006-2007年)
[編集] 共著
- (吉田俊雄)『全軍突撃――レイテ沖海戦』(オリオン出版社, 1970年/「レイテ沖海戦(上・下)」に改題, 朝日ソノラマ[航空戦史文庫], 1984年)
- (湯川豊)『原爆の落ちた日』(文藝春秋, 1972年/「原爆が落とされた日」に改題, PHP文庫, 1994年)
- (荒川博)『風・船のじてん』(蒼洋社, 1987年)
- (江坂彰)『撤退戦の研究――日本人は、なぜ同じ失敗を繰り返すのか』(光文社, 2000年/知恵の森文庫, 2006年)
- (秦郁彦・横山恵一)『太平洋戦争日本海軍戦場の教訓』(PHP研究所, 2001年/PHP文庫, 2003年)
- (戸高一成)『日本海海戦かく勝てり』(PHP研究所, 2004年)
- 『司馬遼太郎がゆく――「知の巨人」が示した「良き日本」への道標』(プレジデント社, 2001年)
- (阿川弘之)『日本海軍、錨揚ゲ!』(PHP研究所, 2003年)
- (秦郁彦・横山恵一・戸高一成)『歴代海軍大将全覧』(中央公論新社[新書ラクレ], 2005年)
- (保阪正康・松本健一・原武史・冨森叡児)『昭和――戦争と天皇と三島由紀夫』(朝日新聞社, 2005年)
- (井筒和幸・井上ひさし・香山リカ・姜尚中・木村裕一・黒柳徹子・猿谷要・品川正治・辛酸なめ子・田島征三・中村哲・ピーコ・松本侑子・美輪明宏・森永卓郎・吉永小百合・渡辺えり子)『憲法を変えて戦争へ行こう という世の中にしないための18人の発言』(岩波書店[岩波ブックレット],2005年,ISBN 4000093576)
- (保阪正康・中西輝政・戸高一成・福田和也・加藤陽子)『あの戦争になぜ負けたのか』(文藝春秋[文春新書], 2006年)
- (童門冬二・松岡正剛ほか)『勝者の決断――指揮官と参謀の戦略思考』(ダイヤモンド社, 2006年)
- (戸高一成)『愛国者の条件』(ダイヤモンド社, 2006年)
[編集] 編著
- 『太平洋戦争日本軍艦戦記』(文藝春秋, 1985年)
- 『夏目漱石青春の旅』(文藝春秋, 1994年)
- 『「昭和」を振り回した男たち』(東洋経済新報社, 1996年/「昭和を振り回した6人の男たち」に改題, 小学館[小学館文庫], 2003年)
- 『日本史が楽しい――歴史探偵団がゆく』(文藝春秋, 1997年/文春文庫, 2000年)
- 『昭和史が面白い―― 歴史探偵団がゆく』(文藝春秋, 1997年/文春文庫, 2000年)
- 大宅壮一著『昭和の企業』(筑摩書房[ちくま文庫], 2000年)