ヴィタ・サックヴィル=ウェスト
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
文学 |
---|
ポータル |
各国の文学 記事総覧 |
出版社・文芸雑誌 文学賞 |
作家 |
詩人・小説家 その他作家 |
ヴィタ・サックヴィル=ウェスト(Vita Sackville-West, 1892年3月9日 - 1962年6月2日)は、イギリスの詩人・作家。のちの労働党の下院議員ハロルド・ニコルソンは夫。
目次 |
[編集] 生い立ち
ケントのサックヴィル家の館、ノール・ハウスで生まれる。父は三代目サックヴィル男爵ライオネル。本名はヴィクトリアであるが、彼女は一生をヴィタの名前で通した。長身で細身の、中性的な容姿をしていた。
1913年、外交官のハロルド・ニコルソンと結婚。二人は息子を二人もうけた。結婚当初からオープンマリッジを選択し、ブルームズベリー・グループの芸術家たちのように、夫や妻以外の恋人をもつことには寛容だった。ヴィタの初恋の相手が女性だったということにもあらわれているが、彼女は同性愛の傾向があった。また、夫のハロルドも男性の恋人をもったという。
[編集] ヴァイオレット・ケッペル=トレフューシス
二人が出会ったのは、まだヴィタが12歳、ヴァイオレット10歳の頃だった。(ヴァイオレットの母はイギリス国王エドワード7世の公妾アリス・ケッペルだった。)二人は同じ学校に通い、10代の間恋愛関係にあった。互いに結婚して夫を持つと疎遠になっていたが、1918年、ヴィタの子育てが一段落した頃、二人はフランスへ駆け落ちした。ヴィタは男性の服装で家族の目をくらましたという。二人の関係は、ヴィタがハロルドとの夫婦関係を清算する気がなく、ヴァイオレットがハロルドとヴィタを共有することが我慢ならなかったことから、終わりを迎えた。二人は、それからも連絡を取り続けていたが、元の関係に戻ることはなかった。
ヴィタの小説「Challenge」は二人の関係を元に書かれている。
[編集] ヴァージニア・ウルフ
1920年代の終わりに、ヴァージニア・ウルフとの恋愛が始まった。ウルフの小説「オーランドー」は、ヴィタとサックヴィル家の歴史をモデルに書かれた。後にヴィタの息子ナイジェルが「文学における、最も長く魅力的な恋文」と評するこの作品は、二人の関係がなければ誕生しなかったといわれる。
1931年に、ヴィタがジャーナリストのイヴリン・アイアンズに心を移したことで、ウルフとの関係は終わった。
[編集] 夫との生活
ヴィタはハロルドと親密な関係をずっと保ち続けた。第二次世界大戦中、彼の外交官としての活動のため長期に不在があっても、ほとんど毎日文通しあっていた。イギリスに彼が戻れば、ヴィタと暮らしていたのである。1930年代にケントのシシングハースト城を買って移り住み、ヴィタは自邸の庭を造るのに夢中になった。この美しい庭園は、シシングハースト庭園として知られ、イギリスのナショナル・トラストに現在管理されている。
[編集] 戦後
1946年、彼女の文学貢献により、コンパニオン・オブ・オナーになった。同年、オブザーバー紙で週一回、「In Your Garden」というコラムを執筆した。1948年、ヴィタはナショナル・トラストの発起人の一人となった。
ヴィタとハロルドが暮らしたロンドンの家には、現在ブルー・プラークが掲げられている。
[編集] 作品
- The Land (1927年) 詩
- Challenge (1923年) 小説
- The Edwardians (1930年) 小説
[編集] 関連書籍
- 『ある結婚の肖像 ―ヴィタ・サックヴィル=ウェストの告白』
- (ナイジェル ニコルソン著、栗原知代・八木谷涼子訳、平凡社、1992年) ISBN 978-4582373233
- ※息子のナイジェルによる伝記。