ヴィクトリーガンダム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ヴィクトリーガンダム (VICTORY GUNDAM) は、アニメ『機動戦士Vガンダム』に登場する架空の兵器(MS、型式番号:LM312V04)。
注意:以降の記述で物語・作品に関する核心部分が明かされています。
目次 |
[編集] ヴィクトリーガンダム
ヴィクトリーガンダム | |
型式番号 | LM312V04 |
所属 | リガ・ミリティア |
生産形態 | 量産機 |
全高 | 15.2m |
本体重量 | 7.6t |
全備重量 | 17.7t |
ジェネレータ出力 | 4,780kW |
スラスター推力 | 7,390kg×6 4,420kg×8 |
装甲材質 | ガンダリウム合金スーパーセラミック複合材 |
主な搭乗者 | ウッソ・エヴィン マーベット・フィンガーハット オリファー・イノエ ユカ・マイラス |
武装 | バルカン砲×2 ビームサーベル×2 ビームシールド×2 ビームライフル (ビームピストル)×2 |
リガ・ミリティアが自らの象徴とすべく、開発したモビルスーツ。元々の名称はヴィクトリータイプであったが、実戦投入後に一年戦争の名機ガンダムの名を冠して呼ばれるようになった(敵であるイエロージャケットのメンバーからはガンダムもどきと呼ばれることがあった)。変型・分離・合体が可能で、様々な運用に応じた形態がとれ、また装備の換装によって能力の強化も可能である。後継機であるV2ガンダム用のパーツとも互換性が保たれている。腰部のフロントアーマーは独立稼働させる事が可能であり、90度回転させ水平になった腰アーマーの上に、人や荷物を載せる事が可能である。
ヴィクトリーガンダムは、初代ガンダムやΖΖガンダムと同じように上半身(トップリム、ハンガー、Aパーツ等と呼称される)、コア・ファイター(Bパーツとも呼称される)、下半身(ボトムリム、ブーツ、Cパーツと呼称される)に分割されている。このような構造を持っていた理由は、リガ・ミリティアという組織が正規軍でないことに由来する。すなわち、育成に時間のかかるパイロットの人数が十分ではなく、また補給体制も万全ではなかったため、パイロットの生存を極力保護しなければならない一方、一部破損した機体であっても戦力としてすぐに再使用する必要があったからである。そこで機体を3つに分割して、破損した部分は即座に新しいパーツと交換できるようにした。
開発はヨーロッパの各地に点在するリガ・ミリティアの工場(旧世紀時代の自動車や飛行機などの製造施設を引き取り利用したもの)で行われた。
ヴィクトリーガンダムはガンダムシリーズ初の本格的に量産されたガンダムであり、放映当時視聴者を驚かせた。後に制作されたアニメ『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』にて、陸戦型ガンダムが少数ながらも量産されていたという設定が追加されたため、宇宙世紀史上初の量産型ガンダムにはならなかったが、ガンダム史上初の量産型ガンダムには間違いない。生産数自体も、実際は約20数機といわれる陸戦型ガンダムのそれを大きく上回っている。ただし、3パーツごと別々のプラントで製造されていたものの集合体である事から、MS1機あたりのロットナンバーはふられておらず、地球と月の各プラントあわせて、MSとしてどれぐらいの総数が存在していたのか、正確な数はつかめていない。少なくとも、地球上のみで20機前後相当のパーツが完成していた模様である。加えて、各工場ごとに独自の調整を行っていたため、それぞれに若干の差異が生じていた事が確認されている。
[編集] 武装
標準武装として頭部にバルカン砲、腕の中にビームサーベル、肘にビームシールドを装備している。
オプションのビームライフルはグリップ部分単独でも低出力のビームピストルとして使えるという設定がある。普通に手に持つだけでなく、腕部や脚部、腰部のハードポイントに取り付けての使用も可能で、分離状態での武装として使われた。
[編集] 分離・合体
前述の通りヴィクトリーはモジュールごとに分かれた設計となっており、Bパーツと呼ばれるコアファイターを中心にそれぞれのパーツをドッキングすることで戦闘機としての運用が可能となっており、戦略上の機体の運用の幅を広げている。センサー類が集中している頭部をハンガーではなくコア・ファイターに組み込み、さらにミノフスキーフライトを搭載しているためコア・ファイターの生産には高い技術とコストが必要だが、それ以外のモジュールは消耗品として量産できるよう設計されている(このため、ハンガーとブーツは使い捨てロケット弾としても運用されることがある。この戦術の発案者はウッソ・エヴィンであり、後に他のパイロットも真似て広まった。通称ボトムアタック・トップアタック)。なおV1のブーツ、ハンガーはV2からの外部操作も可能であり、ドッキングこそできないものの装備を直接操作し、武装として転用することが可能である。
- トップファイター
- 上半身を構成するトップリム(通称ハンガー)と呼ばれるAパーツとBパーツであるコア・ファイターがドッキングした形態。機動性は低いがビームライフル、ビームシールド、ビームサーベルといったモビルスーツ時の装備をほとんど使用できることから攻撃、防御に優れている。このトップファイターは飛行形態のままのビームサーベルを使用した格闘戦や上半身だけでの変形形態をとるといったことが可能である。設定上、カミオン隊で使用されていたものは極めて初期に生産されたものであり、建造時の判断で上腕部が変形時にロックしやすいように角型に設計変更されていた事になっている(ただし画面上では特に描き分けられてはいない)。
- ボトムファイター
- 下半身を構成するボトムリム(通称ブーツ)と呼ばれるCパーツとBパーツであるコア・ファイターがドッキングした形態。スラスターの集中した脚部を推力としているために機動性は高いが、反面武装は脚部ハードポイントに取り付けたビームライフルのみとなるため火力・防御力はトップファイターに劣る。劇中ではこの形態をとった際にはCパーツだけを撃破されることが多かった。またこの状態でも変形形態をとることが可能であり、この場合は胸部と脚部のみという形になる。
- コアブースター
- オーバーハングパックSD-VB03AとBパーツであるコア・ファイターがドッキングした形態。オーバーハングパックの推力と武装が加わることで機動性、火力が向上している。
なお、Aパーツ、Bパーツ、Cパーツはそれぞれ干渉しないように設計されているためモビルスーツに合体したまま飛行形態への変形も可能である。しかし、ビクトリーガンダムはモビルスーツの形態でもそれなりの飛行能力があるため、あまり多用はされなかった。
[編集] 機体デザイン
この機体のデザインはカトキハジメであり、変形する際に上半身パーツではなくコアファイターに頭部が格納されたり、コクピットが水平に格納されたりとアイディアに富んでいる。
[編集] 劇中での活躍
「機動戦士Vガンダム」の前半の主役機として第1話から登場。1話の初合体の際にはクロノクルのゾロに合体を妨害され、いきなりボトムリムを破壊されてしまうが、即座に予備パーツが射出されるなど同機が従来のガンダム系主役機と異なり、完全な消耗品として描かれていた。またベチエンで合流した輸送機にはVガンダムの予備機が搭載されており、3機のVガンダムで敵の迎撃に出る姿は従来のガンダム作品で見られない新しい描写として視聴者を驚かせた。ウッソの搭乗していた機体はマケドニアコロニーにて自らがV2に乗り変わった際に敵機を撃墜するのに使用され、喪失している。後半ではオリファーの死後、マーベット・フィンガーハットを元気づけるためにオデロらが彼女の使用していたヘキサの頭部をVタイプへと換装、マーベットはその機体を使って終戦まで戦い抜き(マーベット機の左肩には時折ユニコーンのマークが写し出されていた)、最終話では平和を手に入れたことを象徴する描写として、カサレリアにV2と共にうち捨てられていた。
[編集] バリエーション
[編集] Vガンダムヘキサ
- LM312V06 Vガンダムヘキサ
- Vガンダムの頭部を換装した通信・索敵性能強化型。額に付けられていたV字型のアンテナの代わりに、性能を向上させたアンテナを排気ダクト脇、人間で言う耳に当たる部分に装備している。基本的にはコアファイター部分のみの違いであり、トップリム、ボトムリム部分は従来のVガンダムと全く同一で、使用できる装備も同じである。ヘルメット部分を換装する事により、従来型のV字アンテナタイプへと換装する事も容易であった。ただし、月面で生産されたものに限り、従来型のVガンダムと区別する為に足の甲の部分が青く塗装されていた。またヘキサ専用のオプションではないが5連ガトリングガンを装備することがある。Vタイプの量産後期に生産され、ガンブラスターに代わるシュラク隊の主力機として配備された。ヘキサの名前は型式番号「06」に由来する。なお、多くの資料ではこのヘキサを指揮官用タイプと紹介しているが、劇中ではV字アンテナタイプを小隊長のステータスとして位置づけている台詞がある。劇中前期ではオリファー機など僅か少数が登場するのみであったが、後期には戦場で確認されるVガンダムは、オデロたちがV字アンテナタイプへの換装を行ったマーベット機を除き、その他はほぼ全てにおいてヘキサタイプの頭部を装備していた。EDテーマ画面中では、1機のV字アンテナタイプに随伴する三機のヘキサタイプの姿が確認できる。
[編集] Vダッシュガンダム
- LM312V04+SD-VB03A Vダッシュガンダム
- 背面に形式番号SD-VB03Aであるオーバーハングキャノンを追加装備した形態。
[編集] オプションパーツ
- オーバーハングキャノン
- 追加されたオーバーハングキャノンユニットはコア・ファイターの性能強化にも繋がっている。Vガンダムヘキサもオーバーハングキャノンを装備可能で、その場合はVダッシュガンダムヘキサと呼称される。オーバーハングパックはコア・ファイターと合体することでコア・ブースターとなるが、この場合トップリムやボトムリムと合体することは不可能になる。また、オーバーハングパックをMS用の携行火器として運用することも可能である。
- メガビームライフル
- 開放型メガ粒子砲を採用した高威力ビームライフル。本来はVガンダム用の武装ではなく別の機体用に製造されたものであり、太陽発電衛星ハイランドの格納庫に遺棄されていたものを偶然に回収した。設計自体は30年前のコスモ・バビロニア建国戦争時代のものとされるが、宇宙世紀150年代でも使用上問題無い性能である。リガ・ミリティア製の武装ではないが、Vガンダムに適合し、後に量産される。劇中では「物干し竿」と呼称されている。
- オプション型ヴェスバー
- 腰部ハードポイント経由でジェネレータに直結して使用する可変速ビームライフル。左右1対で開放バレル式だが、V2のものとは性能が異なる。戦役後期に実用化され、エンジェル・ハイロゥ攻防戦にて実戦投入された。
[編集] その他のVガンダム
- Vガンダムキャノンタイプ
- バンダイの「マイクロガンダム」シリーズに登場。ジム・キャノンIIに似たビームキャノンを背負い、同じくジム・キャノンIIに似たアーマーが両肩と腰を覆っている。
- 騎士Vガンダム
- 漫画版に登場。西洋の甲冑のような追加装甲をつけた形態。しかし追加装甲よりも装飾品の意味合いが強く、劇中ではアビゴルのザンテツブレードによりあっさりと破壊。元のVガンダムに戻されている。
[編集] 後継機
- LM314V21 V2ガンダム
- 背部にミノフスキードライブを2基装備し、機動力が飛躍的に向上している。
- LM313V10 セカンドVガンダム
- 小説版に登場。機体本体はVガンダムと同様だが、背面にV2ガンダムの特徴であるミノフスキードライブユニットを装着している。
[編集] 関連項目
|
||||||
---|---|---|---|---|---|---|
|
||||||
ガンダムシリーズの映像作品 | ||||||
|
||||||
ガンダムシリーズの劇中項目 | ||||||
|