V2ガンダム
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V2ガンダム (V2 GUNDAM: VICTORY TWO GUNDAM) はアニメ『機動戦士Vガンダム』に登場する、架空の兵器。リガ・ミリティアが新しく自らの「自由の象徴」として開発したモビルスーツ(MS)。番組後半に主人公が搭乗する機体である。メインパイロットはウッソ・エヴィン。カラーリングは白と青、黄を基調とする。(型式番号:LM314V21)
注意:以降の記述で物語・作品に関する核心部分が明かされています。
目次 |
[編集] ヴィクトリー2ガンダム
V2ガンダム | |
型式番号 | LM314V21 |
所属 | リガ・ミリティア |
建造 | リガ・ミリティア月面工場 |
生産形態 | 試作機 |
頭頂高 | 15.5m |
本体重量 | 11.5t |
全備重量 | 15.9t |
ジェネレーター出力 | 7,510kW |
主推進機 | ミノフスキードライブ×2 |
サブスラスター推力 | 16,700kg×2 4,770kg×7 |
総スラスター総推力 | 計測不能 |
アポジモーター数 | 42 |
装甲材質 | ガンダリウム合金スーパーセラミック複合材 |
武装 | 頭部バルカン砲×2 ビームサーベル×4 ビームシールド×2 ビームライフル(マルチプルランチャー付き)×1 ハードポイント×10 |
主な搭乗者 | ウッソ・エヴィン、オリファー・イノエ |
[編集] 機体解説
分離・合体による自由度の高い運用のできるVガンダムを元に、エネルギーを直接推進力に変換する革新的な推進装置ミノフスキードライブを搭載した機体。ミノフスキードライブはVガンダム用のオプション装備として開発されていたが、技術的に搭載が困難である事が判明。そのため新規設計機として誕生した。量産機として多数登場したVガンダムとは違い、劇中では2機(オリファー機は早い段階で失われたため実質的に1機のみ)が登場し、まさにリガ・ミリティアの象徴と言える機体になった。
従来はミノフスキードライブを初めて搭載したMSと思われていたが、2006年に発表された漫画『機動戦士クロスボーンガンダム 鋼鉄の7人』(舞台は宇宙世紀0136)の中でサナリィのミノフスキードライブ搭載型MS・レコードブレイカーが登場。F99に関する研究データは敵の攻撃によって失われたため、1から研究をやり直す必要があると劇中で説明がされており、それを行ったのがV2ガンダムの開発者としてテレビシリーズに登場したミューラ・ミゲルであるとの示唆がなされている。これが公式設定かどうかは未定。
機体の出力に余裕があるため、当初よりオプションパーツが開発されており、劇中では主に防御能力を強化したアサルトパーツ、長距離攻撃を強化したバスターパーツが登場している。この2つのパーツは同時に装備できる。オプション用のハードポイントは両腕に各2つの4つ、両足に各2つの4つ、左右腰に各1つの2つ、後腰に1つの計11箇所に存在する。また、テレビシリーズ後半のエンディングではオプション型のヴェスバーを装備した姿もみられた。
[編集] 光の翼
V2ガンダムの最大の特徴は、ミノフスキードライブの出力が上がると背部より出現する「光の翼」である。これはミノフスキードライブが供給されたエネルギーのうち推進力に変換できなかった余り分をビームとして排出することで発生する。本来のミノフスキードライブの機能を考えればこれは欠陥ともいえるのだが、劇中では敵を切り裂く武器としたり、敵のビームを防ぐ盾としたりと攻防に優れた武器として活用された。ビームシールドと一体化させて機体を覆った事もある。
戦場内でもV字型に輝く光の翼は非常に目を引くものがあり、リガ・ミリティアの象徴としてふさわしいものであったといえる。
[編集] コア・ファイター
分離時はVガンダムと同じくコア・ファイター内部に頭部が格納されるが、Vガンダムは頭部の半分程度が露出する機構になっているのに対し、V2では全て隠れるようになっている(カバー部を展開することで、頭部バルカンを撃つ事は可能)。
コア・ファイターの形状は航空機としては異質で、翼は垂直尾翼のみで他の翼は一切付いていない、これはミノフスキードライブの揚力を利用したためである。そのため非常に直線的なフォルムを持つ。この時代において最も高速が出せる機体。推進剤を必要としないため、理論上は亜光速まで加速可能。
[編集] 機体デザイン
Vガンダムに引き続きV2ガンダムをデザインしたのはカトキハジメである。やはり特筆すべきところは本機の目玉ともいえるミノフスキードライブユニットだろう。丁度V字形をしており、更に頭のV字アンテナと重ねるとVが二つあるように見える(頭部のV字アンテナも黄色い物と白い物が重なっている)。アニメの後期オープニングにおいても、「VG」と言うロゴのVの部分がこのミノフスキードライブの黄色い部分と重なり、Vの文字からV2にリンクさせる描写が見られる。
[編集] 劇中での活躍
43話ではミノフスキー通信によるV2のブーツにより、オールレンジ攻撃のように[1]V2のブーツ付属のビームライフル射出のタイミングとスピードをコントロールしている。その攻撃に気を取られた強化人間のファラが見失うほどのスピードでV2ガンダムは接近し、ビームサーベルで斬り付けている。また、49話でもV2ABでカテジナ搭乗のゴトラタンと交戦中に、爆発的にスピードを上げたために、肉眼的には目前から消えたかのような機動をしている。これをカテジナは「Vの字の残像を残して消えた」と表現している。以上の例が示すように、V2ガンダムは劇中の演出からはかなりの超高機動が可能なMSとして描写されている。
[編集] V2アサルトガンダム
V2アサルトガンダム (V2-ASSAULT GUNDAM) は、アニメ第50話(パーツ自体は49話から)に登場するモビルスーツで、V2ガンダムに防御力を強化するオプションパーツを取り付けた機体。(型式番号:LM314V24)
V2アサルトガンダム | |
型式番号 | LM314V24 |
所属 | リガ・ミリティア |
生産形態 | 試作機 |
全高 | 15.5m |
本体重量 | 12.3t |
全備重量 | 19.1t |
ジェネレーター出力 | 7,510kW |
サブスラスター推力 | 16,700kg×2 4,770kg×7 |
スラスター推力 | 計測不能 |
アポジモーター数 | 46 |
装甲材質 | ガンダリウム合金スーパーセラミック複合材 |
武装 | バルカン砲×2 ビームサーベル×2 ビームシールド×1 ビームライフル 2連マルチプルランチャー×1 メガビームライフル×1 メガビームシールド×1 ヴェスバー×2 Iフィールド発生器×2 |
主な搭乗者 | ウッソ・エヴィン |
[編集] 機体解説
両肩にIフィールドジェネレーターを取り付けており、ボディには対ビームコーティング仕様のアーマーを装着する。さらに戦艦に装備されているビームシールド級の防御力を有し、遠距離へのビーム放出も可能なメガビームシールドも装備し、大量のビームが直撃しても十分に耐えられる能力を持つ。また、火力面でも高出力のメガビームライフルの他、腰部にヴェスバーを装備するなどの強化がなされている。なお、武装であるメガビームライフルとメガビームシールドはアサルトパーツに先行して配備され、V2により運用された。 バンダイの発売しているプラモデルではアサルトパーツを付けたままMA形態への変形も差し替えながら再現している。
[編集] 武装
- メガビームシールド
- Iフィールド発生装置が付いており、ビームを防御できる。更に、3つのビームバリアービットを切り離してシールドの周囲に配置することで、広範囲を防御できる巨大なビームシールドを展開可能。またバリアビットからビーム刃を発生させることも可能。シールドに刻まれたV字マークからは攻撃にも使用可能なV字型ビームを発射できる。バリアビットは擬似的なオールレンジ操作で相手を撹乱することもできる。
- 劇中では敵にV2ガンダムの居場所を認識させるためにウッソがV字ビームを射出した。V2ガンダムの高出力を前提とした装備のため、Vガンダムが武器として使用した際はV字ビームを一発発射しただけで過負荷によるモビルスーツ本体の故障を起こしてしまった。
- メガビームライフル
- 上下または左右と対に分かれた2対の開放型メガ粒子発生基盤によって高威力ビームを発射できるビームライフルである。ビームの斜線上にいる数機のモビルスーツを葬り去ることが可能。また出力調整により連射もできる。
- ヴェスバー
- 左右の腰に各1基装備。形状はガンダムF91系列のものと異なり、開放バレル式となっている。主にサブウェポンとして使用される。
[編集] V2バスターガンダム
V2バスターガンダム (V2-BUSTER GUNDAM) は、V2ガンダムに中・長距離の攻撃能力を強化するオプションを装備した機体である。(型式番号:LM314V23)
V2バスターガンダム | |
型式番号 | LM314V23 |
所属 | リガ・ミリティア |
生産形態 | 試作機 |
全高 | 15.5m |
本体重量 | 13.8t |
全備重量 | 19.9t |
ジェネレーター出力 | 7,510kW |
サブスラスター推力 | 16,700kg×2 4,770kg×7 |
スラスター推力 | 計測不能 |
アポジモーター数 | 46 |
装甲材質 | ガンダリウム合金スーパーセラミック複合材 |
武装 | バルカン砲×2 ビームサーベル×2 ビームシールド×1 ビームライフル 2連マルチプルランチャー×1 メガビームキャノン×1 スプレービームポッド×1 マイクロミサイルポッド×6 |
主な搭乗者 | ウッソ・エヴィン |
[編集] 機体解説
オプションの分の重量の増加により機動性・運動性の低下を招き、さらにメガビームキャノンの長い砲身が妨げとなるため接近戦には向いていない(実際、戦闘中にメガビームキャノンの砲身を切り落とされている)。バンダイの発売しているプラモデルではバスターパーツを付けたままMA形態への変形も差し替えながら再現している。
[編集] 武装
- ビームライフル
- マルチプルランチャーの弾装数を増加したもの。ライフルのサイズが大きめとなっている。エンジェルハイロウ攻防戦においてはV2ガンダムの標準装備となった。
- 2連マルチプルランチャー
- ビームライフルに付けられている。
- メガビームキャノン
- 右背中に取り付けられた長身のビームキャノン。背中に付いたオプション型バックパックにジェネレーターが装備されており、高威力のビームが射出できる。威力は凄まじく、ビームの射線上にいた敵MS、戦艦を一撃で葬り去り、戦艦のビームシールドすら易々と貫く威力がある。
- スプレービームポッド
- 左背中に取り付けられた拡散ビーム砲。多くの敵MSを正面に捉えた時には有効な武器となる。V2ガンダムの左目に付属している眼帯型スコープと併用することで多くのMSを捉えた射撃が可能となる。
- マイクロミサイルポッド
- 各所にマイクロミサイルポッドを合わせて6基マウントしており、中・長距離の攻撃も誘導(ファンネルミサイル系の技術が取り入れられているといわれている)での攻撃も行える。
[編集] V2アサルトバスターガンダム
V2アサルトバスターガンダムは、上記のバスター、アサルトの2種類のオプションパーツを全て装備した形態(型式番号:LM314V23 / 24)。
V2アサルトバスターガンダム | |
型式番号 | LM314V23 / 24 |
所属 | リガ・ミリティア |
生産形態 | 試作機 |
全高 | 15.5m |
本体重量 | 13.8t |
全備重量 | 19.9t |
ジェネレータ出力 | 7,510kW |
サブスラスター推力 | 16,700kg×2 4,770kg×7 |
スラスター推力 | 計測不能 |
アポジモーター数 | 46 |
装甲材質 | ガンダリウム合金スーパーセラミック複合材 |
武装 | バルカン砲×2 ビームサーベル×2 ビームシールド×1 ビームライフル 2連マルチプルランチャー×1 メガビームライフル×1 メガビームシールド×1 ヴェスバー×2 Iフィールド発生器×2 メガビームキャノン×1 スプレービームポッド×1 マイクロミサイルポッド×6 |
主な搭乗者 | ウッソ・エヴィン |
[編集] 機体解説
アニメ第49話のエンジェル・ハイロゥにおける最終決戦で、一度のみ戦闘に投入された。もともとアサルトとバスターのオプションパーツは互いに干渉しない設計になっており、同時に装備することが可能である。
V2ガンダムの高機動性、アサルトのIフィールドによる堅牢な防御力、バスターの重火力の武装を全て兼ね備えた強力な機体になる事を期待されたが、出力が全体に十分行き渡らなかったらしく、時々Iフィールドを通過したビームによりリアクティブアーマが破損させられている。また、近衛師団ネネカ隊の対MS用バズーカの猛攻に耐えかねV2ガンダム本体以外の部品であるリアクティブアーマは破損してしまっているが本体とメガビームシールドは無傷である。
因みに説明の上では全て装備された状態と言われているが、本編登場時にはバスターに装備されていたマイクロミサイルポッドは外されている他、メガビームライフルの代わりに通常装備のビームライフルを装備していた。
[編集] セカンドVガンダム
小説版でV2ガンダムの代わりに登場。(型式番号:LM313V10)
セカンドV | |
型式番号 | LM313V10 |
所属 | リガ・ミリティア |
建造 | リガ・ミリティア月面工場 |
生産形態 | 試作機 |
全高 | 15.5m |
本体重量 | 11.5t |
全備重量 | 15.9t |
ジェネレータ出力 | 7510kW |
装甲材質 | ガンダリウム合金スーパーセラミック複合材 |
主推進機 | ミノフスキードライブ×2 |
サブスラスター推力 | 16700kg×2 4770kg×7 |
総スラスター推力 | 計測不能 |
アポジモーター数 | 42(46,46) |
武装 | 頭部バルカン砲×2 ビームサーベル×4 ビームシールド×2 ビームライフル(マルチプルランチャー付き, B=マルチプルランチャー強化版)×1 |
追加武装 | メガビームキャノン×1 ミノフスキーシールド×1 |
主な搭乗者 | ウッソ・エヴィン |
[編集] 機体解説
外見こそVガンダムと大きな差異はないが、背部(コア・ファイター)にミノフスキードライブユニットを標準装備としている。小説内では推力を出しすぎると機体がバラバラになることが示唆されている。
オプション装備としてミノフスキーシールド、メガビームキャノンを運用できる。そのために遥かに高性能のジェネレーターを搭載し、また推力の大幅向上を受けて装甲も重厚化している。これに伴い機体重量は増し、結果として白兵戦能力はVガンダムより低下している。
ミノフスキーシールドとメガビームキャノンは肩部のウェポン・プラットフォームに接続される。作中では左肩にミノフスキーシールド、右肩にメガビームキャノンを装備しているが、設定上は同じ物を同時に装備したり、他のパーツを装備する事も可能(作中描写は無い)。どちらも大量のエネルギーを必要とする代物であり、セカンドV以外でこの装備を使用することは出来ない。作中ではVガンダムヘキサに搭乗するオリファーがミノフスキーシールドを使用したが、その戦闘において消息不明になっている。
なお、これらの装備を接続するジョイントはコア・ファイター部分にあり、分離状態では当然にコア・ファイターに装着される事になる。メガビームキャノンについては"上下稼動が可能"とあることから、コア・ファイター形態でも使用可能であるものと思われる(作中では使用していない)。
[編集] 武装
- メガビームキャノン
- 高威力のビームを射出する。
- ミノフスキーシールド
- ミノフスキーシールドはTV版のメガビームシールドに近い形状であり、立ち位置も近い存在だが、防御原理が若干異なっている。メガビームシールドはその名の通り大出力のビームシールドだが、こちらの場合は「ミノフスキー粒子がバリアーになってくれています」というウッソのセリフから考察するに、Iフィールドジェネレーターとしての性質を持っている可能性がある。ただし、解説文には最大出力時には備えられたシールドビットを3方向へ射出して、空間にビームの幕を形成するとあるため、ビームシールドとしての機能も有している模様。なお、格闘戦における防御性能は低いらしく、ゴトラタンと交戦した際はシールドごと両脚を切り落とされている。
[編集] 劇中での活躍
作中ではウッソの後半の乗機として運用され、TV版と同様にハロが積み込まれている。エンジェル・ハイロゥ攻略戦においてはファラ・グリフォンのザンネック(ゲンガオゾは小説版に登場しない)を撃破し、その後カテジナの駆るゴトラタン、クロノクルのコンティオ(リグ・コンティオは登場しない)と交戦し、両脚と右腕を失いながらもこれを撃破する。その後はトップ・ファイター形態でカサレリア近郊に墜落していた(その際の経緯は不明)。
[編集] 備考
デザインはV2ガンダムと同じくカトキハジメ。TVシリーズの監督であり小説の著者である富野由悠季はV2のデザインがどうも気に入らなかったらしく(胸の黄色のVラインが特に嫌いだったと言われている)、小説版ではVガンダムをベースにミノフスキードライブを装備したVセカンドをカトキに描かせたらしい。小説版で登場する機体は「デザインこそ違うが名前は同じ機体」が多いのに対し、本機のみ「全く設定の違う機体」となっている。
[編集] 脚注
- ^ ただし、ファンネルほどの複雑な動きを見せているわけではない。
[編集] 関連項目
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