メルセデス・ベンツ・シターロ
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メルセデス・ベンツ シターロ(Mercedes-Benz O530 "CITARO")はダイムラー・クライスラーグループのエボバス(EvoBus)が製造する大型路線バス。ノンステップ構造を標準で採用し、1997年のシュトゥットガルトUITPでO405Nの後継モデルとして登場、2007年までの10年間で1万7500台が生産されている。製造工場はドイツ・マンハイム、フランス・Ligny-en-Barrois、スペイン・Sámano。
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[編集] ラインアップ
[編集] 都市型モデル
- シターロ
標準モデルの2軸車。2扉または3扉。
- 全長:11.95m
- 全高:3m
- 重量:10.9t
- 座席定員:28~40人
- シターロK
2006年に追加設定されたショートボディの2軸車。2扉。
- 全長:10.5m
- 全高:3m
- 重量:unknown
- 座席定員:unknown
- シターロG
2車体の連節バスで、先頭車両が前後2軸、後部車両が後1軸。後部車両にエンジンを搭載するプッシャー方式である。3扉または4扉。
- 全長:17.94m
- 全高:3m
- 重量:28t
- 座席定員:48人
- シターロGL「キャパシティ」
2車体の連節バスで、先頭車両が前後2軸、後部車両が後2軸。後部車両にエンジンを搭載するプッシャー方式である。4扉。
- 全長:20m
- 全高:3m
- 重量:unknown
- 座席定員:unknown
- シターロL
ロングボディの3軸車。2扉または3扉。
- 全長:14.995m
- 全高:3m
- 重量:不明
- 座席定員:42-46人
[編集] 郊外型および都市間向けモデル
- シターロÜ
全長12mクラスの2軸車。
- シターロMÜ
全長13mクラスの2軸車。
- シターロGÜ
前2軸/後1軸の連接バス。
- シターロLÜ
全長15mクラスのロングボディの3軸車。
[編集] エンジン
3種類が設定されており、いずれも直列6気筒、ヨーロッパの[[排出ガス規制]ユーロ3対応。ユーロ4対応バージョンは尿素SCRを採用する。
- OM906hLA(排気量6374cc、最高出力231HP・245HP・279HP(170, 180 or 205kW))
- OM457hLA(排気量11967cc、最高出力252HP・299HP・354HP(185, 220 or 260kW)
- M447hLAG(排気量11967cc、最高出力252HP・326HP(185kW or 240kW)、CNGエンジン)
2005年からはユーロ5規制にも対応している。
オートマチックトランスミッションはZF ECOMAT(5速または6速)、フォイト(4速)が設定される。
[編集] 水素燃料電池バス(O530BZ)
欧州車初の燃料電池バスとして2002年に開発された。2007年末現在36台が営業実証運行に供されている。
- 全長:12.0m
- 全高:3m
- 重量:15t(車両総重量18t)
- 座席定員:30人(立席込み60~70人)
- 燃料電池:150kW×2基(バラード・パワー・システムズ製)
- 電動機:205kW×1基(ZF製6速ATを併用)
- 1回の充填で走行可能な距離:200~300km
- 水素タンク総容量:44kg(1890リットル)※水素ガスは純度99.999%のものを35メガパスカルに圧縮
2003年からCUTE(ヨーロッパのためのクリーンな都市交通)プロジェクトおよびECTOS(環境配慮型都市交通システム)プロジェクト参加車両として実証運行が行われており、その後欧州以外の地域でも実証運行が行われている。2007年末現在運行されている都市は下記のとおり:
- レイキャビク(アイスランド)
- アムステルダム(オランダ)
- ルクセンブルク(ルクセンブルク)
- ストックホルム(スウェーデン)
- シュトゥットガルト(ドイツ)※ダイムラー・クライスラー本社所在地
- ハンブルク(ドイツ)
- ロンドン(イギリス)
- マドリッド(スペイン)
- バルセロナ(スペイン)
- ポルト(ポルトガル)
- パース(オーストラリア)
- 北京(中華人民共和国)
[編集] 日本におけるシターロ
2007年12月に神奈川中央交通が4台導入したシターロGが、日本における初導入例となる。納車は同じダイムラーの傘下にある三菱ふそうトラック・バスが担当した[1]。2008年2月4日より、厚木市内の路線で運行を開始[2]。
日本の保安基準においては、定員30人以上のバス車両には非常口を設置しなければならないこととされているが、本型式では非常口は設置されておらず、代わりに窓ガラスを割るためのハンマーが設置されている。輸入に際して国土交通省で安全性の確認を行なった結果、非常口と同等以上の安全性が確保されていると判断されたため、本車両では非常口の設置に関する基準については適用除外とされている[3]。また、車体幅も欧州の規格である2550mmのままでの導入となった。
[編集] その他
- ハンガリー・チョングラード県セゲドではシターロを改造したトロリーバスが活躍している。
- ドイツ・ハノーヴァーのüstra Hannoversche Verkehrsbetriebe AGとライプツィヒのLeipziger Verkehrsbetriebe GmbHが導入した車両では、2000年のハノーヴァー万国博覧会に伴いジェームズ・アーヴァインがデザインしたボディを架装した。
[編集] 脚注
- ^ 三菱ふそうトラック・バスの「2008年1月15日付プレスリリース」による。
- ^ 厚木市の「平成19年12月定例記者会見」による。
- ^ 国土交通省の公示(PDFファイル)による。