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メタン菌 - Wikipedia

メタン菌

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

メタン菌メタンきん)とはメタンを生成することでエネルギーを得る偏性嫌気性菌である。古細菌ドメインユリアーキオータ門にすべての種が属する。メタン生成経路という嫌気環境における有機物分解の最終段階の反応系を持つ。この経路は極端に酸素に感受性の高い酵素が多く存在するため、メタン菌は最も嫌気性の強い生物の一つになっている。

他の古細菌(高度好塩菌好熱菌など)とは異なり他の菌と共生あるいは基質の競合の中に生育しており、ウシの腸内(ルーメン)など比較的身近な場所に生息する生物として認知されている。人間の消化器官にも存在する場合がある。また、汚泥や水質浄化における応用等も試みられている。

別名、メタン生成菌、メタン生成古細菌(かつてはメタン生成細菌)など

目次

[編集] メタン生成の基質

メタン菌は極めて広範な環境に生育するが、メタン生成によるエネルギー獲得の基質はそれほど多様ではない。一般的なメタン菌の生育基質は、二酸化炭素である。

しかし、この他にも多様な炭素源をメタンへと変換できるメタン菌も何種類か存在する。例えば、Methanosarcinacea綱のメタン菌は、一酸化炭素酢酸メタノール、メチルチオール、メチルアミンなどを用いることができ、油井から分離された Methanolobus siciliae などはジメチルスルフィドを資化できる。また、Methanogenium organophilumは、第一級アルコールであるエタノール1-プロパノールを利用できる。かつては、Methanobacterium omelianskii がエタノールからメタンを生成できると考えられていたが、これは後に真正細菌であるS菌(エタノールを水素と二酸化炭素に分解する)との共生系であり、今では Methanobacterium bryantii と名前が変更されている。また第二級アルコール(イソプロパノール、シクロペンタノール、2-ブタノールなど)を電子供与体として用いるものもいる。

なお、メタン生成経路の詳細は当該記事を参照。

[編集] 基質の競合と共生

メタン菌がメタン生成基質として利用する水素と酢酸は自然環境における基質として非常に重要である。そのため、嫌気環境においては幾つかの真正細菌とメタン菌は競合関係にある。また、低級脂肪酸を分解して酢酸を生成する真正細菌と共生しているケースもあり、この点で古細菌といえども高度好塩菌や好熱古細菌とは異なっている。

水素は嫌気性細菌の有機酸を電子供与体とした脱水素反応の産物である。またヒドロゲノソームを有する、カビ原生動物などからも水素は発生する。深海熱水孔などからも地球科学的に水素は発生しているが、そのような特殊環境を除けば嫌気的な環境からは水素が発生していると考えてよい。酢酸は、上に述べたように低級脂肪酸からの分解を含む発酵の最終段階の反応であり、発酵で得られるエネルギーとしては最も多い(グルコースから発酵が進んだ場合、pH 7 においてモルあたりΔG0' = −946 kJ/mol)。

水素と酢酸を利用する他の生物としては、二価鉄を電子受容体として生育する鉄細菌硫酸イオンを電子受容体として生育する硫酸還元菌(硫酸塩呼吸)そして水素と炭酸塩から酢酸を生成する酢酸生成菌がいる。モルあたりのエネルギー獲得量をそれぞれ以下に記す。

  • 鉄細菌
    • 水素を電子供与体とした時:ΔG0’ = −914 kJ/mol
    • 酢酸の時:ΔG0’ = −809 kJ/mol
  • 硫酸還元菌
    • 水素の場合:ΔG0’ = −152 kJ/mol
    • 酢酸の場合:ΔG0’ = −47 kJ/mol
  • メタン菌
    • 水素の場合:ΔG0’ = −135 kJ/mol
    • 酢酸の場合:ΔG0’ = −31 kJ/mol

したがって、効率は鉄細菌が特に優れており、電子受容体として鉄が存在する場合は鉄細菌が優占する。同様に硫酸イオンが存在する場合は硫酸還元菌が優占する。鉄も硫酸イオンも無い環境で、水素が豊富な環境で初めてメタン菌が増殖可能となる。

共生の場合は嫌気条件下における嫌気性細菌の有機酸分解の効率が低いことを考える。例えば低級脂肪酸を嫌気的に分解すると以下の反応式となる。

  • CH3CH2CH2COO- + 2H2O → 2CH3COO- + H+ + 2H2

この反応の標準自由エネルギー変化は ΔG0’ = +48.3 kJ/mol と吸エルゴン反応であり、酢酸や水素の濃度を下げない限りは起こりえない反応である。そこで、メタン菌の以下の反応により上記の反応を進行させる。

  • 4H2 + HCO3- + H+ → CH4 + 3H2O (ΔG0’ = −135 kJ/mol)(水素資化)
  • CH3COO- + H2O → CH4 + HCO3- (ΔG0’ = −31 kJ/mol)

メタン菌の水素資化の式と上記の脂肪酸分解の式とをまとめると、以下のようになる。

  • 2CH3CH2CH2COO + 2H2O + CO2 → 4CH3COO + 2H+ + CH4

この式の標準自由エネルギー変化を求めると、まず脂肪酸分解の +48.3 kJ/mol は2モル分で +96.6 kJ/mol、そこへ水素資化の −135 kJ/mol を合わせ、ΔG0’ = −38.4 kJ/mol となる。ゆえに発エルゴン反応となり、共生関係が成り立つ。

[編集] 分布

自然界の幅広い生理条件(温度、pH、NaCl濃度)の嫌気的環境に分布。具体的には湖沼、水田、海洋、ルーメンシロアリ後腸など。至適増殖温度に関しては最低が 15 ℃ (Methanogenium frigidum)、最高が 98 ℃ (Methanopyrus kandleri) である。淡水からも多くのメタン菌は分離されているが、高度好塩性のメタン菌としては Methanohalobium evestigatum(至適増殖NaCl濃度 4.3 M)がある。

また、メタン菌の生育環境によって他の生物との相互関係により利用基質が変化する。メタン菌の生育場所として以下の4環境をあげて説明を行う。

  1. 淡水の堆積物中(嫌気消化槽、湖沼、水田)
  2. 海洋
  3. ルーメン
  4. シロアリ後腸

[編集] 淡水堆積物中

淡水堆積物は発酵性真正細菌の働きが活発であり、硫酸イオンに乏しい。そのため、有機物はほとんど二酸化炭素、ギ酸、酢酸にまで分解される。また有機酸を電子供与体として水素も発生するのでメタン菌生育の場としては理想的である。特に、淡水中では酢酸の量が多く、淡水で発生するメタン生成の60%は酢酸、40%は水素、二酸化炭素経由である。

多くのメタン菌が湖沼や嫌気消化槽から分離されているものの、潜在的なメタン源となっているとされる水田から分離された種は多くなく、Methanobacterium spp.やMethanoculleus spp.などが知られるだけである。これは、水田土壌が農閑期に乾燥状態に置かれるため、偏性嫌気性のメタン菌の中では特に酸素耐性が高い種が優勢になり、分離される率が高いからだという説もある。しかし最近では、RICEクラスターと言われる難培養性の水田由来のメタン菌が多く分離されてきている。

[編集] 海洋

海洋中では硫酸イオンが豊富に存在するために、堆積物中で発生する水素、ギ酸、酢酸はほとんどが硫酸還元菌によって消費される。そのため、それ以外の基質(例えばメチルアミン、硫化ジメチルなど)を持ってメタン菌が生育する。硫化ジメチルは 2 μM 以下の低濃度だと硫酸還元菌が用いるが、高濃度ではメタン菌(Methanolobus属)が優先的に利用する。

[編集] ルーメン

腸内で発酵によって生じる酢酸やプロピオン酸は腸によって吸収される。したがって、それ以外の基質である水素と二酸化炭素およびギ酸がルーメンでは利用される。発生するメタンのうち80%は水素-二酸化炭素由来、20%はギ酸由来である。

[編集] シロアリ後腸

シロアリ後腸でもルーメンと同じように酢酸はシロアリに吸収される。したがって水素-二酸化炭素を利用するところだが、シロアリの種類によっては水素-二酸化炭素より酢酸生成菌が酢酸を生成する。自由エネルギー変化は酢酸生成系のほうが低い(ΔG0’ = -105 kJ/mol)が、シロアリ腸内では酢酸生成菌が優占種となるケースが多い

[編集] 分類

メタン菌内の分類に関しては国際メタン菌分類小委員会によって1988年に基準が設定されている。以下に最小基準を列記する。

  1. 分離生成の確認(純粋性の証明)
  2. 形態
  3. 界面活性剤感受性
  4. グラム染色
  5. 運動性
  6. コロニー形態
  7. メタン生成基質
  8. メタン生成の確認
  9. 増殖速度
  10. 増殖条件(培地の条件:温度、pH、NaCl濃度等)
  11. GC含量

これら以外にも、推奨される基準としては以下のようなものがあげられている。

  1. 電子顕微鏡写真
  2. 免疫蛍光
  3. 脂質分析
  4. 全タンパク質(二次元電気泳動
  5. 16S rRNA系統解析あるいはDNA-DNA分子交雑法

メタン菌の主な分類群についてはユリアーキオータ門を参照。

[編集] 応用

メタン生成経路をエネルギー獲得型廃水処理に用いている。バイオリアクターとしての応用が盛んである。メタン生成廃水処理は活性汚泥法と比べて以下の点で優れている。

  1. 余剰汚泥の少なさ
  2. 曝気装置が不必要
  3. メタンガスが得られる(燃料として)
  4. 嫌気度が極めて高いために病原菌を死滅させられる
  5. 重金属イオンを硫化物として沈殿できる

一方、短所としては以下のものがあげられる。

  1. 反応速度が遅い
  2. アンモニアの蓄積
  3. 処理可能な有機物濃度が少ない

カーボンベースで5%以下の処理しかできなく、結局は曝気装置が必要との報告もある。

以上のような特徴を抱えながらも、嫌気性固定法 (UAFP:upflow anaerobic filter process)、嫌気性流動床法 (AFBR:anaerobic fluidized bed reactor)、上向流嫌気性汚泥床法 (UASB:upflow anaerobic sludge blanket reactor) といったメタン発酵リアクターが開発されている。

[編集] 地球環境への影響

自然環境から大気中に放出されるメタンガスは温室効果ガスであり(二酸化炭素の20-30倍の温室効果)、地球温暖化への影響が心配されている。二酸化炭素は現在温暖化の原因として悪名高い。しかし現状の上昇グラフや温暖化への寄与率を考えると二酸化炭素以外の温室効果ガス(メタンを含む亜酸化窒素オゾンフロンなど)が50年後には二酸化炭素の温室効果を上回ると考えられている。

メタンは17世紀以前は一定の量を維持していたが、人口増加や産業革命に伴い増加の一途をたどっている。特にここ50年間で発生量は2倍になっており、これは水田や家畜などの寄与率が大きいと考えられる。メタン菌の関与しているメタン生成量はZinderのデータによると年間3億~7億トンである。一方メタン菌非関与の生成量は5千万~1.5億トンであるからその寄与率の大きさは明らかである。

汚泥の除去など有効利用が行なわれる一方、水田や家畜からのメタン発生の抑制を行なう研究が進行中である。例えば、水田では稲藁をそのまま投入するより、一度発酵させ堆肥として用いたほうがメタン発生を抑制できるとの研究結果もある。

[編集] 歴史

  • 1776年 アレッサンドロ・ボルタイタリア北部マッジョーレ湖にて湖のそこから沸きあがってくる気体をガラス瓶に集め、この気体が燃えることを観察した(メタンの発見)。
  • 1783年 アメリカ合衆国のペインやジョージ・ワシントンもボルタと同様の観察を行なった。
  • 1868年 パスツール門下のベカンプが微生物によるエタノールの嫌気的分解によりメタンが発生することを確認した。
  • 1875年~1900年 メタン生成はルーメン内でのセルロースの分解と関係の無いことが明らかにされた。
  • 1910年 バイヤーリンク門下のゼーンゲンによって幾つかのメタン菌が観察される。
  • 1936年 バーカーが寒天亀裂培養法によってメタン菌純粋分離法を確立した(ただし当時分離されたメタン菌はまだ混合培養状態であったと考えられている)。
  • 1947年 シュネーレンによって Methanobacterium formiciumMethanosarcina barkeri が純粋分離される。
  • 1950年 フンガーテによって嫌気性菌を大気中で取り扱うガス噴射法、および嫌気性菌のコロニーを寒天上に作らせるロールチューブ法が開発される。
  • 1967年 ブライアンによって Methanobacterium omelianskiiM. bryantii と真正細菌であるS菌の混合培養系であることが明らかにされる。

[編集] 関連項目

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