メタノール
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メタノール | |
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一般情報 | |
IUPAC名 | methanol |
別名 | メチルアルコール、木精、カルビノール |
分子式 | CH4O |
分子量 | 32.04 g/mol |
組成式 | |
式量 | g/mol |
形状 | 無色液体 |
CAS登録番号 | [67-56-1] |
SMILES | CO |
性質 | |
密度と相 | 0.7915 (20 ℃) g/cm3, 液体 |
相対蒸気密度 | (空気 = 1) |
水への溶解度 | 任意に混和 |
への溶解度 | |
への溶解度 | |
融点 | −97.8 °C |
沸点 | 64.7 °C |
昇華点 | °C |
pKa | |
pKb | |
比旋光度 [α]D | |
比旋光度 [α]D | |
粘度 | |
屈折率 | 1.3292 (20 ℃) |
出典 |
メタノール (methanol) は有機溶媒などとして用いられるアルコールの一種である。別名として、メチルアルコール (methyl alcohol)、木精 (wood spirit)、カルビノール (carbinol) とも呼ばれる。示性式は CH3OH で、一連のアルコールの中で最も単純な分子構造を持つ。ホルマリンの原料、アルコールランプなどの燃料として広く使われる。燃料電池の水素の供給源としても注目されている。
目次 |
[編集] 製法
- 3)メタノール産生菌による発酵。
- 現代の工業製法はコスト面の事情により2)の製法で天然ガスから製造する製法が主流である
[編集] 主要な用途
[編集] 主な化学反応
- ナトリウム (Na) と反応して、ナトリウムメトキシド (CH3ONa) と水素 (H2) が生成する。
[編集] 危険性
日本においてメタノールは危険物第四類アルコール類に指定されているなど、引火の危険性の高い液体である。揮発性が高く、メタノールの入った容器を直接火にかけると爆発する恐れがあるため、保管場所・使用場所における火気や電気火花について念入りに注意しなければならない。特に使用する場所では十分な換気と、容器を倒さないこと、液をこぼさないことに留意されたい。換気は防火上有効であるとともに、後述する中毒の防止にも有効である。
引火して炎上した際は、泡や粉末タイプの消火器、二酸化炭素、砂を用いる。水を噴霧した場合、炎が広がる可能性があるため避けるべきである。
メタノールの炎は薄青色であるが、非常に透明感があり視認しにくい。キャンプ用品として販売されている着火剤はゲル状物質にメタノールが含まれており、マヨネーズを絞る要領で簡単に扱うことができるようになっている。その取り扱いの簡便さが裏目に出て過剰使用され、着火と同時にメタノールの透明な炎が大きく生じて衣類に引火するという事故が起きている。また、適正量の使用であっても、着火を確認するためにのぞき込んだため、透明な炎を浴びてしまうという事故も発生している。
[編集] 飲用毒性(中毒)
メタノールの致死量に関しては様々な報告があり、個人差が大きいと考えられるが、ヒト、経口での最小致死量は0.3-1.0g/kg程度であると考えられている。ヒトを含む霊長類の場合、メタノールはアルコールデヒドロゲナーゼによってホルムアルデヒドに代謝され、さらにホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼによってギ酸に代謝される。ホルムアルデヒドの体内半減期はおよそ一分であり、ホルムアルデヒドからギ酸への代謝は迅速に行われるため、ホルムアルデヒドによる毒性はほとんど問題にならない。メタノールの毒性はギ酸による代謝性アシドーシスとニューロンへの毒性によるものである。ギ酸の代謝能力は種によって異なっており、げっ歯類に比べてギ酸の代謝能力に劣る霊長類はメタノールの毒性が強く出ることが知られている[1]。
メタノール中毒による症状としては、目の網膜を損傷することによる失明がよく知られている。これは、ホルムアルデヒドがスコトプシンと結合してしまう(本来は同じアルデヒドであるレチナールがスコトプシンと結合してロドプシンを形成する)ことによって、桿体細胞を破損するためである(ギ酸が原因ではない)[要出典]。
また、ギ酸がミトコンドリアの電子伝達系に関わるシトクロムオキシダーゼを阻害するために視神経毒性が現れるとする意見もある[1]。
[編集] 日本
メタノール中毒は、取り扱い時の吸入、故意の摂取、誤飲などで起こる。日本では、第二次世界大戦後の混乱期に酒類の不足のためメタノールで増量した酒類が出回り、失明者が出たことから、メタノールの別称である「メチルアルコール」を当てて「目散るアルコール」や、その危険性を象徴してバクダン等と呼ばれた。その背景には、日本では酒の成分であるエタノールには酒税がかかるが、メタノールなどを加えて変性アルコールにしてしまうと非課税になったという事情が存在している。貧困が蔓延していた時代は、このような危険なものでさえ需要があったということである。
[編集] ケニア
ケニアで一般的に飲まれているトウモロコシの発酵酒は、製造時にメタノールを添加し、アルコール度数を高める手法が密かに行われている。その添加量は中毒患者が出るギリギリで調節されているというが、しばしば中毒事件が発生する。2000年には、134人が死亡、1000人以上が病院に収容される大事件が発生したほか、2005年にも30人程度の死亡者が発生するなど事件は後を絶たない。
[編集] 韓国
ソウルオリンピックの際にソ連のオリンピック協会職員が、薬局でエタノールを購入しようとしたところ(当時のソ連の財政難とルーブルの暴落のために、通常の酒類が購入できなかった)誤ってメタノールを購入してこれを飲んでしまい、死亡する事故が起こった。
[編集] ロシア
2006年冬、ロシアでは、ウォッカの代用として工業用アルコール等を飲んだ者が中毒を起こすという事故が相次ぎ、300人以上の死者を出した。また2008年1月にはモンゴルで、メタノールが混入したアルコールをウォッカと称して売る「偽造ウォッカ」によって11人が死亡した。
[編集] 脚注
[編集] 関連項目
- エタノール
- アルコール(化学)
- アルコール燃料
- 直接メタノール燃料電池