オゾン
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オゾン | |
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IUPAC名 | オゾン |
別名 | 三酸素 |
分子式 | O3 |
分子量 | 48.00 g/mol |
CAS登録番号 | [10028-15-6] |
形状 | 淡青色気体 |
相対蒸気密度 | 1.6(空気 = 1) |
融点 | −197.2 °C |
沸点 | −111.9 °C |
出典 | ICSC |
オゾン (ozone) は、3つの酸素原子からなる酸素の同素体である。分子式は O3 で、折れ線型の構造を持つ。腐食性が高く、生臭く特徴的な刺激臭を持つ有毒物質である。大気中にもごく低い濃度で存在している。
目次 |
[編集] 性質
常温常圧では薄青色の気体である。−111.9 ℃ (161.25 K) で紺色の液体となり(沸点)、−197.2 ℃ (75.95 K) で濃紫色の固体となる(凝固点)。中心の酸素原子と両端の酸素原子の結合は2本とも等価であり、オゾン分子は O=O+−O− と O−−O+=O の2つの極限構造から成る共鳴混成体であると考えられる。一般に空気に紫外線を照射したり、酸素中で無声放電を行うなど、高いエネルギーを持つ電子と酸素分子の衝突によって発生する。オゾンの発生は主に以下の化学式で表せる。
またオゾンは不安定な分子であるため、放置しておくと以下の化学式で酸素に変化する。
オゾンはフッ素に次ぐ強い酸化力を持つため、高濃度では猛毒である。吸い込むと内臓が酸化され糜爛(びらん)状になる。いくつかの電気機器は人間がにおいを感じる程度のオゾンを発生させる。特にブラウン管テレビやコピー機など高電圧を用いる装置で起こる。ブラシによって整流する電気モーターは機器内で繰り返される火花によってオゾンを発生させる。エレベータやポンプなどに使われる大型モータは小さいモータよりもオゾン発生量が多い。なお、これは整流子電動機特有の現象で、整流子のない誘導電動機・同期電動機ではオゾンは発生しない。
[編集] オゾン層
詳細はオゾン層を参照
大気の中で成層圏に存在するものはオゾン層と呼ばれ、生命にとって有害な紫外線が地上に降り注ぐ量を和らげている。しかし、地上付近に存在するオゾンは、光化学スモッグの際に生成し大気汚染物質でもある。成層圏中のオゾン量はドブソン単位で表される。工業で用いられる場合、ppmや容量パーセント濃度または重量パーセント濃度で表される。
[編集] オゾンの発見
オゾンは、ドイツ・スイスの化学者であるクリスチアン・シェーンバインによって1840年に発見された。彼は雷雨の中でオゾンが現れることに注目し、そしてその奇妙なにおいからギリシア語で臭いを意味する Ozo, Ozein から Ozon と名付けた。
[編集] オゾンの生産
工業では一般に水銀灯による短い波長の紫外線照射や高電圧による低温放電によって生産される。低温放電装置は二枚の電極板によって構成され、電極表面に高い誘電率をもつホウケイ酸ガラス(パイレックスガラス)や雲母のような絶縁体で覆う。交流高電圧を電極にかけると無声放電が起こり、平板間に流した酸素分子が解離し、他の酸素分子と再結合することによってオゾンが発生する。また、陰極に黒鉛電極、陽極に白金電極を用い、希硫酸を電気分解することによって陽極からオゾンが酸素との混合気体として生成される。同様に、固体高分子電解質膜を白金を用いた陰極と、二酸化鉛を用いた陽極で挟み、水を電気分解することでも陽極からオゾンが酸素との混合気体として生成される。
[編集] 利用法
オゾンはフッ素に次ぐ強力な酸化作用があり、殺菌・ウイルスの不活化・脱臭・脱色・有機物の除去などに用いられる。海外では水道水の殺菌に塩素の代わりにオゾンが用いられる事も多い。オゾンは有機塩素化合物を生成しないため、処理後の水にも残留しない。従って、いくつかのシステムでは配管での細菌増殖を防ぐために少量のオゾンを添加することがある。日本では近年、東京都水道局や大阪市水道局で水道水の殺菌の一環として用いられており、追随する自治体も増えてきている。
気体としてのオゾンは、その毒性により高度な濃度管理が求められるため、オゾンガスをミキシング又はバブリングと呼ばれる手法で水に溶け込ませたり、電気分解により水に含まれる酸素を利用して作る「オゾン水」として活用される例が増えている。オゾンの不安定な性質により数十分で水に戻るので残留性のない殺菌水として使えるほか、塩素系殺菌剤やエタノール系殺菌剤を使えないところにも使用できる。
ヨーロッパでは医療への有効活用が多数試され、その効果が発表されている。近年は日本でも医療、介護、食品、酪農を主とする農業などの分野で殺菌、消臭、廃棄物処理目的で使われることが多くなった。虫歯の治療においてオゾンガスを患部に当てるだけで治療できる方法が発明されている。また、半導体ウエハーの洗浄にオゾンを溶媒させたオゾン水が利用されることがある。水を使わずに除菌や洗濯を行う洗濯機にオゾンが利用されている例がある[1]。
オゾンが酸化剤として働くときの半反応式は次のように表される。
酸性溶液中では溶液内の水素イオンが直接反応し、生成した水酸化物イオンが溶液内の水素イオンと反応して水ができ、半反応式は次のようになる。
[編集] その他
オゾンは活性の高い酸素を含む化学種であり、広義の活性酸素の一つとされる。身体に害があるとして話題になった「活性酸素」は、狭義ではスーパーオキシドアニオンラジカルやヒドロキシルラジカルを指し、オゾンは含まれない。なお、水中での分解過程では、オゾンの一部が狭義の活性酸素の一つであるヒドロキシラジカルを経て分解することも知られている。
オゾンを用いた反応の例としてオゾン分解が挙げられる。アルケンをオゾンで酸化すると C-O-O-C-O-C- を含む5員環構造のオゾニドが生じ、還元的な後処理をすることによりケトンまたはアルデヒドが得られる。一方、酸化的な後処理をするとケトンまたはカルボン酸が得られる。
自動車等のタイヤを保管する際は電気設備の近くを避けるようにという説明がタイヤメーカーからなされているが、その理由は性質の節で述べられているとおり、モーターなどから発生するオゾンがタイヤの主成分である合成ゴムを侵すからである。
[編集] 註・出典
[編集] 関連項目
- 「Ozone」 - Encyclopedia of Earthにある「オゾン」についての項目(英語)。
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現象 | オゾン - オゾン層 - オゾンホール - 紫外線 | |
生成理論 | 大気化学 - 塩素ラジカル - 一酸化塩素 - オゾン破壊係数 - 真珠母雲(極成層圏雲) | |
原因物質 | クロロフルオロカーボン(CFC) - ハロン - 四塩化炭素 - トリクロロエタン(C2H3Cl3) - ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC) - ハイドロブロモフルオロカーボン - ブロモメタン - ブロモクロロメタン | |
対策 | 代替フロン | |
枠組 | ウィーン条約 - モントリオール議定書 - オゾン層保護法 - フロン回収破壊法 |