ホンダ・アクティ
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アクティ (ACTY) は本田技研工業が生産する軽自動車規格のキャブオーバー、もしくはセミキャブオーバー型の商用バンおよびトラックである。
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[編集] 特徴(現行モデル)
通常一般的なトラックのレイアウトでスケールダウンされた軽トラックの場合縦型エンジンをキャビン下に置き、ドライブシャフトでデフレシャルギヤにより後輪を駆動するのが一般的であるが、アクティは横置きエンジンを荷台下に置き、ミッドシップとしている点が最大の特徴である。これはホンダが縦置きの軽エンジンを持たず、一般的な軽乗用車用のFF横置きエンジンしかなかったため、それを流用するためFFのエンジンユニットをそのまま後軸駆動させるためにとられたものと考えられる。エンジンを荷台下中央に置くことにより重心位置が車体中央に近く、フロントエンジン式の他社軽トラックに比べて空荷の状態でも後輪のトラクションが不足することがない。積載状態でも重心位置の変化が少なく運転感覚があまり変化しない。また、エンジンが遠く離れているため振動、騒音は比較的少ないという長所を持つ。 一方で、エンジンメンテナンスハッチは荷台上にあり、エンジンのメンテナンスを行うには荷台に乗っているものを降ろしてからでないと事実上不可能なため、常時荷物を積んだままとか、荷台になにか設営するという使い方をするユーザーは注意が必要である。
[編集] 歴史
[編集] 初代(1977-1988年)
- T360、TN360、TN-V、TN-7と続いてきたホンダの軽トラックの後継として、1977年7月27日、TNアクティが発売された。ちなみに、TNの名はトラックのみ。バンタイプはまだ設定されていなかった。発売時の東京地区標準現金価格は「スタンダード」で53万3000円。
- 1975年9月1日の道路運送車両法施行規則改正(省令第34号)を受け、エンジンは先代と比べスケールアップされ、545cc 直列2気筒 SOHC 水冷エンジン となる。他社の同様のモデルがアンダーフロアのFRやRRのエンジンレイアウトを採用するが、アクティはMRレイアウトを採用する。
- 1979年11月、アクティバンが追加される。
- 1981年2月1日、乗用車的な使い方を想定したバン、アクティストリートが追加される。
- 1982年6月、かなり大掛かりなマイナーチェンジを実施。AT車(ホンダマチック)追加。トラックに室内が広いビッグキャブが追加される。また、ビッグキャブにはクラス初の5速MTが設定された。
- 1983年2月、4WD車追加。発売当初は世界でも珍しいミッドシップ4WDとして話題を呼んだ。エンジンの搭載方式は二輪駆動と異なり縦置きであった。軽トラック、軽キャブバンクラス初のフロントディスクブレーキ(4WD車のみ)が標準装備される。
- 1984年、当時クラス唯一の4WDのAT車が追加される。
- 1985年マイナーチェンジ。フロントバンパーが大型化されエアコンがオプション設定される。2WD車も全車フロントディスクブレーキ(ただし10インチ)化。
- 前期型のイメージキャラクターには、俳優の渡辺篤史が、後期型には、ホンダマチック仕様のCMにはコメディアンの植木等(ハナ肇とクレイジーキャッツ)が、4WDシリーズのCMには覆面プロレスラーのタイガーマスク(初代、佐山聡が扮した)がそれぞれ起用された。
[編集] 2代目(1988-1999年)
- エンジンは2気筒から3気筒へ変更となり、1気筒あたりの吸気バルブを2本とした12バルブとなった。
- 当時唯一の4WDのAT車が廃止され、この世代のアクティには4WDのAT車が存在しない。4WDシステムはトランスファーを用いたパートタイム4WDから、構造が簡単なリアルタイム4WDとなった(スタンバイ4WD)。
- 発売時の東京地区標準現金価格は「スタンダード 一方開 2WD」で59万8000円。
- リアルタイム4WDには、、大きな駆動力を発揮する、ウルトラロー(UL)とウルトラローリバース(UR)の超低速ギアを持つ、専用の4速MTと、リアデフロックが標準装備となった、営農用の「アタック」が追加された。
- 1990年マイナーチェンジ。軽新規格へ移行し、全長が100mm延長され、排気量が660ccなる。ヘッドランプは丸形からストリートと同様の異形に変更された。
- 1990年8月、オーナードライバー向けに、カラードバンパー、フルホイールキャップ、AM / FMラジオカセット、タコメーターなどを標準装備とした、「タウン」が追加される。「SDX-II」が廃止になり、「SDX」にも5速MTが追加される。
- 1994年マイナーチェンジ。ヘッドランプの形状が変更され、ラジオのチューナーが電子式となる。後輪に代わり、ゴム製のクローラを装備した、「アクティ・クローラ」が追加される。ただし、かつてのT360や、TN360のクローラー仕様とは異なり、クローラーから通常のホイールに換装することはできない。
- 1996年マイナーチェンジ。フロントターンシグナルのレンズを、アンバーからクリヤーへ変更。
[編集] 3代目(1999年-)
- 1999年5月28日、アクティは2度目のフルモデルチェンジを受ける(ただしバンは6月25日)。発売時の全国希望小売価格は「3方開 STD 2WD 5速MT」で72万円。このモデルは先代とスタイルが大きく異なり、セミキャブオーバー型のレイアウトをとっている。ライバルに比べ高めの値段設定、バンでリアシート格納するとシートスライドが出来なくなる、トラックは室内が狭いなど、男性平均身長以下の人しか運転出来きない作りが仇となりバモスと裏腹に販売面では苦戦している。1996年9月30日の道路運送車両法施行規則改正(省令第53号)を受け、短いながらもボンネットを設けて乗員の安全性を確保する寸法的余裕が生まれたためとも言える。このモデルからホンダの安全ボディ「Gコントロール」技術が採用されている。しかしクラッシャブルゾーンに寸法を割りすぎたせいかライバルと比べ荷台長が短く不評だった。エンジンもすべてPGM-FI化された。
- 2000年12月20日、バンパーとフロントグリル、キャビンの寸法を削り、その分を荷台長に割り当てる変更を行ったがトラックの車内はさらに狭くなった。
- 2000年2月24日、バンのみ4WDのAT車を復活させているが、同時期に追加された乗用ワゴン仕様、 バモスのターボモデルやホンダ・Zと駆動系の設計を共有するため、通常のアクティと異なりエンジンを縦置きに搭載し、シビック用の4速ATを採用する。
- 2001年9月、バンの一部改良でエアコンが全グレードに標準装備された。
- 2003年4月、一部改良。トラック「TOWN」のドアミラーとドアハンドルをカラード化。バン・トラックともに超-低排出ガス(U-LEV)化。バンに運転席・助手席SRSエアバッグを全グレードに標準装備、バンの「TOWN」グレードが廃止される。
- 2005年12月、一部改良。
- 2007年2月、一部改良、バン「SDX」に電波式キーレスエントリーをオプション化、トラック「TOWN」にエアコンを標準装備。