フランシスコ・ロドリゲス
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フランシスコ・ロドリゲス Francisco Rodriguez ロサンゼルス・エンゼルス No.57 |
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基本情報 | |
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国籍 | ベネズエラ |
出身地 | カラカス |
生年月日 | 1982年1月7日(26歳) |
身長 体重 |
6' 0" =約182.9cm 195 lb =約88.5kg |
選手情報 | |
投球・打席 | 右投右打 |
守備位置 | 投手 |
プロ入り | 1998年 アマチュア・フリーエージェントとしてアナハイム・エンゼルスと契約 |
初出場 | 2002年9月18日 アスレチックス戦 |
年俸 | 10,000,000ドル(2008年)[1] |
経歴 | |
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■Template ■ウィキプロジェクト 野球選手 |
フランシスコ・ホセ・ロドリゲス(Francisco José Rodriguez, 1982年1月7日 - )は、ベネズエラ・カラカス出身の野球選手。投手、右投右打。MLBロサンゼルス・エンゼルスに所属している。
目次 |
[編集] 経歴
[編集] アマチュア、マイナー時代
1982年にベネズエラで生まれるが、生後2か月で両親に捨てられ、近くに住む祖父母らの手で育てられる。母親の元を複数回にわたり訪ねたロドリゲスだったがすぐに追い返され、父親にも気にかけてもらえなかった[2]。7歳のころに地元のGraciano Ravelo Baseball School で投手を始める[3]が、ロドリゲスは月謝を払うことができなかったためコーチが代わりに払っていた[4]。
1998年に契約金90万ドルでアナハイム・エンゼルス(現ロサンゼルス・エンゼルス・オブ・アナハイム)と契約。ロドリゲスは4LDKのマンションを祖父母にプレゼントしたが、アメリカ合衆国へ渡ることになったときでさえ自分をほとんど無視した両親に対しては「僕の方だって両親を気にかける必要はない」という考えを持つに至った[2]。
マイナーリーグでは、1999年から2001年までの3年間で46試合に登板し、うち42試合に先発。計234.1投球回で301奪三振を記録するが、2001年には5勝7敗・防御率5.38と苦しんだ。球団首脳陣がロドリゲスの将来をどうするか考えた結果、肩や肘を痛めたこともあって[5]、先発からリリーフへの転向が決まった。ロドリゲスは当初「僕は、もちろん先発がやりたかったんだ」と難色を示した[2]が、最終的にはこの配置転換を受け入れた。
リリーフとして迎えた2002年、ロドリゲスはAA級アーカンソーでは23試合で3勝3敗9セーブ・防御率1.96、AAA級ソルトレイクでは27試合で2勝3敗6セーブ・防御率2.57と好成績を残す。7月には、マイナーリーグのオールスターゲーム "フューチャーズ・ゲーム" に世界選抜の一員として選出され、あと一人で試合終了という場面で登板して三振を奪い試合を締めている。
[編集] メジャー昇格、ポストシーズンでの好投
2002年9月のロースター枠拡大(いわゆる "セプテンバー・コールアップ")に伴いロドリゲスはメジャー昇格、同月18日のアスレチックス戦でメジャーデビュー。レギュラーシーズン終了まで5試合に登板し、球団タイ記録の8者連続[6]を含む13三振を奪う。メジャー昇格時にはロッカーのネームプレートを "Rodrigues" と間違った綴りにされた[4]程度の存在だったが、チーム内で自身のポジションを確立した。チームはシーズン前の大方の予想を覆し、99勝63敗でワイルドカードとしてポストシーズン進出を果たす。9月にメジャーへ昇格したロドリゲスは本来はポストシーズンのロースター枠には入ることができないが、故障したアーロン・シーリーの代役として特例でロースター入りが認められた。
前年のリーグ王者ヤンキースとのディビジョンシリーズ第2戦でロドリゲスはポストシーズン初登板。2点を失い逆転を許したが、チームがその後再逆転を果たし勝利、ロドリゲスが勝利投手となった。続く第3戦では2回無失点4奪三振、第4戦では1.2回無失点3奪三振と好投。ロドリゲスの3連投とともにチームも3連勝し、3地区制となってからは球団史上初のリーグチャンピオンシップシリーズ進出を果たした。ツインズと対戦した同シリーズでは、ロドリゲスは第2戦から第5戦まで4連投し、防御率0.00とほぼ完璧に抑える。このシリーズでもロドリゲス登板試合でチームは全勝し、球団創設42年目で初のリーグ優勝・ワールドシリーズ進出を決めた。
ジャイアンツとのワールドシリーズでは、まず第2戦で3回を投げて相手を無安打無得点に抑え、シリーズ史上最年少の20歳286日で勝利投手に[6]。しかし、第4戦では安打と捕逸で走者を二塁に背負った状態でデビット・ベルに決勝適時打を許し、このポストシーズンで初黒星を喫した。さらに第6戦でもバリー・ボンズにソロ本塁打を、ジェフ・ケントに適時打を浴びて2失点。それでも最終第7戦では1回を3奪三振・無失点に抑えた。エンゼルスは球団史上初のワールドシリーズ制覇を達成した。
このポストシーズン3シリーズでロドリゲスは11試合に登板。18.2回で28奪三振を記録しただけでなく、前年のランディ・ジョンソン(ダイヤモンドバックス)に並ぶポストシーズン史上最多の5勝(1敗)を挙げた。"A-Rod" という愛称を持つアレックス・ロドリゲスと姓が同じこともあり、三振を意味する "K" と掛けて "K-Rod" と呼ばれるようになるなど、ロドリゲスの知名度・人気が高まった。
翌2003年には59試合に登板し、86回で95三振を奪った。2004年はオールスターゲームに始めて選出されるなど年間を通して安定。奪三振123は、デュウェイン・バイスが1987年に記録したリリーフ投手としてのシーズン奪三振球団記録を14更新するものだった[7]。サイ・ヤング賞の投票では4位に入っている。
[編集] クローザー転向
2005年からはデトロイト・タイガースへ移籍したトロイ・パーシバルに代わってチームのクローザーとなった。9月21日にはシーズン40セーブ目をマークし、24歳未満でシーズン40セーブというのはチャド・コルデロに次ぐ史上2人目の快挙となった[8]。ボブ・ウィックマンに並ぶ45セーブ記録し最多セーブ投手となった。翌2006年は、9月10日のブルージェイズ戦で通算100セーブを達成。24歳での到達はグレッグ・オルソン(元オリオールズ)の記録を1年近く上回るメジャー史上最年少記録となった[9]。最終的には2年連続でリーグ最多となる47セーブを記録した。
2007年は開幕直後に帽子のひさしの裏側に白い異物を仕込み、それを指に塗って投げているという違法投球疑惑があったが、ロドリゲスはこの疑惑に反論[10]。2004年以来の選出となったオールスターゲームで初セーブを記録。レギュラーシーズンでは45セーブを記録したジョー・ボロウスキーには及ばなかったものの、ボビー・ジェンクス、J.J.プッツと並ぶリーグ2位タイの40セーブを記録した。
[編集] 投球スタイル
94 - 96mph(約151.3 - 154.5km/h)の速球と鋭い曲がりのスライダー(もしくはカーブとも言われる)が武器であるが、スライダーに頼りすぎの感がある[5]。まれに集中力を欠き、ビッグイニングを作られることもある[11]。
[編集] 年度別投手成績
年度 | 球団 | 勝利 | 敗戦 | 試合 | 先発 | 完投 | 完封 | 完了 | セーブ | ホールド | 投球回 | 被安打 | 失点 | 自責点 | 被本塁打 | 四球 | 奪三振 | 死球 | 暴投 | 打者 | 防御率 | WHIP |
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2002 | ANA | 0 | 0 | 5 | 0 | 0 | 0 | 4 | 0 | 0 | 5.2 | 3 | 0 | 0 | 0 | 2 | 13 | 1 | 0 | 21 | 0.00 | 0.882 |
2003 | ANA | 8 | 3 | 59 | 0 | 0 | 0 | 23 | 2 | 7 | 86.0 | 50 | 30 | 29 | 12 | 35 | 95 | 2 | 7 | 334 | 3.03 | 0.988 |
2004 | ANA | 4 | 1 | 69 | 0 | 0 | 0 | 29 | 12 | 27 | 84.0 | 51 | 21 | 17 | 2 | 33 | 123 | 1 | 5 | 335 | 1.82 | 1.000 |
2005 | LAA | 2 | 5 | 66 | 0 | 0 | 0 | 58 | 45 | 0 | 67.1 | 45 | 20 | 20 | 7 | 32 | 91 | 0 | 8 | 279 | 2.67 | 1.144 |
2006 | LAA | 2 | 3 | 69 | 0 | 0 | 0 | 58 | 47 | 0 | 73.0 | 52 | 16 | 14 | 6 | 28 | 98 | 1 | 10 | 296 | 1.73 | 1.096 |
2007 | LAA | 5 | 2 | 64 | 0 | 0 | 0 | 56 | 40 | 0 | 67.1 | 50 | 22 | 21 | 3 | 34 | 90 | 1 | 7 | 285 | 2.81 | 1.248 |
通算 | 6年 | 21 | 14 | 332 | 0 | 0 | 0 | 228 | 146 | 34 | 383.1 | 251 | 109 | 101 | 30 | 164 | 510 | 6 | 37 | 1550 | 2.37 | 1.083 |
※数字は2007年までのもの。太字はリーグ1位。
[編集] 獲得タイトル・表彰
[編集] 脚注
- ^ "Los Angeles Angels Salaries - 2008," ESPN.com. 2008年6月3日閲覧。
- ^ a b c 水次祥子 「フランシスコ・ロドリゲス[エンゼルス]/「攻略不能」の恐るべき衝撃」 『月刊メジャー・リーグ』2003年2月号、ベースボール・マガジン社、2003年、雑誌08625-2、34-37頁。
- ^ "Biography and Career Highlights," The Official Site of The Los Angeles Angels of Anaheim. 2008年6月3日閲覧。
- ^ a b 若村玲二 「もうひとつのワールドシリーズ フランシスコ・ロドリゲス「彗星のように現われた20歳のルーキー」」 『月刊スラッガー』2003年1月号、日本スポーツ企画出版社、2002年、雑誌15509-1、26-27頁。
- ^ a b Josh Boyd, "Angels Top 10 Prospects," Baseball America, January 2, 2003. 2008年2月26日閲覧。
- ^ a b "2002 Career Highlights," The Official Site of The Los Angeles Angels of Anaheim. 2008年1月21日閲覧。
- ^ "2004 Career Highlights," The Official Site of The Los Angeles Angels of Anaheim. 2008年1月21日閲覧。
- ^ "Francisco Rodriguez 2005 Career Highlights (英語)" 2008年4月18日閲覧.
- ^ "2006 Career Highlights: mlb.com (英語)" 2008年1月21日閲覧.
- ^ 村上雅則 『メジャーリーグ・完全データ選手名鑑2008』 廣済堂出版、2008年、191項。ISBN 978-4-331-51300-2。
- ^ "Francisco Rodriguez - Los Angeles Angels" Sportsnet.ca. 2008-02-26閲覧.
[編集] 外部リンク
- 選手の通算成績と情報 MLB、ESPN、Baseball-Reference、Fangraphs、The Baseball Cube
獲得タイトル・表彰 | |||
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投手 | 34 ニック・エイデンハート / 66 ホセ・アレドンド / 49 クリス・ブートチェック / 52 ジェイソン・バルジャー / 45 ケルビム・エスコバー / 20 ジョン・ガーランド / 79 ニック・グリーン / 68 ジェフ・ケナード / 41 ジョン・ラッキー / 58 ダスティン・モズリー / 53 ダレン・オデイ / 38 ダレン・オリバー / 57 フランシスコ・ロドリゲス / 54 アービン・サンタナ / 68 アレックス・セラーノ / 51 ジョー・ソーンダース / 62 スコット・シールズ / 33 ジャスティン・スパイアー / 63 リッチ・トンプソン / 36 ジェレッド・ウィーバー |
捕手 | 28 ライアン・バディ / 5 ジェフ・マシス / 44 マイク・ナポリ / 46 ボビー・ウィルソン |
内野手 | 2 エリック・アイバー / 43 マシュー・ブラウン / 9 ショーン・フィギンズ / 6 マイサー・イズトゥリス / 47 ハウィー・ケンドリック / 35 ケイシー・コッチマン / 19 ケンドリー・モラレス / 39 ロブ・クインラン / 18 ショーン・ロドリゲス / 3 ブランドン・ウッド |
外野手 | 16 ギャレット・アンダーソン / 64 テリー・エバンス / 27 ブラディミール・ゲレーロ / 48 トリー・ハンター / 24 ゲイリー・マシューズ・ジュニア / 21 フアン・リベラ / 77 レジー・ウィリッツ |
監督・コーチ | 14 マイク・ソーシア(監督) / 10 ロン・レナキー(ベンチコーチ) / 4 アルフレド・グリフィン(一塁コーチ) / 21 ディノ・イーベル(三塁コーチ) / 7 ミッキー・ハッチャー(打撃コーチ) / 23 マイク・ブッチャー(投手コーチ) / 88 オーランド・メルカド(ブルペンコーチ) / 61 スティーブ・ソリツ(ブルペン捕手) |
公式サイト(英語)より 40人ロースター 監督・コーチ一覧 2008年5月2日更新 |
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1 ベンジー・モリーナ / 2 アダム・ケネディ / 3 オーランド・パルメイロ / 6 ショーン・フィギンズ / 10 ベンジー・ギル / 15 ティム・サーモン / 16 ギャレット・アンダーソン / 17 ダリン・アースタッド / 18 アレックス・オチョア / 20 ブラッド・フルマー / 22 デビッド・エクスタイン / 23 スコット・スピージオ / 25 トロイ・グロース / 27 ケビン・エイピアー / 28 ホセ・モリーナ / 36 ラモン・オルティズ / 40 トロイ・パーシバル / 41 ジョン・ラッキー / 44 ショーン・ウッテン / 53 ブレンダン・ドネリー / 56 ジャロッド・ウォシュバーン / 57 フランシスコ・ロドリゲス / 60 スコット・ショーエンワイス / 62 スコット・シールズ / 77 ベン・ウェーバー 監督 14 マイク・ソーシア |
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投手 | 15 ビクトル・モレノ / 23 リカルド・パルマ / 27 カルロス・ヘルナンデス / 28 ジョバンニ・カラーラ / 29 ホルヘ・フリオ / 31 ビクター・ザンブラーノ / 34 フレディ・ガルシア / 36 トニー・アーマス・ジュニア / 37 フランシスコ・ロドリゲス / 38 カルロス・ザンブラーノ / 39 グスタボ・チャシーン / 45 ケルビム・エスコバー / 52 カルロス・シルバ / 57 ヨハン・サンタナ / 63 ラファエル・ベタンコート |
捕手 | 19 ラモン・ヘルナンデス / 21 ヘンリー・ブランコ / 41 ビクター・マルティネス |
内野手 | 1 トマス・ペレス / 2 カルロス・ギーエン / 9 エドガルド・アルフォンゾ / 12 マルコ・スクータロ / 13 オマー・ビスケル / 24 ミゲル・カブレラ |
外野手 | 20 フアン・リベラ / 30 マグリオ・オルドニェス / 47 エンディ・チャベス / 51 ロベルト・ペレス / 53 ボビー・アブレイユ / 56 トニー・アルバレス |