ドラゴンボールZ たったひとりの最終決戦〜フリーザに挑んだZ戦士 孫悟空の父〜
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『ドラゴンボールZ たったひとりの最終決戦〜フリーザに挑んだZ戦士 孫悟空の父〜』(ドラゴンボールゼット たったひとりのさいしゅうけっせん〜フリーザにいどんだゼットせんし カカロットのちち〜)は、1990年10月17日に放送された「ドラゴンボールZ」のテレビスペシャル映画。
注意:以降の記述で物語・作品に関する核心部分が明かされています。
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[編集] 解説
本作はシリーズ初のテレビ映画であり、また、全作品で唯一孫悟空たちが活躍するよりも前の話を描いた(つまり、悟空が一切活躍しない)シリーズ初のスピンオフストーリーである。またTVや映画のオリジナルキャラクターが原作にも登場するのは極めて稀だが、孫悟空とフリーザとの会話の中でバーダックが登場している(原作第307話)。
海外では日本語のバージョンも収録したDVDが発売されている。日本においてはDRAGON BOX1の特典としてDVD化されているが、単品での商品化は2008年6月現在行われていない。また、本作で実質バーダックのテーマとして用いられているサントラの「ソリッドステート・スカウター」はアニメシリーズでは本作のみの使用(英語圏では未使用)。この曲はイエロー・マジック・オーケストラの楽曲『Solid State Survivor』のアレンジでもある。
[編集] ストーリー
全宇宙一の戦闘民族サイヤ人の住む惑星ベジータで一人の男の子が産声をあげた。その名は「カカロット」。時を同じくして、サイヤ人戦士「バーダック」の一味はカナッサ星を攻めていた。彼、バーダックこそがカカロットの父である。カナッサ星は一夜にして大猿と化したバーダック一味によって陥落した。
翌日、「息子の誕生祝い」とからかわれながら、休憩を取っていたバーダックたちを、カナッサ星人最後の生き残りであるトオロが襲い掛かる。不意打ちを受けたバーダックだが、仲間の攻撃によりトオロは撃退された。トオロはバーダックに対し、「お前に未来を予知できる幻の拳を放った」という趣旨の発言をし、「未来を見てせいぜい苦しむがいい」と嘲笑うが、バーダックの怒りを買ってとどめをさされる。その直後にバーダックは意識を失ってしまう。
カナッサ星の制圧の報はそれをサイヤ人に依頼したフリーザの元へと入る。しかし、名もない下級戦士たちが予定より1ヶ月も早く惑星の制圧を行った。フリーザの側近を務めるザーボンは、個人では大した強さを持たないが、徒党を組むことでとてつもない力を発揮するサイヤ人たちに対して危機感を抱き始め、フリーザとドドリアの前でそのことを吐露した。
数日後、バーダックの傷は殆ど完治していたが、脳波に異常があると診断された。次の命令は惑星ミートの制圧に決まったが、仲間たちはバーダックの容態を気遣い、彼を残して戦いに出る。フリーザによってサイヤ人が滅ぼされるという夢を見た後意識を取り戻したバーダックは、仲間が自分を出し抜いたことを知って惑星ミートに向かうが、途中自分の息子、すなわちカカロット(後の悟空)との初めて(そして最後)の対面を果たす。奇妙な夢とのかかわりが気になりつつも、息子の戦闘力がたったの2と知り、失望して「クズが」と言い残してその場を去ってしまう。
惑星ミートではフリーザの部下であるドドリアたちが、トーマらバーダックの仲間たちを攻撃していた。バーダックが到着した頃には仲間は全滅。かろうじて虫の息であったトーマからフリーザの裏切りを伝えられる。バーダックは、その場にいてバーダックを嘲笑っていたドドリアの部下4人に立ち向かった。4人を倒したバーダックであったが、直後に現れたドドリアの攻撃で吹き飛ばされ、重傷を負う。
惑星ベジータに戻ったバーダックは、フリーザが惑星ベジータに向かっていることを確認する。今まで自分が見てきた奇妙な夢が、全て真実であったことを悟ったバーダックは、フリーザに立ち向かうために仲間のサイヤ人たちに呼びかける。しかし、彼らはバーダックの言葉をまるで信じようとはせず、逆に笑いものにされるだけだった。バーダックは、惑星ベジータ、自分自身、そしてカカロットの運命と未来を変えるため、自分ひとりでフリーザに挑むことを決意し、フリーザの元へ向かう。バーダックの、たったひとりの最終決戦が始まろうとしていた。
[編集] 登場キャラクター
- バーダック:野沢雅子
- ラディッツ、カカロット(孫悟空)兄弟の父。容姿は目つきの鋭さをラディッツが受け継いでいる以外は、髪型などカカロットと瓜二つ。性格は粗野で口調も荒く、子供に対する愛情も薄いが、仲間に対する思いは強い。サイヤ人の最下級戦士の身であるが、度重なる激戦と死線を潜り抜けてきたことによって、その戦闘力は1万前後と、エリートサイヤ人にも引けをとらず、その勇猛さはサイヤ人の間では有名だったとされる。
- 侵略していたカナッサ星にてカナッサ星人・トオロの「幻の拳」を受けたことによる予知夢でサイヤ人の行く末を見せられ、フリーザの支配に疑惑を持ちはじめるようになる。そして戦友トーマらの死によって、フリーザの裏切りを確信する。表立って叛意を翻したバーダックは、同族たちに説得を試みるが全く真に受けてもらえなかった。単身での決戦を覚悟したバーダックは、滅びゆく運命に逆らうため、単身フリーザに挑む。惑星ベジータに接近するフリーザの宇宙船に向かうが、途中でフリーザの部下たちが大量に襲い掛かってきた。バーダックはフリーザの部下たちによって接近を阻まれながらもフリーザの名を叫び、自分の前に出てくるように誘導する。やがてフリーザが姿を現すと、バーダックは不敵に笑いながら片手にエネルギーを込め、渾身の力を込めてフリーザにエネルギー弾を飛ばす。しかし、フリーザは指先に気を集めて作り出したエネルギーの球体を一挙に巨大化させ、惑星ベジータに向けて撃ち放った。バーダックのエネルギー弾はそれに吸収され、バーダックはなす術も無くフリーザのエネルギー弾に飲み込まれた。バーダックは絶命する直前、カカロットとフリーザが対峙する予知夢を見て静かに微笑み、我が子の名前を叫びながら、惑星ベジータと運命を共にした。惑星ポッドに乗って地球に向かっていた息子に、父の語りかける声が聞こえた。「俺の遺志を継げ。サイヤ人の仇をお前が討つのだ」。
- フリーザと対峙する最期のシーンは、ドラゴンボールZの劇場版で幾度となく使用された。フリーザに放ったエネルギー弾は「スピリッツ・オブ・サイヤン」と呼ばれることが多いが、ゲームでは「ライオットジャベリン」または「ファイナルスピリッツキャノン」のどちらかの名称が使用されている(スピリッツオブサイヤンという名前の究極技が別に用意されている)。
- 元々は本作品のオリジナルキャラクターであったが、後に原作でも2コマ登場している(フリーザが孫悟空を、惑星ベジータを滅ぼした時に最後まで抵抗したサイヤ人にそっくりだと気がつく場面)。これは鳥山が本作を見て感動したというのが理由である。ただし、後年の鳥山は、自分がバーダックを登場させたことを覚えていなかった[1]。
- 妻については、息子であるラディッツの口から「惑星ベジータ消滅時に死亡した」ことが語られた以外一切触れられておらず、謎に包まれている。
- 名前の由来は英語でゴボウを指すバーダックから。
- カカロット:野沢雅子
- 生まれたばかりのバーダックの次男。潜在能力が低いと判定されたために、即座に辺境の惑星へ制圧の尖兵として送り込まれることになる。地球到達時の発見の様子は、アニメ本編とは描写が少々異なっている。
- 名前の由来は英語でにんじんを指すキャロットのもじり。
- トーマ:曽我部和恭
- バーダックの仲間であり、無二の親友。バーダックチーム5人の中ではサブリーダー。風貌は面長だが比較的男前で、長い後ろ髪を束ねている。ドドリアに倒されるが、死の間際、バーダックにフリーザの裏切りを伝えた。片腕に白い布を巻いており、トーマが事切れたあとに、バーダックがその布をほどいて血まみれのトーマの顔を拭いた。その際バーダックは、仲間を殺された怒りから手を握り締め、布は血で大きく滲んだ。その真っ赤な布を、バーダックは頭に巻いたのである。この布は、バーダックが惑星ベジータとともに消滅させられた後にも、宇宙空間を飛んでいた。
- 名の由来はトマト。
- セリパ:三田ゆう子
- バーダックの仲間。バーダックチーム唯一の女戦士。風貌は、ショートカット(ボブ)で切れ長の目つきをしている。出番自体は少ないが、女サイヤ人は原作では登場描写がなく、設定上でも元々少数民族のサイヤ人にあって男性の1割しか存在しないレアな存在(女性は王族・エリート・下級戦士を総合しても数えるほどしか生まれないともされる)。トテッポ、パンブーキンらと共にドドリア一味に倒された。
- カナッサ星制圧直後にはバーダックに息子に会うよう薦めるシーンもあり、女性らしく同族の赤ん坊に対する愛情はあることを示唆していた。
- 後年、ゲームで再登場。女性ながらサイヤ人らしく気性は激しいが、姉御肌的な義理堅さもある戦士として描かれている。
- 名の由来はパセリ。
- トテッポ:塩屋浩三
- バーダックの仲間。無口で、いつも何かを食べている巨漢。風貌はえらの張った輪郭で、頭頂部が禿げており、額に3本の斜めの傷がある。ボロボロになりながらもドドリアに向かって行く姿が見られたが、一瞬で倒された。
- 名の由来はポテト(ジャガイモ)。
- パンブーキン:渡部猛
- バーダックの仲間。肥満体ではあるが、スピードはかなりのもの。5人の中では一番気が短く、思考も短絡的。カナッサ星人の攻撃を唯一受けた(バーダックを除く)。自分たちをよく使ってくれるフリーザたちに感謝していたが、ドドリア一味に倒された。
- 名の由来はパンプキン(かぼちゃ)。
- トオロ:銀河万丈
- バーダックたちに滅ぼされたカナッサ星人の生き残り。最後の力を振り絞り、バーダックに未来を予知する拳を与え、バーダックに呪われた未来を見せようとした。その後バーダックに倒される。カナッサ星は「へんな超能力を得られるエネルギーがある」惑星として知られていた。
- 名前の由来はトロ(魚)、惑星カナッサの名の由来は魚をイタリアに実在する地名風にもじったもの。
- ベジータ:堀川亮
- サイヤ人の王子。生まれつき高い戦闘力を誇り、強化型の栽培マンを一瞬にして倒し、さらに止めを刺した。幾度か惑星に送り込まれ、成果を挙げているが、「大した手ごたえはない」と苛立ち、フリーザに対して、より手強い惑星への派遣をねだっている。惑星ベジータの消滅をナッパから聞かされたときも、全く気にかけない酷薄さを見せた。
- ナッパ:飯塚昭三
- ベジータの側近。この時点では頭頂部に少しだけ頭髪が残っており、体格も若干スリムに描かれている。フリーザへ惑星をねだるベジータに頭が上がらないようである。
- フリーザ:中尾隆聖
- 全宇宙の支配者。よく働くサイヤ人を気に入ってはいたが、いつまでも命令に従順な種族ではないことや、飛び抜けた戦士が生まれ始めたことなどから不信感を抱き始める。ザーボンの発言が引き金となり、惑星ベジータを消滅させることを画策する。惑星ベジータを爆発させて「花火」にし、宇宙船内のザーボンとドドリアに「こんなに美しい花火ですよ」と叫び、狂喜していた。
- ザーボン、ドドリア:速水奨、堀之紀
- フリーザの側近。
- ザーボンは、徒党を組んだサイヤ人について、目障りになると危惧した。
- ドドリアはフリーザの命令で、4人の部下と共に、ミート星を侵略していたバーダックの仲間4人を殺害。連れていた部下4人を一掃したバーダックにも重傷を負わせるが、スカウターの通信による帰還命令を受け、彼の死亡を確認せずにミート星から飛び去った。
- 孫悟飯:あずさ欣平
- 地球に送り込まれた、尾の生えた赤ん坊(カカロット)を拾った老人。赤ん坊は彼によって「孫悟空」の名を与えられる。
- サイヤ人A、B、C、D、E:掛川裕彦、真地勇志、佐藤智恵、里内信夫、中尾みち雄
- 酒場に溜まっていたサイヤ人たち。フリーザが惑星ベジータを消滅させようとしていることを伝えに来たバーダックを、「フリーザ様がそんなことをするわけがない」として、嘲り笑った。その後バーダックから一喝され、さらに罵言を浴びせられるも、「あいつはイカれてる」と本気にしなかった。
- ナレーション:八奈見乗児
[編集] スタッフ
- 原作:鳥山明
- 企画:森下孝三、清水賢治
- 製作担当:鳥本武
- シリーズ構成:小山高生
- 脚本:小山高生、隅沢克之
- 音楽:菊池俊輔
- 美術設定:池田祐二、吉田智子
- 美術監督:吉田智子
- キャラクターデザイン:前田実、中鶴勝祥
- 作画監督:中鶴勝祥
- シリーズディレクター:西尾大介
- 演出:橋本光夫
- 作画監督補佐:佐藤正樹
- 原画:江口寿志、井出武生、沖本日出子、宮原直樹、劉輝久、山室直儀、柴田則子、海老沢幸男、飯田倫也、菅野利之、竹内留吉、飯塚葉子、三角昌子、島貫正弘、久田和也、井上栄作、上杉千佳子、岩上久仁子、市橋則子
- 動画:中村敏子、白須順子、館直樹、広川智子、松本明子、江原仁、中村まゆみ、高橋和弘、須田京子
- 背景:金子弘明、片野坂悟一、西脇聖悟、谷口淳一、堀越幸江、上田三輪子、佐藤美幸、伊藤雅人
- 仕上:増井美知子、上村育代、樋口真理子、中原裕子、菊地敦子、鳥本佐智子、瀬口愛子
- 検査:沢田豊二
- 特殊効果:平尾千秋
- 撮影:池上元秋、前原勝則、鈴木典子、大藤哲生、佐藤隆郎、沖田英一、佐藤輝男
- オーディオディレクター:小松亘弘
- 録音:二宮健治
- 編集:福光伸一
- 効果:新井秀徳(フィズサウンドクリエイション)
- 選曲:宮下滋
- 演出助手:藤瀬順一
- 記録:樋口裕子
- 製作進行:末永雄一、柳義明
- 仕上進行:植木知子
- 美術進行:中村実
- 製作進行:末永雄一、柳義明
- 広報:重岡由美子
- スタジオ:タバック
- 現像:東映化学
- 制作:フジテレビ、東映動画
[編集] 主題歌
- OPテーマ「CHA-RA HEAD-CHA-LA」(作詞: 森雪之丞、作曲: 清岡千穂、編曲: 山本健司、歌: 影山ヒロノブ)
- 挿入歌「ソリッドステート・スカウター」(作曲・編曲:岩崎文歌、VOICE:TOKIO、演奏:Dragon Majic Orchestra)
- EDテーマ 「光の旅」(作詞:佐藤大、作曲、清岡千穂、編曲:山本健司、歌:影山ヒロノブ、KUKO )
[編集] 参考文献
- ^ 『ドラゴンボール フォーエバー 人造人間編〜魔人ブウ編』158~159ページ
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