シーマ・ガラハウ
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シーマ・ガラハウは、OVA『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』に登場する架空の人物。ジオン公国軍突撃機動軍所属。階級は中佐。35歳?。性格は大胆不敵で、非常に好戦的である。声:真柴摩利。
本項では、彼女が指揮するシーマ艦隊についても説明する。
注意:以降の記述で物語・作品に関する核心部分が明かされています。
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[編集] 経歴
一年戦争開戦直前に編成されたキシリア・ザビ配下のジオン公国軍海兵隊に、遙任の艦隊司令アサクラ大佐の代理司令官として配属。麾下艦隊は、「シーマ艦隊」の通称を得て、一年戦争時は主に破壊工作を行っていた。 一年戦争緒戦に於いて、コロニーへの毒ガス(GGガス)注入、所謂「コロニー潰し」に従事しており、これがトラウマになっていることがCDシネマ『宇宙の蜻蛉』で語られている。
一説ではこのコロニーがブリティッシュ作戦(コロニー落とし)に使われ、その際に上官からは催眠ガス[1]と告げられていたと言われている。他に『宇宙の蜻蛉』には「致死濃度」などの単語が注入シークエンス中に登場しており、本編スタッフの思惑上は、シーマ艦隊には毒ガスと言う認識がある程度あったと考えるほうが自然であろう。
シーマとその艦隊は破壊活動や虐殺など公国宇宙軍の「汚れ仕事」の実行者であったこと、また、保身を図ったアサクラ大佐に責任を押し付けられたことから、一年戦争終結時に他のジオン公国残存勢力からアクシズへの亡命を拒否されている。帰るべき故郷もソーラ・レイとして改造されて一年戦争で失われており、帰属する場所を持たない彼女等は以後、宇宙海賊として生きる事を余儀なくされる。民間・連邦はもとより、時に他の公国軍残党の船舶までもが略奪の対象とされた。
その一方で生き残る術として、また将来の安住地獲得の布石として、地球連邦やアナハイム社との独自のパイプ作りに奔走した。ジオン公国の主張する大義の狭間で翻弄され続ける中、「生き残るため」に行動したシーマは「大義に殉じた」エギーユ・デラーズやアナベル・ガトーとは好対照をなす人物と言える。
策謀の才はもとより、モビルスーツパイロットとしても非常に優秀な腕を持っており、一年戦争時の撃墜スコアは56機。終戦時の乗機はMS-14Fsゲルググ・マリーネ(ゲルググの海兵指揮官仕様)で、デラーズ紛争終盤でガーベラ・テトラに乗換えるまで搭乗していた[2]。
[編集] 劇中での活躍
宇宙世紀0083年10月、デラーズ中将の招聘に応じてデラーズ・フリートに参加し5話が初登場。コロニージャック等の仕事をするが、本心ではジオンを許しておらず、連邦への永住権を求めて地球連邦軍のグリーン・ワイアットなどのタカ派と裏取引を進める。ワイアットが核攻撃で死亡すると、次は連邦のボス格であるジーン・コリニー提督と接触。隙を見てデラーズの乗艦であり作戦旗艦であるグワデンの制圧に成功するも、裏切りに激怒したデラーズの殉教的行為により失敗する。辛うじてグワデンから脱出した彼女は腹いせにグワデンを撃沈させる。
紛争最終局面においてアナハイム社との裏取引によって得たガーベラ・テトラで出撃するが、旗艦リリー・マルレーンを撃破されてしまう。直後、連邦軍とシーマ艦隊の密約に激怒し、猛攻を仕掛けてくるコウ・ウラキのGP-03デンドロビウムに、シーマ艦隊は戦力の大半を損失し壊滅させられ、自らもGP-03のメガビームキャノンで乗機を串刺しにされ、さらにその砲撃をゼロ距離で浴びるという凄惨な最期を遂げた。また、松浦まさふみの漫画『星屑の英雄』では寝返りに失敗し、用済みと見限られたバスクの軌道艦隊からの集中砲火により消滅する。ただしこのコミック自体は公式設定という訳ではない。
もっとも彼女の思惑通りに事が運んだとしても、連邦側が何事もなくシーマを受け入れるとは到底思えず、デラーズ紛争鎮圧後に、連邦軍の暗部を知る者として秘密裏に始末されてしまったであろう事は想像に難くない。結局彼女も連邦に利用されただけの存在であった。
[編集] シーマ艦隊
キシリア・ザビ少将配下のジオン公国軍突撃機動軍に属する、海兵上陸部隊の通称。アサクラ大佐に代わり、シーマが代理司令を務めたため、この名で呼ばれる。艦隊旗艦はザンジバルII級機動巡洋艦リリー・マルレーン。その他、ムサイ級軽巡洋艦最後期型5~7隻、パプア級輸送艦によって編成される。
デラーズ紛争時の主だったモビルスーツは、MS-14F ゲルググMとMS-14Fs 指揮官用ゲルググM(シーマ専用機)、およびAGX-04 ガーベラ・テトラ。
アサクラを除く構成員の全てがサイド3の3バンチコロニー・マハルの出身。公国への戸籍登録さえ行っていない者も多く、コロニー工作の専門部隊として半ば強制的に徴兵・編成された。戦時中はコロニーへのGGGガス注入などの汚れ仕事の他、相当に過酷な任務を強いられた[3]。
[編集] 備考
- PS2『機動戦士ガンダム めぐりあい宇宙』のエースパイロットモードでは、彼女の生存後のifが語られることになる。それによると、シーマとその海兵隊はデラーズ紛争後、連邦軍のタカ派との密約通り、ジャミトフ・ハイマンが結成するティターンズの特殊部隊入隊への誘いがかけられるも、これを拒否。理由は、シーマがまたしても汚れ仕事を背負わされるかもしれないということを考えてのことであった。この時既に、ティターンズの本質を見抜いていたともいえよう。その後のシーマと、その海兵隊の行方は不明となっている。
- ニンテンドーDS『SDガンダム GGENERATION DS』では、「軍への不信を振り切ったシーマ」というifを見ることが出来る。原作に比べかなり前向きになっており、キャラクター図鑑には、「上層部の心ない仕打ちがなければ、名指揮官になれたかもしれない人物」との人物評が記されている。なお、PS2『SDガンダム GGENERATION SPIRITS』では、全三話構成で『宇宙の蜉蝣』シナリオが収録されている。
- 『スーパーロボット大戦α』シリーズでは原作をさらに上回る寝返りっぷりを見せており、原作通りのデラーズ・フリートに所属しながらのティターンズとの裏取引をはじめ、終盤ではジュピトリアンに寝返り、続編『第2次スーパーロボット大戦α』ではルートによってはネオ・ジオン(シャア派)→アクシズ(ネオ・ジオンのハマーン派)→ネオ・ジオンと寝返りを繰り返していた。
- 加登屋みつるの漫画版では、バニングではなくモンシアを撃墜した。その後、コウ・ウラキのGP03ステイメンの攻撃によりあっけなく戦死してしまう。
- 非公式ではあるが、ファンの間では『機動戦士ガンダム』のキシリア・ザビ、『機動戦士Ζガンダム』のハマーン・カーンと共に「宇宙世紀三大女傑」、『機動戦士Vガンダム』のカテジナ・ルースと共に「宇宙世紀二大毒婦」のメンバーに挙げられている[要出典]。
[編集] 関連項目
[編集] 脚注
- ^ 尤もこれは『ギレンの野望』シリーズなどのゲーム作品が根拠で、同シーンにはシロー・アマダも登場しており、『第08MS小隊』での描写と整合性を取るならば、このとき使用されたガスは腐食性ガスとなる。しかしCDシネマ『宇宙の蜉蝣』での回想シーンでは「G3ガス」とはっきり言われており、『Zガンダム』でのG3ガス描写との矛盾が生じる。また『第08MS小隊』でのガス使用法はコロニー内に侵入してのガス弾投射であるが、『宇宙の蜉蝣』では機械的な注入シークエンスが描写されており、やはり整合性には難がある。『ギレンの野望』での描写は単にオールスター作品ゆえのお遊びと思われる。
- ^ ただし小説版ではガーベラ・テトラ自体登場せず、最期までMS-14Fsに乗り続けていた。
- ^ シーマは劇中で大胆かつ奔放に行動し、裏切り行為が強烈な印象を与えているが、CDシネマなどで部下想いの苦労人的な一面も見られる。
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