シクヴァル
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シクヴァル(ロシア語:Шквалシュクヴァール;英語:shkvalやsquall、sjkval、意味は「驟雨」や「突風」)は、ロシア海軍が開発したスーパーキャビテーション魚雷である。200 kn(約370km/h)以上の速度を持ち、NATOの標準的な魚雷システムよりはるかに強力だと考えられている。なお日本語での表記は一定しておらず、シクヴァールやシュクヴァル、シュクヴァール、シェクヴァル、シャクヴァル等とも記述される。ロシア語の発音に最も近いのはシュクヴァール。
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[編集] 設計と能力
原子力潜水艦との戦闘で有効な新しい兵器システムを開発せよ、という要求を受けて、1960年代に24科学研究所 (NII-24) で設計が開始された。1969年、応用水力学研究所 (NII-PGM) を作るため、国立特殊設計局47 (GSKB-47) とNII-24が統合された。シクヴァルはこの統合の成果だと考えられている。
配備は1990年代初頭に入ってからだが、シクヴァルは未発見の敵潜水艦から発射された魚雷に対する対抗策として設計されていたため、それ以前にも一部で配備されていたと思われる。敵潜水艦が発射した魚雷が到着する前に対抗手段として使用し、敵潜に回避行動を取らせることで魚雷の誘導ワイヤーを切断させ、命中を防ぐことを期待されていた。その後、この高速を活かし核弾頭を搭載してアメリカ海軍を一挙に壊滅させる、という利用法が生み出されたと考えられている。
シクヴァルは従来の魚雷と比べて非常に高速で、NATOの標準的な魚雷よりはるかに優速である。この速度は魚雷がスーパーキャビテーションと呼ばれる薄い気泡の中を通る事で、摩擦を低減して達成される。魚雷が移動するとき周りの水は文字通り蒸発し、周囲に大量の小さな水蒸気の泡を作り出す。抗力を大幅に減らし、非常に高い速度を発揮することが可能となる。この高速性や推進にロケットモーターを使用する点から、シクヴァルは水中ミサイルとも表現される。
VA-111は533 mmの魚雷発射管から発射され、直後は50 knで進む。やがてロケットモーターに点火し、加速して200 knに達する。いくつかのレポートは250 kn以上の速度を達成した可能性を示している。初期型では誘導は行えないが、現在では誘導機能を持つタイプが提唱されている。
最近、他の国々でもスーパーキャビテーション魚雷の開発が行われている。アメリカ海軍とドイツ海軍の両者はそのような計画を持っており、後者は2004年にバラクーダ (Barracuda) と命名されたプロトタイプを製作した。中国海軍もロシアからVA-111システムのサンプルを40発購入したと言われているが、これについてはまだ公式には確認されていない。また、イランも2006年4月にフート (Hoot) と呼ばれる類似の兵器の実験に成功したと発表した。
[編集] 仕様
少なくとも3種類が存在する:
- VA-111 シクヴァル - 初期型。非誘導または、制御不完全な追跡能力を持つ
- "シクヴァル2" - 現在使用されている型式。誘導可能と思われる。おそらく推力偏向を使用しており、長射程化もされている
- "シクヴァルE" - 世界のさまざまな海軍に輸出されている型式
現在は、全てのバージョンが通常弾頭だけを装備していると考えられている。核弾頭も装備可能と思われるが、シクヴァルシリーズへの核搭載はまだ確認されていない。
- 全長: 8.2 m
- 直径: 533 mm
- 重量: 2,700 kg
- 弾頭重量: 210 kg
- 最大速度: 200 kt (370 km/h)
- 発射直後の速度: 50 kt (93 km/h)
- 射程: 約7,000 m
[編集] 関連項目
- オスカー級原子力潜水艦 - K-141クルスク
- キャビテーション