サラミス (機動戦士ガンダム)
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サラミス級宇宙巡洋艦(サラミスきゅううちゅうじゅんようかん、SALAMIS CLASS BATTLE CRUISER)は、アニメ『機動戦士ガンダム』シリーズに登場する地球連邦軍の架空の宇宙巡洋艦である。
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[編集] 諸元
(特別な改装を施されていない宇宙世紀0079年時の標準的艦容を示す)
- 全長:212m
- 全幅:62.2m
- 基準排水量:12,100t
- 満載排水量:22,000t
- 主機:熱核ロケット×1基
- 兵装:単装メガ粒子砲×6、連装機銃×6、6連装ミサイルランチャー×2、艦首部に2連大型ミサイル発射管x8
[編集] 標準的な型の概要
宇宙世紀0070年代の軍備増強計画によって、マゼラン級宇宙戦艦と共に大量建造された。大艦巨砲主義の性格が色濃いマゼラン級にくらべ、速射性能の高い中口径単装メガ粒子砲とファランクスシステムによって制御される対宙ミサイルにより、汎用戦闘艦としての優れたポテンシャルを持つ。一年戦争以前は恐れられたが、電波を利用した精密誘導に頼るこれらの装備は、ミノフスキー粒子によって無効化され、苦しい近接防空戦闘を恒常的に強いられることになった。艦の構成的に艦体下方からの攻撃に弱く、モビルスーツにそこをつかれ撃沈されることもあった。なお、メガ粒子砲を単装で艦体各所に装備しているためムサイ級軽巡洋艦より死角は少ないが方向によっては指向出来る数が劣る。
当初モビルスーツの搭載能力はなかったが、ルウム戦役の敗北後もビンソン計画によって多数が建造された。一年戦争末期には、甲板に多数のモビルスーツを露天繋止する応急的な処置が採られた。
地球で建造された艦はブースターを装着して打ち上げられる。
上記のビンソン計画以後は連邦軍の量産型MSジムやボールなどとともに大量に戦闘に投入され、戦争の最終局面ではその物量の一翼を担った。ア・バオア・クー攻略戦において、一部に火力補完型としての2連装長距離ビーム砲を装備した艦が確認されている。
一年戦争では多数が撃沈されたが、それでも余りある艦が生き残っており、その後さまざまな改良が続けられ、新造艦の建造も継続された。
[編集] 劇中での登場
TV版第一話OPで初登場、ジオン艦隊の艦砲斉射でコロニーと共に破壊された(艦名不明、緑色の塗装)。以後、映像化された場面ではどの艦も背景同然で何の役にも立たないか、ろくに当たりもしない無駄弾を撃ちながら撃沈されるかのいずれかであった。
唯一、最終話においてア・バオア・クーを脱出しようとするキシリア・ザビのザンジバル(艦名不明)を砲撃、撃沈したサラミス(艦名不明)が多少目立った程度である。しかし、要塞攻略戦では要塞全体が破壊されていることや、「たとえ描かれる機会の多い主役級メカであっても巨大な軍事力の一部にすぎない」というような、本作で持ち込まれたリアリズムの導入などの傾向から考えて、ジムやボールなどと同様重要な役割を担っていると思われる。
[編集] サラミス改級
2種類が登場している。
OVA『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』では両舷および艦底に連装メガ粒子砲を装備、機関部の単装メガ粒子砲の配置を変更し死角を減らし、各方向への指向数を大幅に増加し対宙機銃も増強、補助ノズル4基を装着したサラミス改級が登場している。
設定ではサラミス改とされているが、同級艦が複数存在するので一つの級別と見なせる。OVAのノベライズでは防空型と述べられ、モビルスーツ戦時代への適応を意識している(アニメ製作の観点からは、旧来のデザインのリファインという目的があり、0083にはこのタイプのサラミスしか登場しない)。ただし、本格的なモビルスーツ運用能力は持たされていない。そのため、熟練したパイロットの操るモビルスーツ等が他艦による直掩を突破して接近した際には容易に撃沈された。ただし、作中の戦没例が就役直後であったり、比較的少数で作戦行動している際のものであったり、モビルアーマーとの戦闘であったことには注意する必要がある。戦術運動や錬度で劣っていたとは言え、ザンジバル級機動巡洋艦の後期型との反航遭遇戦では強力な前方火力で応戦する姿が見られ、デラーズ・フリートを追撃していた巡洋艦戦隊の指揮官もその砲戦能力に期待をかけているのが窺える。また、最終局面では後方への火力で難があるムサイをやや同航体勢から射撃を浴びせ撃破しており、富野由悠季の製作した作品での扱いよりは見た目だけではなく運用面でも考証を深めたマシな扱いになっている。
『機動戦士Ζガンダム』及びガンダムセンチネルでは、従来のサラミス級をベースに改装を施し、前方主砲と左右の6連ミサイルランチャーを廃してモビルスーツのデッキやカタパルトを増設したサラミス改級が出現している。(大気圏突入艇は装備されていない。*異説有、ノート参照)連邦軍とティターンズ、エゥーゴが運用し、前者の所属艦はOPにも登場した。Zガンダム劇中で名が出てくる艦は、ボスニア、モンブラン、サチワヌ、ブルネイ、シチリアなど。『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』でもルナツー駐留艦隊や、ロンド・ベルの援軍として駆けつけた八八艦隊などで使用されていたのが確認されている。ガンダムセンチネルでは編成表が発表されているために特に数多くのサラミス改級の名称が設定されている。エクゼター、モガミ、ストラスプール、ユリシーズ、レパルス、カンバーランド、スティキスホルム、キャンベラ、アトランタ、プリンツ・オイゲン、ヴォルゴグラード、トレント、アオバ、ダンケルク、カシマ、ブラジリア、ストックホルムなど。
この2種類目のサラミス改級はそのバランスの良さが買われたのか、早くにその姿を消したマゼラン級とは対照的に『機動戦士Vガンダム』の時代である宇宙世紀0150年代まで運用が続けられることとなった。作中ではミノフスキークラフトが装備されたのか、リーンホース離水時に牽引や、ムバラク艦隊所属艦として大気圏内(成層圏)での戦闘にも参加している。(大気圏突入については、ビームシールドを展開したものと思われる)。
原型艦の進宙から70年以上経過した時代においてもなお、使用され続けていることは、本形式の完成度の高さを伺わせる。
一方で、マゼラン級戦艦の退役に伴いその火力補完のため、艦両側面のサブブリッジを撤去、大型の二連装ビーム砲塔を装備している。この他、原型に対して次の変更点が認められる。船体中央部(ブリッジ前方)の特徴的なY字構造上の大型連装対空砲はブリッジ左右の連装対空砲に換装され、対空砲の種別統一が図られているように見受けられる。加えてブリッジ構造物周辺に合計8基の単装対空砲が増設されており、対空砲は連装6基単装8基合計20門を数える。これらの装備増強で生じた質量増大で加速能力が低下することを防ぐために、メインエンジンの左右に各1基のサブエンジンが増設されている。
なお、Zガンダムで登場したこのサラミス改の場合、連装主砲・単装副砲は共にアレキサンドリア級と同一ユニットであると考えられる外観デザインを有する。
リガ・ミリティアのバグレ隊所属のクラップ級およびサラミス改級は、土色に塗装されている(ムバラク艦隊は通常色)。
なお、名称の重複を避けるため、『SDガンダム GGENERATION』シリーズでは、『Ζガンダム』版のサラミス改を「サラミス改」と称し、『0083』版のサラミス改は「サラミス(0083)」としている。ユニット図鑑でもその旨記載されている。
[編集] フジ級
一年戦争時、従来のサラミス級を改装した輸送艦。
劇場アトラクション『GUNDAM THE RIDE』では、ア・バオア・クー攻略戦で難民を移送する輸送艦として同級のスルガが登場する(艦長はヘンケン・ベッケナー)。フジ級の名の由来は同アトラクションのあった富士急ハイランドから。
[編集] 関連項目
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地球連邦軍 / エゥーゴ / ティターンズ 所属艦船の等級 | |
サラミス - マゼラン - ペガサス - パブリク - コロンブス - バーミンガム - アイリッシュ - アーガマ - ネェル・アーガマ - アレキサンドリア - ドゴス・ギア - ジュピトリス - ラビアンローズ - クラップ - ラー・カイラム | |
ジオン公国 / ネオ・ジオン / 火星独立ジオン軍 所属艦船の等級 | |
ムサイ - ザンジバル - チベ - グワジン - ドロス - パプア - パゾク - ヨーツンヘイム - エンドラ - グワダン - グワンバン - サダラーン - ムサカ - レウルーラ - RFムサイ | |
クロスボーン・バンカード 所属艦船の等級 | |
ザムス・ガル - ザムス・ギリ - ザムス・ジェス - ザムス・ナーダ - マザー・バンガード | |
ザンスカール帝国 所属艦船の等級 | |
スクイード - アマルテア - カリスト - アドラステア - リシテア |
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ガンダムシリーズの映像作品 | ||||||
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ガンダムシリーズの劇中項目 | ||||||
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