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ゴキブリ - Wikipedia

ゴキブリ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

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?ゴキブリ目 Blattodea
分類
動物界 Animalia
節足動物門 Arthropoda
昆虫綱 Insecta
ゴキブリ目 Blattodea
上科

本文参照

ゴキブリ(蜚蠊)は、昆虫綱ゴキブリ目(Blattodea)のうちシロアリ以外のものの総称。シロアリは系統的にはゴキブリ目に含まれるが、「ゴキブリ」に含められることはなく、伝統的には別をなす。なお、カマキリ目と合わせて網翅目(Dictyoptera)を置き、Blattodeaをその下のゴキブリ亜目とすることがあるが、その場合、ゴキブリとはゴキブリ亜目(のうちシロアリ以外)となる。

長い触角、扁平な楕円形の体、発達したなどを特徴とする。

目次

概要

熱帯を中心に、全世界に約 4,000 種、うち日本には南日本を中心に 50 種余り(朝比奈 1991 によると 52 種 7 亜種)が知られる。体長は 10mmほどから 100mmに達する種類まで様々だが、家住性の種はどれも 10-40mm程度である。最大種は南米に生息するナンベイオオチャバネゴキブリで、体長110mm、開長200mmに達する。日本産の最大種は石垣島西表島に生息し、体長50mmになるヤエヤママダラゴキブリである。

全身が上から押しつぶされたように平たく、狭い場所に潜むのに都合がよい体型をしている。頭部は胸部の下に隠れる。口には大あごがあり、食物をかじって食べる。複眼の機能はあまり良くないが、長い触角と尾部の尾毛(びもう)がよく発達し、暗い環境下でも周囲の食物や天敵の存在を敏感に察知する。がよく発達し、走るのが速い。例えばワモンゴキブリの走る速さは1秒当たり1.5m(体長の40~50倍)と言われている。成虫にはふつうが 2 対 4 枚あるが、前翅だけ伸びる種類、もしくは翅が全く退化してしまった種類もいて、これらの種類は飛翔能力を欠く。また、翅が揃っている種でも飛翔能力は低く、短距離を直線的に飛ぶ程度である。体表に光沢をもつ種類が多く、「アブラムシ」(油虫)の別名もあるが、種類によっては光沢を欠くものもいる。

- 幼虫 - 成虫という成長段階を踏む不完全変態の昆虫である。卵は数十個が一つの卵鞘に包まれて産みつけられるが、チャバネゴキブリのようにメスが卵鞘を尾部にぶら下げて保護するものや、サツマゴキブリのように一旦体外で形成した卵鞘を体内のポケット状の器官に引き込んで体内保護するものもいる。幼虫は翅がない以外は成虫とほぼ同じ形をしており、5 - 7 回の脱皮を経て成虫となる。クロゴキブリのような大型種は成虫になるのに 1 年半から 2 年ほどかかるものが多く、世代交代の速度は意外に遅い。

出現したのは約3億年前の古生代石炭紀で、「生きている化石」ともいわれる。古生代から絶滅せずに生き残ってきたことから「人類滅亡後はゴキブリが地球を支配する」と言われるほどだが、実際には森林環境に依存している種が多いので、人類が自らの環境破壊によって森林環境を道連れに滅亡した場合には絶滅する種が多いと推測され、人家生活型のコスモポリタン種は依存する人家環境の消滅によって絶滅する可能性が高い。むしろこの発言は著名な生物学者がマスコミ向けに、人類が万物の霊長として驕り高ぶることに対して警鐘を鳴らす意味で発した、はったりの要素が強いものである。

本来は熱帯雨林に生息する昆虫で、昼間は朽ち木や落ち葉のかげにひそみ、夜になると出歩いて菌類、樹液、朽ち木、動物の死骸やなどを食べる雑食性の昆虫である。食物の主体は朽ち木などの腐植質であるが、中にはクワガタムシの幼虫やシロアリのように朽ち木のみを食べて生活するものも少なくない。やがて特に雑食性の強い種の中から寒さや食物に困らない人間の住環境に進出する種類が現れ、害虫として激しく忌み嫌われるに至っている。

人家生のゴキブリの中で特にコスモポリタンとして世界中に広まっている種には、クロゴキブリ、チャバネゴキブリ、ワモンゴキブリなどのようにアフリカ原産だったと推測されているものが多い。これらは寒さには弱く、日本での生息地は北海道と高標高地を除く場所である。しかし近年では人家生のコスモポリタン種は北海道にも進出して一年中暖かいビル内などで繁殖・定着している。一方、森林性の種類は在来種のヤマトゴキブリ、オオゴキブリ、モリチャバネゴキブリ、サツマゴキブリなどがいるが、在来種のヤマトゴキブリのように人家にも生活の場を広げる例もある。

分類

シロアリは、伝統的な分類では独立目のシロアリ目(等翅目)とされる。

ゴキブリ目はカマキリ目と近縁で、合わせて網翅類を成す。なお、これを網翅目とすることがあり、その場合、ゴキブリ目はゴキブリ亜目となる。

古くは現在のバッタ目ナナフシ目、ゴキブリ目、カマキリ目を1目とし、網翅目または直翅目と呼ぶこともあった。しかし実際は、バッタ目とナナフシ目、ゴキブリ目とカマキリ目は近縁だが、たがいは近縁ではなく、このような分類は現在ではなされない。

  • ゴキブリ上科 Blattoidea
    • ゴキブリ科 Blattidae
    • キゴキブリ科(クリプトケルクス科) Cryptocercidae
    • シロアリ科 Termitidae
  • オオゴキブリ上科 Blaberoidea
    • オオゴキブリ科(ブラベルスゴキブリ科) Blaberidae
    • チャバネゴキブリ科 Blattellidae
  • ムカシゴキブリ上科 Polyphagoidea
    • ムカシゴキブリ科 Polyphagidae
    • ホラズゴキブリ科 Nocticolidae

おもな種類

日本産

チャバネゴキブリ Blattella germanica Linnaeus, 1767
体長15mmほどの小型種。体はつやのある黄褐色で、胸部に2本の太くて黒い帯がある。全世界の建造物に分布するが比較的寒さに弱く、人家よりはビルなどの24時間温度の安定した場所を好む。
同属種のモリチャバネゴキブリ B. nipponica Asahina, 1963 は人家には生息せず、落ち葉や枯れ草の下に生息していて、分布域も西日本に限られる。
クロゴキブリ Periplaneta fuliginosa Serville, 1839
体長30mmほどで、体はつやのある黒褐色。関東以南の西日本ではチャバネゴキブリと並んでよく見かけられる種類だが、北日本では少ない。チャバネと比べ野外活動性が高く、隣家よりの進入も多い。日本以外では台湾、中国に分布するが、アメリカにも移入している。
ワモンゴキブリ P. americana (Linnaeus, 1758)
クロゴキブリに似て、さらに大型で、体長40mmを越える。全身の色は明るく、胸には黄色い輪の模様があることからその名がある。性質は極めて活発でよく飛び、しかも攻撃的。沖縄でよく見られる。本土でも、温泉街などの暖かい所に侵入している例がある。
ヤマトゴキブリ P. japonica Karny, 1915
体長は20-30mmほど。オスはクロゴキブリと似るが、メスは翅が短く飛べない。おもに森林に生息するが、オスは人家に飛んでくる。
オオゴキブリ Panesthia angustipennis spadica (Shiraki, 1906)
森林性のゴキブリ。腐朽の進んだ柔らかい朽ち木の中で家族生活し、朽ち木のみを食べる。特に低山地で赤色腐朽菌により赤茶色に腐ったモミの倒木に多い。体長40mm、全身真っ黒で、触角は短く、足は太短くて棘があり、カブトムシのようゴツゴツとした形をしている。
サツマゴキブリ Opisthoplatia orientalis (Burmeister, 1838)
体長3cm前後。体は黒褐色だが胸部が黄白色、腹部が赤褐色で縁取られる。翅は鱗状に退化しているため見た目は「三葉虫の出来損ない」といった感じであり、裏返した際に見える頭部によりゴキブリであることが分かる。伊豆諸島南部(人為分布)四国、九州南部、南西諸島に分布するが人家に侵入することは無く全くの無害である。朽ち木の中や落ち葉、空き地に置かれた古いベニヤ板や石の下にひそむ。
ヤエヤママダラゴキブリ Rhabdoblatta yayeyamana
体長5cm近くにもなる日本最大のゴキブリ。昼間は樹洞などに潜んでおり、夜間活動する。幼虫は沢沿いの石の下などにおり、短時間の潜水行動も可能。生息地は石垣島と西表島。

外国産

マダガスカルオオゴキブリ
マダガスカルに生息する屋外ゴキブリ。体長70mmにもなる大型種。一般的なペットゴキブリ。無翅で体つきは頑丈。雄は胸に二つの突起をもつ。シューと音をだし敵を威嚇する。動きは遅い。
ヨロイモグラゴキブリ Macropanesthia rhinoceros Saussure, 1895
オーストラリアに生息する地中種。体長80mm・体重35gに達し、重さではナンベイオオチャバネゴキブリを上回る。翅は退化し脚は棘が発達する。地中に巨大なを作り社会生活をする。餌は枯れ葉。動きは遅く頑丈で力強い。ペット用に販売されている。
デスヘッド
ドクロゴキブリと呼ばれるブラベルスの一種。体長50mmほどになる。ブラベルスにしては珍しく翅が黒い。この種は胸の模様が骸骨のようにみえる。
トラペゾイデウスドクロゴキブリ
透明な褐色の翅をもつ大型種。フスカの名前で販売されている。体長70mmになる。
オオメンガタゴキブリ
体長90mm近くにもなる最大のブラベルス。
ガイアナオオゴキブリ
小型のブラベルス。ディスコイダリスとも呼ばれ、アメリカでは爬虫類やタランチュラなどの餌用に養殖されている。
アルゼンチンモリゴキブリ
体長50mmほどになる。雌は無翅。デュビアの名で、爬虫類などの餌用に販売されている。
グリーンバナナゴキブリ
透明な翅と薄い緑色の体をもつ小型種。低温に弱く多湿を好む。
ジャイアントウッドローチ
ブラベルスに似るが違う属の仲間。テッセラータとも呼ばれる謎の大型種。体長70mmほどになるが幅があり、体長以上に巨大にみえる。
ユウレイゴキブリ
オレンジヘッドローチの名で販売される中型種。肉食性が強くたまに共食いをしたりするので、飼育する時はドッグフードなどを与える。
フミガタゴキブリ
キューバに生息する黒色の地中性ゴキブリ。雌は雄より大きく無翅で三葉虫のような姿をしている。

人とゴキブリ

Supella supellectilium, Brown-banded cockroach
Supella supellectilium, Brown-banded cockroach

家住性のゴキブリは、台所をはじめ住居の各所に生息している。古代ギリシャ時代から記録があるほどで、古来から身近な昆虫の一つとして認識されている。地球全体で見てみると、この昆虫を害虫扱いする国は意外と少ない。

ゴキブリは、体内に共生する微生物により、タンパク質などのアミノ酸体窒素に非常に乏しい食環境で生活できる。残飯や動植物遺骸は勿論、人間の髪、和紙や油まで食べる。このような高い雑食性に支えられた食環境の厳しさへの耐久性が、根絶を困難にする要因の一つとして挙げられる。また、隠れ家になりやすい汲み取り式便所台所を経て健康者に病原体媒介したり、機械類に侵入して内部の配線等を切断・破壊したりといった行動も注目される。活動する人を襲って傷つける事はないが、就寝中などに噛まれる事例もある。

そのグロテスクな姿やカサカサと早い動き方からもあって一般的には忌み嫌われることが多く、「不衛生」や悪い意味での「しぶとさ」の代名詞と見なされることが多いが、一方で愛好家も存在し、ペット用にさまざまな種が輸入されてもいる。

1993年6月4日には、岡山市でゴキブリの品評会が初開催された。当初はゴキブリの大きさを競うだけだったものが、最近はゴキブリの艶を競ったり、ゴキブリレースなど、年々エキサイトしている。会場は、最初は市役所、次は文化ホールで、3回目は大胆にもスーパーで開催された。

ほぼ全世界で食用・薬用として用いられ、国によっては養殖も盛んである。清潔な環境下で育成すれば臭みも少なく、種類によっては可食部も大きい。調理法は食人口の多さから極めて多岐にわたるが、東アジアでは油揚げが一般的である。ただしこれは食用種や野生種の話であり、一般家庭の台所などから見つかる個体は生物濃縮が進んでいる危険性が高く、食用するのは不適切。

民間療法では地域ごとに様々な効能が謳われている(無論、迷信が殆どである)が、牛馬の骨折や捻挫に湿布として用いることは広域で行われて来た。有効成分は各種脂肪酸であると推測され、臨床例ではサツマゴキブリの遊離脂肪酸から溶血作用が報告されている。また、これらの薬効は日本の薬局方では認められていないが、シナゴキブリの乾燥品は漢方薬「[シャチュウ]」として入手が容易である。

ゴキブリはその体構造が原始的・平均的であるため実験動物としても利用されており、アメリカ合衆国などにはその手の業者がいて珍種などを販売している。中でもワモンゴキブリが評価が高い。

メキシコ民謡の「ラ・クカラチャ」とはスペイン語でゴキブリのことだが、この歌が指すゴキブリとは人のことであると言われている。また、日本童謡「こがね虫」(「こがね虫は金持ちだ」から始まる)も本来のコガネムシではなく、ゴキブリのことを指しているという説がある[要出典](この説は、童謡「こがね虫」を作詞した野口雨情の出身地、茨城県において昔、チャバネゴキブリを方言で、コガネムシと呼んでいたということに起因すると思われる。しかし、この説だけで童謡「こがね虫」=ゴキブリとするには根拠として弱く、所詮一説に過ぎない)。

栃木県など地方の商家でも、昔よりこの虫をコガネムシ(卵鞘が財布に似ているため)と呼んで珍重し、これを殺すことを戒めてきた。俳句においては季語で、主に「儚い」というイメージのもと使われる。


名前の由来・別名

「御器(食器)をかぶる(かじる)」ことから「御器被り・御器噛り」と呼ばれるようになり、明治時代までは「ごきかぶり」だったが、文献の誤植によって「か」の字が抜け落ちたまま広まってしまったのが「ゴキブリ」という名称の直接の由来とされる(詳しくは誤植#辞書の誤植の『生物学語彙』を参照)。現在でも地方によっては「ゴキカブリ」「ゴッカブイ」「ボッカブリ」などの方言呼称が残っている。

他の方言呼称として先述のアブラムシの他、クロッツ、アマメ(長崎県ほか九州三重県志摩半島)、ヒーラー、トービラー(沖縄県)などが挙げられる。

ゴキブリという名称そのものに嫌悪感を示す人間も多いため、(時にネット上の)隠語として、「」、「」、「G」 (Gokiburi) 、「GB」 (GokiBuri) 、「ゴッキー」、「ゴキ」などと呼ばれることもある[要出典]。また一部の飲食店などでは符丁として「ジョニー」、「太郎」といった固有名詞が宛てられる[要出典]

主な対処法

ゴキブリ駆除用の薬剤
ゴキブリ駆除用の薬剤

ゴキブリへの対処手段は市販の薬品使用から直接攻撃まで多岐に渡る。以下にその例を概説する。

薬品などの使用

家庭内のゴキブリを捕獲・駆除するための商品は数多く開発・発売されている。餌・誘引剤と粘着シートによる捕獲器(「ごきぶりホイホイ」など)、薬剤が遠くまで飛ぶスプレー型殺虫剤、火や水による化学燻蒸で締め切った室内を燻す殺虫剤(「バルサン」など)、ホウ酸や薬剤入りのベイト剤などが挙げられる。学習性の高いゴキブリは粘着シートによる捕獲器等には入らなくなるという。なお、薬品は人体にも有害な場合が多く、使用法によっては耐性ゴキブリが発生するおそれもある。

スプレー式殺虫剤
現代社会において最も一般的な害虫への対処手段として、スプレー(エアゾール)式殺虫剤が挙げられる。市販品で種類も豊富であり、ゴキブリ専用品も発売されている。しかし、一回の噴射でゴキブリを毒殺することは困難であり、大抵は数回の噴射を行う事になるか、ゴキブリに逃亡を許してしまう事が多い。また、ゴキブリを毒殺できたとしても、今度は薬液漬けの死体を処理する手間が発生する。スプレー式殺虫剤は弱いとはいえ毒性のある成分や可燃性ガスを使用している事があるため、使用時には換気に十分な配慮を行う必要がある。ただし、スプレー式殺虫剤の利用は特性上個体別の対処となるため、一時的に視界からの駆除は可能であっても家屋全体で見た場合は決定的な対策とはなり得ない。ゴキブリの完全な駆除を望む場合は他の薬剤との併用が効果的である。
捕獲器
捕獲器を使用する際はこまめにチェックをするのが望ましい(民家によってはゴキブリがすぐいっぱいになったり、ミイラ化しているときがある。また、粘着型では捕まったゴキブリを目当てにネズミが、更に、そのネズミを狙ってイタチなどが引っかかることも有る)。また、持ち帰らせて巣ごと殲滅するタイプのもの(「コンバット」など)は放置すると設置した給餌ケースそのものが巣と化す場合がある。ガムテープで手製の捕獲器を作ってもガムテープそのものをゴキブリが餌として食べてしまうため、かえって逆効果である。
燻蒸タイプ
ゴキブリが逃げ出す事が多いので排水溝や扉・窓、その他の隙間を完全に密閉することが望ましい。一度に大量に駆除できる反面、
  • アシダカグモなどのゴキブリの天敵である益虫も死んでしまう。もっともこれは、アシダカグモも不快害虫だと思う人にとっては無視できる欠点ではある。
  • 卵には効果がないので、完全に家のゴキブリを全滅させるには卵が孵化するタイミングを待って2~3週間後にもう一度使用する必要がある。
  • より安全な場所に巣を移すべく煙の届かない奥まったところへ逃げてしまい、事態をより悪化させてしまう。
などの欠点がある。特に最後に挙げた欠点は致命的なので、プロの害虫駆除業者ではこの方法を使わず、ベイト剤などの毒餌を仕掛ける方法で駆除している。
泡スプレー
泡でゴキブリの動きを封じるスプレーも開発されたが、合成洗剤が付着している部分に噴射すると泡が溶けてしまう。有毒ガスが発生している可能性があるため、合成洗剤との混用は避けるべきである。
合成洗剤
よほど強く容器を圧縮しない限りまともに飛ばない上命中精度にも問題を抱える。スプレータイプの物を使用するとよい。合成洗剤が有効な原理は、洗剤の粘度がゴキブリの足止めになり、なおかつ油で保護された気門を塞ぎ窒息死させるためであり、有害な化学物質が多く含まれているからというのは間違いである。
消毒用アルコール
至近距離でないと効果が無いが、アルコールが気門や口から入ると急性アルコール中毒及び窒息を起こし、死に至る。消毒用アルコールは飲食店等に常備してあることが多いため、比較的使用しやすいうえ、薬品と違い食品への影響は少ない。その特性上、小型種や幼虫には効きやすいが、動きが速い大型種の相手は向かない。
氷殺スプレー
※「氷殺ジェット」の項を参照

直接攻撃

ただし、以下のような直接攻撃手段はゴキブリを目視し、またその動きを把握、予測する必要があるため初心者には少々困難を伴うかもしれない。

打撃系
人体に無害かつ確実な方法として蝿叩きスリッパ新聞雑誌などで直接攻撃を加えるのも一般的な対処方法の一つとして挙げられる。ただし打撃が強すぎて仕留めたゴキブリの死体が四散してしまい後始末に困る場合や、逆に弱い場合はショックで一時的に昏倒するだけの場合もあり、再度逃走することもある。また腰をかがめる必要のなさ、腕より強い力で潰せる等の点から靴を履いて踏み潰す方法も有効である。中には手で直接叩き殺したり手で捕まえてそのままちぎったり裸足で踏み潰したりする猛者も存在するが、衛生面を考えると推奨し難い。
掃除用ワイパー
叩き潰した後に布部分を取り外し、そのままくるんで捨てることができるため、死骸を見なくてよいというメリットがある。しかし、念入りに攻撃を行わない限り前述のような「死んだふり」をされやすかったり、専用ワイパーシートが高コストというデメリットも同時に存在する。
掃除機
害虫の退治方法として掃除機は非常に有用である。害虫の死骸を触ったり見なくて済むうえに、吸い込んでくれるため打撃ほど正確にターゲットを狙う必要がなく、ほとんどの虫は吸い込んだ瞬間に風圧や、掃除機のホース内部などにぶつかる衝撃で即死する。ただしゴキブリの場合は吸い込んだだけでは死なないことが多いため、吸い込んだ後はゴミを溜める紙パックなどを速やかに処分することが望ましい。もしすぐに処分ができないときは、掃除機のノズルの先に丸めたティッシュペーパーなどで栓をしておき、次に使うときはそのままスイッチを入れ吸い込んでしまうと良い。
電撃ラケット
高電圧をかけてある多層構造の金属メッシュ部分を電極とし、陽極・陰極の両方の電極に虫が触れると電流が流れ瞬間的に駆除を行う装置である。主には蝿の駆除に用いられるが、蚊などの飛行可能な虫や、ゴキブリに対しても有効である。
スプレー塗料
またラッカー系のスプレー式カラー塗料なども有効であるが、本来塗料であるため殺虫現場付近にカラー着色による被害が残り美観が大幅に損なわれる。スプレータイプの利用という点では、スプレータイプを使用して捕獲する方法もあり、高確率で捕獲・駆除できるという点では有効な手段と考えられる。しかしフローリングリノリウムの床の場合は良いが、の場合は捕獲後の後始末が面倒な点が欠点である。
武器
電動ガンやグリーンレーザーを使用する人間もいるが、死体が飛散したり炭化したゴキブリから悪臭が出るため後片付けの点で問題がある。
熱水
摂氏50度以上の温度の中でゴキブリは生存することができない。したがって、電気ポットを常備しておき、熱湯を浴びせることによりゴキブリを即死させることができる。ただし熱水を扱う関係上、人間やペットにかからない様十分に注意を行う必要がある。また、畳などの水分を吸収しやすい内装材を用いた場所や、天井などでは使用が難しい。
熱アルコール
また熟練したものの家庭には高温アルコール噴出器が配備されていることもある。通常水を利用すると命中有無に関わらずターゲット部分がふやけてしまうため、少量かつ蒸散の早いアルコールを利用する。また、アルコールが切れてもウォッカブランデーといったアルコール度数が高めの酒類で代用できる。
ブレーキクリーナー
本来は自動車のブレーキディスクを掃除するためのパーツクリーナー(スプレー)だが、油を溶かす性質があるため、油で身を守っているゴキブリを殺すのに使うことができる。成分は石油系溶剤とアルコールで、ガスによって噴射するためスプレー式殺虫剤のように使える。塗料のように色がつく心配は無いが、ゴムやプラスチックなども溶かしてしまうことがある。また、塗料や接着剤を溶かしてしまったり、木を変色させてしまうこともある。強い揮発性があるので、噴射後は液体だがすぐに揮発してしまうので、ある程度の量をかけ続けなければならないが、後始末は簡単。揮発性が強く冷却効果があるが、ほとんど影響は与えない。洗剤と同じように油を溶かし窒息させるが、時にゴキブリ自体が溶け出してしまうこともある。壁や天井に貼り付いているのは油のおかげなので、ブレーキクリーナーをかけるとゴキブリが落下する。噴射したブレーキクリーナーを掃除機に吸引させると故障する可能性が高いので絶対にやってはいけない。また、ゴキブリ以外の害虫には無力であるが、人体には有害である。

天敵の飼育

益虫の中にはアシダカグモのように人間には害のないものもいるが最も一般的な手段としてネコの飼育がある。しかし幼いときからキャットフードのみで屋内生活をしてきたネコの場合、逆にゴキブリを恐れそのエリアに近づかなくなってしまうこともある。

引っ越す

どうしてもゴキブリを駆除できない場合、その場所から引っ越すことも有効な解決策の一つである。しかし荷物や家具にゴキブリやその卵が付着していることが多く結局ゴキブリと一緒に引っ越してしまうことも少なくない。またゴキブリが繁殖してしまう生活スタイルを改めなければ新天地で新たなゴキブリを招き入れるだけである。最初からゴキブリが生息しているケースもある。

共存共栄

ゴキブリを不快に思わない場合、また日常的に清掃をしっかりできるのであれば視界に入らない範囲に生息するゴキブリと共同生活を送るのも一つの手段である。ゴキブリは雑菌を多く保有し、排泄や移動、脱皮などで菌をばらまくが人間の生活圏をきれいにしていれば比較的影響は少ない。深夜の歩行音やまれに奏でる羽音が孤独感を和らげる場合もある。しかしながら不衛生であることに代わりはなく、また隣接する住宅、施設などに向けた前線基地と化すこともあるのでやはり駆除が望ましい。

普段からの対処法など

対処をしなくてすむような防御的な対策も効果がある。

害虫の侵入口を塞ぐことは非常に重要である。サッシ玄関は確実に閉め、「すきまテープ」などで隙間をなくす。外壁などの隙間はパテなどで埋める。換気扇などの開口部には網を張る。排水口も、使わないときや就寝前にはフタをしておく習慣をつけると良い。長期にわたり薬効が持続する散布薬剤、例えば「網戸に虫こない」等をこのような箇所の付近に散布するのも効果がある。また、室内に無臭の防虫剤を置くだけでも害虫の侵入が防止できる。ただ根本的な問題として、室内に繋がる半屋外部分(床下や壁の中、天井裏など)を拠点にされると最早一般人では対処のしようがない。その場合、引っ越しという究極の手段をとる者もいるが、家具などに紛れ込んだり、卵の状態でゴキブリまでも一緒に引っ越してしまうことが多く、根本的な解決にならない場合もある。

ゴキブリを捕食する生物にはゲジムカデアシダカグモ、セナガアナバチなどがいるが、これらの生物に対しても人家生の大型節足動物という点でゴキブリと同様不快感を催す人が少なくなく、いわゆる不快害虫として嫌われることが多いのが実情である。中でもムカデの中のオオムカデ類は人を咬んで害を与えるが、アシダカグモやゲジは手で掴まない限りまず咬みつくことはない。益虫の側面を持つこれらの生物に関しても、ある程度の知識を得ておいて損はないだろう。

食環境に対して極めて高い順応性を持つゴキブリだが、やはり水がなくては生きていけないため、普段からの対処法としては水まわりを清潔にすることとされる。しかし全く水を使わないわけにはいかないし、ゴキブリは食品でなくともカビや埃などを食べて生きるため、根絶はきわめて困難である。岐阜県揖斐郡池田町では、町ぐるみで「ゴキブリ追放運動」を行なっており、タマネギを使った駆除剤を各家庭で導入した結果、町からゴキブリが消えたというエピソードがある。

ゴキブリに関する都市伝説

かつて、TVジョッキーという番組内における奇人・変人というコーナーで、素人が一般参加でゴキブリを食べた後、食べたゴキブリが胃の中で繁殖(卵を産卵、胃の中で孵化)し、内臓や胃を食いちぎられて死亡した、という内容の都市伝説・噂話が広まった。ゴキブリを食べたというテレビの内容は事実だが、強力な胃酸の中で卵が孵化することは有り得ない。しかし、このような都市伝説が広まるということ自体がゴキブリのイメージの悪さを物語っているものとも言える。この都市伝説は漫画GTOの作中、第18話でも取り上げられた(都市伝説一覧も参照のこと)。だからといって、ゴキブリを生で食べるという行為は衛生上から見ても危険なことにはかわりがなく、決して勧められる行為ではない。

なお、件の都市伝説は1990年代に雑誌『GON!』(ミリオン出版)、2000年代にテレビ番組『特命リサーチ200X』で真偽の確認をしており、いずれも本人の生存を確認したことで噂が誤りであると結論づけている。

また、「粘着型の罠に大量にかかったら、一斉に羽ばたいて罠ごと飛ぶ」というのもあり得ない(探偵ナイトスクープより)。

ゴキブリをモチーフとした作品

文学

映画

  • 『ゴキブリたちの黄昏』
  • ジョーズ・アパートメント
  • 『ザ・ネスト』(大量の本物のゴキブリを用いて撮影された、モンスター・パニック映画)

漫画

  • 『ゴキブリゴッキーの大冒険』(テレビ番組「とび出せ!パンポロリン」の挿入歌)


関連項目

ウィキメディア・コモンズ
ウィクショナリー
ウィクショナリーごきぶりの項目があります。

参考文献

外部リンク


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