ティッシュペーパー
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ティッシュペーパー(Tissue Paper)とは、薄く柔らかい紙。特に、高級ちり紙。大きさはおおむね20cm四方である。ティッシュとも略される。また、ティシュ、ティシューとも書かれる。
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[編集] 概説
1枚が薄く、柔らかく作られた紙で、主に鼻をかんだり、化粧、性行為などの用途に使われたりする。美術品などの小物の包装に使われる場合もある。発売当時は高価なため従来のちり紙と併用していたが、その後日本では生活にすっかり定着し、スーパーマーケットやドラッグストアなどでは客寄せの特売商品とされることもある。
ほとんどが二枚一組になっているのは、一枚ずつの製造では薄さのために機械での大量生産が困難になり、また、二枚分の厚さのティッシュでは柔らかさが失われてしまうからである。[1]
また、紙にはざらざらな裏面と肌触りの良い表面があり、2枚の紙の裏面を合わせ表面を外に出すことで、どちらの面も肌触りを良くしている[2]。
化粧などにも使われるため、水に溶けない物が多く、トイレに流さないようにという注意書きがあるが、最近では、外出中にトイレでも使えるように、水に溶ける物もある。
英語では "facial tissue" という。代表的な商標を用いて"Kleenex"と言われることも多い。"tissue paper" というと、包装やトレーシングに用いる半透明の薄い紙(薄葉子(うすようし))のことを指す。
ちなみに年間消費量は、日本は一人あたり約4.5キロで世界一である。
[編集] 由来
ティッシュとは「織物」のことで、金糸を布のように織ったものを「ゴールドティッシュ」と呼び、それを重ねるときに間にはさみ込む薄い紙を「ティッシュペーパー」といったことから。
[編集] 歴史
- 第一次世界大戦中 脱脂綿の代用品として開発された。さらに吸収力を高めたものをガスマスクのフィルターとしても使用した。
- 1924年 先の第一次大戦が終了した後、ティッシュペーパーは過剰に在庫が余っており、アメリカのキンバリー・クラーク社がメイク落とし用として「クリネックスティシュー」を発売。以降アメリカではティッシュペーパー=クリネックスという名前が定着した。
- 1953年 日本においてもティッシュペーパーが発売される。
- 1963年 山陽スコット(現・日本製紙クレシア)が「スコッティ・トイレットティシュー75m」を発売。クリネックスよりもやや安価で、広く出回る。
- 1964年 日本初の箱入りティッシュが販売される。
- 2006年 物品の高級化に伴い、1箱1,500円(=1枚あたり10円)が販売された。
[編集] 種類
[編集] 供給形態による分類
[編集] ボックスティッシュ
一般に2枚組で、30×13×6cmほどの大きさの箱に200組400枚入っているのが標準であるが,160組320枚の品もある。箱から1組ずつ取り出しやすくなっているのがボックスティッシュの最大の特徴である。当初は箱上部中央に開けた穴から取り出しやすいよう、中央にあきがある観音折りであった。近年のものは重ね方を工夫し、1枚ひけば次の組の一部が穴から飛び出すようになっているものが一般的である。また、埃が箱にはいるのを防ぐためとして、穴に薄いビニールを張った物が多い。最近では環境に配慮し、ビニールではなく箱部分と同様の紙を使用している物もある。また、長さ方向に半分くらいの箱に入って提供される場合がある。これは、景品や販売促進用として提供される。
[編集] ポケットティッシュ
携帯用のもので、小さなビニール袋の中に10枚程度のティッシュが入っている。販売されるものもあるが、街頭や店頭等で販売促進用等として配布されたりすることも多い。ポケットティッシュを配布する行為は日本独特のもので、海外では見られない。[1]
[編集] 品質による分類
概ね柔らかく皮膚を拭くのに適しているが、販売促進用として街頭配布されるものの中には質が劣るものがあり、そのようなものは連続して使用するに適さない。一般的な性質のティッシュでも花粉症などで鼻水が頻繁に出るような場合に使いすぎると、鼻の下の皮膚が荒れてしまうため、一般品よりさらに柔らかいものや保湿成分を含ませたものなど高級品も用意されている。
[編集] 類似の商品
- ウェットティッシュ - ふき取り効果を高めるため、湿った状態で供給されるティッシュ。プラスチックなどの密閉容器に入っている。消毒剤などが配合されている場合もある。
- おしりふき - 乳幼児のオムツ交換時にお尻を拭くためのもので、さらにふき取り効果を高め、衛生のために殺菌剤を配合したり、また悪臭を和らげるために香料を加えたりしたもの。用途上、トイレに流せるように作られているものがほとんどである。
- ちり紙 - 役割はほぼティッシュと同じである。ティッシュが普及する前はこちらが一般的であった。
- トイレットペーパー - 後述。
[編集] トイレットペーパーとの違い
ティッシュペーパーが上記のように売られているのに対し、トイレットペーパーがロール状で売られているのが外見上の違いであるが、そもそも紙の品質が全く異なる。トイレットペーパーは、ティッシュペーパーより粗悪で繊維質の少ない紙であることが多いが、ゆえに水に溶けやすい(分解しやすい)。ポケットティッシュの場合、街頭で配られているような安物は普通水に溶けるが、箱入りティッシュや市販のポケットティッシュでは溶けない物が多く、便器を詰まらせる危険があるので、安易に流してはいけない(溶けない物は「トイレに流さないでください」といった注意が記載されている。製品によっては、トイレに流せるものもある)。洗濯機などでティッシュをポケットに入れたままにすると破片がまとわり付いていることを経験した人も多いと思うが、これもティッシュが水に分解されないことに由来していると考えればよい。過去、TV番組で実験されたこともあり、どれが溶けるか溶けないか、台所の流し等で試してみることをお勧めする。